2011年11月12日のシリア情勢

シリア・アラブの春(シリア革命2011)顛末記

2011年11月12日のシリア情勢

アラブ連盟をめぐる動き

アラブ連盟外相会議は、11月16日にシリアのアラブ連盟における加盟資格を停止し、連盟のワーキングペーパーが完全に履行されるまで連盟関連の会合への出席を停止するとともに、加盟国に対して在シリア大使の召還を呼びかける決議を18カ国の賛成のもとに可決した。

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

決議ではまた、「シリアのすべての反体制勢力に対して、シリアにおける今後の過渡期に関する統一のビジョンに合意するため3日間の会合をアラブ連盟本部で開催するよう呼びかけ、連盟閣僚委員会は、会合の結果を見て、シリアの反体制勢力の承認が妥当かを決定する」ことが定められた。

さらに決議は、関連するアラブ諸機関を通じた民間人保護の拡充、暴力が停止しない場合の連盟事務局長による国連など国際人権諸機関への報告を求めるとともに、シリア軍に暴力停止を呼びかけた。

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アラブ連盟外相会議決議の全文は以下の通り:

إن مجلس جامعة الدول العربية على المستوى الوزاري في جلسته المستأنفة للدورة غير العادية بتاريخ 12/11/2011 بمقر الأمانة العامة

وبعد اطلاعه على تقييم اللجنة العربية الوزارية لما آلت إليه الأوضاع في سورية،

وبعد استماعه إلى تقرير الأمين العام، ومداخلة وفد الجمهورية العربية السورية، ومداولات السادة الوزراء ورؤساء الوفود.

ونظرا?? لعدم التزام الحكومة السورية بالتنفيذ الكامل والفوري لمبادرة جامعة الدول العربية التي اعتمدها مجلس الجامعة على المستوى الوزاري في اجتماعه الذي عقد يوم 2/11/2011

يقرر:

1- تعليق مشاركة وفود حكومة الجمهورية العربية السورية في اجتماعات مجلس جامعة الدول العربية وجميع المنظمات والأجهزة التابعة لها اعتبارا?? من يوم 16/11/2011 وإلى حين قيامها بالتنفيذ الكامل لتعهداتها التي وافقت عليها بموجب خطة العمل العربية لحل الأزمة السورية والتي اعتمدها المجلس في اجتماعه بتاريخ 2/11/2011

2- توفير الحماية للمدنيين السوريين وذلك بالاتصال الفوري بالمنظمات العربية المعنية، وفي حال عدم توقف أعمال العنف والقتل يقوم الأمين العام بالاتصال بالمنظمات الدولية المعنية بحقوق الإنسان بما فيها الأمم المتحدة وبالتشاور مع أطياف المعارضة السورية لوضع تصور بالإجراءات المناسبة لوقف هذا النزيف وعرضها على مجلس الجامعة الوزاري للبت فيها في اجتماعه المقرريوم 16/11/2011

3- دعوة الجيش العربية السوري إلى عدم التورط في أعمال العنف والقتل ضد المدنيين.

4- توقيع عقوبات اقتصادية وسياسية ضد الحكومة السورية.

5- دعوة الدول العربية لسحب سفرائها من دمشق مع اعتبار ذلك قرارا?? سياديا لكل دولة.

6- دعوة جميع أطراف المعارضة السورية للاجتماع في مقر الجامعة العربية خلال ثلاثة أيام للاتفاق على رؤية موحدة للمرحلة الانتقالية المقبلة في سورية، على أن ينظر المجلس في نتائج أعمال هذا الاجتماع ويقرر ما يراه مناسبا?? لشأن الاعتراف بالمعارضة السورية.

7- عقد اجتماع على المستوى الوزاري مع كافة أطراف المعارضة السورية بعد توصلهم إلى الاتفاق كما جاء في سادسا??.

8- بقاء المجلس في حالة انعقاد دائم لمتابعة الموقف.

(ق : رقم 7438 – د.غ.ع.م – 12/11/2011)

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アラブ諸国外相は、11月16日にモロッコのラバトでトルコを交えて会合を開き、民間人保護などに関して審議を行う予定である。

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会合は非公式で行われたが、シリアへの強硬姿勢への是非をめぐって紛糾、エジプト、スーダン、アルジェリア、オマーン各国の外務大臣とナビール・アラビー事務総長が別途協議し、制裁まで4日間の猶予を与えるという追加提案を行った。

その後も審議が混迷を続けたため、採決となった。アラブ連盟の加盟資格停止は当事国を除く参加国(22カ国・1機関)の3分の2以上の賛成が必要で、採決ではレバノン、イエメンが反対票を投じ、イラクが棄権した。当初、決議案に反対すると見られていたスーダンとアルジェリアは賛成にまわった。

なおアラブ連盟憲章第12条、第18条によると、連盟憲章の義務を守らない国の除名や加盟資格停止は連盟参加国の「合意」に基づき決せられると定めており、採決でシリアの加盟資格を停止した今回のアラブ連盟の決議は明らかに憲章に反している。

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会議後、議長を務めたカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、決議が「完全にアラブ的」であると強調し、飛行禁止空域や軍事介入に関して「会合で決して審議されなかった」と強調した。

また加盟資格凍結などの制裁に関しては「我々は、彼らが誓約を履行し、我々がそれを支援できるよう、彼らに今月16日まで猶予を与えている」と述べた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会執行部情報課声明は声明を出し、アラブ連盟の決議を歓迎した。

同声明において、評議会は、決議を「正しい方向へのステップ」と評し、「シリア国民を支持したすべてのアラブ諸国、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣を議長とする外相委員会への謝辞」を示すとともに、「サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣の参加への評価」を表明した。

