新党「シリア国家建設潮流」がダマスカスで発足、「シリア国民支持支援週間」に参加していた反体制活動家がアラブ連盟に対し要求書を提出(2011年9月14日)

反体制運動をめぐる動き

ルワイユ・フサイン氏、ムナー・ガーニム女史など無所属の反体制活動家は、新党「シリア国家建設潮流」がダマスカスで発足したと発表。政党法制定や国民対話開始といった状況下で、政治生活への「実質的関与」をめざした。

Kull-na Shurakā’, September 14, 2011
Kull-na Shuraka’, September 14, 2011

党員は「必ずしも単一の理論的・イデオロギー的バックグラウンドを共有していないが、潮流発足時に発表される基本文書に同意し、政治生活へと実質的に関与する必要があると考える点で一致している。また現下の政治的対立、めざされるべき国家像、そしてその実現方法においても合意に達している」という。

結成声明には、潮流が「民主的市民国家の建設をめざし、それによってすべての社会勢力の参与を通じた社会的公正を実現、シリアの将来において勝者と敗者が分断されることを回避し、政治的、文化的な意見の相違のいかんにかかわらずシリア国民すべてが勝者となる」ことをめざすと記された。

また「政治生活に実質的・公的に関与」し、「公的生活における若者の実質的な関与など、シリア国民の強化のプログラムに沿って(活動し)…、すべてのシリア人が例外なく参加できる民主的市民国家建設への移行(をめざす)」とした。

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カイロでの「シリア国民支持支援週間」に参加していた反体制活動家がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、8項目からなる要求書を提出した。

要求書は①シリアのアラブ連盟メンバーシップの凍結、②抗議運動弾圧停止を目的とした飛行禁止空域、航行禁止海域の設定、③現政権の正統性剥奪、④殺戮・弾圧行為停止に必要なしくみ、方法の創出、⑤軍・治安部隊の展開地域からの完全撤退、⑥平和的デモ権の保障、⑦国際的な救援機関の入国を可能とするしくみの創出、⑧国際的・アラブ調査委員会の調査のための入国、アラブ・国際的メディアの入国と事実の報道、といった要求からなった。

アラビー事務総長と会談したのは、ムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員、クルド・国民運動を指導するムルシド・ハズナウィー氏、シリア部族連合のイスマーイール・ハーリディー副議長、SWASIAHのバッサーム・イスハーク委員長、民主主義のための3月15日連合を指導するムンズィル・マーフース氏、クルド人作家のカッハール・マームクー氏、人権活動家のファーリス・シャウフィー、エジプト人活動家のアミーラ・リファーイー女史。

また反体制活動家の一人、ファフド・ミスリー氏が『ハヤート』(9月15日付)に対して、フサイン・ハルムーシュ大佐の行方調査をトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相に求めるよう要請したと述べた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イブリーン村、バルユーン村、マルイヤーン村、イフスィム村、ラーミー村などザーウィヤ山一帯の村々で軍・治安部隊が大規模な逮捕・追跡作戦を継続。反体制活動家の掃討と離反兵の制圧が目的。

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ダマスカス郊外県のザバダーニー市では軍・治安部隊の逮捕・捜索作戦で15人が逮捕。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バサーティーン地区での軍・治安部隊による9月10日の逮捕・追跡作戦によって負傷した後に逮捕されていた青年の遺体が家族に引き渡された。

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『クッルナー・シュラカー』(9月14日付)は、9月10日に身柄拘束された心理アナリストのラファー・ナーシド女史に対して逮捕状が発行され、ドゥーマー女性刑務所に収監されたと報じた。

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AKI(9月14日付)は、過去数週間にわたって行われてきたアッシリア教徒の諸政党の合同会合が統一行動を行うための政治的枠組みの構築に失敗し、「アッシリア教徒の希望を奪った」と報じた。

合同会合には、シリア・アッシリア民主連合、アッシリア民主党、シリア・アッシリア民主機構、アッシリア民族評議会が参加していた。

レバノンをめぐる動き

『シャルク・アウサト』(9月14日付)は、現地消息筋の話として、シリア軍がレバノン北部県などの国境地帯に展開し、シリア人避難民が流出する違法な通過路を閉鎖したと報じた。

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『リワー』(9月14日付)は複数の消息筋の話として、アサド政権が「シリア情勢に対する最近の姿勢を鑑み、進歩社会主義等のワリード・ジュンブラート党首との関係を凍結する決定を下した」と報じた。

諸外国の動き

9月13日にレバノンのベイルートに到着し、レバノン首脳との会談を行ったロシア大統領特使のミハイル・マルゲロフ連邦議会外交委員会委員長は、15日のシリア訪問に先立って、モスクワ、キプロス、ないしはそれ以外の合意された場所でのアサド政権と反体制勢力が参加する大会の開催をロシアがアサド政権に対して提案したことを明らかにした。

これは先週ロシアを訪問した反体制勢力との行為に基づく提案であったが、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問はこの提案を拒否した、という。

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ロシア外務省高官は、アサド政権が抗議行動によって崩壊すれば、シリアにおける「テロ組織」のプレゼンスが強まるだろう、インテルファクス通信に対して述べた。

AFP, September 14, 2011、Akhbar al-Sharq, September 14, 2011、AKI, September 14, 2011、al-Hayat, September 15, 2011、Kull-na Shuraka’, September 14, 2011、al-Liwa’, September 14, 2011、Naharnet, September 14, 2011、Reuters, September 14, 2011、al-Safir, September 14, 2011、SANA, September 15, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 14, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

「シリア革命2011」がアサド政権に対するロシアの姿勢に反対するデモを呼びかける、アラブ諸国第136回定例外相会議が閉幕し発砲停止の必要性が改めて強調される(2011年9月13日)

反体制運動をめぐる動き

複数の活動家によると、シリア治安部隊がデモ抑止の新たな戦術として行っている各地での活動家逮捕・捜索活動により、昨日少なくとも8人が殺害、数十人が逮捕された。また逮捕者は殴打されるなどの蛮行を受け、その自宅も損害を被っているという。

Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

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ハマー県では、カフルヌブーダ町で行われた犠牲者の葬儀に軍・治安部隊が発砲し、5人が殺害された。葬儀中、約200人の会葬者がバッシャール・アサド政権の打倒を叫んでいた。

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ダイル・ザウル県では、軍・治安部隊による活動家の逮捕・追跡作戦で1人が殺害された。

一方、SANA(9月14日付)は、ダイル・ザウル県のクーリーヤ市、ブーカマール市で治安当局は、ライフル、ショットガンおよび弾薬など大量の武器を押収したと報じた。

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ヒムス県では、オガレット・ニュースによると、ラスタンで2人が殺害された。

これに対して、SANA(9月14日付)は、ヒムス県サアン・アスワド村武装テロ集団が夜間に移動中の軍の車輌を要撃し、士官1人、民間人1人が死亡、兵士5人が負傷したと報じた。またラスタン県でも軍の車輌が要撃に遭い、兵士4人が負傷した。

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フェイスブックの「シリア革命2011」は「ロシアに対する怒りの火曜日」と銘打って、バッシャール・アサド政権に対するロシアの支持に反対するデモを呼びかけていた。

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これに呼応するかたちで、複数の活動家らによると、12日晩からダルアー県、ヒムス県、イドリブ県、ハマー県、ダマスカス郊外県の一部のみデモが行われ、参加者はロシア国旗を焼き、アサド政権を支持する同国の姿勢を批判した。

しかしこれに対して軍・治安部隊がただちに強制排除に乗り出し、シリア人権監視団と地元調整委員会がデモ参加の動員を行った。

ダマスカス郊外県のザバダーニー市では、13日早朝から軍・治安部隊が展開し、少なくとも34人が逮捕された。逮捕者は多かったが、「ロシアに対する怒りの火曜日」はラマダーン月後の反体制勢力の動員力の低さ、そして平日の一般国民のデモへの参加率の低さを示す結果に終わった。

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9月9日からカイロで開催されていた「シリア国民支持支援週間」が閉幕した。

閉幕声明を発表するとともに、「シリア人のための国民倫理綱領」を作成・発表し、シリア国民による自由、尊厳、体制打倒という合法的要求への完全なる支持、公正、知識、道徳的価値、人道の普及、民主的市民国家の建設、宗派主義の根絶、平和的示威行動に対する暴力行使への反対という立場を確認。

また「アラウィー派宗徒に向けた声明」を出し、アサド政権がアラウィー派の宗派体制ではなく、特定の支配家族に奉仕する体制だと述べ、宗派主義的言動を拒否するとの姿勢を明示した。

「アラウィー派宗徒に向けた声明」にはシリア・ムスリム同胞団、シリア国民支援イスラーム教ウラマー大会、シリア・ウラマー連盟、マアシューク・ハズナウィー宗教対話・寛容・刷新機構などが署名した。

一方、カイロのアラブ連盟本部前では、シリア人約千人が、外相会議に合わせてアサド政権に対する連盟の態度を非難するデモを行った。デモでは、「エルドアンよ、エルドアン、ハルムーシュはどこだ」といったシュプレヒコールも行われ、外相会議に出席したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相も非難の対象となった。

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『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、キリスト教徒の若者たちが、司祭たちの多くがアサド政権への支持を表明しているなかで、「キリスト教のもっとも基本的な人道的・精神的諸原則と矛盾している」とみなし、「キリスト教徒を祖国において正しい立場に回帰させる」ための会合・フォーラムの開催を検討している、と報じた。

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パリに渡航しようとしていた心理アナリストのラファー・ナーシド女史がダマスカス国際空港で9月10日(土曜日)に逮捕されたと、夫でダマスカス大学のファイサル・ムハンマド・アブドゥッラー教授が明らかにした。これを受け、フランス外務省報道官は、ナーシド女史の即時釈放を要求した。

Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

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シリア変革大会(アンタルヤで発足)は13日に声明を出し、GCC閣僚評議会に対して、「シリアでの殺戮装置の即時停止」を求めるよう呼びかけた。

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DPI(9月14日付)は、シリアの複数の活動家の話として、治安当局が9月13日晩、ダマスカス郊外県ダーライヤー市でのギヤース・マタル氏の葬儀を襲撃したと報じた。襲撃に先立ち、アメリカ、フランス、デンマーク、日本の大使が弔問に訪れていた。

一活動家の葬儀への大使参列という「挑発行為」に対して当局が力を誇示し、西側諸国の干渉や扇動に断固たる姿勢を示したかたち。資料映像はhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=jUJNfjcLzlEを参照。

アサド政権の動き

県・大学レベルの国民対話会合での審議が各県で引き続き行われた。

ダマスカス県の会合では、汚職撲滅(汚職に対抗し得る司法のしくみの創出)、行政改革、外国の陰謀への抵抗、国民統合強化、経済改革、市民社会を構成する組織・団体の活性化、市民意識の強化、社会保障の拡充、メディアの活性化、治安回復、脱税への対処、分権化、脱官僚化、地方への投資の奨励、武装テロ集団に対峙するシリア軍に対する支援の評価、産業育成・支援などが審議された。

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『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、国営のシリア石油販売会社(スィトロール)は、米国、EUなど西欧諸国による石油禁輸制裁に対抗するかたちで、10月半ばに原油の出荷量を160,000トン増加させることを決定。シリアの最大の石油輸出先であるEUは禁輸制裁を発動しているが、シリアは契約により11月15日までEUに原油を輸出できる、という。

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Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

アーディル・サファル内閣高官は、「9月6日の閣議で決定第1/12562を出し、各省職員が大臣の許可なく、省の執務に関する報道発表を行うことを禁じ、施行前の新情報法によって保障されるはずの表現の自由を奪った」(『シリアン・デイズ』9月12日付)との報道を否定。

諸外国の動き

アラブ諸国第136回定例外相会議がカイロで開催され、「流血停止と、シリア国民に対するさらなる暴行・殺戮回避のため、早急に変革を行うこと」を求める声明を発表し、閉幕した。

閉幕声明では、「シリアの危機に関する様々なレベルでの折衝が行われ、またアラブ連盟が、国民の要求実現、シリアの治安、安全、領土保全、外国の干渉禁止などへの対処に寄与するための方法が審議された」したうえで、「発砲および暴力行為が停止した後に高官レベルの使節団を派遣し付託されたに無を実行する」と発表された。

外相会議ではシリアが8項目からなるイニシアチブ案を提示し、これを各国外相は声明において支持を表明した。このイニシアチブは、「アラブ諸国における民主主義と改革の強化、非常事態解除に向けた行動、包括的国民対話への呼びかけ、議会設置、政党発足などを含むすべての自由を保障する憲法の制定」などからなっている。

ナビール・アラビー事務総長はカタールのシャイフ・ハマド・ブン・ジャースィム首相兼外相との共同記者会見で、アサド大統領が使節団派遣を受け入れたが、連盟が発砲停止後に派遣することを決定したと述べた。また議長を務めたジャースィム首相兼外相は「シリアの暴力装置を停止させねばならない」と述べ、使節団派遣に向けて、シリア政府に改めて「シリアでの殺戮の停止と都市からの軍撤退」を求めた。

しかしSANA(9月15日付)によると、シリアのユースフ・アフマド・アラブ連盟代表は、声明「全体およびその詳細を拒否」すると述べた。外相会議で、アフマド代表は「危機解決に寄与しない消極的な姿勢をとり、陰謀を推し進め、シリアへの忌まわしい圧力を加える一部の国際社会の諸勢力に荷担するアラブの当事者がいる…。(声明の)全文、そしてその詳細を拒否し、それを敵対行為とみなし、シリアの危機への対処をめぐって非建設的で、アラブ連盟事務局長のミッションを失敗させようとする動きとみなす」と述べた。

一方、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリア政府が改革を実施していないとし、シリア国民がもはやバッシャール・アサド大統領を信頼してないとの考えを示した。またこれに先だって、「諸国民の合法的要求は力による弾圧されてはならない」と明言した。

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SANA(9月13日付)によると、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務次官はブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問との会談で、ロシア政府がアサド政権の「改革路線と、民主的選挙実施の意思に安堵している」、「シリア国民がこの危機を平和的に克服し、反映と発展を取り戻すと確信している」、「ロシアはシリアでリビアのシナリオが繰り返されないとの意思を持っている」と述べたと報じた。

これに対して、シャアバーン大統領府情報顧問は「シリアで起きていることは、地域で起きていることと切り離すことはできない」、「シリアの危機には…シリアに対する情報戦争といった側面もあり、それによってシリアの弱体化、信頼喪失、暴力行為のエスカレート、エスニック・宗派的亀裂の助長などが計られている」と応え、ロシアの姿勢を高く評価した。

シャアバーン大統領府情報顧問は9月10日から13日にかけてロシアを訪問・滞在していた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣が中国を訪問し、中国に国連での対シリア制裁決議への支持を求めたが、中国への説得工作に進展があったかとの問いに、「実際にはない…。我々の関係は良好だが、このことは我々がすべてのことで合意していることを意味しない」と答えた。

SANA, September 13, 2011
SANA, September 13, 2011

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一方、FIDH、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、エジプトのNPO20団体、シリアの人権組織2団体、スーダン、イエメン、モロッコ、モーリタニア、ヨルダン、レバノン、パレスチナ、チュニジアなどアラブ諸国内外の市民団体176団体がアラブ連盟にシリアのメンバーシップ凍結を求めた。

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レバノンをめぐる動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、自身がアサド大統領ないしは、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長との会談を願い出たとの一部報道を否定した。

しかし複数の消息筋によると、シリアの反体制運動に理解を示す最近のジュンブラートの発言は、アサド政権の怒りを買っており、進歩社会主義党の幹部であるガーズィー・アリーディー公共労働大臣が事態を収拾すべく、ジュンブラートのシリア訪問を3度にわたって調整したが、いずれも失敗に終わった、という。

AFP, September 13, 2011, September 14, 2011、DPI, September 14, 2011、al-Hayat, September 14, 2011, September 15, 2011、Kull-na Shuraka’, September 13,
2011, September 14, 2011、al-Liwa’, September 12, 2011、Naharnet, September 12, 2011, September 13, 2011, September 14, 2011、Reuters, September 13, 2011, September 14, 2011、SANA, September 13, 2011, September 14, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 13, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

カイロで「国民統合会合」に参加した勢力は「アラブ・イニシアチブ」を拒否、シャアバーン氏はロシア外務省での記者会見のなかで同国の姿勢を評価(2011年9月12日)

反体制運動をめぐる動き

反体制活動家のバスマ・カドマーニー女史はトルコのイスタンブールで開いた記者会見で、反体制勢力が9月15日にイスタンブールで会合を開き、国民評議会のメンバーを発表すると述べた。

カイロのアラブ連盟本部前でシリアの反体制活動家がデモを行い、シリア自由活動家連合などが組織した。彼らは、エジプトの活動家とともに、13日にも大規模なデモを予定しているという。

同連合執行部メンバーのワルド・ハッダード氏は『ハヤート』(9月13日付)に対して、「アラブ・イニシアチブは(シリア国民)のことを考えていない。国民に届いていない。それはシリア政府に示されたものに過ぎない。街の声、反体制勢力の声を考慮していない」と語った。

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カイロで「国民統合会合」(11~12日)を開催していたシリア反体制勢力は、任期(2014年)終了までのアサド大統領の残留を認めたアラブ連盟の「アラブ・イニシアチブ」を拒否した。

会合には内外の反体制活動家約100人が参加、閉幕声明で、シリア革命への全面支持を表明するとともに、アル=アサド政権の存続を「一時たりとも」認めないと述べた。

また反体制勢力の使節団が駐カイロ・ロシア常駐代表と会談した。 使節団はハイサム・マーリフ弁護士、ムンズィル・ナークース氏、アブドゥルアハド・イスティーフワー氏(アッシリア民主機構代表)、バッサーム・イスハーク氏(SWASIAH代表)、アブドゥッラフーフ・ダルウィーシュ(民主主義のための3月15日連合代表)、アフマド・マンジューニー氏からなっていた。

カイロでの大会に参加したムハンマド・マアムーン・ヒムスィー前人民議会議員によると、皆伝で使節団が「ロシアのアル=アサド政権への姿勢に対する驚きの意を伝えた」という。

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ハマー県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、ムーリク市、カフルヌブーダ町、カフルズィーター市、ジャビーン村、カルナーズ町、カルアト・マディーク町などで、軍・治安部隊が強制捜査を行い、活動家17人を殺害した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、ドゥーマー市で、軍・治安部隊による活動家に対する追跡捜査が行われる一方、治安部隊が犠牲者葬儀の参列者に発砲し、イッザト・ラバービーディー氏が殺害された。 ドゥーマー市での葬儀には数千人が参列したという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市で軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を続け、男性2人(父子)が死亡した。 複数の活動家、住民によると、ラスタン市には軍・治安部隊数千人、装甲車数百台が集結しているという。

また、アラビーヤ・チャンネル(9月12日付)によると、ヒムス市のアラウィー派シャイフ3人が声明を出し、自分たちはアサド政権による「蛮行」とは無関係だと発表した。 声明を出したのは、ムヒーブ・ニーサーフィー氏、ヤースィーン・フサイン氏、ムーサー・マンスル氏の3人。

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ダルアー県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を行った。

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イドリブ県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を行った。

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ハマー県では、SANA(5月13日付)によると、サラミーヤ市で武装テロ集団が軍用バスを要撃、兵士2人が殉職した。

