ダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸のウマル油田に設置されている米軍の基地が砲撃を受け、同基地に駐留する米軍がシリア政府支配下の同川西岸を砲撃(2021年6月28日)

ダイル・ザウル県では、SANA(6月28日付)によると、ダイル・ザウル軍事評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるユーフラテス川東岸のウマル油田に設置されている米軍の基地が何者かの砲撃を受けた。

打ち込まれた砲弾は複数発に及び、攻撃を受けた米軍は、同地一帯を閉鎖した。

死傷者の有無は不明。

シリア人権監視団が複数筋から得た情報によると、砲撃はユーフラテス川西岸に展開する「イランの民兵」によるもので、車複数台が炎上するなど、物的被害が出たという。

また、アイン・フラート(6月28日付)によると、ウマル油田一帯に着弾した砲弾の数は8発以上。

クーリーヤ市近郊の砂漠地帯やマヤーディーン市近郊に設置されているイラク人民動員隊に所属するアブー・ファドル・アッバース旅団の拠点から発射された。

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この砲撃を受けて、有志連合の航空機が、シリア政府の支配下にあるユーフラテス川西岸のマヤーディーン市に面する同川東岸上空に飛来、旋回を続けるなか、ウマル油田の労働者住宅地区に展開する有志連合の部隊が、マヤーディーン市にある「イランの民兵」の拠点に対して砲撃を行った。

また、マヤーディーン市に面するユーフラテス川東岸一帯では、同地で治安活動を行う「自衛部隊」が撤退、代わって人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が部隊を派遣し、展開した。

さらに、シュハイル村に展開するシリア民主軍が、ユーフラテス川西岸のバクラス村にあるシリア軍の拠点複数カ所に向けて砲撃を行った。

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これに関して、有志連合CJTF-OIR(「生来の決戦作戦」統合任務部隊)のウェイン・マロット報道官は、ツイッターの公式アカウント(https://twitter.com/OIRSpox/)で次のように発表した。

初期報告:現地時間午後7時44分頃、シリアに駐留する米軍は複数のロケット弾による攻撃を受けた。負傷者はなく、被害は調査中だ。詳細が分かり次第、最新情報を知らせよう。

AFP, June 28, 2021、ANHA, June 28, 2021、‘Ayn al-Furat, June 28, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 28, 2021、Reuters, June 28, 2021、SANA, June 28, 2021、SOHR, June 28, 2021などをもとに作成。

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