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トルコのアンタルヤを拠点とする反体制勢力、シリア変革大会は声明を出し、アラブ連盟の声明を歓迎した。

同声明でシリア変革大会は、アラブ連盟による反体制勢力の会合呼びかけを評価し、参加の意思を表明するとともに、シリアの今後の過渡期をめぐる統一ビジョンに達することを目指すと表明した。

アサド政権の対応

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

SANA(11月12日付)はアフマド代表は決議を「違法で、連盟の憲章と内規に反している」と述べたと報じた。

同報道によると、アフマド代表は、外相会議の冒頭で、シリアが連盟のワーキングペーパーを「遵守」し、「そのすべての条項の実施し続けている」と述べた。

都市部などからの軍の撤退に関しても、武装集団が重火器を駆使した攻撃を継続しているなかで、撤退プロセスを完了し、軍に代わって治安維持部隊が展開していると説明した、という。

また逮捕者釈放に関しては、553人を既に釈放したほか、段階的に釈放を行っていくと述べた。

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

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『ハヤート』(11月13日付)によると、決議採択後、アフマド・シリア代表は記者会見を行い、決議に関して「シリアのことを何ら配慮しておらず、その価値は決議を綴る際に用いられたインクにも劣る」と非難した。

そのうえで、GCC諸国に関して「これらの国は連盟の会合前に会合を開き、決議を携えてやってきた…。連盟は外国のアジェンダや外国の介入を実施するためのツールに成り下がった…。シリアが被害を受ければ、それは近隣諸国に波及する」と述べた。

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SANA(11月12日付)は、アラブ連盟での決議採択直後、ダマスカス県、ラタキア市、タルトゥース市、ハサカ市など各地で、決議に反対し、アサド政権による改革の支持を訴えるデモが発生し、数万人の市民が参加したと報じた。

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アラブ連盟での決議採択を受け、ダマスカス県のサウジアラビア、カタール、フランス、トルコの大使館が市民数千人がによって包囲され、投石などを受けた。またアレッポ市、ラタキア市ではフランス、トルコの領事館が同じく市民によって包囲され、投石などを受けた。

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バアス党員のジャマール・マフムード博士はドゥンヤー(11月12日付)のインタビューで、アラブ連盟の決議採択を受け、ウルーバ(アラブ民族性)とアラブの祖国の思想を蜂起し、ビラード・シャーム、大シリアの地図を念頭に置くべきだと発言した。

反体制運動掃討

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で女性1人を含む4人が治安部隊に殺害された。

また前日に治安部隊の発砲で重傷を負っていた2人がヒムス市で死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市で1人が治安部隊に殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、兵士50人から60人が離反した。

またシリア人権監視団によると、離反兵と思われる武装集団が治安部隊のバスを襲撃し、9人を殺害した。

またサラーキブ市では、バスが襲撃され、兵士1人と大尉の妻が殺害されたという。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ラタキア市クナイニス市で先週逮捕された市民の遺体が家族に引き渡され、葬儀の参列者が反体制デモを行った。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領は、アラブ連盟の決議を「さらなる外交的孤立」をもたらす動きと歓迎した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、アラブ連盟のメッセージを聞いた国際機関が暴力停止と民間人の保護のための行動をただちにとり、シリアの政治的転換が始まる」ことを望むと述べた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アラブ連盟の「決断」を高く評価した。

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EUの外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会報道官も、アラブ連盟の決定に支持を表明した。

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レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は、アラブ連盟の決議に関して、「事態をさらに複雑化させ、地域に安定、治安をもたらさないだろう」と述べた。NNA(11月13日付)が報じた。

同報道によると、マンスール外務大臣は、連盟の非公式会合において、「最初の会合から、一部の当事者にシリアの連盟加盟資格を停止しようとする意図があった」と非難した、という

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レバノンの3月14日勢力のファーリス・スアイド事務局長が記者会見を行い、ナジーブ・ミーカーティー内閣に対して、シリア人避難民への避難場所と人道援助を行うよう求めた。

スアイド事務局長はまた、3月14日勢力の使節団が北部県バトルーン郡、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方でシリア人避難民の避難状況を視察し、シリア人避難民を保護しているレバノン人住民が嫌がらせを受けていると警鐘を鳴らした。

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SANA, November 12, 2011

SANA, November 12, 2011

ヨルダンのアンマンで、アサド政権を支持するヨルダン人数十人(レジスタンス支持人民委員会)が、ジャズィーラやアラビーアと事務所などが入ったビルの前で「プロ意識と公正さを欠き、偏った」立場を非難するための座り込みを行った。

デモの参加者が両テレビ局の職員を「シオニストの手先、裏切り者」と非難するシュプレヒコールを連呼すると、職員らが「シャッビーハ、シャッビーハ」と応酬し、デモ参加者が事務所内に進入し、小競り合いとなった。

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SANA(11月12日付)は、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣がトルコと米国で活動する反体制勢力に関して、対話開始をめぐるあらゆる提案を拒否するその姿勢を理解、支持できないと述べたと報じた。

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ロシア正教会のキリロス総大主教がシリア、レバノン歴訪のためダマスカスに到着した。

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UAE外務省は、シリア在住のUAE国民に対して退避勧告を発した。

Akhbār al-Sharq, November 12, 2011, November 12, 2011、AFP, November 12, 2011、al-Dunyā, November 12, 2011、al-Ḥayāt, November 13, 2011, November 14, 2011、Kull-nā Shurakā’, November 12, 2011、Naharnet.com,
November 12, 2011、NNA, November 12, 2011、Reuters, November 12, 2011、SANA,
November 12, 2011などを参照。

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