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フェイスブックのページ「シリア革命2011」は、「ロシアに対する怒りの火曜日」と銘打って、アサド政権に対するロシアの支持に反対するデモを呼びかけた。

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ザマーン・ワスル(9月12日付)は、ゴラン高原のシャイフたちが、アサド政権による反体制抗議行動弾圧に抗議する声明を出したと報じた。

アサド政権の動き

『ハヤート』(9月13日付)などによると、ダマスカス県で、アサド政権が主導する県・大学レベルでの国民対話会合が開催された。

参加者は、「政治的であれ、軍事的であれ、また国際的監視といった名目であれ、いかなる外国の干渉も拒否し」、「外国の陰謀に対抗」するとの立場を明示した。会合には、バアス党、進歩、国民戦線加盟政党、無所属、ビジネスマン、法曹界の代表約250人が参加した。

なお、ダマスカス郊外県、ダマスカス大学、ラタキア県での会合は11日から開催されている。 これらの会合では、経済・社会問題、福祉問題、そして政治問題の順での審議を予定しているが、ダマスカス県の会合は、準備委員会の提案に基づいて、初日から政治問題についての審議が行われた。

会合には、ナビール・サーリフ氏(作家)、アフマド・アマッラー(芸術家)、バッサーム・クーサー(芸術家)らが報告書を提出し、改革実施、外国の干渉拒否といった姿勢を明示しているという。

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一方、クッルナー・シュラカー(9月12日付)によると、イドリブ県で開会された県・大学レベルの国民対話会合で、反体制勢力の代表者たちが、アサド政権と抗議運動の間の対話が行われていないと非難する声明を読み上げ、会合を拒否、退場した。

同声明には400人以上(そのほとんどが有識者)が署名しており、「政府は自分たちだけで対話している、なぜなら政権は、社会を代表しているかどうかを考慮せずに出席者を選んだからである。つまり対話は一方の当事者どうしが行っているに過ぎない」と記されていた。

そのうえで、この声明では、以下の条件が満たされた場合、対話に応じると締めくくっていた。

1. 治安機関による国民生活および国家機関への違法な介入の停止。 2. デモにかかわるすべての逮捕者の釈放。犯罪に関与したすべての関係者の裁判。 3. 逮捕、操作・追跡活動の停止。 4. 平和的デモへの対峙の停止。 5. 地元および外国メディアによる政治活動の報道認可。

国内の反体制活動家が条件付きであれ対話に応じる姿勢を示したのはこれが事実上初めて。

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『ワタン』(9月12日付)は、イドリブ県の住民筋の話として、シリア軍を離反したフサイン・ハルムーシュ大佐が先週末、出身地であるイブリーン村(イドリブ県)で当局に逮捕されたと伝えた。

ハルムーシュ大佐は離反後、自由将校旅運動を結成し、シリアとトルコを往復して活動を行っていた。 逮捕当時、ハルムーシュ大佐は武器を携帯し、複数の指名手配者とともに行動していたという。

ハルムーシュ大佐の「失踪」に関して、兄弟のイブラーヒーム・ハルムーシュ氏は、アラビーヤ・チャンネルの電話取材(9月12日)に応え、「トルコ領内のシリア人避難民キャンプでトルコの士官と会談したのちに失踪し、彼らがまず連れ去った…。別の日にこの士官に彼(フサイン・ハルムーシュ大佐)のことを聞くと、知らないと応えた」ことを明らかにし、シリア領内にいる(逮捕された)との報道に疑義を呈した。

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モスクワ訪問中のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官は、ロシア外務省での記者会見で、西側諸国が「地域におけるテロと過激化を助長している」と非難、「西側が暴力を助長するような行動を呼びかけるのではなく、ロシアの姿勢を見倣うよう望む」と述べた。

また、ロシアの対応については「外国の干渉を排除した改革実施の機会を与える」と評価した。 しかしロシアがイニシアチブを発揮しようとしているとされる仲介に関して、「誰との仲介? そのようなものはありません」と存在を否定した。 アフバール・シャルク(9月12日付)などが伝えた。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

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クッルナー・シュラカー(9月12日付)によると、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町郊外のフサイニーヤ町で治安当局が集団墓地を発見した問題で、当局は墓守を逮捕した。

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レバノンのファーイズ・グスン国防大臣がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。 SANA(9月12日付)によると、国境管理に関する両国軍の協力態勢について議論され、武器密輸抑止や両国の政治的安定強化などが確認されたという。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

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『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、国営のシリア石油販売会社(スィトロール)が、米国、EUなど西欧諸国による石油禁輸制裁に対抗するかたちで、10月半ばに原油の出荷量を16万トン増加させることを決定したと伝えた。

シリアの最大の石油輸出先であるEUは禁輸制裁を発動しているが、シリアは契約により11月15日までEUに原油を輸出できる、という。

諸外国の動き

ロシアのデミートリー・メドヴェージェフ大統領は、デヴィッド・キャメロン英首相とのモスクワでの会談後、「EUと米国が一方的に制裁発動を行った今となっては、シリア政府に対する追加制裁が正当化され得るとは考えていない」とのロシアの立場を明らかにした。

しかしその一方で、メドヴェージェフ大統領は、「暴力に対する強い非難声明の採択には反対しない」と述べ、「危機の両当事者に対してバランスのとれた」対応を呼びかけた。

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アフバール・シャルク(9月12日付)によると、米国、EU、英、独、オランダの各国大使が、25日に暴行を受けた風刺漫画家のアリー・ファルザート氏が入院する病院を見舞い、同氏への支援を表明した。

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米国務省報道官は、ギヤース・マタル氏の殺害(逮捕後拷問により殺害されたとされる)を非難した。 ジャズィーラ・チャンネル(9月12日付)によると、シリア革命支援ヨルダン人民委員会は、ヨルダン政府に対してバフジャト・スライマーン駐アンマン・シリア大使の追放を要求するための座り込みをアンマン市内で10日から開始した。

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ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官はジュネーブでの国連人権理事会(第18期)で、シリア情勢に関して、2011年3月以降の抗議デモ発生により2,600人が死亡していると述べた。

シリア情勢への対応が協議された国連人権理事会では、反体制抗議デモが行われるようになって以降のシリア国内での人権侵害を調査するための委員会を設置することが決定された。

委員長にはパウロ・セルジオ・ピネイロ氏(ブラジル)就任する見込み。 また国連人権理事会のローラ・デュプイ・ラセール議長は「委員会へのシリアの政府の完全なる協力が重要」との声明を出した。

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スイス経済省は、シリア政府に関連する口座に預金されている4,500万スイス・フラン(5,000万米ドル相当)を凍結した、と発表した。

AFP, September 12, 2011、Akhbar al-Sharq, September 12, 2011、September 12, 2011、Alarabia.net, September 12, 2011、Aljazeera.net, September 12, 2011、al-Hayat, September 13, 2011、Kull-na Shuraka’, September 12, 2011、Reuters, September 12, 2011、SANA, September 12, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 12, 2011、al-Watan, September 12, 2011などをもとに作成。

アサド大統領がアラブ連盟事務総長とダマスカスで会談するなか、自由将校旅団司令官が逮捕されたと報じられる(2011年9月10日)

国内の反体制運動の動き

シリアの日刊紙『ワタン』(9月10日付)は、自由将校旅団(自由将校運動)司令官で死亡・失踪に関する情報が錯綜しているフサイン・ハルムーシュ大佐が逮捕されたと報じた。数日前には70代になる同大佐の兄が殺害されていた。

同紙によると、治安部隊は、同大佐の出身地であるイドリブ県イブリーン村で「特殊作戦」を行い、「彼を生きたまま逮捕し、中火器、軽火器、通信機器、コンピュータなどを押収した」。

しかしシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長は、『ハヤート』に対して、「逮捕の報道に関して情報が錯綜している」と述べた。同所長は、「ある目撃者はハルムーシュ氏は、兄の死を知った直後にトルコから戻り、逮捕されたと述べているが、別の目撃者は、それを否定している。さらに、トルコの諜報機関が逮捕したと言っている人もいる…。我々は確認を試みている」と述べた。

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ヒムス市では、金曜日のデモでの犠牲者の葬儀が行われ、約20,000人が参列。ヒムス市には、シリア軍・治安部隊の戦車、装甲車などが多数展開している。

Kull-na Shuraka', September 10, 2011
Kull-na Shuraka’, September 10, 2011

シリア人権監視団は、バーブ・アムル地区近くのバサーティーン地区で指名手配者の追跡を行う軍・治安部隊によって5人が殺害されたと発表した。一方、シリア革命総合委員会は、ヒムス市のバーブ・スィバーア地区とバーブ・アムル地区への砲撃で16人が殺害されたと発表した。

これに対しSANAは、シリア軍消息筋の話として、ヒムス市のダウワール・ファーフーラ近くで軍食糧配給部門の寝台バスが「武装テロ集団」に襲撃され、運転手が殺害、乗っていた食糧配給部門の労働者2人が負傷した、と報じた。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

一方、シリア人権監視団によると、レバノン国境のヒート村に軍・治安部隊が突入。またレバノン国境のクサイル市も地元調整委員会によると、連日、軍・治安部隊による逮捕・捜索活動が続いており、「非常に困難な日々」だという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると、2人が治安部隊の発砲により殺害された。1人(男性)はハーン・スブル村で、もう1人(女性)はサラーキブ市南部で殺害された。

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『クドス』(9月10日付)は、「住民が遺族を公園などに埋葬している」とのハマー市住民の証言を掲載。

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ダマスカスでは、新党「シリア国家建設潮流」の結成が発表された。発足者たちによると、同組織は民主的市民国家の建設、若者たちの政治生活、公的生活における「公的、実質的参与」の保障、民衆蜂起の目的に沿って専制体制の打倒をめざす、という。

国外の反体制活動家の動き

『ハヤート』(9月11日付)はカタールのドーハの信頼できる消息筋の話として、「ダマスカス宣言」、クルド民族主義諸政党、シリア・ムスリム同胞団の活動家および代表30人が挙国一致的な連立を組み、近く「国民評議会」を発足することをめざすことで合意したと報じた。

しかし『シャルク・アウサト』(9月10日付)は、ドーハでの反体制勢力の会合も、トルコなどでの反体制勢力の会合などと同様、国民評議会発足に関して合意に至ることに失敗したと報じた。

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エジプトの首都カイロでも反体制活動家が二つの会合を開催した。

一つは、「シリア解放運動者連合」(シャーディー・ハッシュ代表)が主催した「我々はみな祖国のために」挙国一致会合で、カイロのドッキー地区のピラミザ・ホテルで開催された。

もう一つは、「在エジプト・シリア人連合」が主催した「シリア国民支援勝利週間」(9月9日開催)で、同じくドッキー地区のサフィール・ホテルで開催された。

同会合には、ハイサム・マーリフ弁護士、アブドゥルアハド・イスティーフワー(アッシリア民主機構代表)、ムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員といった反体制活動家が招聘・出席し、記者会見を行った。

これらの会合は在外の他の反体制勢力との調整なくして開催された。

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オーストリアのウィーンでは、スペイン、ロシア、ドイツ、スイス、ギリシャなど13カ国に滞在するシリア人活動家が反体制勢力を支援するための会合を開いた。

代表の一人であるアーミル・ハティーブ氏によると、参加者はウィーンのシリア大使館に向かい、アサド大統領の退任を求めることを決定。また「在外シリア人連合」を結成し、シリア国内の反体制運動の支援をめざすという。

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フェイスブックの「シリア革命2011」ページによると、アブドゥッラッザーク・ラフムーン大佐がシリア軍を離反し、「自由シリア軍」に参加したと発表。

アサド政権の動き

アサド大統領がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長とダマスカスで会談。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

SANA(9月11日付)によると、アサド大統領は「現下のシリアの危機の出口を創出することの必要をアラブ諸国が強く望んでいる」とのメッセージをアラビー事務総長から受けとった。

またアラビー事務総長は「連盟は、数ヶ月にわたって続く流血を終わらせるべく、シリア政府と反体制勢力との間の国民和解対話において大きな役割を果たすことを提案した」と述べ、アサド大統領と一連の措置に関して合意、火曜日のカイロでのアラブ連盟外相会議でこれらの提案が提示されるという。

さらに会談では、「メディアのねつ造や扇動にだまされない」必要が強調され、アラブ連盟がシリアの治安と安定を望み、外国のいかなる内政干渉をも拒否する」とアラビー事務総長が強調したと報じた。

しかし、アラビー事務総長はカイロに帰国後に声明を出し、「アラブ連盟がシリア国民に対する暴力や流血を完全に停止するために早急に措置を講じる必要があり、シリア国民の表現への希求や改革を実現し、国民を保護し、シリアをとりまく危機を解消するための移行を保障する必要があるとの意思を伝えた」と発表した。

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スポーツ連合との共催のもと、シリアの青年グループが、イラク、レバノン、パレスチナの青年使節団とともに、ダマスカス県内のジャラー・スタジアムで、シリアの治安、安定に対する陰謀への抵抗を支持する集会を行った。

諸外国の動き

『ハヤート』(9月10日付)は西側外交筋の話として、EUはシリアに対する石油禁輸措置に加えて、石油部門への投資を禁じることで原則合意したと報じた。

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シリア革命支援ヨルダン人民委員会は、ヨルダン政府に対してバフジャト・スライマーン駐アンマン・シリア大使の追放を要求するための座り込みをアンマン市内で10日から開始した。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

レバノンの動き

NNA(9月10日付)は、レバノン国軍がベカーア県ラーシャイヤー郡ダイル・アシャーイル山地で、シリアに密輸されようとしていた電気アンテナ、通信機器を押収したと報じた。これらの機器はピックアップ・トラックに積まれていたシリアに密輸入されようとしており、こうした動きは日々見られるという。

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『ナハール』(9月10日付)は、ビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教がフランス訪問中のニコラ・サルコジ仏大統領との会談で「シリアのアサド政権は終わった」と告げられたと報じた。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首と袂を分かったマルワーン・ハマーダ国民議会議員は、テレビでのインタビューで、3月14日勢力がシリアの内政に干渉しないとしつつ、「カマール・ジュンブラートからラフィーク・ハリーリー元首相にいたる暗殺以外の何ものもシリアの体制見出すことない」と述べ、「レバノンのすべての宗派がシリア政府の抑圧に曝されてきた」と強調、「シリアで今日起きていることは体制の終わりを示している」と断じた。

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アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使はヌール・ラジオのインタビューに対して、シリア国内の反体制抗議運動に対して否定的な見解を示しているビシャーラ・ラーイー・マロン派大司教の姿勢が「バランスのとれた思想的、国民的、政治的な見方で、地域全体を標的とした陰謀に対する抵抗において彼自身が代表している教会の役割と合致している。またそれは、バチカンの見解を表してもいる」と述べた。

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レバノンのシリア・アラブ擁護委員会の使節団がダマスカス県のティシュリーン軍事病院を慰問。「武装テロ集団」弾圧時に負傷した兵士を見舞った。

AFP, September 10, 2011, September 11, 2011、AP, September 10, 2011、Facebook、Akhbar al-Sharq, September 10, 2011, September 12, 2011、al-Hayat, September 11, 2011, September 12, 2011、Kull-na Shuraka’, September 10,
2011, September 13, 2011、al-Nahar, September 10, 2011、NNA, September 10, 2011、al-Quds, September 10, 2011、Reuters, September 10, 2011, September 11, 2011、SANA,
September 11, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 10, 2011, September 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が政令第104号(国家総動員法)を発令、レバノンのアウン国民議会議員がインタビューのなかでシリア政府への支持を強く表明(2011年9月8日)

シリア軍兵士・バアス党員の離反をめぐる情報合戦

各地でシリア軍兵士の離反が伝えられるなか、バッシャール・アサド政権と反体制勢力が離反をめぐる情報合戦を繰り広げた。

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シリア人権監視団によると、イドリブ県ザーウィヤ山のイブリーン村で、フサイン・ハルムーシュ大佐の家で離反したシリア国軍兵士3人が軍に支援された治安部隊によって殺害され、2人が逮捕された。また軍・治安部隊は装甲車7輌、四輪駆動車10輌でイブリーン村に突入し、指名手配者の捜索を行った。その際激しい銃声や重火器の発車音が聞こえた。

Shabaka Akhbar Idlib, September 8, 2011
Shabaka Akhbar Idlib, September 8, 2011

フサイン・ハルムーシュ大佐は6月はじめにインターネットを通じて自らの離反を宣言した士官で、自由将校運動(自由将校旅団)の結成を宣言した人物である。

これに関してSANAは、治安部隊がイドリブ県ザーウィヤ山(シリア北西部)のイブリーン村に対する作戦で、住民を脅迫していた「武装テロ集団」を多数逮捕し、その際複数名を殺害、また大量の武器弾薬を押収したと報じた。またこの作戦では、治安部隊兵士3人が殺害され、3人が負傷したと報じた。を包囲中に離反した兵士3人を殺害したと報じた。

しかしこれに先立って7日、自由将校運動(自由将校旅団)のダルアー県の高官カイス・クトアナ大尉が声明を出し、同運動司令官のフサイン・ハルムーシュ大佐が、8月29日にトルコ領内の避難民キャンプでトルコの治安当局高官と面談したのち失踪したと発表、トルコ当局に対して大佐の行方を調査するよう求める声明を出した。声明はYoutubeを通じて配信された。声明全文はhttp://www.alarabiya.net/mob/ar/165799.htmlを参照。

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シリア政府筋が誘拐されていたとするバアス党ラスタン支局指導部のイッズッディーン・ウバイド書記長とアブドゥッラッザーク・ダーリー書記官がビデオで反体制デモ弾圧に抗議して離反したとの声明を出した。http://www.youtube.com/watch?v=CCEndzkY25wを参照。

http://www.youtube.com/watch?v=CCEndzkY25w

しかしこれに先立ち、SANA(9月8日付)は、ラスタン市で武装集団が両名を誘拐したと報じていた。

反体制勢力の動き

シリア革命総合委員会は声明を出し、「シリアの民間に対する国際的保護」を呼びかけ、「国際社会が責任をもって、国際法および文書の規定に従って、民間人保護のための措置を講じる」よう求めた。

委員会のアフマド・ハティーブ報道官は、反体制勢力が「国際的監視団の派遣を第1ステップとして要求している。もし政府がこれを拒めば、飛行禁止空域の設定、戦車使用禁止などといった次の動きへの扉が開かれることになろう」と述べた。

ラマダーン月の反体制抗議行動によって、アサド政権打倒が実現せず、9月に入って反体制運動の勢いに若干かげりが見え始めるなか、フェイスブック等で運動を指導してきた地元調整委員会などが生き残りをかけて外国の侵略を求めたかたちである。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、7日の弾圧で負傷した市民8人が死亡、これにより7日のシリアでの死者数は31人(うち29人がヒムス市、2人がサルミーン市で殺害)となった。

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AKI(9月8日付)によると、地元調整委員会は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が10日のシリア訪問時に伝えようとしているとされる「アラブ・イニシアチブ」(危機打開に向けた提案)に関して、「民衆のインティファーダに体制が暴力で対峙したことでもたらされた国の危機に対処するための正しい基礎」と支持しつつも、2014年の任期終了までアサド大統領の在任を認めた文言については態度を保留。

