ロシア軍がM4高速道路でのトルコ軍との合同パトロールへの参加を見送り、イドリブ県各所を爆撃(2020年9月15日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから193日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍がラタキア市とアレッポ市を結ぶM4高速道路沿線のアリーハー市、ジスル・シュグール市一帯に部隊を展開させ、ヘリコプターを投入して、上空から監視活動を行い、ロシア軍との合同パトロール実施の準備を行った。

だが、ロシア軍部隊は参加せず、トルコ軍部隊は単独でパトロールを実施した。

ロシア軍部隊が参加を見送った理由は不明。

その後、ロシア軍戦闘機6機はマアッラトミスリーン市西に展開するシャーム解放機構の拠点複数カ所を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(9月15日付)によると、ロシア軍戦闘機が爆撃したのは、シャイフ・バフル村、ブフーリー村、バータンター村で、これと合わせて地中海東部に展開するロシア海軍の艦艇が対地巡航ミサイルで同地を攻撃したという。

この爆撃で、シャーム解放機構のメンバー複数人が負傷した。

ロシア軍戦闘機はまた、イドリブ市西の灌木地帯に対して20回以上の爆撃を行った。

シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山のルワイハ村、バイニーン村および周辺の灌木地帯、マウラザ、スフーフン村、バーラ村、カフル・ウワイド村、ハルーバ村などを砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムサイフラ町とサフワ村を結ぶ街道に設置されているシリア軍第5軍団の検問所で、首を切り落とされた兵士5人の遺体が発見された。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を1件(イドリブ県0件、ラタキア県0件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, September 15, 2020、ANHA, September 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 15, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 15, 2020、Reuters, September 15, 2020、SANA, September 15, 2020、SOHR, September 15, 2020などをもとに作成。

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