2012年1月30日のシリア情勢

国内の暴力

『ハヤート』(1月31日付)は、数日前から自由シリア軍を名のる離反兵が制圧(占拠)していたとされるダマスカス郊外グータ地方東部の県各都市を、軍・治安部隊が奪還したと報じた。

SANA, January 30, 2012

SANA, January 30, 2012

SANA, January 30, 2012

SANA, January 30, 2012

軍・治安部隊が奪還した(ないしは現在も包囲中である)のは、サクバー市、ランクース市、ムウダミーヤト・シャーム市、ハムーリーヤ市、カフルバトナー町、アルバイン市、ドゥーマー市、ハラスター市など。

シリア革命総合委員会によると、ダマスカス郊外県は、戦車、装甲車などを動員した軍・治安部隊の侵入により「被災地区」と化している、という。

シリア人権監視団によると、軍部隊は6日間にわたる包囲のち、ランクース市に侵入し…、離反兵は同市から撤退した」。

ダマスカス県およびダマスカス郊外県革命調整連合の報道官によると、「自由シリア軍は所持している武器で戦車に応戦することはできない。しかし戦車はメインストリートに侵入しただけだ。しかも、自由シリア軍の攻撃でそこから出られなくなっている」と述べた。

AFP(1月30日付)がシリア軍兵士の話として伝えたところによると、ハラスター市、ドゥーマー市、サクバー市につながる道はすべて閉鎖されている。

一方、SANA(1月30日付)によると、内務省は声明を出し、過去3日にわたってドゥーマー市、ハラスター市、サクバー市、ハムーリーヤ氏、カフルバトナー町で武装テロ集団に対する掃討作戦を実行したと発表した。

同声明によると、関係機関は米国・イスラエル製の武器で攻撃を行う武装テロ集団を整髪し、多数のテロリストを逮捕したほか、同集団が使用していた隠れ家を発見、大量の武器、弾薬、爆発物を押収した。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市ババー・アムル地区などでも軍・治安部隊と離反兵の激しい戦闘があり、各地での犠牲者数は50人にのぼった。

またシリア人権監視団によると、ヒムス市で医師が暗殺されるなど17人が死亡した。

一方、SANA(1月30日付)によると、タッルカラフ地方でヒムス県とタルトゥース県バーニヤース市を結ぶガス・パイプラインが武装テロ集団によって爆破され、460,000立方メートルのガスが焼失した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市で治安部隊のバスが離反兵に襲撃され、6人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アウラム・ジャウズ村・カフルナブル市付近で軍・治安部隊と離反兵が激しい戦闘を行った。

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『クッルナー・シュラカー』(1月30日付)によると、ハサカ県ダルバースィーヤ市でロシアのアサド政権支持に反対するデモが発生した。

アサド政権の動き

SANA(1月30日付)は、ラッカ県および近隣アラブ諸国の部族代表が大会を開き、シリアに対する陰謀、テロ行為、経済制裁に抗議したと報じた。

反体制勢力の動き

Akhbar al-Sharq, January 30, 2012

Akhbar al-Sharq, January 30, 2012

シリア人権擁護連盟は、自由シリア軍の初代司令官フサイン・ハルムーシュ大佐が先週処刑されたと発表した。

同連盟の声明および『クッルナー・シュラカー』(1月28日付)がインターネットサイトから得た情報によると、ハルムーシュ大佐はダマスカス県マッザ航空基地の空軍情報局調査課での裁判で有罪判決を受け、処刑された、という。

しかし自由シリア将校運動(フサイン・ハルムーシュ大佐ら離反兵が当初名のっていた組織名)は、この発表に関して「大佐の処刑に関する事実確認がとれていない」との声明を出した。

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ダマスカス郊外県での軍・治安部隊の攻勢が強まるなか、トルコで避難生活を送る自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐はジャズィーラ(1月30日付)の電話取材に応じ、「「バッシャール・アサド大隊」の士気は衰退を始め、政府から悪党たちは去り始めた」と述べ、そのことがダマスカス郊外県に対する軍・治安部隊の「無差別攻撃」をもたらした、とのコメントをした。またシリア革命広報局メンバーを名のるアラーッディーン・ユースフ氏もジャズィーラ(1月30日付)に対して、同様の発言を行った。

一方、自由シリア軍のリヤード・ヌアイミー大佐(トルコ在住)はAFP(1月30日付)に対して、「自由シリア軍からの情報・報告によると、ダマスカス県8キロの地点でも大規模な離反と戦闘が行い、そのことはダマスカスに戦闘が近づいたことを示している」と述べた。