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シリアのクルド民族主義政党11組織が9月半ばに呼びかけているクルド・クルド大会開催のイニシアチブに関して、シリア・クルド民主合意が声明を出し、原則支持の意を示しつつ、「いかなるクルド政党勢力も大会開催を独占してはならない」と述べ、牽制。シリア・クルド民主合意はシリア内外の反体制クルド民族主義勢力において主導的役割を果たすシリア・クルド政治会議加盟政党、シリア・クルド民主同盟加盟政党、シリア・クルド・ムスタクバル潮流などと一線を画している。

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AKI(9月8日付)は、自由のためのシリア弁護士委員会が赤十字国際委員会に対して、刑務所でなく、治安機関の拘置所を視察するよう呼びかけたと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 9, 2011
Kull-na Shuraka’, September 9, 2011

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シリア・クルド・ムスタクバル潮流は、8日(木曜日)にミシュアル・タンムー報道官がカーミシュリー市内でシャッビーハによる暗殺未遂に遭ったと発表。

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AKI(9月8日付)によると、国民民主的諸勢力国民調整委員会、ダマスカス民主的変革宣言(ダマスカス宣言)、国民行動グループ、民主的調整会合、イスラーム無所属潮流、革命調整諸委員会、青年革命運動家ら、国内外の反体制勢力が、国民評議会結成に関して原則合意し、近日中に大会が開催されることが決定。大会には250人の代表が集まるという。

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シリア左派連立を名乗る組織が声明を発表。反体制勢力による国民評議会結成に向けた動きが、民衆蜂起に寄与せず、それを貶めているに過ぎないと非難。移行期間は体制打倒後に初めて設定されるべきと主張。また外国の干渉に関して強い拒否の姿勢を示した。

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リヤード・アスアド大佐率いる自由シリア軍は9月8日に配信されたビデオで2大隊の新設を発表。ダマスカス県の「ムアーウィヤ・ブン・アビー・スフヤーン」大隊とダマスカス郊外県の「アブー・ウバイダ・ブン・ジャッラーフ」大隊。

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シリア赤新月社はシャッビーハが赤新月社の救急車を攻撃したとの報告書を作成。全文はhttp://all4syria.info/web/archives/27507を参照。

アサド政権の動き

『シリア・ニュース』(9月8日付)、『イクティサーディー』(9月8日付)によると、アサド大統領は政令第104号(国家総動員法)を発令。10章43条からなる同法は、国家総動員の定義および実施原則、立法府および司法府の役割、国家機関、企業、国民の義務、予備兵役への国民の召集、召集にかかる手当、そして処罰などが規定された。

もっとも重要な規定は第3条で、大統領が国家総動員を発令する事態のなかに、1カ国ないしは複数の国と戦争状態に入る、地域・国際社会の関係の緊張によって戦争状態の恐れがある、自然災害などが発生するといった状況に加えて、「国家の安全が脅かされる内乱が発生する」という文言を付記した。

4月に非常事態令解除に合わせて、アサド政権は平和的デモ調整法を発令し、無許可のデモへの「合法的弾圧」を行ってきたが、これに加えて国家総動員を発令することで、デモ弾圧を強化しようとしている。

レバノンの動き

ビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教は、アラビーアに対して「国際社会はイスラエルにレバノンの占領地から撤退するよう圧力をかけるべきだ…。またパレスチナの帰還権を履行させるべきだ。そうすることでヒズブッラーは武器を手放すことを余儀なくされるだろう」。「シリアで政権転換が起きて、スンナ派が権力を握れば、レバノンのスンナ派と同盟を結び、シーア派とスンナ派の関係が悪化する」と述べた。

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レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン国民議会議員(元国軍司令官)はLBCのインタビューに応じ、7日にビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教が「アサド大統領はシリアで改革を実施している。彼にチャンスを与えねばならない」と発言したことに関連して、「シリアの体制は崩壊せず、改革を実行すると強く確信している」と述べた。

また「私は人権を支持しているが、交代した政権が人権を支持するだろうか?彼らは多元的支配に反対していると一部の人々が言っているのに、彼らは人権を尊重するだろうか?現在起きているのはデモではない。狙撃兵や治安要員と衝突しているだけだ。暴動で体制を転覆させようとする者がいる場合、体制は自衛するだろうし、それは正しいことだ…。米軍がイラクに来て、サッダーム・フサインが処刑されたあと、独裁後のイラクで何が起きたのか?民主主義に移行したか?…我々はシリアに独裁体制を求めていない。むしろ民主制を求めている…。しかし(西側諸国や一部のアラブ諸国は)シリアが人権を尊重することを望んでいない。むしろハマース、ヒズブッラー、イランとの結びつきを立ってもらいたいだけだ…。人権問題をめぐってシリアを攻撃している人々はパレスチナ人を支援すべきだ…。アサド大統領は私に政治的自由を保障すると語った…。シリアでは安定なくして改革などあり得ない。体制はシリアを不安定化させようとする試みを前に屈服しないだろう。いかなる圧力をかけられようと」と付言した。

Naharnet, September 8, 2011
Naharnet, September 8, 2011

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ベイルート県中心部にある「サミール・カスィール広場」でレバノン人活動家、ジャーナリスト、有識者、政治家らが「シリア国民の自由と尊厳」を支持する座り込みを行った。

座り込みに参加したのは、ハーリド・ダーヒル議員、マルワーン・ハマーダ議員、アフマド・ファトファト議員、ハーリド・ザフラマーン議員、ハサン・ムナイミナ元大臣、ファーリス・スアイド元議員、イリヤース・アターッラー元議員、アントワーン・ハッダード氏、カルロス・イッダ氏。また3月14日勢力執行部のメンバーが多数参加した。

一方、アサド政権の支持者もベイルート県庁前でデモを行った。

諸外国の動き

ロシア大統領特使のミハイル・マルゲロフ連邦議会外交委員会委員長は、9日のシリア反体制勢力との会談、10日のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官との会談に先立って、アサド政権崩壊の可能性を否定し、国連安保理でのシリア非難決議を阻止するとの姿勢を改めて明示したうえで「政治的関係正常化の機会はまだある…。我々は当事者である反体制勢力と政府を歩み寄らせようとしている。両者が会するしくみを作り出すことができると希望している」と述べた。

また「アサド大統領は世俗的で若い指導者であり、正しい指導を行い、開明的である…。もし支配階級がより開放的になり、新しい考え方を受け入れ、すべてのシリア人に対応できるのであれば、我々は彼が国を近代化できると考えている」と付言した。

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イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は8日晩、クウェートの記者団と会談し、シリアに赴き、「国民和解」実現を支援するための委員会を設置することでシリア国内の危機収束のための政治的イニシアチブを発揮するようイスラーム協力機構(OIC)に対して呼びかけた。

AFP, September 8, 2011, September 9, 2011、Akhbar al-Sharq, September 8, 2011、AKI, September 8, 2011, September 9, 2011、Alarabia.net, September 8, 2011、al-Hayat, September 9, 2011、al-Iqtisadi, September 8, 2011, September 10, 2011、Kull-na Shuraka’, September 8,
2011, September 9, 2011, September 12, 2011、Naharnet.com, September 8,
2011、NNA, September 8, 2011、Reuters, September 8, 2011, September 9, 2011、SANA,
September 9, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 10, 2011Syria News, September 8, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県など各地で反体制デモが行われる(2011年8月31日)

反体制運動をめぐる動き

ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県など各地で反体制デモが行われ、数十人が軍・治安部隊によって逮捕された。

ダマスカス郊外県では、空軍情報部が在米の反体制活動家でシリア政治の研究者でもあるラドワーン・ズィヤーダ教授の弟ヤースィーン・ズィヤーダ氏を逮捕した。同氏はダマスカス郊外県のダーライヤー市でイード・アル=フィトルのデモに参加、身柄を拘束された。

アレッポ県では、人権活動家のイブラーヒーム・マラキー弁護士がAFPに語ったところによると、アレッポ市でムスタファー・スライマーン弁護士夫妻と訪問客の3人が逮捕された。

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方に軍治安部隊が突入し、16人を逮捕、その際、少なくとも5人が負傷。突入の2日前、治安部隊が8月第1週に誘拐・殺害した13人の遺体を引き渡されていたハウラ地方の住民の怒りは頂点に達していたという。

シリア人権監視団や複数の住民によると、ハマー県では、軽戦車、輸送車輌数十両、軍・治安部隊兵士数百人がハマー市のクスール地区、ハミーディーヤ地区に突入、活動家の捜索を行った。

複数の活動家によると、イドリブ県では、カフルルーマー村で治安部隊がデモ参加者に発砲し、1人が殺害された。

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アレッポ県の医師118人が連名で声明を出し、医師に対する身柄拘束、逮捕、拷問を行わないよう呼びかけた。

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http://www.syrianeg.net/
http://www.syrianeg.net/

シリア人権監視団は、ラマダーン月の弾圧による死者数を発表した。それによると死者数は473人、うち民間人は360人、113人が軍人・治安要員。またうち28人がヒムス県で身柄拘束後に拷問を受け殺害、25人が18歳以下で、14人が女性だという。なお、8月3日から10日にかけてのハマー市での犠牲者は調査が困難だったため含まれていない。

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・ロゴジン駐NATO大使は、RTのインタビューに対して、NATOがシリアへの軍事作戦はないとの考えを示した。その理由とした同大使は「イスラエルの安全保障に影響を及ぼすからだ」と述べた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領は、駐フランス大使会議でシリアの反体制デモへのバッシャール・アサド政権の弾圧について触れ、「シリア大統領は改革できないことを犯した。フランスとその友好国はシリア国民の自由と民主主義への要求を実現するため、法的に可能なあらゆることを行うだろう」と述べた。

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ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官はシリアの刑務所での身柄拘束者への拷問を非難。

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3月14日勢力事務局長のファーリス・スアイド氏はLBCに出演し、「シリアの体制は息詰まっている…。国際社会はシリアの体制が崩壊に向かっているとのシグナルを送っている」と述べる一方、シリアの混乱をヒズブッラーと結びつけ、「もしヒズブッラーがシリアの体制に固執し、革命に反対すれば、それは全世界に対抗することを意味する…。こうした行動は、ヒズブッラーだけでなくレバノンを非難に曝すことになる」と非難した。

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Naharnet, August 31, 2011
Naharnet, August 31, 2011

ワリード・ジュンブラート党首は進歩社会主義党の若手メンバーとの会合で、バッシャール・アサド大統領と現下のシリアの体制を厳しく非難、取りまきの支配サークルに囚われの身となったアサド大統領が自らの退任を求めるデモや抗議行動に対処するため「治安的解決」を選択したことは、「アサドが早晩退任し、シリア国民の意思が最終的に勝利する」ことを示している、と述べた。

AFP, August 31, 2011, al-Hayat, September 1, 2011, September 2, 2011、Kull-na Shuraka’, August 31, 2011、Naharnet.com, August 31, 2011、Reuters, August 31, 2011。

(C)青山弘之All rights reserved.

「自由将校旅団」がヒムス県でシリア軍を士官らを襲撃したことを発表、ロシアは欧米諸国のイニシアティブに対抗し国連安保理でシリアに関する新たな決議案を提案(2011年8月26日)

反体制運動をめぐる動き

複数の都市で数万人が反体制デモを行った。フェイスブックの「シリア革命2100」ページはこのデモを「忍耐と貫徹の金曜日」と銘打った。

同ページの画像には、初めて「シリア革命総合委員会」のロゴが添付された。しかし治安部隊はデモ参加者を強制排除、少なくとも3人が殺害され、複数が負傷した。Facebook

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シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のアリー・ブン・アビー・ターリブ・モスクから街頭に出たデモに親体制派が発砲し、2人が殺害され、5人が負傷した。しかし、SANAは、ダイル・ザウル市の検問所に武装集団が発砲し、3人の治安維持部隊兵士が負傷、武装集団メンバー2人が殺害、と報じた。

ダイル・ザウル市では数千人がデモを行ったが、治安部隊が強制排除した。

またブーカマール市でもデモがあった。

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ダルアー県ナワー市では、ムハンマディー・モスクから街頭に出たデモ参加者に治安部隊が発砲し、シリア人権監視団によると、1人が死亡、3人が負傷した。また同県各地でデモが発生した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・スィバーア地区で反体制デモが発生、治安部隊が強制排除を行うべく発砲した。デモは26日に殺害された犠牲者の葬儀をきっかけに発生した。

また同市バーブ・ドゥライブ地区での無差別発砲で2人が負傷。うち1人は4歳の少女。なお同市では体制打倒を叫ぶ約15,000人がハーリディーヤ地区でデモを行った。また数千人がバーブ・アムル地区、バーブ・スィバーア地区、クスール地区でデモを行った。

またシリア革命調整連合によると、ヒムス市郊外のクサイル市で装甲車が発砲し、6人のデモ参加者が負傷した。

このほか、数万人がヒムス県のタドムル市、ラスタン市、タルビーサ市でデモを行った。

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ダマスカス郊外県のダーライヤー市は、治安部隊がデモを強制排除する際に発砲し、1人が負傷。

ドゥーマー市では治安機関本部近くでデモが発生し、5人が負傷した。同市では約7,000人がデモに参加した。しかしSANAは、同本部が武装テロ集団によって襲撃されたと報じた。

またザバダーニー市、ハラスター市、カーラ市でもデモが発生、カナーキル村では約3,000人がデモに参加した。アルバイン市では約2,500人がデモに参加した。しかしいずれも治安部隊によって排除された。

ダマスカス県マイダーン地区のダカーク・モスク、ハサン・モスク、バルザ区、カダム区、カーブーン区ではデモが発生したが、治安部隊が強制排除。

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ハサカ県のカーミシュリー市では約5,000人がデモを行った。

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アレッポ市ではサーフール地区では数千人がデモに参加した。

またイドリブ市郊外でもデモが行われた。

SANA, Agusut 26, 2011
SANA, August 26, 2011

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オガレット・ニュース・ネットワークは「自由将校旅団」を名のる集団の声明を放送した。シリア軍を離反した士官からなる同集団は声明で以下のように発表し、ヒムスでシリア国軍士官2人を襲撃したことを明らかにした。

「タッルカラフ、ラスタン、タルビーサ、バーブ・アムル、バーブ・スィバーア、カラム・ザイトゥーン、クサイルでの第41大隊の惨殺と虐殺を踏まえ、将校旅団に属する軍離反者の英雄たちは非常に特別な作戦を実行した…。第41大隊司令官のアドナーン・ザイダーン・ディーブ准将の頭部を銃弾で狙い、危篤状態の末、(昨日)死に追いやった。また同大隊の治安部隊士官で作戦を主に調整してきたバッサーム大佐に銃弾3発を放った。うち1発は肩、1発は足、3発目は脊髄に命中した」(自由将校旅団の資料映像)。

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シリア・イスラーム民主無所属潮流は「御稜威の夜」を記念して声明を出し、反体制運動と体制打倒を改めて呼びかける。

アサド政権の動き

シリア・アラブ・テレビは24日のイフタールでアサド大統領がウラマーらの前で行った演説の一部を放映。

演説でアサド大統領は、「シリアは西欧の計略に立ちはだかる難所で、もしシリアが瓦解すれば、この難所が乗り越えられることになる」、「西欧は我々のことが嫌いであるとしても、我々が国民主義とイスラームを堅持するたびに我々を尊重せざるを得なくなっている…。彼らはイスラームのことを思想として好きではないが、その原則を誇示する者を尊重する」と述べた。

また現下の危機に関して「原因は高官であれ一般国民であれ道徳的なものであり…、解決策は道徳を確立することになる」との見解を示し、一部のウラマーがモスクの演壇を利用していることが「この危機を悪化させた」と指摘した。

シリア中央銀行のアディーブ・マイヤーラ総裁は西側諸国の制裁強化に関して、「我々は制裁と事件(反体制運動)によってさらなる困難に直面するだろう。我々は金融引き締め(財布のひもを引き締め)る必要がある」と述べた。

SANAによると、内務省は、風刺画家のアリー・ファルザート氏襲撃事件(25日、ダマスカス)の調査を開始した。ファルザート氏は治安当局に誘拐・暴行されたとも疑われている。

『クッルナー・シュラカー』(26日付)が労働者総連合消息筋の話として伝えたところによると、同連合は、シャッビーハや治安部隊によるデモ参加者の殺害を支援するなど、抗議行動弾圧において大きな役割を担っている。

 

諸外国の動き

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ロシアは国連安保理で西欧諸国による決議案をかわすべく、シリアに関する新たな決議案を突如提案した。

西側の決議案は、8月3日の安保理議長声明に盛り込まれていた文言に依拠し、「民間人に対するシリア当局の暴力行使」を非難し、アサド政権高官らへの制裁を定めているのに対し、ロシアの案は、アサド大統領の「改革の早期実施」を求める一方、反体制勢力に対しては街頭行動を停止し、政権との対話に応じるよう求めている。

国連の人権調査チームは「民間人の保護が急務」と発表した。26日、ファルハーン・ハック副報道官が発表した。「チームは全国レベルでの人権状況の危機がないもの、暴力の過剰な行使から民間人を保護することが急務だと結論づけた」。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は南部のマールーン・ラース市で行われた世界エルサレムの日の祝典でテレビ演説を行った。

演説のなかでナスルッラー書記長はシリア政府の対イスラエル闘争における役割を賞賛したうえで、以下のように述べ、アサド政権への支持を改めて表明した。

「我々みな、そしてアラブ諸国民は改革や発展に基づく強いシリアを欲している。つまり、シリア、その国民、その地、その局民統合に対して友情や熱意を表明する者すべては、シリア情勢収束に向けた努力を行わねばならず、事態を対話と平和的問題対処へと促さねばならない。それ以外のいかなる方向、行為も、シリア、パレスチナ、そして地域全体にとって危険なものである。NATOの軍事介入を要求する者たちが、シリアの未来とその破壊のいずれを望んでいるのか?こうした連中は、シリアをレバノンのような宗派的に分断され、対立し合う国家にしようとしている…。アサド大統領は米国がシリアに改革ではなく譲歩を望んでいると述べた。我々はみなシリアが譲歩しないよう支えて、その力と立場を維持し、改革を実現させねばならない」(演説の映像)。

http://www.youtube.com/watch?v=9s_KOXNFhFs

フェイスブックの「レバノンの恥部リスト」ページは、アサド政権を支持するレバノンの俳優や芸術家のリストを作成し公開。

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カタールのハマド・ブン・ハリーファ・アール・サーニー首長は、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領との会談後に声明を出し、シリアでの治安的解決が「失敗した」と述べ、シリア政府に「変化の要請を結実させる」よう呼びかけた。

また「シリア国民は自らが代償を払った今となっては要求をとりさげることはなかろう…。シリア国民は変化、公正、自由を求め、真の市民的大衆インティファーダを行うため街頭に出ている」と述べ、反体制運動への共感の意を示した。

AFP, August 26, 2011, August 27, 2011、Akhbar al-Sharq, August 26, 2011,
August 28, 2011、al-Hayat, August 27, 2011、Kull-na Shuraka’, August 26, 2011, August 27, 2011、Reuters,
August 26, 2011、SANA, August 25, 2011, August 26, 2011、August 27, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

タルトゥース市で開催されたアサド大統領を支持する大規模集会に数十万人が参加、PLO書記長はシリア軍によるラタキア市への攻撃を「厳しく非難」(2011年8月15日)

複数の活動家、目撃者によると、ラタキア市など各地での軍・治安部隊による治安回復作戦は15日も継続され、死傷者を出した。一方、バッシャール・アサド政権内では、アレッポ県知事、放送・テレビ総合委員会(情報省所轄)委員長が交代した。

