グワイラーン刑務所でのダーイシュとシリア民主軍・アサーイシュの戦闘続く:「カリフ国の幼獣」ら数百人が投降・解放(2022年1月24日)

ハサカ県では、ANHA(1月24日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局が共同統治するハサカ市内のグワイラーン地区(北・東シリア自治局支配下)にあるグワイラーン刑務所(工業高校)でのダーイシュ(イスラーム国)メンバーの襲撃・脱獄事件に伴う戦闘と混乱は24日も続き、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と内務治安部隊(アサーイシュ)がダーイシュのスリーパーセルや脱獄犯と刑務所の外塀付近で激しく交戦する一方、刑務所を包囲し、拡声器を通じて投降を呼び掛けた。

また、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合は23日深夜から24日未明にかけてダーイシュのメンバーや脱獄者が立て籠もっているグワイラーン地区ないの複数カ所を爆撃した。


一方、シリア民主軍は声明を出し、ダーイシュのメンバー約300人が投降したと発表した。

シリア人権監視団によると、「カリフ国の幼獣」として知られる子供たちが、大型旅客バス複数台に分乗して刑務所外へと移送された。

移送の理由は不明だが、刑務所に立て籠もるダーイシュの負傷したメンバーの治療を条件に、人質となっている子供が釈放されたと見られる。

子供たちを含めて、シリア民主軍に投降し、刑務所内から移送された収監者らの数は400人に上っているという。

なお、ANHA(1月24日付)によると、グワイラーン刑務所には5,000人のダーイシュ・メンバーが投獄されている。

また、アサーイシュは声明を出し、ダーイシュのスリーパーセルのメンバー3人を拘束、持っていた武器弾薬を押収したと発表した。

北・東シリア自治局の内務委員会による前日の決定に従い、北・東シリア自治局の支配下にあるハサカ市各所では、外出禁止令が発動された。

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シリア人権監視団によると、1月20日以降の戦闘による死者は154人。

うちダーイシュ・メンバーは102人、シリア民主軍、アサーイシュ、刑務所守衛が45人、住民が7人。

AFP, January 24, 2022、ANHA, January 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 24, 2022、Reuters, January 24, 2022、SANA, January 24, 2022、SOHR, January 24, 2022などをもとに作成。

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