ロシア軍がイドリブ県内のシャーム解放機構の武器弾薬庫などを爆撃する一方、シリア軍はイドリブ市を砲撃し、4人死亡(2021年9月7日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるマアッラトミスリーン市西のハッバート採石場、ブルーマー地区、ミリヤム国内避難民(IDPs)キャンプ、シャーム解放機構の武器弾薬庫を6回以上にわたって爆撃し、キャンプで複数人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

サラーキブ市に駐留するシリア軍も、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ市のドゥバイト地区、同市東部郊外にある水泳用プール、ファミリー・パークを砲撃し、ドゥバイト地区で女性1人が、水泳用プールとファミリー・パークで3人が死亡したほか、各地で合わせて10人以上が負傷した。

シリア軍はまた、イドリブ市のワーディー・ナスィーム地区をトルコ軍の車列が通過するのに合わせて、同地を砲撃したほか、クファイル村、ハッルーズ村に対しても砲撃を行った。

対する「決戦」作戦司令室もサラーキブ市を砲撃した。

一方、シリア政府と「決戦」作戦司令室の支配地域の境界に位置するブライジュ村近くでは「決戦」作戦司令室の戦闘員2人が地雷に触れて、爆死した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町、カルクール村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を23件(イドリブ県11件、ラタキア県3件、アレッポ県4件、ハマー県5件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は20件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を16件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, September 7, 2021、ANHA, September 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 7, 2021、Reuters, September 7, 2021、SANA, September 7, 2021、SOHR, September 7, 2021などをもとに作成。

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