反体制デモ

シリア革命調整連合、シリア人権監視団によると、ラタキア市ラムル地区、タムラ地区サイダーウィー地区、タービヤート地区などの住民が陸海からの攻撃を逃れて避難。シリア人権監視団によると、治安部隊のバリゲードに近づいた避難する市民が発砲を受け、6人が負傷。またシリア革命調整連合によると、ラタキア市サカントゥーリー地区から避難しようとした家族が乗ったバスが銃撃され、女性1人が殺害された。複数の活動家によると、15日のラタキア市での死者は少なくとも6人に達した。

シリア人権監視団によると、ラタキア市マスバフ・シャアブ(人民海水浴場)地区、ラムル地区などを戦車が砲撃。

シリア人権監視団によると、ラタキアのから多くの住民が避難。

シリア人権監視団によると、スライバ地区で早朝から激しい銃声。

al-Hayat, August 16, 2011
al-Hayat, August 16, 2011


シリア人権監視団監視団によると、スライバ地区、スライバ開発計画地区、クーワトリー地区、アシュラフィーヤ地区、タービヤート地区、ハナーヌー通り、カルア地区、ウワイナ地区でゼネスト。軍はオガレット広場を閉鎖、ラタキア駅があるダウワール・ヤマンを制圧。検問を行い、300人を逮捕。

UNRWAは、パレスチナ人難民約5000人がラタキア市ラムル地区の難民キャンプからシリア軍・治安部隊の攻撃を避けるために避難し、ダマスカスに受け入れを求めていると発表した。ラムル地区のキャンプには約10,000人のパレスチナ人が難民として暮らしている。

しかしSANAは、ラタキア市ラムル地区への海軍の艦砲射撃を否定、武装テロ集団が海上からも攻撃を加えていると反論、市内の武装テロ集団の攻撃と合わせて、市民2人が死亡、4人が負傷した、と報じた。

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一方、ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市郊外のタッルドゥー市で狙撃兵によって男性1人が射殺。シリア革命調整連合によると、8人が殺害された。同村を含むハウラ地区では早朝から軍・治安部隊が戦車を投入していた。

またダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、12日(金曜日)のダイル・ザウル市での反体制デモで狙撃兵に撃たれ重傷を負っていた男性が死亡した。またジャウラ地区、サーリヒーヤ地区、ハトワ地区、フサイニーヤ地区で軍・治安部隊が大規模な逮捕・捜索を行い、27人が逮捕された。

イドリブ県では、マアッラト・ニウマーン市東部に軍・治安部隊の兵員輸送車輌23台、四輪駆動車10台が進入し、8人が逮捕された。

ダマスカス県では、カダム区、アサーリー地区に治安部隊が突入、「指名手配中」の7人を逮捕した。

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シリア人権監視団は声明を出し、3月半ば以来、当局に身柄を拘束され、拷問で死亡した市民の数が71人にのぼると発表した。同声明によると、これまで数万人が逮捕されている、という。

地元調整諸委員会のヒムス委員会のウマル・イドリビー報道官は、治安当局が市内各所での無差別発砲に飽きたらず、身柄拘束した市民を治安機関の拘置所で拷問し、8月だけですでに10人が獄中死したと発表した。

シリア革命支援国民連立のハイサム・ラフマ総合調整役は声明を出し、アラブ諸国に民間人保護のために介入するよう呼びかけた。

サラーム・カワーキビーが声明を出し、14日にベルリンで開催された民主的変革諸勢力国民調整委員会在外事務局の会合には出席していなかったとの一部報道を否定した。

アサド政権内の動き

アサド大統領は政令第321号を発令、ムワッファク・イブラーヒーム・ハッルーフ氏をアリー・アフマド・マンスーラ氏の後任としてアレッポ県知事に任命した。ハッルーフ知事はバアス党ダマスカス郊外県支局書記長を勤めていた。

アドナーン・マフムード情報大臣は、サーリフ・アフマド・イブラーヒーム氏をタウフィーク・アフマド氏の後任としてラジオ・テレビ機構会長に任命。

SANA, August 15, 2011
SANA, August 15, 2011

タルトゥース市のコルニーシュでアサド大統領の改革を支持する大規模集会が開催され、数十万人が参加した。

レバノン

サイード・ミールザー検事総長が『サフィール』(15日付)に語ったところによると、ベイルート港のマリーナからバーニヤースへの武器密輸容疑で身柄拘束されていた2人は証拠不十分につき釈放された。

南部県、ナバティーヤ県のアマル運動とヒズブッラーの指導者らが会合を開き、レバノン国内問題の対話を通じた解決を確認するとともに、「変化や改革のスローガンのもとにシリアを標的にしようとする陰謀と闘うバッシャール・アサド政権への支持」を強調。

「無所属有識者」を自称する活動家多数がベイルートのマトハフ地区から首相官邸に向かってシリア国民との連帯を求めるデモ行進を行った。一方、バッシャール・アサド大統領の支持者が3台のバスに分乗して、ベイルートのリヤード・スルフ広場に到着し、アサド政権を支持する示威行動で対抗した。

レバノンに居住するシリア人の使節団(ジャマール・ムフスィン氏代表)がESCWA本部を訪問。潘基文国連事務総長宛親書を提出。この書簡において、外国の干渉拒否、アサド大統領の指導への支持、武装テロ集団による暴力行為への非難の意が強調されていた。

そのほか諸外国の動き

トルコのアフメット・ダウトオール外務大臣は、先週ダマスカスで行われた会談で、トルコがこうした作戦を継続するための「時間的猶予ないしは猶予期間」をシリアの政府に与えていないと強調し、アサド政権に対して「シリアの各都市での軍事行動の即時かつ無条件の停止」を求めていると改めて述べた。

PLOのヤースィル・アブドゥラッブフ書記長は、シリア軍によるラタキア市ラムル地区への攻撃を「厳しく非難」し、砲撃での住民の避難が「人道に対する罪」に相当すると形容した。

ヨルダンのマアルーフ・バヒート首相はシリアのアーディル・サファル首相と電話会談を行い、「暴力の即時停止」を求めた。

スペイン日刊紙『エル・パイス』(15日付)は、スペインのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相が特別顧問を秘密裏にシリアに派遣し、アサド大統領とその家族をスペインが受け入れることを骨子とする危機打開策を示したと報じた。

ドイツ外務省報道官は、EUの枠組みのもとでの対シリア制裁強化を呼びかけるとともに、国連安保理にシリア情勢の(再)審議を求めた。

『シャルク・アウサト』(16日付)が米エネルギー情報局のデータをもとに、シリアの石油部門への制裁が世界経済に及ぼす影響はほとんどないと試算。シリアは2009年で117,000バレル/日を輸出しているに過ぎない。ガスは輸入している。シリアに制裁を科した場合、1,500,000バレル/日の石油が失われる。これは956,000バレル/日を生産していたリビアと比べた場合微量。

スイス政府は、アリー・ハビーブ前国防大臣らアサド政権高官ら12人を新たに制裁リストに追加し、入国ビザ発給停止、預金凍結などの措置を行うことを決定。

APF, August 15, 2011、Akhbar al-Sharq, August 15, 2011, August 16, 2011、al-Hayat, August 16, 2011, August 17, 2011、Kull-na Shuraka’, August 15,
2011, August 17, 2011、Naharnet.com, August 15, 2011、NNA, August 15, 2011、El País, August 15, 2011、Reuters, August 15, 2011、al-Safir, August 15, 2011、SANA, August 16, 2011、al-Sharq al-Awsat, August 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

反体制活動家が「偉大なる我らがシリア国民への共同声明」を発表、シリア革命調整連合や自由シリア軍を含む数十の団体が署名(2011年8月12日)

フェイスブックの「シリア革命2011」で「我々はアッラー以外にはひれ伏さない」金曜日のデモが呼びかけられるなか、各地で午後の礼拝後に反体制デモが発生した。軍・治安部隊は各県にある数百のモスクを包囲していたにもかかわらず、複数の活動家によると、ダマスカス郊外県、ハマー県、ヒムス県、ダイル・ザウル県、ダルアー県などで数万人が街頭に出た。しかし、軍・治安部隊は、催涙ガス、実弾などで対抗し、少なくとも20人を殺害した。また数十人が負傷、多数が逮捕された。

一方、米国は世界各国、とりわけ中国、ロシア、インドを名指しして、シリアの石油、投資部門への制裁、武器売却の停止を呼びかけたが、トルコがバッシャール・アサド政権のもとでの政治改革を依然として支持するなか、その対シリア圧力は限界が見え始めている。

反体制デモ

シリア人権監視団によると、ヒムス市では、グータ地区、クスール地区、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区、インシャーアート地区、バーブ・スィバーア地区、バーブ・ドゥライブ地区などでデモ。ハーリディーヤ地区では約3000人、インシャーアート地区では約10,000人が参加したが、アダウィーヤ・モスク近くで1人が殺害された。またヒムス市郊外のクサイル市では12人が殺害された、という。

アレッポ・シリア革命調整委員会の活動家によると、アレッポ市内の約40カ所、郊外約20カ所で反体制デモが発生したが、メディアはほとんど報道しなかったと抗議。同活動家によると、規模は小さかったもの、サーフール地区、サイフ・ダウラ地区、マルジャ(バーブ・ナイラブ)地区、ジャミーリーヤ地区、アシュラフィーヤ地区、シャイフ・マクスード地区、マディーナ・ジャーミイーヤ地区などでデモが行われ、治安部隊の発砲により4人が殺害された。また同活動家は、アレッポ市での革命を支持する諸部族のリストを発表。このリストには、バッカーラ・フサイニーヤ族、ダマーリハ・フサイニーヤ族など17の部族の名前が列記されている。

シャーム・ニュースによると、イドリブ県アリーハー市が軍・治安部隊に包囲された。またハーン・シャイフーン市で女性1人が殺害された。

ハマー市では、サハーバ・モスク、ウスマーン・ブン・アッファーン・モスク、ハムザ・モスクでデモが発生し、軍・治安部隊が市民に発砲、同市の活動家がAFPに語ったところによると2人が死亡。

ダイル・ザウル市でも、住民の一人によると、「ほとんどすべてのモスクから街頭へ」出て反体制デモを行った。これに対して、軍・治安部隊が発砲し、1人が殺害された。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県のドゥーマー市でデモが発生し、5人が殺害された。サクバー市のデモでも2人が殺害された。またシリア革命調整連合によると、ダーライヤー市でもデモが発生、シャッビーハがラフマーン・モスクを包囲し、犠牲者葬儀を妨害した。このほか、ザバダーニー市などでも午後の礼拝後にデモが発生した。シャーム・ニュースによると、ムウダミーヤト・シャーム市は夜の礼拝後のデモに備えて軍・治安部隊の包囲が続いた。

複数の活動家、住民によると、ラタキア市ラムル地区でもデモが発生し、約8000人が参加した。しかしラタキア市は、スライバ地区、スライバ開発計画地区、シャイフ・ダーヒル地区、アンターキヤー通り地区に軍・治安部隊が多数展開するなかでデモは困難となっており、バーラール・モスクなどでは治安部隊が礼拝者を包囲し、逮捕した。

バーニヤース市でも複数のモスクが包囲された。

シリア革命調整連合によると、ハサカ市ではサーリヒーヤ地区に軍・治安部隊が駐留。武器・弾薬が搬入される一方、シャッビーハ数百人も集結し、攻撃の恐怖が高まっている。

ダルアー県住民によると、ハウラーン地方のタイバ町、ジーザ町、ムサイフラ町などで数十人が逮捕。これらの町では連日反体制デモが行われていた。

『シャルク・アウサト』(12日付)によると、アサド政権は、3月半ばに反体制デモが始まって以来、レバノンやイランに資金を避難させ、その総額は230億ドルにおよぶ。アンタリア・シリア変革大会審議会のムハンマド・カルクーティー氏が明かす。西側諸国の制裁をかわすのがその狙い。

反体制活動家が12日、「偉大なる我らがシリア国民への共同声明(シリアのすべての通り、広場、施設からの「アサド」の名の排斥に関して)」を発表。アサド図書館(ダマスカス県内の国立図書館)、アサド湖(ラッカ県)などアサドを冠した地名、施設名の「国民~」への改称、ハーフィズ・アサド前大統領、バッシャール・アサド大統領の銅像の撤廃を求めた。

声明に署名した組織は以下の通り。シリア革命調整連合、地元調整諸委員会、シリア・クルド青年調整連合、自由シリア軍、自由将校運動、シリア変革大会、シリアのための国民行動団、ダマスカスおよび同郊外平和的変革自由主義者連合、シリア革命調整国民連立、アレッポ・シリア革命調整連合、ダルアー・シリア革命指導評議会、ハマー市調整委員会、ハマー自由主義者ブロック、ヒムス市自由主義者連合、ヒムス市諸地区連合、ヒムス革命主義者連合、シリア変革青年連合、シリア革命諸委員会連立、ダイル・ザウル調整委員会、ラタキア調整委員会、バーニヤース革命指導評議会、ジスル・シュグール・シリア革命調整連合、タルトゥース・反アサド・シリア革命、ジャブラ調整委員会、ムウダミーヤト・シャーム調整委員会、イドリブ市調整委員会、ザバダーニー調整委員会、マダーヤー調整委員会、カファル・ナブル調整委員会、マアッラト・ニウマーン調整委員会、ザーウィヤ山調整委員会、マアッラト・ハルマ調整委員会、サルミーン調整委員会、ビンニシュ調整委員会、タルビーサ調整委員会、ラスタン調整委員会、クサイル調整委員会、フーラ調整委員会、タッルカラフ調整委員会、ルクンッディーン調整委員会、サクバー調整委員会、サラーキブ調整委員会、サラミーヤ調整委員会、ハサカ調整委員会、カーラ調整委員会、カナーキル調整委員会、「反バッシャール・アサド・シリア革命」ページ、シリア・ウラマー連盟、シャーム文学者連盟、シリア人権委員会、アラブ・シャルク文明戦略研究センター、シリアのための青年、2月5日平和的変革運動、シリア・ムスタクバル青年、シリア自由女性、シリア・ノウルーズ革命、「クルド青年革命」ページ、シリア自由青年連合、「君らとともに」チーム、シャーム・ニュース・ネットワーク、シリア自由ジャーナリズム・ネットワーク、フラッシュ・ニュース・ネットワーク、オガレット・ニュース・ネットワーク、ダイル・ザウル・ニュース・ネットワーク、「我らはみなハウラーンの殉教者」ネットワーク、アレッポ・ニュース・ネットワーク、「夢のシリア」ネットワーク、イドリブ・ニュース・ネットワーク、「自由シリア」ネットワーク、シリア覚醒変革チーム、「我々はみな殉教者ハムザ・アリー・ハティーブ少年」、「ハマー・シリア革命」ぺージ、「我々はみなシリア」ページ、自由の「細菌」、シリア市民社会青年、シリアの恥・反革命シリア人リスト。

在米反体制有識者のラドワーン・ズィヤーダ氏が中東研究所で講演。ビジネスマンのイブラーヒーム・スライマーン氏(2007年にアサド大統領がイスラエルに派遣)らが出席。アリー・ハビーブ国防大臣の退任、ムハンマド・サルマーン元情報大臣による国民民主イニシアチブに関して、アラウィー派内の不協和音を示していると指摘。

SANAは、ダマスカス郊外県ドゥーマー市、アレッポのサーフール地区、イドリブ県アリーハー市で武装テロ集団の狙撃手が無差別発砲し、治安維持要員3人が死亡したと報じた。また反体制デモに関しては、ヒムス市郊外、イドリブ市郊外、ダマスカス郊外県、ラタキア市ラムル地区で午後の礼拝後にデモが発生したと報じた。

アサド政権内の動き

衛星テレビ局のジャズィーラやフッラで特派員を務めたアクラム・フザーム氏が政党法のもと、初の政党発足を準備中。党名は民主公正党。

レバノン

ベカーア県では、ジュッブ・ジャニーン村、カーミド・ルーズ村でシリア国民との連帯を求めるデモが発生。

サイダー市南部、イクリーフ・ハルーブ、カトルマーヤーで金曜日の礼拝後にシリア国民との連帯を求めるデモ。レバノン・イスラーム集団の支持者が組織。

各国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、記者団に対して「シリアの石油・ガスを依然として購入している国々、アサドに武器を供与し続けている国々に…歴史の正しい方向に導くような決定を下すことを我々は呼びかける」と述べた。ノルウェー外相との共同記者会見で、「アサドは国を指導する正統性を失った」と述べたが、退任を要求はしなかった。

なおこれに先だって、11日、国務長官はCBSとのインタビューで、中国とインドにエネルギー部門での制裁を科すよう求めるとともに、ロシアには武器供与を停止するよう求めていた。また反体制勢力各派に対しては民主主義への移行のプロセスを円滑に行うための統一的な行動計画を作成するよう呼びかけた。

一方、ダマスカスに戻ったロバート・フォード米大使は、ジャーナリストがデモを取材できるようワリード・ムアッリム外務大臣に求める。

キャサリン・アシュトン欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表報道官は、シリア情勢をめぐる対処法に関して、米国とEUの間に足並みの乱れが生じていることを否定し、追加制裁を検討していると述べる。

エジプト作家連合が、「怒りと懸念」を表明。エジプト政府に「1月25に革命をシリア、リビア、イエメンでの革命をもって」完結するべく実質的な役割を」果たすよう求める。

チュニジア外務省がアサド政権に対して「暴力の即時停止」、「真剣な国民対話」を求める。

オランダ外務省が対シリア制裁の強化を主張。

米ラジオSAWAによると、リビアのベンガジ当局は早朝、ムアンマル・カッザーフィー政権に武器を提供しようとしていたシリア船籍を拿捕、武器を押収。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明を出し、EUに対してシリアの石油・ガス企業の資産凍結を呼びかけた。

AFP, August 12, 2011、Akhbar al-Sharq, August 12, 2011, August 13, 2011,
August 16, 2011、al-Hayat, August 13, 2011、Kull-na Shuraka’, August 12, 2011、Naharnet, August
12, 2011、Radio Sawa, August 13, 2011、Reuters, August 12, 2011、SANA, August
13, 2011、Sham News Network, August 12, 2011、al-Sharq al-Awsat, August 12, 2011、UPI, August 13, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド政権に対する猶予をめぐって米国とトルコがコンセンサスに立つなか、シリア人権連盟のリーハーウィー所長が逮捕される(2011年8月11日)

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反体制デモ

シリアの活動家はフェイスブックの「シリア革命2011」で「我々はアッラー以外にはひれ伏さない金曜日」とデモを呼びかけた。ラマダーン月に入って、反体制勢力がデモを呼びかけるのは先週金曜日の「我々はアッラーとともにある金曜日」に次いで2度目。ラマダーン月に入って、反体制勢力は「アッラー」、「ひれ伏す」(ラカア)といったイスラーム教への信仰心を連想させる用語を用いるようになっているが、こうした稚拙なシンボルの使用が「宗派主義的内乱を助長する」といった非難を(バッシャール・アサド政権側から)招くことは必至であろう。

複数の活動家によると、軍・治安部隊は早朝、イドリブ県サラーキブ市、ヒムス県クサイル市、ダマスカス郊外県のザマルカー、アルバイン、ハムーリーヤに進入。

シリア人権監視団によると、クサイル市では少なくとも18人が殺害、数十人が負傷、数百人が逮捕され、住民の多くが避難した。また攻撃に先立って通信などが遮断された。

サラーキブ市では、シリア人権監視団監視団によると、複数の戦車など軍用車輌が進入、子供35人を含む数百人が逮捕された。同市では連日、反体制デモが行われていた。治安部隊は商店の扉を壊し家宅捜索を行い、電気も遮断されているという。

