首都ダマスカスで軍の寝台バスに仕掛けられた爆弾が爆発し、14人死亡、カシオン連隊が声明で犯行を認める(2021年10月20日)

ダマスカス県では、SANA(10月20日付)によると、大統領橋(ジスル・ライース)下で、軍の寝台バスに仕掛けられていた爆弾2発が走行中に相次いで爆発し、14人が死亡、2人が負傷した。

SANA(10月20日付)が軍情報筋の話として伝えたところによると、午前6時45分頃、軍が使用する寝台バスが大統領橋の下を通過しようとした際、バスに仕掛けられていた2発の爆弾が爆発し、死傷者が出た。

爆発発生後、工兵がバスに取り付けられていた三つ目の爆発物が落下しているのを発見した。

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この爆発事件に関して、ムハンマド・ラフムーン内務大臣はシリア・テレビ(10月20日付)に以下のように述べ、厳しく非難した。

https://www.facebook.com/watch/?v=408401797408671

シリアの国土の大部分からテロが根絶されたなかで(事件は)発生した。こうした卑劣な方法に訴えた者、そしてこれを計画した者は多くの市民に危害を加えようとしていた。

罪を犯した者の手は追及を免れず、どこにいようと切り落とされることになる…。テロへの追及を断念することはない。こうした凶悪犯罪を起こしたテロリストどもがどこにいようと、我々は追い詰める。

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外務在外居住者省高官筋は声明を出し、大統領橋での爆発事件に関して、テロ組織とその後援者らがとりわけイドリブ県で自らの士気を高めようとしているなかで発生した「卑劣なテロ行為」と厳しく非難したうえで、国際社会と国連事務総長に対して、このテロ事件を非難し、テロ支援国に対する抑止策を講じるよう呼びかけた。

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ロシア外務省は声明を出し、「テロ行為を断固として非難する」としたうえで、犠牲者に哀悼の意を評した。

イラン外務省もサイード・ハティーブ・ザーデ報道官が報道声明で「卑劣なテロ行為」と非難、「テロとの戦い」と国土解放へのシリアの意志を挫くことはできないと強調した。

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その後、カシオン連隊を名乗る武装集団がテレグラム(https://t.me/srayaqasioun)を通じて声明を出し、犯行を認めた。

声明の内容は以下の通り。

全能なるアッラーの祝福を受け、ダマスカス県と同郊外県で活動するカシオン連隊は、首都ダマスカス中心部のジスル・ライース地区で、国防省軍事住宅に所属する寝台バスの下に爆弾を仕掛けてこれを狙うことに成功した。
軍のバスを狙ったこの爆発でアサドの民兵14人を殺害、その他を負傷させた。
我々は、体制とその民兵が北部解放区の住民に対して犯した血塗られた虐殺への報復として、体制支配地内で自らの特殊作戦を続ける。
「アッラーは御自分の思うところに十分な力を御持ちになられる。だが人びとの多くは知らない」。

イナブ・バラディー(10月20日付)によると、カシオン連隊は、2019年4月のダマスカス郊外県クドスィーヤー市で車に爆弾を仕掛けて爆発させ、ドライバー1人に重傷を負わせた事件について、政治治安局のアブー・マジドを狙ったとする犯行声明を発した組織。

AFP, October 20, 2021、ANHA, October 20, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 20, 2021、‘Inab Baladi, October 20, 2021、Reuters, October 20, 2021、SANA, October 20, 2021、SOHR, October 20, 2021、Syria TV , October 20, 2021などをもとに作成。

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