英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから53日目となる4月27日、所属不明の無人航空機(ドローン)がハマー県北部を爆撃した。
**
ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を確認しなかったと発表した。
トルコ側の監視チームも停戦違反を確認しなかった。
**
ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平原のアンカーウィー村近郊で、無人航空機(ドローン)が、トルコの支援を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)に所属するナスル軍の車輌を爆撃し、戦闘員3人が死亡、5人が負傷した。
ドローンはまた、新興のアル=カーイダ系組織の一つのフッラース・ディーン機構の車輌に対しても爆撃を加え、人的被害が出た。
爆撃を行ったドローンの所属は不明だが、ロシア軍、レバノンのヒズブッラー、あるいは「イランの民兵」に所属していると思われる。
**
イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるファッティーラ村、カンスフラ村、スフーフン村、フライフィル村を砲撃した。
「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構と国民解放戦線などからなる武装連合体。
**
ダルアー県では、HFL(4月27日付)によると、スワイダー県の武装集団がブスラー・シャーム市を襲撃、シリア軍第5軍団に所属する地元部隊が応戦した。
この戦闘で、スワイダー県の反体制武装集団戦闘員1人が死亡、第5軍団の兵士2人が負傷した。
AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、HFL, April 27, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.