一方、ダイル・ザウル市でも3人が殺害されたという。

シリア人権監視団によると、ダマスカスのヒジャーズ駅近くの老舗喫茶店ハバナで、シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長が逮捕された。リーハーウィー所長は3月のデモ開始以来、シリア国内からBBCなどに情報を提供していた人権活動家。

スワイダー県の技師らが、技師組合スワイダー支部ビル前で軍・治安部隊による弾圧に抗議するための座り込みを呼びかけた。

シリア人権監視団によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区などで激しい銃声が聞こえた。

アサド政権による弾圧に荷担しているとの一部報道に対して、シリア民主統一党が否定する声明を出す。

シリア人権機構のアンマール・カルビー所長はCNNのインタビューに対して、これまでの死者数が民間人だけで2100人にのぼり、26000人が逮捕されたと述べる。

アサド政権内の動き

バッシャール・アサド大統領は、ジャースィム・フライジュ中将をダーウード・ラージハ国防大臣の後任の参謀長に任命した。Al Watan Online(11日付)によると、フライジュ中将はハマー出身で、副参謀長を務めてきた。フライジュ中将のほかには、アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)、ムニール・アドヌーフ中将が参謀長候補だった。なかでもシャウカト中将の処遇に注目が集まっていたが、デモ弾圧を行う現状において、宗派主義的緊張を高める可能性を配慮し、参謀長への就任は見送られたと見られる。

Akhbar al-Sharq, August 11, 2011
Akhbar al-Sharq, August 11, 2011

ダルアー県のナビール・ウムラーン知事は、息子が留学中のカナダの入国ビザの取得申請を行ったが、カナダ当局が却下。ダルアー県でのデモ発生の責任をとるかたちで解任されたファイサル・クルスーム前知事の後任として県知事となったウムラーン氏は汚職の噂が絶えず、追求を免れるためカナダに逃れようとしたとの見方が濃厚。

親政府系の通信社‘Aks al-Sayr(11日付)やDamaspost(11日付)が複数の信頼できる消息筋の話として伝えたところによると、総合情報究局長のアリー・マムルーク少将が8月10日にイドリブを訪問し、住民と会見。遺族、ウラマーなどと会見したマムルーク少将は市民を傷つけた者の処罰を約束した。

Kull-na Shuraka’(11日付)が複数の消息筋から得た情報として、リフアト・アサド前副大統領が、今月初めからシリアに帰国し、作戦本部付となっていると報じた。同消息筋によると、リフアト・アサド前副大統領が3月のデモ開始以来、政治の表舞台に姿を現すことを避けていたことは、シリアへの帰国の準備だったと見られる。数日前に国民民主イニシアチブを立ち上げたムハンマド・サルマーン元情報大臣の活動の活発化との関係は明らかではない。(なおリフアト・アサド前副大統領の帰国の事実は今のところ確認されていない)。

シリアでのデモの影響で食糧品などの不足が指摘されるなか、Kull-na Shuraka’(11日付)は、砂糖の供給不足が、生活必需品の販売取引を独占する「マフィア」のタリーフ・アフラス氏が配給制限していることに起因すると報道。アフラス家はアレッポ、ハマー、ヒムスの名望家でアスマー・アフラス氏はバッシャール・アサド大統領の夫人。

Kull-na Shuraka', August 11, 2011
Kull-na Shuraka’, August 11, 2011

ヒムス市の住民らが、ヒムス市住民連帯委員会発足を宣言し、ヒムス市の様々な社会集団、階級、階層に和解と改革のための対話を呼びかけた。バアス大学理学部のザカリヤー・ズィラール教授らが署名・参加。

レバノン

レバノン民主党のタラール・アルスラーン党首がシリアを訪問し、ムハンマド・ナースィーフ副大統領と会談。最近のシリア・レバノン情勢について協議。

ベイルート県中心に位置するハムラー地区のシリア大使館前でレバノン・イスラーム集団の支持者によるシリア国民支持デモとアサド大統領支持者が衝突。

ベカーア県のマジュダル・アンジャル、カーミド・ルーズ、ジュッブ・ジャニーンなどシリア国民との連帯を求めるデモが夜の礼拝後に発生。

アラブ・レバノン青年党が声明を出し、「シリアに対する陰謀の拠点、通過地とならないという憲法の規定に対する明確な態度」を示すようナジーブ・ミーカーティー内閣に求めた。

そのほか

バラク・オバマ米大統領は昨日、トルコのタイイップ・レジェップ・エルドアン首相との電話会談で、「民主制への移行」の必要、「今後数日間の両国による情勢監視の強化」を行うことで合意した。これにより、アサド政権にアンカラが猶予を与えたことをめぐって、米国とトルコがコンセンサスに立ったことになる。しかし米高官によると、オバマ政権は近く、国内でのデモ弾圧を停止させるべく、制裁強化とともに、アサド大統領に退任を求める模様。

トルコのジャーナリスト取材チームが、トルコからシリアへ派遣された。ハマー情勢の取材を継続することが目的と考えられる。

エジプト、ヨルダンの若者たちがフェイスブック上で、両国に駐在するシリア大使を追放する署名を呼びかける運動を始めた。

カナダ首相がアサド政権によるデモ弾圧を、「蛮行」と非難。

シリア人権筋によると、サウジ人諜報員約100人がシリアのサイドナーヤー刑務所に収監されている。サウジの日刊紙『ワタン』(11日付)に対して明らかにした。かつては200人もの諜報員が身柄拘束されていたという。在リヤド・シリア大使館はサウジ人の逮捕を否定。サウジ人権協会によると、身柄拘束されている諜報員は3月半ばのデモ開始以前に身柄拘束されていた。

イラク国民議会のウサーマ・ヌジャイフィー議長は、ヌーリー・マーリキー首相およびクルディスタン自治政府の指導者たちに、シリアでのデモ弾圧を非難し、シリア政府に暴力停止を求めるよう呼びかけた。

AFP, August 12, 2011、Akhbar al-Sharq, August 11, 2011, August 12, 2011、Alarabia.net,
August 12, 2011、‘Aks al-Sayr, August 11, 2011、CNN, August 12, 2011、Damaspost,
August 11, 2011、al-Hayat, August 12, 2011, August 13, 2011、Kull-na Shuraka’, August 11, 2011, August 12, 2011、Naharnet.com, August 12, 2011、NNA, August 12, 2011、UPI, August 11, 2011、al-Watan (Riyad), August 11, 2011、Al Watan Online, August 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

治安部隊がダイル・ザウル市およびイドリブ市の制圧を完了、対シリア非難安保理議長声明に基づく事務総長報告を審議するため国連安保理非公式会合が開催(2011年8月10日)

ハマー市、ヒムス市に続き、シリア軍・治安部隊はダイル・ザウル市、イドリブ市および郊外を制圧した模様。西側諸国のシリアへの圧力にもかかわらず、バッシャール・アサド政権は着実に戦果を上げている。一方、ダーウード・ラージハ国防大臣就任に伴い、副参謀長という「閑職」に追いやられてきた大統領の義理の兄、アースィフ・シャウカト中将の動静がにわかに着目されている。シャウカト中将が参謀長の職を代行しているとの見方が浮上するなか、彼が「弾圧の顔」としての「復権」を果たすか否か今後の動きが見逃せない。

弾圧

AFPがシリア人権監視団の話として伝えたところによると、ダイル・ザウル市はシリア軍に制圧された。これまで60人が逮捕されたという(ダイル・ザウル市攻撃の資料映像)。

Akhbar al-Sharq, August 10, 2011
Akhbar al-Sharq, August 10, 2011

地元調整委員会などヒムス市の複数の活動家によると、18人が同市で軍治安部隊の銃撃でイフタール前に殺害された。うち11人がバーブ・アムル地区で、7人がインシャーアート地区でそれぞれ殺害された。AFPによると、軍治安部隊は市民に無差別発砲を行ったという。また目撃者によると、デモが行われていなかったにもかかわらず、突如銃撃が始まった。

アラブ人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長は、ダマスカス郊外県のザマルカー町、アルバイン市、ハムーリーヤ市で軍が突入、多数が逮捕された。逮捕の直前、通信が完全に遮断されたという(ダマスカス郊外アルバインでの弾圧の資料映像1、資料映像2)。

シリア人権監視団によると、イドリブ県では、トルコ国境近くのタフタナーズ市に軍・治安部隊の戦車など12輌が進入し、女性1人を殺害。またサルミーン市でも女性1人が殺害され、3人が負傷。

軍・治安部隊による治安回復作戦が振興するなか、外国の新聞・テレビ37機関の記者、特派員合計72人がシリア当局に伴われ、ハマー市を訪問した。AFP特派員によると、朝、軍の車輌数十両がハマーを撤退するのが目撃された。撤退する兵士は「魂と血を貴方に捧げる、バッシャールよ」「アッラー、シリア、バッシャールのみ」と連呼し、「勝利」をアピールしていた、という。

SANA, August 10, 2011
SANA, August 10, 2011

アサド政権の動き

SANAによると、シリア軍部隊がハマー市から10日早朝撤退を開始。また同日昼、イドリブ市および郊外からも撤退を開始。外国記者団へのハマー市開放(上述)は、こうしたなかで行われた。

SANAによると、ダマスカス県サブウ・バハラート広場、アレッポ市サアドゥッラー・ジャービリー、ラタキア市、ジャブラ市、タルトゥース市など、各地でバッシャール・アサド大統領の改革、外国による干渉反対を求める集会が行われる。

ワリード・ムアッリム外務大臣は南アフリカ、ブラジル、インドの使節団と会談。シリアの各都市での状況が「武装テロ集団」の破壊活動によるものだとしたうえで、政府が国民対話と改革を計画していることを改めて明言した。

『アフバール』(10日付)によると、ダーウード・ラージハ参謀長の国防大臣就任に伴う新参謀長人事に関して、アースィフ・シャウカト副参謀長(治安担当)が参謀長になり、デモ弾圧の「顔」にすげられる可能性が濃厚、と指摘。シャウカト副参謀長はヒズブッラーのイマード・ムグニーヤ暗殺やイスラエルによるキバルの核疑惑施設空爆の責任をとるかたちで軍事情報局長を解任され、副参謀長という閑職に追いやられていた。

SANA, August 10, 2011
SANA, August 10, 2011

レバノンへの影響

野党3月14日勢力事務局は、アドナーン・マンスール外務大臣のシリア訪問を非難するとともに、ミシェル・スライマーン大統領に対して、駐ダマスカス・レバノン大使を召還し、対応を協議すべきだと述べる。サウジアラビアなどによる大使召還に迎合しようとする動き。

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首がシリアを訪問。ムハンマド・ナースィーフ副大統領補と会談し、最近の情勢について協議。会談後、シリアの体制の運命について心配はしていない、と述べた。

『サフィール』(10日付)によると、ベイルート港のソリデール社のマリーナからバーニヤースへの武器密輸事件に関して、すでに逮捕された3人に対する調査が進んだ。治安筋によると、主犯格のM.A.の消息不明。M.A.はレバノン北部に住むとされる。「彼は北部県の3月14日勢力の指導者たちときわめて近い人物だ」。

ビカーア県のマジュダル・アンジャル、サアドナーイル、タアルバーヤーでシリア国民との連帯を求める夜間デモが行われ、それぞれ数十人の若者が参加。

そのほか諸外国の動きなど

対シリア非難安保理議長声明に基づく事務総長報告(現地での民間人への暴力行使、トルコ、レバノンへの避難民を憂慮)をめぐる審議を行うための国連安保理非公式会合が開かれる。

西側諸国は事務総長に来週再度報告を提出するよう求めた。また英仏独ポルトガルの代表は、来週の会合までにシリア情勢に改善が見られない場合、安保理は追加措置をとる必要があるとの立場を示した。米国もまた、スーザン・ライス大使が欧州諸国とともにアサド政権への追加制裁を行う意思を示した。

しかしロシアは、「我々は自制、改革、対話を呼びかけている」と述べ、反体制勢力がアサド政権との対話を拒否し続けることを批判した。

これに対してシリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、シリア情勢と英国での暴動を比較し、「英国首相が、暴徒について言及し、彼らをギャングと呼ぶことに耳を傾けることは有用である…。我々には我が国の武装テロ集団について言及する際、同じ言葉を用いることが許されていない。これは偽善であり、傲慢だ」と反論した。

国連のスーザン・ライス米大使は、国連安保理会合前に、アサド政権が「正統性を失った」、「彼がいない方が状況はシリア国民にとってよくなる」と述べた。また米国が現在、国連人権委員会や、国際刑事裁判所への人道に対する罪、戦争犯罪での起訴を検討していることを明らかにした。

一方、米財務省はシリア国営のシリア商業銀行、同行のレバノン支店であるシリア・レバノン商業銀行、携帯電話会社シリアテル(ラーミー・マフルーフのシャーム・ホールディングスが筆頭株主)を制裁対象に追加。

フランス外務省副報道官は、国連安保理でのシリア非難議長声明に基づき潘基文国連事務総長が安保理に提出したシリア情勢に関する報告について、シリアは「国連安保理のメッセージを無視し続けることはできない」と述べ、アサド政権による弾圧を改めて非難。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はAKP党員との会合で、10日に駐ダマスカス・トルコ大使がハマー市を訪問したと述べ、同市からシリア軍が撤退を始めたことを明らかにした。首相はこの動きをトルコのイニシアチブの結果と自賛。また火曜日のダウトオール外相の訪問に関して、「我々は昨日、アサド大統領に、これらの都市を外交官やメディアに開放することが重要だと述べた」とし、報道の自由が国際社会や国民に政権のパフォーマンスを評価させることを可能にするとの見方を示した。

また、駐ダマスカス・トルコ大使がハマー市訪問・視察。

アルジェリア外務省報道官は、シリアでのデモに関して、暴力の応酬への遺憾の意を表明する一方、すべての当事者に自制を求め、危機回避のための包括的国民対話と政治改革の実行を呼びかける。

モロッコ外務省は声明を出し、シリアでの暴力激化への懸念を表明。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナルは国連安保理にさらなる圧力を求める。

al-Akhbar, Augusut 10, 2011、Akhbar al-Sharq, August 10, 2011, August 12, 2011、AFP,
August 10, 2011、BBC, August 10, 2011、DamasPost, August 10, 2011、al-Hayat, August 11, 2011, August 12, 2011、Kull-na Shuraka’, August 10,
2011、Naharnet, August 10, 2011、Reuters, August 10, 2011、al-Safir, August 12, 2011、SANA, August 11, 2011、UPI, August 10, 2011などをもとに作成。

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トルコのダウトオール外相がアサド大統領と会談、反体制派に対する軍事作戦の停止をめぐって「最後の警告」を伝える(2011年8月9日)

トルコのアフメット・ダウトオールがシリアを訪問し、暴力停止を求めてバッシャール・アサド大統領に「最後の警告」を発するなか、シリア国内では軍治安部隊がダイル・ザウル市、ハマー市郊外、イドリブ県、ダマスカス郊外県などで治安回復作戦を継続し、多数の市民を殺害した。

一方、トルコとの関係が悪化するなか、アサド政権がPKKの残党を利用して、シリア国内の反体制活動家を脅迫しているとの見方も浮上した。

さらにサウジアラビアのアブドゥッラー国王がアサド政権による暴力行使を非難したのを受けるかたちで、レバノン国内では、アサド政権との関係をめぐって、ナジーブ・ミーカーティー内閣を構成する3月8日勢力と野党の3月14日勢力との対立が表面化している。

シリア国内情勢

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市では、早朝から、ハウィーカ地区、クスール地区、ジュバイラ地区で激しい銃声。また捜索・逮捕がハウィーカ地区で重点的に行われ、17人が殺害。複数の活動家によると、ダイル・ザウル市の市街地には遺体が散乱しているという。

シリア革命調整連合によると、ハマー市郊外のタイバト・イマーム市にも軍・治安部隊が突入。同村のジャウワーシュ病院から5遺体が搬出され、そのなかには子供2人(6歳と12歳)の遺体も含まれていた、という。また数十人が負傷した。同地の弁護士によると、「ハラファーヤー市、タイバト・イマーム市周辺に戦車50輌が展開している」。またシリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長によると、タイバト・イマーム市で4人が殺害された。

シリア人権国民機構によると、ハマー市北部のスーラーン市に軍・治安部隊が戦車などで進入、26人が殺害、数十人が負傷。

シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長によると、軍・治安部隊はイドリブ県のビンニシュ市、サルミーン市にも攻撃。シリア人権国民機構によると、イドリブ県ビンニシュ市では4人が殺害。シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がビンニシュ市、サルミーン市に突入し、2人を殺害。

シリア人権監視団によると、ヒムス市では一昨日夜、15000人がマルアブ街道でデモを行った。また、ヒムス市で逮捕された市民3人が拷問を受け死亡。遺体は9日に家族に引き渡された。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外のザマルカー町、アルバイン市では車の往来が禁止されている。またザマルカー町では通信が朝から遮断されている。

**

こうしたなか、反体制活動家による声明発表が相次いだ。

アラウィー派宗徒が声明を発表。反体制デモを支持するとともに、バッシャール・アサド政権がアラウィー派を代表してないと強調し、賛同者に同声明の署名を求めた。声明発表時の署名者人数は4人。

シリアの反体制有識者、活動家ら数十人が共同声明を発表し、「シリアでの民間人に対する集団虐殺」を非難。声明に署名した主な有識者は、イブラーヒーム・マーフース氏、イブラーヒーム・ダルウィーシュ氏(シリア・クルド国民行動ユニット)、ハビーブ・ハッダード氏、ズハイル・サーリム(シリア・ムスリム同胞団報道官)、アリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー(シリア・ムスリム同胞団前最高監督者)、ムハンマド・リヤード・シャカファ(シリア・ムスリム同胞団最高監督者)、ハイサム・マーリフ(シリア人権協会)、ハイサム・ラフマ(シリア革命支援国民連立)、ワリード・サフール(シリア人権委員会)などそのほとんどが在外活動家。

シリア共産主義者統一国民委員会が声明を出し、シャビーハの弾圧は、同集団が宗派的な性格を持っているために、事態をさらに複雑化すると指摘。治安部隊などによる弾圧の停止を求めた。

シリア反体制政党国民調整委員会を名乗る政治同盟のハーズィム・ナハール報道官は、「シリア人は今日、心理的な支援を必要としており…、リヤードが表明した立場は、内政干渉にはあたらない」と述べ、サウジアラビアのアブドゥッラー国王の8日の声明への支持を表明。

シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリムが声明を出し、民間人への弾圧を非難し、大使を召還したサウジアラビアのアブドゥッラー国王やGCC諸国の対応を評価。

シリア・クルド人権一般的自由擁護機構(DAD)、シリア人権国民機構、シリア人権機構(Maf)、シリア・アラブ人権機構、シリア・クルド人権委員会(監視団)、シリア民主的自由人権擁護諸委員会(CDF)が共同声明。弾圧継続を非難。各地での死者の氏名を公開。

