ロシア軍憲兵隊とシリア民主軍がカーミシュリー市の一時停戦を4月25日午前10時まで延長(2021年4月24日)

ハサカ県では、ANHA(4月24日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるカーミシュリー市で、ロシア軍憲兵隊と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、前日に合意した一時停戦を4月25日午前10時まで延長することを合意した。

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シリア人権監視団によると、内務治安部隊は、国営のシリア・テレビの記者でハサカ県放送テレビ・センター局長のハーディル・ハンマード氏をカーミシュリー市のハサカ通り近くにある自宅で拘束した。

これを受けて、その後、ロシア軍憲兵隊と地元名士の仲介によって、内務治安部隊は数時間後に釈放した。

同地では、4月20日から国防隊と内務治安部隊(アサーイシュ)がタイ地区などで激しく交戦していた。

シリア人権監視団によると、4月20日に始まった戦闘での死者は、国防隊メンバー6人、内務治安部隊2人、住民2人(子供、部族長)。

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ANHA(4月24日付)によると、内務治安部隊は前日までの戦闘で殺害した国防隊メンバーの遺体3隊を、一時停戦の保障者であるロシア軍憲兵隊に引き渡した。

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シリア人権監視団が複数の情報筋から得たとして発表したところによると、持続的な停戦に向けて、ロシア軍憲兵隊の仲介のもとに協議が行われているが、内務治安部隊、シリア民主軍は今回の戦闘で制圧したタイ地区とハルクー地区の支配地の維持を要求、政府側がこれを拒否しているという。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月24日付)は、シリア民主軍が、シリア政府に対して、タイ地区の割譲と、内務治安部隊に発砲し、今回の戦闘の原因を作り出した国防隊メンバーの身柄引き渡しを求めているとしたうえで、シリア民主軍が政府の支配下にあるカーミシュリー国際空港など市内の要衝を掌握しようとしていると政府側が疑っていると伝えた。

一方、ANHAは、国防隊の増援部隊が、一時停戦に乗じて、カーミシュリー市の南西に位置する大ダムヒーヤ村、市内のアッバース・アッラーウィー学校およびタイ地区給水塔近くに集結、タイ地区内の支配地回復、市の環状道路南部一帯のほか、アブー・ラースィーン町近郊への勢力拡大を狙っていると伝えた。

AFP, April 24, 2021、ANHA, April 24, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 24, 2021、Reuters, April 24, 2021、SANA, April 24, 2021、SOHR, April 24, 2021などをもとに作成。

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