ロシア軍がシャーム解放機構支配下のイドリブ県を20回以上爆撃、シリア軍もトルコ軍監視所近くを砲撃(2020年9月20日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから197日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が昼頃、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ市西のアラブ・サイード村、バータンター村一帯を1時間の間に22回にわたって爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(9月20日付)によると、爆撃を実施した戦闘機は10機、爆撃回数は27回。

この爆撃と前後して、シリア軍が、M4高速道路の要衝であるジスル・シュグール市近郊のイシュタブリク村に設置されているトルコ軍の監視所一帯を砲撃、灌木地帯で火災を発生させた。

シリア軍がまた、カフルナブル市一帯、ザーウィヤ山地方のファッティーラ村一帯で「決戦」作戦司令室と交戦するとともに、同地一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して、「結成」作戦司令室は、シリア政府支配下のサラーキブ市を砲撃した。

この戦闘により、カフルナブル市一帯でシリア軍兵士8人が死亡した。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約15輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がタカード村、バスラトゥーン村で「決戦」作戦司令室と交戦するとともに、カフルタアール村、タディール村を砲撃し、1人が死亡した。

これに対して、シャーム解放機構はバスラトゥーン村一帯を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方のカッバーナ村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原各所を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を確認しなかったと発表した。

トルコ側の監視チームも停戦違反を確認しなかった。

AFP, September 20, 2020、ANHA, September 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 20, 2020、Reuters, September 20, 2020、SANA, September 20, 2020、SOHR, September 20, 2020などをもとに作成。

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