シリアとトルコの関係が悪化するなか、ハーフィズ・アサド前政権がPKKを対トルコ政策、対クルド政策に利用したのと同様、バッシャール・アサド政権が国内のクルド民族主義勢力を利用している、とトゥルキー・ジスル氏がKull-na Shuraka Suriya(9日付)の論説で主張。同氏によると、シリア国内のPKK残党や支持者はシリア民主統一党(PYD)を結成し活動を継続。3月にシリアでデモが始まって以降、シリア民主統一党はデモを指導する調整委員会を脅迫し続け、活動家を誘拐、暴行している、という。

アサド政権の動き

トルコのダウトオール外務大臣はダマスカスでアサド大統領と会談した。

Kull-na Shuraka’(9日付)などによると、ダウトオール外務大臣は民間人弾圧を目的とした軍事作戦の停止を求めるとともに、自らの訪問が、シリア政府に対する「最後の警告」だと告げる。これに対してアサド大統領は、「我々は妥協しない。もし戦線布告を受けたら、地域戦争も辞さないだろう」と述べ、内政干渉を改めて拒否。

しかし、ダウトオール外務大臣は会談後の記者会見で、近日中に重要な改革措置がとられることを期待している、と述べた。複数の消息筋によると、4時間にわたる会談では、当初緊張に包まれていたが、会談を終えたダウトオール外務大臣には笑顔も見られた、という。

ダウトオール外務大臣によると、会談では、シリア情勢をめぐって詳細に議論、トルコ側の見解、シリアへの要求を伝える一方、シリア政府による改革措置についても議論。また信頼できる消息筋によると、議題のなかには、改革の一環として、トルコによる政権と反体制勢力の仲介もあったが、アサド大統領は「武装テロ集団」への断固たる対応をとるとの意思を示した。

この点に関して、SANAは「祖国の安定と国民の安全を守るため、武装テロ集団追跡に妥協しない」という点を確認するとともに、「包括的改革措置を完了するための立案も行われている」点が会談において強調されたと伝えた。

フェイスブックの「シリア革命2011」によると、ダウトオール外務大臣は、ダマスカスのマイダーン地区のモスクを訪問し、イフタール後の礼拝を行うとともに、抗議行動を行う市民の要求に耳を傾けた。

トルコ高官筋が『ハヤート』(11日付)に明らかにしたところによると、ダウトオール外務大臣はアサド大統領との会談で、暴力停止がなされなかった場合、トルコがとるであろう一連の措置について伝えたという。トルコで記者団に対して、アサドとシリアでの流血停止と民主的改革実行の方途について議論した、と述べる。

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アリー・ハビーブ前国防大臣がシリア・アラブ・テレビに出演し、退任の挨拶。退任の理由が健康状態の悪化にあると述べる。しかし『シャルク・アウサト』(9日付)が西側外交筋の話として伝えたところによると、ハビーブ前国防大臣はハマーでの弾圧に再三にわたって反対したために国防大臣を解任された、という。

SANAによると、ダイル・ザウル市で武装テロ集団の発砲により、市民1人が死亡、3人負傷した。

ナーディル・ハサン・カッターンを名のるハマーの武装集団メンバーの1人がシリア・アラブ・テレビで、警察署を襲撃し、武器を強奪、警官を殺害したと証言した。

サウジアラビアのアブドゥッラー国王の8日の声明発表を受け、シリアの主要各紙がその姿勢を強く批判。『ワタン』(9日付)は、武装テロ集団の存在、改革政策を無視している、と非難。『サウラ』(9日付)は「米国の要請に応えた声」と非難。

SANA, August 9, 2011
SANA, August 9, 2011

 

レバノンの動き

ナジーブ・ミーカーティー内閣は閣議で、シリアへの武器密輸を阻止することで合意。これは進歩社会主義党/国民党争ブロックの閣僚が問題提起し、閣内で合意した。

自由国民潮流のミシェル・アウン代表はシリア情勢に関して、「殺人や虐殺ではなく、投票に訴えるべき」と述べ、改革を求める一方、「テロを行っているのは武装集団であり、彼らが言うように、国家ではない」、「シリアがトルコ国境はアラブ諸国の国境で害を与えているとは思わない」とアサド政権の弾圧に一定の理解を示した。そのうえで、国際社会の動きが、「改革ではなく、イラン、ヒズブッラー、ハマースとの関係を絶たせシリアと交渉するための圧力」と非難した。

SANA, August 9, 2011
SANA, August 9, 2011

『リワー』(9日付)によると、進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はシリア情勢を悲観。ジュンブラート党首はシリア情勢に対して中立の姿勢を維持しようとしているが、「改革以外に逃げ道はない、時間やチャンスを無駄にしてはならない。これはシリアの将来への賭け」と述べたという。サウジアラビアでサアド・ハリーリー前首相と会談するといった情報も流れている。

ムスタクバル潮流はアドナーン・マンスール外務大臣のシリア訪問を「忌まわしい」シリア実効支配を思い起こさせると非難。

ベカーア県内の複数の村の住民数十人が国境のマスナアに行進。アサド政権による弾圧に抗議。

『リワー』(9日付)、ヒムス県内対レバノン国境通行所でシリア当局がレバノンのトラックに積まれたライフル銃約250丁を押収。トラックはシリア経由でイラクに向かう途中だったとされるが、シリア当局は反体制デモへの武器を供与しようとしていたと断じた。なおレバノン司法当局筋によると、これ例外にも、3人のレバノン人がベイルートで、バーニヤースへの武器密輸を試みて逮捕されたという。『ハヤート』(9日付)によると、この3人の車からカラシニコフ銃6丁が押収された。

各国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ワリード・ムアッリム外務大臣と電話会談し、暴力行為の停止が最優先事項とのロシアの立場を伝える。

エジプトのムハンマド・アムル外務大臣はシリアが「戻れないところに向かっている」と述べ、暴力停止に向けて早急な措置を講じるよう呼びかける。

イラク国民議会のウサーマ・ヌジャイフィー議長は、シリア政府に対して「流血を停止するための大胆な対応」を行うよう呼びかける。

国連安保理は今日、潘基文事務総長からシリア情勢に関する報告を受ける。ニューヨークの複数の消息筋によると、インド、ブラジル、南アフリカの国連代表は、シリア高官に今日、「国際社会の立場は、暴力の拒否と即時改革要求という点で統一されている」ことを伝えるとのこと。

AFP, August 9, 2011、Akhbar al-Sharq, August 9, 2011, August 10, 2011、AKI, August 9, 2011、facebook、al-Hayat, August 9, 2011、August 10, 2011, August 11, 2011、Kull-na Shuraka’,
August 9, 2011, August 10, 2011、al-Liwa’, August 9, 2011、Naharnet.com, August 9, 2011、Reuters, August 9, 2011、SANA,
August 10, 2011、al-Sharq al-Awsat, August 9, 2011、al-Thawra, August 9, 2011、UPI, August 9, 2011, August 10, 2011、al-Watan, August 9, 2011をもとに作成。

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ヒムス市に軍部隊が重点的に展開、市内の人権状況は「劣悪」に(2011年7月24日)

シリア政府の動き

SANA(7月24日付)によると、シリア大統領は、ダイル・ザウル県のフサイン・アルヌース県知事をクナイトラ知事に異動し、サミール・ウスマーン・シャイフ氏をダイル・ザウル県新知事に任命した。

SANA, July 24, 2011
SANA, July 24, 2011

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シリア・アラブ・テレビ(7月24日付)は、22日のダイル・ザウルでの反体制デモに関して、「55万人以上」が参加したとのシリア人権監視団の発表を否定、「デモにはせいぜい2,000人が参加しただけだ」と伝えた。

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SANA(7月17日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市の住民273人が避難先のトルコから自宅に帰宅した。

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SANA(7月25日付)によると、アレッポ市、タルトゥース市などで、アサド大統領の包括的改革プログラム支持、外国の干渉拒否を訴える集会が開かれ、多数の市民が参加した。

国内の暴力

アレッポ県では、アフバール・シャルク(7月25日付)によると、タッル・リフアト市で早朝、25人が逮捕された。

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ヒムス県では、シリア人権連盟によると、ヒムス市ファーフーラ地区、ナーズィヒーン地区周辺に軍部隊が重点的に展開し、軍事・治安作戦の準備を進めた。

また複数の人権活動からによると、戦車9輌が空軍情報部交差点方面からヒムス市内に進入し、ハーリディーヤ地区とクスール地区間に結集した。

シリア人権監視団によると、医療物資、食糧物資、人道支援を包囲された住民に提供することが困難ななか、市内の多くの地区、とりわけバーブ・スィバーア地区、ハーリディーヤ地区の人権状況は「劣悪」となっている。複数の住民によると、ヒムス市は実質的に「孤立地域」に分断され、治安部隊が大規模に展開し、逮捕が続けられるなかで市内に入ることは困難となっているという。

**

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、数百人がルクン・ディーン区、カーブーン区で逮捕された。

またマイダーン地区で未明に三つの夜間デモが発生した。

デモが行われたのは、マージド・モスク、ダカーク・モスク、マンスール・モスク近くで数千人が参加した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市の入り口で住民がデモを行い、国際幹線道路を閉鎖しようとしたが、軍部隊が発砲、強制排除した。

その後、治安部隊が家宅捜索を行い、15人以上を逮捕した。

シリア人権監視団によると、サラーキブ市では連日反体制デモが行われてるという。

レバノンの動き

ナハールネット(7月24日付)によると、ベイルート県のクウェート大使館前で、アサド政権を支持するシリア人と、反体制運動を支持するシリア人がデモを行い、衝突した。

AFP, July 24, 2011、Akhbar al-Sharq, July 24, 2011、July 25, 2011、July 25, 2011、al-Hayat, July 25, 2011、Kull-na Shuraka’, July 24, 2011、Naharnet, July 24, 2011、Reuters,
July 24, 2011、SANA, July 24, 2011などをもとに作成。

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ヒムス県内の混乱が継続、ワタン紙は「ヒムス市は悪夢のなかにいる」と報じる(2011年7月19日)

国内の暴力

ヒムス県では、『ハヤート』(7月20日付)によると、ヒムス市で18日以降、軍・治安部隊によって、少なくとも17人の民間人が殺害された。

これに関して、シリア革命調整連合に属するヒムス国内調整委員会のアブドゥッラーを名乗る活動家は、被害者のうち7人は、17日の犠牲者の葬儀の参列者だったと発表した。治安部隊によって一昨日殺害された10人の葬儀(ハーリディーヤ地区)に参列している会葬者だったと述べた。

複数の活動家らによると、市内のほぼすべての地区で電気が不通となっており、市民を無差別に狙撃する「暗殺師団」が展開、ヘリコプターが旋回しているという。

シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表は「ヒムス市住民は、宗派主義的対立が発生しているとの親体制勢力側の噂を非難している。実際のところ、治安機関、民間人の服装をした軍部隊が市民を攻撃している」と綴った。

これに対し、『ワタン』(7月19日付)は「ヒムス市は悪夢のなかにいる」と題した記事を掲載、「ヒムス市は日々、地区どうしが数分にわたって衝突を繰り広げている。その被害は甚大で、理由もなく血が流され、恐ろしい光景を目の当たりにしている」と報じた。

レバノンの動き

AFP(7月19日付)によると、ヒムス県から北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方にシリア人約300人が避難した。

イラクの動き

アンバル県のイラク治安筋は、シリアのダイル・ザウル県ブーカマール市とイラクのカーイム市国境を結ぶタナフ国境通行所を閉鎖したと発表した。

諸外国の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、アサド大統領との会談に関して、「訪問の目的は、対話、変革・改革実施の重要性の明示にあり、この重要性は会談を通じて明示された」と述べた。

AFP, July 19, 2011、Akhbar al-Sharq, July 19, 2011、al-Hayat, July 20, 2011、Kull-na Shuraka’, July 19, 2011、Naharnet, July 19, 2011、Reuters, July 19, 2011、SANA, July 19, 2011などをもとに作成。

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ダマスカス県で「第1回世俗主義大会」が開催、ダマスカス県ではアサド大統領を支持する数十万の市民が広場に集結(2011年7月17日)

反体制勢力の動き

『ハヤート』(7月18日付)によると、ダマスカス県で「第1回世俗主義大会」が開催され、「共生」のスローガンのもと約100人が参加した。

SANA, July 17, 2011
SANA, July 17, 2011

シリア人権ネットワークと世俗主義青年運動が主催したこの大会は「世俗主義国家(建設)を今後の段階を指導するための唯一の解決策として提示することでシリア社会の各層の結束を強化する」ことをめざしている。

シリア民主党のムスタファー・カルアジー書記長は「世俗主義は社会的要請であり、政治的なお飾りなどではない」と述べ、「世俗主義は、政治と宗教の関係を調整する手段であり、民主国家は世俗主義なしには存在し得ない」と強調した。

一方、大会主催者の一人でシリア人権ネットワークのイリヤース・フルヤーニー氏は「世俗国家はすべての宗教と思想を擁護することを保障するのに対し、宗教国家は他者を認めず、宗教的統治のもとで多元主義を敵視する」と述べ、「民主主義は世俗国家のもとでなければ実現しない」と力説した。

世俗主義青年運動を指導するリーン・ミールーさんは「イラクの多元主義がそうであったように、シリアの多元主義を擁護できるものは世俗主義以外にない」と述べた。

大会閉幕声明では、人権最高会議の結成、言論犯・政治犯、裁判を受けていないすべての逮捕者の即時釈放が確認された。

また避難民の強制帰還、職を失った人々への任意の補償を呼びかけた。

現下の危機的状況に関して、閉幕声明は、祖国救済のための対話のテーブルにつき、危機を脱却することを各団体に呼びかけるとともに、人権を口実とした外国の干渉を拒否した。

また寛容の文化、意見の相違の受容、あらゆる排他的・優越主義的な行為の停止の必要を強調し、変化を国民的ニーズとみなし、民主主義を政治体制とする必要を確認した。

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トルコのイスタンブールで反体制活動家が開催していた「国民救済大会」が閉幕声明を発表して、閉幕した。

『ハヤート』(7月18日付)によると、閉幕声明では、「政権が犯した殺戮…により、政権は正統性を失った」としたうえで、「体制打倒に向けた平和的闘争の強化」、「公正な民主国家建設のための国民的オルターナティブの提示」を行うことで合意した。

声明ではまた、移行期政府「国民救済委員会」を設置し、権力の平和的移譲を行うとのヴィジョンを明示した。

国民救済委員会は、シリアのすべての階層を代表する75人のメンバーからなり、このうち50人が国内の代表者、25人が在外活動家から構成され、治安機関の解体、立憲制の確立、民主的多元的市民国家の建設をめざすという。

しかし、変革青年運動政治局のワーイル・ハーフィズ氏によると、閉幕声明に至る議事は難航したという。

ハーフィズ氏によると、シリア・ムスリム同胞団の主導のもとで進められ、参加者は在外活動家25人の国民救済委員会代表メンバーを選出したが、その権能をめぐって議論が紛糾、一部の活動家はイスラーム主義者が大会を牛耳ろうとしていると批判、これを受け国内の代表者50人も代表メンバーにすることが取り決められたのだという。

またクルド人活動家らは、体制転換後の国号を「シリア・アラブ共和国」から「シリア共和国」に変更するよう主張し、他の参加者と対立、シリア・クルド・ムスタクバル潮流が大会を脱会した。

シリア政府の動き

ダマスカス県ウマウィーイーン広場に面するオペラ・ハウスで、アサド大統領就任宣誓演説(2000年7月17日)11周年の祝典が催され、同広場周辺に数十万の市民が集まり、包括的改革プログラム支持、外国の干渉拒否が訴えられた。

また同様の集会、祝典はダマスカス県以外の各地でも行われ、各会場には数百人から数万人が参加、全長1キロを超える巨大なシリア国旗が広げられ、改革支持が訴えられた。

SANA, July 17, 2011
SANA, July 17, 2011
SANA, July 17, 2011
SANA, July 17, 2011

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SANA(7月17日付)などシリアの国営メディアは、イスタンブールでの反体制勢力による「国民救済大会」を「祖国に対する煽動」と批判した。

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SANA(7月17日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市の住民162人が避難先から自宅に帰宅した。

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SANA(7月17日付)によると、ヒムス県、ダイル・ザウル県で「武装テロ集団」に殺害された軍兵士、治安部隊隊員3人の葬儀が両県の軍事病院で行われた。

国内の暴力

ダイル・ザウル県では、複数の住民によると、1,000人以上の兵力、戦車、ヘリコプターからなる軍部隊(第4機甲師団)がブーカマール市を包囲し、進入の準備を進めているという。

al-Hayat, July 18, 2011
al-Hayat, July 18, 2011

またこれに先だって、住民数万人が前日の抗議デモに対する軍・治安弾圧に抗議し、治安部隊に離反を呼びかける行動を行い、数千人が街頭で「軍、民衆は手を携えて」とシュプレヒコールを連呼した。

『ハヤート』(7月18日付)によると、この呼びかけに呼応して少なくとも100人の空軍情報部員と装甲車4輌の両乗組員が離反し、デモ参加者に加わったという。

活動家の一人はロイター通信(7月17日付)に対して「デモ参加者は善意を示し、軍の兵員輸送車輌を退却させた。政権は、ブーカマール市を攻撃すれば激しい抵抗に遭い、イラクの部族が住民を支援するために国境の向こう側に控えていることを知っている」と語った。

別の活動家は「ブーカマール市すべてが殺戮行為後、街頭に出た。装甲車両が街の中心に入り、彼らを阻止しようとしたが、人の波に飲み込まれて、ことは終わった」と述べた。

一方、SANA(7月17日付)によると、「武装テロ集団」がブーカマール市で土曜日夜、治安要員3人を殺害した。

また『ワタン』(7月17日付)は、「武装テロ集団」がイラク国境地域で混乱を煽り、一色触発の状態に陥ったブーカマール市を攻撃する準備を行っている、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、ザバダーニー市で住民が『ハヤート』(7月18日付)に明らかにしたところによると、軍・治安部隊が家々を家宅捜索し、数十人を逮捕した。

ザバダーニー市内の医師はロイター通信(7月17日付)に電話で「治安部隊が住民を輸送車輌に押し込んでいった。逮捕は無差別で、その多くがデモとは無関係だった。障害者の男性や15歳になるその息子も逮捕された」と述べた。

一方、シリア人権連盟によると、作家で反体制活動家のアリー・アブドゥッラー氏がダマスカス南部のカタナー市での治安維持活動のなかで逮捕された。

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ヒムス県では、複数の目撃者によると、ヒムス市に戦車4輌と兵員輸送車輌が進入し、市内中心部のハーリディーヤ交差点に集結しているという。

またシリア人権監視団によると、体制支持派と反体制派がヒムス市内街区で衝突した。

この衝突は、体制支持者3人が先週、何者かに誘拐され、一昨日、家族が彼らの遺体を引き取ったことを受けて発生した。

『ハヤート』(7月18日付)によると、この衝突で少なくとも30人が死亡した。

これに関して、人権活動家は、親体制派と反体制派が市内中心部のハダーラ通りで始まり、その後周辺地区で対立が拡大したとしたうえで、犠牲者のほとんどが「狙撃兵の銃弾」で死亡したと断じた。

レバノンの動き

SANA, July 17, 2011
SANA, July 17, 2011
SANA, July 17, 2011
SANA, July 17, 2011

レバノン人女性400人以上が8台のバスに分乗し、シリアを訪問した。

これは「レバノンのマリアム夫人」キャンペーンの一環で、「国家、国民、そして愛国的立場が立ち向かっている混乱と国際社会の陰謀に直面するシリアを支援する」ことをめざしているという。