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フェイスブックによると、リヤード・トゥルク弁護士と並ぶシリア人民民主党の重鎮アフマド・ファーイズ・ファウワーズ氏が、民主的変革諸勢力国民調整委員会からの脱会を宣言した。

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『クッルナー・シュラカー』(1月30日付)は、ダルアー県ムフティーでウマリー・モスクのイマームでもあるアフマド・スィヤースィナ氏がヨルダンに避難し、反体制運動に加わったと報じた。

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シリア人権擁護連盟は声明を出し、2011年3月からの反体制運動発生から1月23日までの犠牲者数が6,729人に上ったと発表した。

同声明によると、このうち456人が子供、316人が女性、724人が離反兵だという。

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シリア・クルド民主変革運動、民主改革党、団結党、および無所属の活動家が新たな政治同盟、シリア選択潮流を発足した。

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国内で反体制活動を行う人民意思党のカドリー・ジャミール党首は声明を出し、アサド政権と反体制勢力の対話を提案したロシアの動きを歓迎した。

レバノンの動き

3月14日勢力の指導者の一人でレバノン・カターイブ党最高党首のアミーン・ジュマイイル前大統領は記者会見を開き、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長を含む複数のシリア人高官と接触し、レバノン内戦中などにシリア国内で失踪したレバノン人に関する情報を収集していることを明らかにした。

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3月14日勢力に属するレバノン軍団は、ナジーブ・ミーカーティー内閣に対して、最近シリアで失踪したレバノン人の行方を調査するよう求めた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は、2月5日にシリア問題に関する閣僚委員会(ハマド・ブン・ジャースィム・カタール首相兼外務大臣が議長)が開催され、国連安保理の審議に出席予定のハマド首相兼外務大臣とナビール・アラビー事務総長の任務内容と、連盟監視団の今後の活動について審議すると発表した。

アラビー事務総長はカイロで、ロシアと中国に対して、西側および一部アラブ諸国が共同作成した決議案とアラブ連盟の行程表を支持するよう求めた。

アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長は『ハヤート』(1月30日付)の電話取材に応じ、「シリアの反体制勢力には満足できない。彼らは我々に活動して欲しいと思っていない。なぜならこの問題を安保理に付託し、体制を崩壊させようしているからだ」と批判した。その一方で、シリア政府が最近の治安状況の悪化を、「あらゆる暴力の停止」を求める連盟議定書の文言を乱用した結果だと非難した。

一方、監視団の活動に関しては、「我々は誠実さと透明性をもって活動した」と述べた。

諸外国の動き

ロシア外務省は、アサド政権と反体制勢力の双方に対して、事態収拾のための「非公式対話」を呼びかけ行い、アサド政権が前向きな姿勢を示していると発表した。

しかし、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、ロシアがアサド政権と反体制勢力の「非公式対話」の実施を呼びかけてていることに関して、アサド大統領が退任するまではいかなる対話をも拒否するとの姿勢を示した。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、アサド政権による攻撃を改めて厳しく批判するとともに、安保理に対して「国際社会がこのような行為を平和と安全を脅かすものとみなしていることをシリア政府に明確に理解させるべく行動しなければならない」と述べた。

またスーザン・ライス米国連大使は、米国が「アラブ連盟の行程表を完全に支持し、承認する」と述べた。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、アフリカ連合サミットに出席するために訪問中のアジスアベバで、シリアの危機は、政治的対話を通じて解決されるべきと述べるとともに、政治改革には時間が必要だと述べ、憲法改正などアサド政権が一連の改革プログラムを約束していると強調、それをそれを支持するとの姿勢を示した。

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フランス外務省報道官は、アラン・ジュペ外務大臣がシリア問題に関する決議案の審議のための安保理会合に出席するために米国に発ったと発表するとともに、「シリアの政府は去らねばならない」と改めて表明した。

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イスラーム諸国会議機構のエクメレッディン・イフサンオール事務局長は、AFP(1月30日付)に対して、国連安保理がシリアの民間人保護のための責任を果たし、流血停止のための措置を講じるべきだと述べた。

AFP, January 30, 2012、Akhbār al-Sharq, January 30, 2012、AKI, January 30, 2012、BBC, January 30, 2012、al-Ḥayāt, January 31, 2012、Kull-nā Shurakā’, Janyaru 28, 2012、January 30, 2012, February 1, 2012、Naharnet.com, January 30, 2012、Reuters, January 30, 2012、SANA, January 30, 2012、などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

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