ロシア軍が自爆式ドローンで「決戦」作戦司令室支配下のイドリブ県のオリーブ搾油工場2カ所の攻撃し、3人を殺害(2020年10月31日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから240日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍所属と思われる無人航空機(ドローン)が、「決戦」作戦司令室の支配下にあるタッルトゥーナ村(マアッラト・ヌウマーン市近郊)にあるオリーブ搾油工場を攻撃し、従業員1人が死亡した。

同じくロシア軍所属と思われるドローンが、アリーハー市近郊のナフラヤー村にあるオリーブ搾油工場を攻撃し、中にいた男性2人と女性1人が負傷した。

ドゥラル・シャーミーヤ(11月1日付)や反体制系のシリア・テレビ(10月31日付)によると、ドローンはずれも自爆式で、工場に突入して爆発した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、シリア軍は、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のバイニーン村と周辺の灌木地帯、ルハイワ村、ダイル・サンバル村一帯、カンスフラ村、カフル・ウワイド村を砲撃し、ダイル・サンバル村一帯では国民解放戦線に所属するシャーム自由人イスラーム運動の戦闘員3人が死亡した。

これに対して、「決戦」作戦司令室は、シリア政府の支配下にあるマアッラト・ヌウマーン市、ダーナー村、ジャッラーダ村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原各所を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるムザイリーブ町で男性1人が何者かによって殺害された。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を38件(イドリブ県22件、ラタキア県4件、アレッポ県5件、ハマー県7件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は33件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を12件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, October 31, 2020、ANHA, October 31, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 31, 2020、November 1, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 31, 2020、Reuters, October 31, 2020、SANA, October 31, 2020、SOHR, October 31, 2020、Syria TV, October 31, 2020などをもとに作成。

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