AFP, July 17, 2011、Akhbar al-Sharq, July 17, 2011、al-Hayat, July 18, 2011, July 19, 2011、Kull-na Shuraka’, July 17, 2011、Naharnet,
July 17, 2011、Reuters, July 17, 2011、SANA, July 17, 2011などをもとに作成。

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反体制活動家らが「国民救済大会」の開催を宣言するも、シリア革命調整連合がボイコットを表明(2011年7月15日)

反体制勢力の動き

「影の内閣」発足をめざすハイサム・マーリフ弁護士ら「国内外のシリア愛国主義者たち」を名乗る反体制活動家が声明を出し、「国民救済大会」を7月16日土曜日にダマスカス(カーブーン区)とイスタンブールで同時開催し、国を専制状態から民主制へと脱却させるための行程表を案出し、体制打倒というシリア世論の明確な要求に応える仕組みを検討する」と発表した。

同声明はまた、「国民救済発足委員会が大会で設置され、民主制への移行と、シリア世論が闘っている問題に対処するための行程表を策定する」と明言するとともに、同委員会が「反体制勢力の代表と革命を行う若者たち」から構成されるだろうと述べた。

『ハヤート』(7月16日付)によると、「国民救済大会」には500人以上が出席予定だという。

大会準備委員委員長兼報道担当者のハイサム・マーリフ弁護士は国内の反体制勢力代表としてイスタンブールを訪問することが決まっている。

大会には、さまざまな反体制勢力の代表が出席する予定で、そのなかには共産主義者、シリア・ムスリム同胞団、リベラル勢力、人権活動家、青年活動家などが含まれている。

出席する主な反体制活動家、活動家、作家は以下の通り:ラドワーン・ズィヤーダ、ウバイダ・ナッハース、ナジーブ・ガドバーン、イマード・ラシード、フィダー・マジュズーブ、ムハンマド・アブドゥッラー、イサーム・アッタール(元シリア・ムスリム同胞団最高監督者)。

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シリア革命調整連合はフェイスブックで声明を出し、国民救済大会が「体制に利するものであり、体制によいイメージを与えようとするものである」と非難し、大会をボイコットすると宣言した。

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市民社会再生諸委員会のファーイズ・サーラ氏はダマスカスでの国民救済大会に参加しないと述べ、委員会の他のメンバーも、参加するかしないかを自身で決める権利があると述べた。

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ダマスカス宣言執行部のサミール・ナッシャール委員長は、執行部会合で国民救済大会に参加しないことを決定したと述べた。

ナッシャール委員長は「我々は参加できないと謝罪しつつ、大会の成功を望む旨伝えた。我々は彼らに状況は現実的でなく、影の内閣構想は現実にそぐわないと伝えた。だが我々はダマスカスではなく、イスタンブールの大会にオブザーバーを1名派遣する予定である」と述べた。

国内の暴力

複数の活動家によると、各地で合わせて100万人以上が街頭に出て、政治犯の即時釈放を当局に求めた。

シリア人権監視団によると、デモ参加者数はハマー市およびその近郊で50万人を超え、ダイル・ザウル県では45万から50万人に達したという。

またダマスカス県ではカーブーン区のデモに約2万人が参加したという。

これに対し、治安部隊はデモ参加者を排除するために発砲し、少なくとも27人が死亡、数十人が負傷した。

主な犠牲者はダマスカス県カーブーン区で14人、ルクン・ディーン区で3人、ダマスカス郊外県ドゥーマー市で3人、イドリブ市で3人、ダルアー市で2人など。

レバノンの動き

『ハヤート』(7月16日付)によると、北部県トリポリ市クッバ地区のハムザ・モスク前でアサド政権退陣を求めるデモが行われ、数十人が参加した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン国務長官はシリアの情勢が「依然として未決のまま」と強調した。

イスタンブールでのリビア情勢連絡グループ会合に出席したクリントン国務長官は、「シリアの体制とシリア国民の最終的な運命は国民次第だ」と述べ、「シリアは後戻りできない」と改めて明言した。

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『ハヤート』(7月16日付)は、イスタンブールの西側外交筋の話として、西側の治安機関は、イラン政府がシリア政府によるデモ弾圧に全面支援している証拠を持っていると伝えた。

これに関連して、フランスの経済紙『Les Echos』は、イランの最高指導者アリー・ハーメネイー師が58億米ドルの資金援助を支援し、シリア経済を支えようとしているとの報告書をイラン指導部と関係があるイランのシンクタンクがまとめたと報じた。

同紙によると、ダマスカスが直面する困難な状況のなかで、イラン指導部は58億ドルの資金援助を検討、このなかには、ただちに利用可能な15億米ドル分の3ヶ月融資なども含まれているという。

AFP, July 15, 2011、Akhbar al-Sharq, July 15, 2011、al-Hayat, July 16, 2011、Kull-na Shuraka’, July 15, 2011、Naharnet, July 15, 2011、Reuters, July 15, 2011、SANA, July 15, 2011などをもとに作成。

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アムネスティ・インターナショナル会長がアラブ連盟に対し、シリアに対する措置を講じるよう求める(2011年6月25日)

反体制勢力の動き

反体制作家・出版者のルアイユ・フサイン氏は、27日にダマスカス県で「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」と銘打って反体制活動家・有識者の会合を開催すると発表した。

フサイン氏は「月曜日に、無所属の公開国民対話がダマスカスのホテルで開催され、国情や民主的市民国家への移行方法について審議する」と述べ、「招待されているのはいかなる政党、政党ブロックにも所属していない個人だ」と強調した。

また反体制作家で参加者の一人ファーイズ・サーラ氏は「会合という発想は危機の所在を特定し、その解決策を案出するのにいかに貢献できるかということにつながる」と述べた。

シリア政府の動き

SANA(6月25日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市への避難民の帰国が続き、トルコ領内に批難していた約730人が帰宅した。

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SANA(6月25日付)によると、ダマスカス県カダム区で24日に武装テロ集団に殺害された治安部隊隊員の葬儀がティシュリーン軍事病院で行われた。

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SANA(6月25日付)によると、イドリブ県マルアンド村、ダルクーシュ町で、アサド大統領による包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、住民が参加した。

国内の暴力

アナトリア通信(6月25日付)によると、シリア赤新月社のアブドゥッラフマーン・アッタール会長は、「シリア人避難民が帰国を決心した際、その安全は保障する」と発表した。

アッタール会長はまた「赤新月社の名において、我々はシリア政府が彼らを処罰せず、また治安部隊の処罰に曝されないことを保障する」と伝えた。

アッタール会長はさらに、トルコ当局に対してトルコ領内の避難民キャンプへの訪問を許可することを期待していると述べたうえで、シリアへの帰国を望んでいる人たちが圧力に曝されないようにして欲しいと付言した。

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『ハヤート』(6月26日付)は、人権活動家の話として、戦車や兵員輸送車輌に支援された軍部隊が早朝、イドリブ県ナージヤ村に進入・展開したと報じた。

ナージヤ村は、イドリブ県ジスル・シュグール市とラタキア市を結ぶ要衝に位置する。

**

『ハヤート』(6月26日付)によると、各地で24日のデモの犠牲者約20人の葬儀が行われる一方、治安当局による摘発活動が続き、100人以上が未明までに逮捕された。

逮捕者のうち80人はアレッポ市マーリア市で拘束されたという。

また複数の活動家がAFP(6月26日付)に述べたところによると、治安部隊がキスワ市での葬儀に発砲し、2人が死亡した。

レバノンの動き

『フィガロ』(6月25日付)は、イラン・シリア関係を研究する専門家が西側諜報機関から得た情報として、ヒズブッラーが、イラン製のロケット弾ズィルザール、ファジュル3、ファジュル4をシリア国内からベカーア県に移送している、と報じた。

諸外国の動き

アムネスティ・インターナショナル会長はアラブ連盟に対して、リビアと同様、シリアに対しても措置を講じるよう求めた。

同会長は、シリア情勢について行動しようとしないその対応を「ダブル・スタンダード」を非難、「シリアの状況は、さらに悪化している」と述べ、対応を求めた。

AFP, June 25, 2011, June 26, 2011、Akhbar al-Sharq, June 25, 2011、Le Figaro, June 25, 2011、al-Hayat, June 26, 2011, June 27, 2011、Kull-na Shuraka’, June 25, 2011、Naharnet,
June 25, 2011、Reuters, June 25, 2011、SANA, June 25, 2011などをもとに作成。

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各地で抗議行動開始以来「最大規模」の反体制デモが発生し、「数万人が参加」(2011年6月24日)

反体制勢力の動き

複数の目撃者によると、大佐2人を含むシリア軍の士官4人が離反し、イドリブ県ヒルバト・ジャウズ村からトルコへと越境した。

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シリア政府の動き

シリア軍当局は、ダマスカス郊外県キスワ市郊外に駐留する第1師団内で将兵が離反し、師団が分裂したとの「度重なる報道」を「根拠がない」と否定した。

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SANA(6月24日付)は、軍がイドリブ県ジスル・シュグール市周辺地域への展開を完了、住民の歓迎を受けたと報じた。

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SANA, June 24, 2011
SANA, June 24, 2011

SANA(6月24日付)によると、ダマスカス県バーブ・トゥーマー地区、ダマスカス郊外県ジュダイダト・アルトゥーズ町、ダイル・ザウル市で、アサド大統領による包括的改革プログラムを支持する集会が開かれ、市民数万人が参加した。

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シリア・アラブ・テレビ(6月24日付)は、「武装テロ集団のメンバー3人がジスル・シュグール市(イドリブ県)で殺戮・脅迫行為を行い、治安本部を攻撃したと自供したと報じ、証言ビデオを放映した。

メンバーの一人は「治安本部のスタッフを殺害し、彼らの遺体を傷つけ、検問所を設置し、市民を脅迫した」と自供した。

治安拠点を攻撃した武装集団の数は700人と推計されるという。

国内の暴力

『ハヤート』(6月25日付)によると、ダマスカス県(バルザ区、カーブーン区、マイダーン地区)、ダマスカス郊外県(キスワ市、ザバダーニー市など)、アレッポ県(アレッポ市)、イドリブ県(カフルナブル市、ジャルジャナーズ町、サラーキブ市、ビンニシュ市など)、ヒムス県(ヒムス市、ラスタン市)、ハマー県、ダイル・ザウル県(ダイル・ザウル市、マヤーディーン市など)などの各所に、シリア軍が展開し、治安当局が検問所を設け、幹線道路が封鎖されるなか、金曜礼拝後に反体制デモを行い、当局による暴力行使や対トルコ国境地帯での治安維持活動に反対を表明した。

al-Hayat, June 25, 2011
al-Hayat, June 25, 2011

シリア人権監視団によると、デモは抗議行動開始以来「最大規模」で「数万人が参加した」という。

同監視団によると、ダイル・ザウル市では3万人以上、ハマー市では数万人、マヤーディーン市では数千人、イドリブ県カフルナブル市、ジャルジャナーズ町、サラーキブ市、ビンニシュ市では約1万人、ヒムス県ラスタン市では約5,000人、ダマスカス郊外県のザバダーニー市では約700人、ドゥーマー市では1,500人、ダマスカス県カーブーン区では約1万2,000人がデモに参加した。

また活動家のアブドゥッラー・ハリール氏によると、ラッカ県のラッカ市とタブカ市で数百人規模のデモがあった。

さらにハサカ県の活動家ハサン・バッルー氏はAFP(6月24日付)に対して、カーミシュリー市で5,000人以上、アームーダー市で3,000人以上、ラアス・アイン市で訳1,500人がデモを行ったと述べた。

彼らは体制打倒を求めるスローガンを叫んでいたが、治安部隊との衝突はなく、ラアス・アイン市ではアサド大統領を支持するデモも行われたという。

しかし、複数の活動家と目撃者によると、治安部隊が実弾などを使用し、デモの強制排除を試み、子供2人(ダマスカス郊外県とヒムス県で1人ずつ)を含む15人以上が死亡した。

またシリア人権機構のムハンマド・イナード・スライマーン氏はAFP(6月24日付)に対して「治安部隊がデモ参加者に発砲し、キスワ市では5人が死亡、6人が負傷した」と述べた。

さらに、ダマスカス県バルザ区の人権活動家の一人は「治安部隊がデモ参加者に発砲し、3人が死亡、25人が負傷した」と指摘した。

ロイター通信(6月24日付)によると、バルザ区の住民の話として「治安部隊は最初、催涙ガスを使っていたが、その後、シュプレヒコールが続くなかで、屋上から発砲を始めた…。3人の若者が殺害され、頭と胸を撃たれた遺体2体を見た」と伝えた。

ヒムス市の別の人権活動家も「同市で3人のデモ参加者が殺害された」としたうえで、「20人以上が負傷した」と述べた。

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これに対して、シリア・アラブ・テレビ(6月24日付)は、体制を支持する行進の映像を放映する一方、ダマスカス県バルザ区で武装集団が治安部隊に発砲し、市民3人が死亡、士官1人と複数の治安要員が負傷したと報じた。

レバノンの動き

ナハールネット(6月24日付)によると、北部県トリポリ市でアサド政権の支持者と反対者の双方が座り込みデモを行い、軍・治安当局が厳戒態勢を敷いた。

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AFP(6月24日付)によると、北部県アッカール郡に負傷したシリア人8人が不法入国、その後病院に搬送された。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、アサド政権に関して「地域唯一のレジスタンス体制」だと位置づけたうえで、「アサド大統領は、武装した反乱分子がいるにもかかわらず、二度にわたって恩赦を実施し、改革を開始した。しかし彼ら(欧米諸国)は満足していない。一方、バーレーンに目を向けると、反体制派の指導者たちはナイフ1本も持っていなかったにもかかわらず、禁固刑を受けている」と述べた。

諸外国の動き

トルコのアフメット・ダウトオール外務大臣は、アサド大統領の22日の演説が「改革に向けた積極的な要素を含んでいるが、重要なのは具体的な措置をどこで実施するかであり、我々はこうした考え方のもとで(シリアとの)連絡を継続している」と述べた。

そのうえで「我々はシリアが改革実施を通じて、現状から全力で脱却することを望んでいる」と続けた。

アナトリア通信(6月24日付)が伝えた。

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『ハヤート』(6月25日付)は、トルコ当局が過去24時間で1,500人以上のシリア人がトルコ領内に避難し、これによりシリア人避難民の数が1万2,000人に達したと発表した、と報じた。

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EU首脳は共同声明を出し、「アサド政権は…自らが示した大規模改革の約束を履行せず、弾圧を選んだことで、正統性を失った」と厳しく非難した。

また「シリア政府が国民に対して行う弾圧を決して受け入れることはできず、嫌悪感をもたらす暴力行使を非難する」と続けるとともに、「トルコ国境のヒルバト・ジャウズ村でのシリア軍の作戦に大いなる懸念」を表明した。

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米『タイムズ』(6月24日付)は、軍・治安部隊によるイドリブ県ジスル・シュグール市制圧を受けてトルコに避難した住民らが、軍・治安部隊による「集団レイプ」が行われたと証言していると報じた。

AFP, June 24, 2011、Akhbar al-Sharq, June 24, 2011、al-Hayat, June 25, 2011、Kull-na Shuraka’, June 24, 2011、Naharnet, June 24, 2011、Reuters,
June 24, 2011、SANA, June 24, 2011、The Times, June 24, 2011などをもとに作成。

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ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県を含む各都市で大規模反体制デモが発生、レバノン・トリポリ市では住民どうしが衝突し死傷者が発生(2011年6月17日)

シリア政府の動き

SANA(6月17日付)は、サーリフ・アリーの子孫らが声明を出し、「サーリフ・アリーの金曜日」と銘打って反体制活動家が抗議デモを呼びかけたことに関して、「祖国の象徴を傷づける」と非難した。

SANA, June 17, 2011
SANA, June 17, 2011

またタルトゥース県シャイフ・バドル市一帯の住民も、「サーリフ・アリーの金曜日」と銘打って反体制活動家が抗議デモを呼びかけたことに抗議、ムライキブ村のサーリフ・アリー廟広場でデモを行った。

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SANA(6月17日付)によると、ハマー県サラミーヤ市で、国民統合支持を目指すデモが行われ、アサド政権支持者多数が参加した。

国内の暴力

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複数の活動家・目撃者によると、ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県、バーニヤース市(タルトゥース県)、ダルアー県、ドゥーマー市(ダマスカス郊外県)、カーミシュリー市(ハサカ県)、タルビーサ市(ヒムス県)、ラスタン市(ヒムス県)、ラタキア県などで大規模なデモが発生した。

人権活動家によると、「ハマー、ヒムスは一丸となって街頭行動を行い、ヒムスでは約10万人、ハマーでは数万人が街に出た」という。

反体制活動家はインターネットを通じて「殉教者サーリフ・アリーの金曜日」と銘打ったデモを呼びかけていた。

これに関して、地元調整委員会は、治安部隊の弾圧により少なくとも16人を殺害したと発表した。

また同委員会によると、犠牲者の1人はアレッポ市でのデモ参加者で、アレッポ市で犠牲者が出たのは2011年3月以降これが初めてだという。

なお地域別の犠牲者の内訳は、ヒムス県が9人、ダマスカス郊外県が3人、ダイル・ザウル県が2人、そしてアレッポ県が1人など。

一方、別の活動家らによると、ダルアー県ダーイル町でも2人が殺害されたという。

また『ハヤート』(6月18日付)によると、「数千人が負傷した」。

しかし、SANA(6月17日付)は、各地での抗議デモで、武装集団が警官、治安部隊隊員、住民多数を襲撃し、民間人と警官合わせて9人が死亡、70人以上が負傷したと報じた。

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アレッポ県では、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区で金曜礼拝後に発生した反体制デモの参加者数百人に向けて、治安部隊が発砲し、少年1人が死亡した。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、治安部隊はバーニヤース市で発生した反体制デモを強制排除するために発砲し、複数のデモ参加者が負傷した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月18日付)によると、軍がマアッラト・ヌウマーン市を完全制圧し、同市とアレッポを結ぶ街道を閉鎖した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(6月18日付)によると、アルバイン市でのデモでは、国連でのロシアの対応に抗議するかたちで、ロシア国旗が焼かれた。

al-Hayat, June 18, 2011
al-Hayat, June 18, 2011

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(6月17日付)によると、カーミシュリー市、アームーダー市、ラアス・アイン市で反体制デモが行われ、カーミシュリー市では4,000人、アームーダー市では3,000人、ラアス・アイン市では1,000人が参加した。

Kull-na Shuraka', June 17, 2011
Kull-na Shuraka’, June 17, 2011

レバノンの動き

北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区・ジャバル・ムフスィン地区で、住民どうしが衝突し、5人(うち兵士1人)が死亡、10人あまり(うち兵士2人)が負傷した。

衝突に先立って、トリポリ市クッバ地区、ヌール広場(アブドゥルハミード・カラーミー広場)では、「ムスリム学生連盟」とトリポリ市内の「レバノン大学在学シリア人学生」が呼びかけて金曜礼拝後に「シリア国民との団結」を訴えるデモが行われていた。

このデモにバーブ・タッバーナ地区でデモを行っていた参加者が合流、アサド政権打倒を呼びかけるシュプレヒコールを連呼する一方、ウマル・カラーミー元首相とその息子のファイサル・カラーミー青年スポーツ大臣の写真やプラカードを破るなど次第に過激化していった。

