2012年3月26日のシリア情勢

国内の暴力

シリア革命総合委員会は、ヒムス県、イドリブ県などで治安部隊の発砲で60人の市民が殺害され、イドリブ県、ダルアー県、ダイル・ザウル県、ダマスカス県(カーブーン区)で活動家の逮捕・摘発が行われたと主張したが、真偽は定かでない。

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イドリブ県では、『クッルナー・シュラカー』(3月27日付)によると、離反兵がハーンシャイフーン市の軍・治安部隊の検問所を襲撃し、多数の兵士を捕捉した。

また『クッルナー・シュラカー』(3月27日付)によると、バーラ村で、軍・治安部隊兵士が数が離反した。

一方、『シャルク・アウサト』(3月27日付)によると、自由シリア軍のユースフ・ハンムード大佐が、対トルコ国境のブダーマー地方を制圧し、軍・治安部隊兵士17人を捕捉したと発表した。

しかし、SANA(3月26日付)によると、国境警備隊が対トルコ国境のガザーラ村近くで武装テロ集団と交戦、同集団はトルコ領内に逃走した。

地元調整諸委員会などによると、シャートゥーリーヤ市、カフルナブル市、サラーキブ市、アリーハー市などで軍・治安部隊が反体制勢力の掃討作戦を行った。

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ハマー県では、革命評議会広報部のアブー・ガーズィーなる活動家によると、カフルズィーター市、カルナーズ町、カルアト・マディーク町、ハマー市内各所が軍・治安部隊の「砲撃」に曝された。

また地元調整諸委員会によると、県内各地で活動家の逮捕・摘発が行われた。

一方、SANA(3月26日付)によると、武装テロ集団がハマー市とヒムス市を結ぶ灯油パイプラインの爆破を試みたが未遂に終わった。

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ヒムス県では、複数の活動家によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区、バーブ・ドゥライブ地区、サフサーファ地区が軍・治安部隊の「砲撃」に曝された。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、アアザーズ市に対する軍・治安部隊の掃討作戦が続いた。

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ダイル・ザウル県では、地元調整諸委員会によると、クーリーヤ市、ブーカマール市、ジャルズィー村、アブー・ハルドゥーブ村などで軍・治安部隊が反体制勢力の掃討作戦を行った。

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ダマスカス県では、シリア革命総合委員会によると、カーブーン区で治安部隊が活動家らの逮捕・摘発を行った。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カフル・ナースィジュ村、ヒルバト・ガザーラ町で治安部隊が活動家らの逮捕・摘発を行った。

その他の国内の動き

SANA(3月26日付)によると、情報国民評議会は新聞6紙と雑誌13誌の出版を認可した。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(3月26日付)は、ヒムス出身のアラウィー派士官の話として、反体制デモ弾圧に投入されているシャッビーハが大統領府やナーディー・ジャラー(士官クラブ)の士官の支援のもとに結成され、大統領個人とフサーム・スッカル大統領執務室長と直結していると報じた。

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「アフバール・シャルク」(3月26日付)は、シリア政府に近い消息筋の話として、当局が18歳から42歳のシリア人男性に関して、徴兵事務所に許可のない外国への旅行を禁止する決定を下した、と報じた。

しかし、『イクティサーディーヤ』(3月26日付)は、内務省筋の話として、この決定が発効から24時間経たずに廃止された、と報じた。

反体制勢力の動き

イスタンブールでシリア国民評議会主催のもと反体制勢力の大会が開幕した。

民主的変革諸勢力国民調整委員会から離反したアーリフ・ダリーラ氏(民主フォーラム代表)、ファーイズ・サーラ氏、ミシェル・キールー氏は参加した。またハイサム・マーリフ氏も27日晩にトルコに到着するという。

しかしシリア国内で活動する主要な二つの反体制組織の民主的変革諸勢力国民調整委員会とシリア国家建設潮流は大会への参加をボイコットした。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会は、ボイコットの理由に関して声明を出し、大会には「組織面、政治面の行き過ぎ」があると指摘、トルコとカタールが大会開催の呼びかけに参加したことを非難した。

一方、同委員会は「尊厳と権利の誓約」宣言を発表し、平和的革命の成就、国土保全、占領地解放、民主的・多元的市民国家の建設、国民主権、平等、自由、基本的人権の保障をめざすとの意思を示した。

シリア・ムスリム同胞団が25日に発表した「誓約と憲章」や26~27日にイスタンブールで開催去れる在外反体制活動家の大会を牽制する動きと見られる。

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シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は、イスタンブールで開催予定の(在外の)反体制勢力の大会(26~27日)に正式に招待されていない、と述べ、不満を露わにした。

