ラタキア県、ハマー県でシリア軍と「決戦」作戦司令室が激しく交戦(2020年7月10日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから127日目を迎えた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるトルコマン山地方のサッラーフ村、アイン・イーサー村、ヤマディーヤ村、ザイトゥーナ村、カッバーナ村、上シャンバル村、カルズ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、シリア軍筋が発表したところによると、トルコの支援を受ける「テロ組織」がラビーア町北のシリア軍拠点複数カ所を激しく攻撃、シリア軍部隊がこれに応戦し、戦闘員多数を殺傷、武器装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍と「決戦」作戦司令室が、カーヒラ村、マナーラ村(タンジャラ村)一帯で激しく交戦、双方に死傷者が出た。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室が、カフルナブル市、バーラ村一帯のシリア軍拠点を砲撃、バーラ村、ルワイハ村、カフルバッティーフ村でシリア軍と交戦した。

また「決戦」作戦司令室を主導する国民解放戦線は、カフルバッティーフ村上空でロシア軍の無人偵察機(ドローン)を撃墜した。

こうしたなか、「決戦」作戦司令室は声明を出し、シリア政府支配地域と「解放区」が接する境界地域に立ち入らないよう住民に呼びかけた。

一方、イドリブ市東部の武器製造工場で爆発が発生し、2人が死亡した。

このほか、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約20輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町でヒズブッラーのメンバーの車に仕掛けられていた爆弾が爆発した。

また、同町に設置されている検問所の近くに仕掛けられていた爆弾が爆発し、空軍情報部のメンバー1人が死亡、3人が負傷した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を6件(イドリブ県4件、ラタキア県1件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を3件(イドリブ県1件、ラタキア県2件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

AFP, July 10, 2020、ANHA, July 10, 2020、AP, July 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 10, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 10, 2020、Reuters, July 10, 2020、SANA, July 10, 2020、SOHR, July 10, 2020、UPI, July 10, 2020などをもとに作成。

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