ロシア軍戦闘機がラタキア県の「決戦」作戦司令室支配地を爆撃(2020年11月26日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから266日目を迎えた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が、「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方のカッバーナ村近郊の丘陵地帯に対して爆撃を実施した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して、「決戦」作戦司令室はシリア政府の支配下にあるブルカーン丘を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の治安機関がダーラ・イッザ市で絨毯密輸業者1人を殺害した。

同治安機関はこの業者を摘発しようとして、住居に突入したが、逃亡を試みたために殺害したという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるサラーキブ市近郊のアーフィス村で土塁を建設していたシリア軍の重機を攻撃した。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のスフーフン村、ファッティーラ村、カンスフラ村、バイニーン村、ルワイハ村を砲撃した。

またザーウィヤ山地方のカドゥーラ村一帯でシリア軍と「決戦」作戦司令室が交戦した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を29件(イドリブ県26件、ラタキア県2件、アレッポ県0件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, November 26, 2020、ANHA, November 26, 2020、al-Durar al-Shamiya, November 26, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, November 26, 2020、Reuters, November 26, 2020、SANA, November 26, 2020、SOHR, November 26, 2020、November 28, 2020などをもとに作成。

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