『クッルナー・シュラカー』(3月26日付)に対して語った。

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Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

ドゥルーズ派の有力活動家であるムンタハー・アトラシュ女史は、父のスルターン・アトラシュ(アラブ民族主義活動家)の命日(26日)とシャイフ・アクルのアフマド・サルマーン・ヒジュリー師の国葬(27日)に合わせて、「死を、そして屈辱反対」と銘打った反体制デモをスワイダー市の「革命運動家と若者」に対して呼びかけ、同師の「暗殺」に抗議するよう訴えた。

これに呼応するかたちで、『クッルナー・シュラカー』(3月26日付)によると、スワイダー市で若者が反体制デモを行い、約400人が参加した。

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シリア・クルド国民評議会は声明を出し、同評議会ダルバースィーヤ解放運動家調整機構のジュワーン・ハルフ・カトナ氏がダルバースィーヤ市内の友人宅で治安機関に暗殺されたと非難した。

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『シュピーゲル』(3月26日付)は、フサインを名のる元離反兵の証言をもとに、ヒムス市バーブ・アムルー地区で反体制武装集団が住民の約20%を虐殺し、同地区西部の秘密墓地に遺棄していた、と報じた。

同報道によると、フサイン氏は、反体制運動に参加した家族を持つ女性を殺したという軍兵士(シーア

Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

派)をナイフで斬り殺し、その後、同僚とともに「遺棄大隊」と反体制勢力が制圧していたヒムス市バーバー・アムル地区西部に遺体を遺棄した、と証言した。

フサイン氏によると、「遺棄大隊」は数名のメンバーからなり、シリア革命の名の下に殺戮を行っていた、という。

一方、誘拐した民間人や軍人に対する拷問は「尋問大隊」と称される別の集団が行っていた、という。

ヒムス市での軍・治安部隊との戦闘で負傷したフサイン氏は、レバノンの北部県トリポリ市の病院に搬送され、現在も治療を受けている。

また、フサイン氏や彼の同僚のアブー・ラミーを名のる元離反兵によると、2011年秋に反体制勢力がヒムス市で司法機関を設置し、捕らえたアサド政権支持者に対する尋問、拷問、処刑を行っており、それは今日もなお続けられている、という。

同司法機関は「アブー・ムハンマド」を名のる活動家が長を務め、調整委員会を率いる「アブー・フサイン」なる活動家が次長を務めている、という。、

アブー・ラーミー氏によると、反体制勢力は2011年8月頃から組織的に殺戮を行うようになり、同氏やフサイン氏によると、「死刑執行人」が200~250人を処刑した、という。

http://www.spiegel.de/politik/ausland/0%2c1518%2c823382%2c00.html

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、シリア・ムスリム同胞団が25日に発表した「誓約と憲章」に関して、「穏健、多元性、平等」を体現していると絶賛した。

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3月14日勢力事務局は、シリア・ムスリム同胞団が25日に発表した「誓約と憲

Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

章」に関して、「発表時期と内容において歴史的」と絶賛した。

諸外国の動き

コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使付報道官のアフマド・ファウズィー氏は、シリア政府がアナン特使による6項目の停戦案に正式に回答したと述べた。

同報道官によると、アナン特使はこの回答を精査し、近くこれに応える、という。

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バラク・オバマ米大統領がロシアのドミートリー・メドヴェージェフ大統領とソウルで会談し、アナン特使の調停案と「合法的」政府の樹立を支持することで一致した。

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中国外交部報道官は、アナン特使訪問(27日)に先立って、シリアの危機打開に向けた同特使の努力を支持するとの声明を出し、「シリアの問題の政治的解決に向けて深い議論が行われていることを希望する」との意思を示した。

Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

Kull-na Shuraka’, March 26, 2012

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トルコ外交筋によると、トルコ政府は「治安悪化」を理由にダマスカスの大使館を閉鎖した。

ただしアレッポの領事館は閉鎖しない、という。

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ノルウェー外務省もダマスカスの大使館を閉鎖すると発表した。

AFP, March 26, 2012、Akhbār al-Sharq, March 26, 2012, March 27, 2012、al-Iqtiṣādīya, March 26, 2012、Kull-nā Shurakā’, March 26, 2012, March 27, 2012、Naharnet.com,
March 26, 2012、Reuters, March 26, 2012、SANA, March 26, 2012、al-Sharq al-Awsat, March 26, 2012、Der Spiegel, March 26, 2012、SyriaTruth.com, Marhc 31, 2012などをもとに作成。

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