アナン国連・アラブ連盟合同特使がアサド大統領と面会、アラブ連盟定例外相会合では露外相の出席のもと「外国の不干渉」を含む五原則が作成・合意される(2012年3月10日)

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アサド政権の動き

SANA(3月10日付)は、コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA, March 10, 2012

SANA, March 10, 2012

SANA, March 10, 2012

SANA, March 10, 2012

会談で、アサド大統領は、「武装テロ集団が混乱を拡大させ、国家の安定を揺るがそうとしている限り、いかなる政治的対話や政治プロセスも成功しない」と述べる一方、「シリアが目の当たりにしている問題への解決策案出への誠実なあらゆる努力を成功させる」との自信を示した。

また「シリアの内政への外国の干渉」を改めて強く拒否した。

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ロイター通信(3月10日付)は、アラブ外交筋の話として、EU諸国がシリア大使を国外追放処分にする前に、アサド政権が各国大使の引き上げを行おうとしている、と報じた。

アラブ連盟の動き

カイロでアラブ連盟定例外相会合(第137回、議長国クウェート)が開かれ、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が出席した。

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会合で、ラブロフが外務大臣は、「もっとも重要なのは、誰が振るおうとも、あらゆる暴力の停止である…。危機における一方の当事者のみを批判することがあってはならない」と述べた。

また、シリアにおける改革をめざす当事者であれば誰とでもともに行動する準備があるとの意思を示すとともに、内政干渉を拒否する姿勢を固持し、「ロシアはいかなる体制も保護しようとしているのではない」と強調した。

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シリアの反体制武装闘争を煽動するサウジアラビアやカタールはラブロフ外務大臣の姿勢に反発した。

サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、「安保理決議を頓挫させ、国連総会で反対票を投じた国々の態度がシリアの体制に国民に対する蛮行の許可を与えている」と非難し、国連(事務総長)に大して、シリア情勢に、人道面だけでなく、治安面、人道面といったあらゆる側面から対処し得るようにすべきだ」と主張した。

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シリア情勢にかかる閣僚委員会議長国であるカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣も国連におけるロシアと中国の拒否権発動に遺憾の意を示すとともに、アラブ・国連合同軍の派遣、シリア国民評議会の承認を呼びかけた。

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外相会合後、ロシアとアラブ連盟はシリア情勢に関する五原則を作成・合意した。

五原則の内容は、①あらゆる暴力の停止、②中立的な監視メカニズムの創出、③外国の不干渉、④すべてのシリア人への人道支援の配給、⑤政府と反対勢力の政治対話をめざすアナン特使への全面支援。

国内の暴力

軍・治安部隊がイドリブ県などで反体制武装集団への掃討作戦を継続し、シリア人権監視団などによると、62人が殺害された。

内訳は離反兵21人、軍・治安部隊兵士19人、民間人22人。

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al-Hayat, March 11, 2012

al-Hayat, March 11, 2012

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市で民間人16人が殺害された。

またジスル・シュグール市では、軍・治安部隊の要撃で離反兵16人が殺害される一方、同市近郊のビダーマー町では軍・治安部隊兵士4人が離反兵に殺害された。

一方、SANA(3月10日付)によると、トルコ領内から潜入しようとした武装テロ集団を関係当局が拘束した。

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ヒムス県では、反体制活動家によると、タルビーサ市で軍・治安部隊兵士10人が離反兵に殺害された。

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ダマスカス郊外県では、SANA(3月10日付)によると、サフナーヤー市で武装テロ集団がニダール・サクル准将を暗殺した。

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ダルアー県では、SANA(3月10日付)によると、カラク村で、武装テロ集団のアジトに治安維持部隊が突入し、多数を殺害、大量の武器弾薬を押収した。

国内の反体制勢力の動き

シリアン・デイズ(3月11日付)によると、アナン特使は、国内で反体制活動を続けるシリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表、ムナー・ガーニム女史とダマスカスで会談した。

また民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表、アブドゥルアズィーズ・ハイイル広報局長らのほか、国内でデモを組織しているとされる調整諸委員会の指導者らと会談した。

在外の反体制勢力の動き

シリア国民評議会の財務経済局は声明を出し、2011年3月15日(反体制運動が始まった日)以降にアサド政権が国内外で交わした財務契約は無効であると主張した。

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シリア国民評議会はシリア・ビジネスマン評議会発足への支持を表明した。

諸外国の動き

米ホワイトハウスのビクトリア・ヌーランド報道官は、記者団に対して、アサド政権が存続するなかでは、議会制は機能しないとしたうえで、「マフィアのような家族の手に権力が集中している」と批判した。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、シリア情勢に関して、軍事介入が[建設的ではない…。(介入すれば)大規模火災は避けられず、地域、人々、世界に災難をもたらすだろう」と述べた。

コペンハーゲンでのEUの非公式外相会合での発言。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、国連安保理の大使級会合で調整が行われている対シリア決議案に関連して、フランスがアサド政権と「弾圧に抵抗している人々」とを同列に扱う決議を受け入れることはない、と述べた。

AFP, March 10, 2012、Akhbar al-Sharq, March 10, 2012、al-Hayat, March 11, 2012、Kull-na Shuraka’, March 11, 2012、Reuters, March 10, 2012、SANA,
March 10, 2012、Syrian Days, March 11, 2012などをもとに作成。

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