国連安保理はクロスボーダーでの人道支援の経由地を4カ所から2カ所に制限、支援期間を6ヶ月だけ延長する決議を米英露中が棄権しながらも辛うじて採決(2020年1月11日)

国連安保理は、シリア国境経由(クロスボーダー)で反体制派支配地域への国連関連機関による人道支援を定めた安保理決議第2165号(2014年7月14日)の有効期間を2020年6月10日まで半年間延長することを定めた決議案(国連安保理決議第2504号)を賛成11、反対0、棄権4(米国、英国、ロシア、中国)で採択した。

安保理決議第2165号に基づく国境経由での人道支援の期間が延長されるのは、第2191号(2014年12月17日――2016年1月10日まで延長)、第2332号(2016年12月21日――2018年1月10日まで延長)、第2393号(2017年12月19日――2019年1月10日まで延長)、第2449号(2018年12月14日――2020年1月10日まで延長)に続いて5度目。

安保理決議第2165号では、周辺諸国の同意とシリア政府への通告(同意は不要)がなされれば、反体制派の支配下にあるバーブ・サラーマ国境通行所(アレッポ県)、バーブ・ハワー国境通行所(イドリブ県)、ラムサー国境通行所(ダルアー県)、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)の支配下にあるヤアルビーヤ国境通行所(ハサカ県)を経由して人道支援を行うことができる旨、定められていた。

だが、今回の決議では、シリア政府の支配下に復帰したラムサー国境通行所と北・東シリア自治局の支配下にあるヤアルビーヤ国境通行所は除外され、トルコ占領下のアレッポ県北部に通じるバーブ・サラーマ国境通行所とシャーム解放機構などの反体制派の支配地域に通じるバーブ・ハワー国境通行所のみが経由地として認められた。

また延長期間も1年から半年に半減された。

決議案は2019年12月20日の会合で否決されたロシアの決議案の内容に沿っている。

この決議案は、バーブ・サラーマ国境通行所、バーブ・ハワー国境通行所、ヤアルビーヤ国境通行所の3カ所を維持することを求めていたクウェート、ベルギー、ドイツが提出した決議案の対案として提出されたが、両決議ともに否決されていた。

AFP, January 11, 2020、ANHA, January 11, 2020、AP, January 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 11, 2020、Reuters, January 11, 2020、SANA, January 11, 2020、SOHR, January 11, 2020、UPI, January 11, 2020などをもとに作成。

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