「スハイル・アブー・タウ」の名で呼ばれる反体制派戦闘員がウクライナでロシア軍と戦う意思を表明(2022年2月25日)

シリアの反体制武装集団の戦闘員の1人で、米国製のTOW対戦車ミサイルによる攻撃の名手であることからスハイル・アブー・トウ(TOW)の名で呼ばれるスハイル・ムハンマド・ハンムード氏はツイッターの自身のアカウント(https://twitter.com/suheilhammoud/)を通じて、ウクライナでロシア軍との戦闘に参加する意思を示した。

ハンムード氏のツイッターでの書き込み内容は以下の通り。

いかにしてウクライナに行き、ウクライナ軍とともに戦うことができるか。方法はあるのか。私には用意ができている。

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ハンムード氏は、もともとはシリア軍に従軍していたが、シリアに「アラブの春」が波及した2011年に離反し、2012年6月から2013年4月頃までイドリブ県ザーウィヤ山地方でシリア軍との戦闘に参加した。

ハンムード氏は、第21部隊連合、第1沿岸師団、第13師団、ハズム運動など、自由シリア軍諸派として知られる武装集団に所属、シリア軍との戦闘に従事、その後、シリア・ムスリム同胞団の系譜を汲み、トルコが全面支援するシャーム軍団に参加した。

ハンムード氏はまた、大のシャームの民のヌスラ戦線(現在のシャーム解放機構)嫌いで知られ、2014年から2015年にはヌスラ戦線とも戦ったこともあった。だが、2017年4月にシャーム解放機構に拘束され、「宗教を揶揄した」として1カ月の禁固刑に処された。

釈放後は長らく公の場から姿を消していたが、2020年2月10日に戦線に復帰し、「決戦」作戦司令室に参加し、トルコ軍とともに、シリア軍、ロシア軍と戦った。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

AFP, February 27, 2022、ANHA, February 27, 2022、al-Durar al-Shamiya, February 27, 2022、Reuters, February 27, 2022、SANA, February 27, 2022、SOHR, February 27, 2022などをもとに作成。

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