その後、バーブ・タッバーナ地区のデモ参加者は、同地区とジャバル・ムフスィン地区を隔てるシリア街道に移動し、抗議行動を継続、これに対してジャバル・ムフスィン地区の青年たちがアサド大統領の写真を掲げて対抗すると、両者の緊張が高まり、罵り合い、投石へと発展、その後突然、シリア通りのデモ参加者のただなかに手榴弾が投げ込まれ、交戦状態に入ったという。

al-Hayat, June 18, 2011
al-Hayat, June 18, 2011

複数の治安筋によると、この衝突でアラブ民主党の治安部門責任者のアリー・ファーリス氏が負傷、またバーブ・タッバーナ地区のハドル・ファーリス氏も重傷を負い、アリー・ファーリス氏は搬送先の病院で死亡した。

また休暇中だったレバノン国軍のムハンマド・アブドゥルハミード兵卒も衝突が発生した地区にある自宅近くで死亡した。

さらに一般市民のムンズィル・リファーイー氏も銃撃戦に巻き込まれ頭を打たれて死亡した。

このほか、一般市民のムハンマド・シャクラー氏も死亡したという。

その後軍が両地区に展開し、事態を収拾した。

諸外国の動き

フランスのニコラ・サルコジ大統領はベルリンでドイツのアンゲラ・メルケル首相と会談した。

会談後の記者会見で、サルコジ大統領は「フランスは、ドイツとともに、沈黙が許されず、受け入れられない弾圧行為を国民に対して行うシリア政府への制裁を強化することを呼びかけるだろう」と述べた。

またメルケル首相は、両国が安保理での対シリア避難決議支持をロシアに求めるために圧力をかける、と述べた。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、EUによる対シリア制裁対象の内容に関して「企業、銀行」などを対象にすることも検討されていると述べるとともに、既に制裁対象となっている政権高官に加えて、新たに複数の個人に制裁を科す可能性も示唆した。

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人権活動家によると、トルコに逃れたシリア人避難民が、トルコ当局による隔離政策に抗議してハンストを開始した。

同活動家は「ヤイラダーイ(ハタイ県)・キャンプで避難民たちは金曜礼拝後からハンストを始めた」と述べた。

また「彼らは(親戚・知人などへの)訪問を禁じ、アサド政権に反対するデモを禁じ、外国に連絡できないようにしており、これに抗議している」と付言、さらにトルコの警備兵が避難民に暴行を加えていると非難した。

AFP, June 17, 2011、Akhbar al-Sharq, June 17, 2011、al-Hayat, June 18, 2011、Kull-na Shuraka’, June 17, 2011、Naharnet, June 17, 2011、Reuters, June 17, 2011、SANA, June 17, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

英国とトルコが国連安保理でシリア非難決議の採択をめざすことで合意(2011年6月13日)

シリア政府の動き

暴力調査委員会(5月末にアサド大統領の指示を受け設置)は、ダルアー県でのデモ参加者への対応をめぐって、政治治安部ダルアー支部長のアーティフ・ナジーブ少将とファイサル・クルスーム前県知事に渡航制限を科した。

同委員会の委員長を務めるムハンマド・ディーブ・マクタリン判事は、ダルアー県で100人以上に聴取を行ったと発表し、同委員会支部が現在も活動を続けていると述べた。

またラタキア県の委員会支部は200件以上の事件を、タルトゥース県の支部はバーニヤース市での事件50件以上を、そして委員会本部も約60件の事件を調査していると付言した。

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SANA, June 13, 2011
SANA, June 13, 2011

シリア・アラブ・テレビ(6月13日付)やSANA(6月13日付)は、軍が完全制圧したイドリブ県ジスル・シュグール市で、武装集団によって殺害された軍・治安部隊兵士多数が遺棄されている「集団墓地」が発見されたと報じ、その映像、写真を公開した。

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また、シリア・アラブ・テレビは軍による治安回復を歓迎する市民のインタビュー映像を放映した。

国内の暴力

12日に軍が「完全制圧」したとされるイドリブ県ジスル・シュグール市および同市周辺の状況に関して、『ハヤート』(14日付)は、子供や女性を含む市民が殺害され、多数が逮捕されたとの複数の目撃者の証言を伝えた。

al-Hayat, June 14, 2011
al-Hayat, June 14, 2011

トルコ国境に逃れた避難民たちによると、シリア軍は12日、ジスル・シュグール市東部から掃討を開始し、18歳から40歳の男性数百人を逮捕したという。

またロイター通信(6月13日付)は、避難民からの情報として、軍の戦車が12日の掃討作戦で、ジスル・シュグール市内の二つのモスクを砲撃し、逃げようとした住民3人(男性1人、女性1人、子供1人)が死亡したと伝えた。

レバノンの動き

レバノン国軍のハサン・アイユーブ准将は、シリア・レバノン国境に違法な武装集団が展開しているとの情報を否定した。

『リワー』(6月13日付)が報じた。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、シリア人避難民10,000人以上がトルコ、レバノンへの避難を余儀なくされていると述べ、警鐘を鳴らした。

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アナトリア通信(6月13日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市一帯からトルコに逃れた避難民の数が6,817人に増えたと報じた。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、米国がシリアでの新たな暴力行使を「強く非難する」と発表、アサド政権に「政治的対話」を行い、シリア国民にその退陣の是非についての意見を表明させるよう求めた。

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al-Hayat, June 14, 2011
al-Hayat, June 14, 2011

スコットランド在住の米国人学生は、自らがシリア人反体制女性ブロガーでレズヴィアンのアミーナ・アブドゥッラー・アッラーフになりすましていたと発表した。

この「女性ブロガー」については、CNNなどが6月8日にダマスカスで治安当局によって誘拐されたと大々的に報じていた。

この学生は謝意を述べつつ、アミーナ・アブドゥッラー・アッラーフというシリア人女性が実在せず、自らがネット上でねつ造した架空の人物であることを認めた。

ねつ造を認めたのは、エジンバラ大学修士課程に在籍するトム・マクマスターさん(40歳、妻帯)。

マクマスターさんは今月7日(火曜日)、アミーナのいとこを名のる男性だと偽って、インターネット上に、彼女が外出中に3人の武装した男たちに誘拐されたと書き込んでいたという。

これを受け、反体制活動家らは、フェイスブック上に「アミーナ・アブドゥッラーを解放せよ」というグループを立ち上げ、約15,000人が賛同していた。

『ハヤート』(6月14日付)によると、ねつ造の事実を知った反体制活動家や賛同者は怒りを露わにしており、サーミー・ハマウィーを名のる男性は、自らが編集するgaymiddleeast.comで「恥を知れ、マクマスター…。お前がしたことは、多くの人々に迷惑をかけ、我々全員を危険にさらすことになった」と記したという。

またアミーナ釈放を求めるフェイスブック上のグループにコメントした一人は、「激しい怒りを感じる」と書き込んだ。

また別の一人は「シリア情勢は悪化しており、このような遊びの余地はない」と書き込んだ。

さらに別の一人は「シリアで起きている非常に重要な出来事に割くべき時間と努力を無駄にされた」と書き込んだ。

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アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は記者団に対し、シリア情勢に関して「民間人の犠牲者が増えるなか、すべてのアラブ諸国の懸念と怒り」を高めているとしたうえで「事態がこのまま放置されることは受け入れられない」と述べた。

UPI(6月13日付)が伝えた。

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英国のデヴィッド・キャメロン首相はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相と電話会談し、国連安保理でシリア非難決議の採択をめざすことで合意した。

AFP, June 13, 2011、Akhbar al-Sharq, June 13, 2011、al-Hayat, June 14, 2011、Kull-na Shuraka’, June 13, 2011、al-Liwa’, June 13, 2011、Naharnet, June 13, 2011、Reuters, June 13, 2011、SANA, June
13, 2011、UPI, June 13, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍がジスル・シュグール市を「完全制圧」、同作戦を受け約10,000人の避難民がトルコ・シリア国境地帯に流入(2011年6月12日)

反体制勢力の動き

一方、シリア人権監視団は、2011年3月半ば以降の死者数が1,626人に達していると発表した。

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同監視団によると、このうち1,289人が民間人で、残りが軍、治安部隊隊員、警官だという。

またイドリブ県ジスル・シュグール市への軍の突入で、123人が死亡したと主張した。

シリア政府の動き

アナトリア通信(6月13日付)によると、ダマスカス県のラウダ地区にあるトルコ大使館前で、アサド政権支持者が、シリア国内の混乱に対するトルコ政府の姿勢に抗議してデモを行った。

一部が壁を乗り越えて大使館敷地内に入ろうとしたが、治安部隊がこれを阻止したという。

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SANA(6月12日付)によると、イドリブ県で11日に殺害された軍・治安部隊の兵士の葬儀が、ヒムス県、アレッポ県、イドリブ県の軍病院で行われた。

国内の暴力

イドリブ県では、SANA(6月12日付)によると、シリア軍がジスル・シュグール市を「完全制圧」した。

同通信社によると、軍は同市の「国立病院を武装組織から奪還し、橋や街道に武装組織が敷設した爆発物やダイナマイトを撤去したのち市内に進入した」としたうえで、市内およびその周辺で「武装集団と激しく交戦し、武装集団メンバー2人を殺害、多数を逮捕し、彼らの武器を押収された」という。

また軍は「周辺の山林で武装テロ集団残党を追跡している」という。

同通信社はさらに「武装集団によって殺害・遺棄されたジスル・シュグール市の治安機関要員の集団墓地が発見された…。集団墓地で回収された遺体から武装集団が残虐行為を行ったことが分かる」ことを明らかにするとともに、「武装テロ集団メンバーの一人は、ジスル・シュグール市で虐殺を行い、警察・治安要員を集団墓地に遺棄したことを証言した」と付言、「集団墓地から10体の遺体が回収されたが、そのほとんどが頭や四肢を刃物で切り落とされ、身体中に弾痕が残っていた」と指摘した。

これに対し、AFP(6月12日付)は、複数の活動家・住民の情報として、軍が「今朝7時前に、戦車と重火器によってジスル・シュグール市への集中砲火を開始し、その後東部および南部からも攻撃を行った」と伝えた。

これらの活動家・住民によると、「爆発音が聞こえ、機関銃を搭載したヘリコプターが同市の上空を旋回」、戦車約200輌が同市一帯に展開していたという。

またロイター通信(6月12日付)などは、ジスル・シュグール市掃討時に、複数の兵士が住民への発砲を拒否して離反し、住民側に立って戦ったと報じた。

これに関して、シリア調整委員会は、士官1人と兵士15人が治安部隊を離反し、住民側についたと発表したが、その真偽は確認できていない。

レバノンの動き

ナハールネット(6月12日付)によると、ベイルート県内のクウェート大使館前でアサド政権を支持するデモが行われ、約30人参加した。

諸外国の動き

『ハヤート』(6月13日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市一帯でのシリア軍の治安維持掃討作戦を受け、トルコ・シリア国境地帯に約10,000人の避難民が流入した。

これに関連して、アナトリア通信(6月12日付)は、トルコ領内に避難したシリア人の数が5,051人に達していると伝えた。

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国連安保理で、シリア非難決議案の審議が予定されていたが、西側外交筋によると、審議の必要がないとする露中がこれをボイコットした。

ロイター通信(6月12日付)が伝えた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、スカイ・ニュース(6月12日付)に対して、安保理がシリア問題をめぐって非難決議を採択することで「明確な姿勢」を示すべきだと述べた。

ヘイグ外務大臣はまた、非難決議がアサド政権に「合法的な(国民の)要求に応え、言論犯を釈放し、インターネットを解禁し、人権高等弁務官に協力する」よう求めるものでなければならないと付言した。

AFP, June 12, 2011、Akhbar al-Sharq, June 12, 2011、al-Hayat, June 13, 2011、Kull-na Shuraka’, June 12, 2011、Naharnet, June 12, 2011、Reuters, June 12, 2011、SANA, June 12, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県で治安作戦が継続、トルコのエルドアン首相はアサド政権が「虐殺」を行っていると断言(2011年6月10日)

シリア政府の動き

反体制活動家が呼びかけた「部族の金曜日」に対抗して、シリア・アラブ・テレビ(6月10日付)は、ハサカ県のアリー・ジャースィム・アーズィル氏ら主な部族の長や名士のインタビューを放映した。

インタビューのなかで、部族長らは、暴動に意義を唱える一方、アサド政権主導による改革への支持を表明した。

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SANA(6月10日付)は、ジスル・シュグール市を占拠していた武装犯罪集団メンバー多数を軍・治安部隊が逮捕し、同地の治安と安定を回復、住民の歓迎を受けたと報じた。

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シリア・アラブ・テレビ(6月10日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市などで軍・治安部隊が住民を殺害したとの外国メディアなどの報道がウソだと証言する住民らのインタビュー映像を放映した。

国内の暴力

フェイスブックの「シリア革命2011」などが「部族の金曜日」と銘打って反体制デモを呼びかけるなか、『ハヤート』(6月11日付)などによると、ダマスカス県、アレッポ県、ヒムス県、ハマー県、カーミシュリー市(ハサカ県)、ダルバースィーヤ市(ハサカ県)、ダイル・ザウル市、ブーカマール市(ダイル・ザウル県)、バーニヤース市(タルトゥース県)、ダルアー県各所で金曜礼拝後にデモが発生した。

『ハヤート』(6月11日付)は、複数の活動家や目撃者の情報として、治安部隊はデモ参加者に対して実弾で発砲し、強制排除を試み、少なくとも市民22人が死亡したとする一方、死者数が28人を越え、そのうちの11人がイドリブ県で殺害されたとする別の活動家の情報もあると報じた。

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しかし、SANA(6月10日付)は、各地での金曜礼拝後の暴動で、多くの警官、治安部隊隊員が武装集団に銃やナイフで殺害されたと報じた。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月11日付)が、人権活動家の情報として、治安部隊がマアッラト・ヌウマーン市での大規模デモに発砲し、少なくとも11人が死亡したと報じた。

同市で殺害されたムハンマド・ダギーム氏(30歳)の父親はAFP(6月10日付)に対して、軍はヘリコプターを投入して弾圧したと証言した。

これに関して、シリア人権監視団は、治安部部隊がマアッラト・ヌウマーン市のデモ参加者を包囲する一方、「群衆によって包囲された警官の応援に駆けつけようとした軍の増援部隊を阻止すべく、デモ参加者は道路を封鎖していた」と発表した。

同監視団はまた「ヘリコプターが町の上空を旋回していた」と指摘した。

別の活動家はAFP(6月10日付)に対して「ヘリコプターが町を空爆した」と述べた。

しかし、SANA(6月10日付)は、マアッラト・ヌウマーン市内の「武装テロ集団」が治安機関本部に集中砲火を浴びせ、警察治安部隊に複数の死傷者が出たと伝えた。

一方、ジスル・シュグール市の情勢に関して、シリア・アラブ・テレビ(6月10日付)は、軍の部隊が「ジスル・シュグール直前」まで到達し、複数の「武装テロ集団」メンバーを逮捕したと報じた。

しかし、目撃者の一人はAFP(6月10日付)に対して、治安部隊がジスル・シュグール市周辺の村々を戦車で砲撃していると証言した。

またジスル・シュグール市の南15キロに位置するズィヤーラ村では、兵士が発砲し、住民を弾圧したという。

al-Hayat, June 11, 2011
al-Hayat, June 11, 2011

さらにトルコ国境を通過した避難民の一人は「ジスル・シュグール市は事実上無人と化した」と述べた。

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ラタキア県では、『ハヤート』(6月11日付)によると、ラタキア市で、治安部隊がデモ参加者に発砲し、6人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ブスル・ハリール市で、市民2人が軍の発砲で負傷し死亡した。

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ダマスカス県では、人権活動家が撮影・公開したビデオによると、カーブーン区で夜間デモが発生し、市民3人が治安部隊に殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で反体制デモが発生し、数千人が参加した。

レバノンの動き

ヒズブッラーは声明を出し、「一部のアラブ諸国とイスラエルのメディアは、ヒズブッラーがシリア一部地域で発生している武力衝突に関与しているとの噂を吹聴している」としたうえで、こうした喧伝が、「シリアとレジスタンス運動を標的とした同一の陰謀」であり「宗派間の緊張を高める」ものだと非難した。

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ナハールネット(6月10日付)によると、北部県トリポリ市で金曜の集団礼拝後にシリアのアサド政権に抗議するデモが発生し、学生ら数百人が参加した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はATV(6月10日付)に対し、アサド政権が「虐殺」を行っていると非難、抗議行動参加者への弾圧を「受け入れられない」と述べた。

エルドアン首相は「残念ながら、彼ら(シリア当局)は人道的に振る舞っていない」と述べた。

エルドアン首相はまた、アサド大統領の弟で共和国護衛隊の実質的司令官であるマーヒル・アサド大佐が人道的に振る舞っていないと批判した。

そのうえでエルドアン首相は、女性や子供を踏みつけるシリア軍兵士の映像を例に出し、「このような映像は解説する余地はなく、耐えられないものだ」と述べた。

一方、エルドアン首相はアサド大統領と電話会談し、トルコに逃れてきたシリア人避難民の状況をありのままに説明したが、大統領はシリア国内の現実とまったく矛盾した話を返してきたことを明らかにし、「アサド大統領と4、5日前に話したが、彼らは問題の深刻さを評価できていない」と付言、「こうした状況では、我々は国際社会においてシリアを擁護できない」と述べ、アンカラが国連安保理でのダマスカス非難決議を支持する可能性を示唆した。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は、トルコの文民・軍指導部が「最悪のシナリオ」に対処する準備をしている、と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、シリア国内での暴力停止を求めるためアサド大統領との電話会談を試みたが、「大統領は不在」との解答を受けたと発表した。

また潘事務総長によると、アサド大統領は事務総長からの再三にわたる電話会談の申し出に不快感を示し、最後には「あなたはなぜ私と連絡をとりたいのか」と述べたのだという。

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ロバート・ゲーツ米国防長官は「アサドの正統性に疑問の余地が生じた」と述べた。

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ジュネーブでは、赤十字国際委員会のヤコブ・ケレンベルガー総裁がシリア政府に対して、暴力が発生している地域への医療チームの「即時派遣」の申し出を行い、個人的にシリアを訪問し、当局と会見する用意があるとの意思を表明した。

AFP, June 10, 2011、Akhbar al-Sharq, June 10, 2011、al-Hayat, June 11, 2011、Kull-na Shuraka’, June 10, 2011、Naharnet, June 10, 2011、Reuters, June 10, 2011、SANA, June 10, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

英仏が露・中をけん制しつつ、アサド政権による反体制運動弾圧を非難する国連安保理決議案(修正決議案)を提出(2011年6月8日)

反体制勢力の動き

シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は『ラアユ』(6月8日付)に、イスラーム運動がシリア社会の一部をなしてているとしたうえで、立憲的、文民的、多元的国家建設をめざしていると述べた。

シリア政府の動き

SANA(6月8日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市で7日に殺害された治安部隊隊員の葬儀がラタキア市の軍事病院で行われた。

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シリア・アラブ・テレビ(6月8日付)は、当局によって傍受されたイドリブ県ジスル・シュグール市での武装集団の電話での通話の内容を公開した。

公開された通話で、武装集団メンバーらは、殺害した警官や治安部隊隊員の遺体を遺棄し、集団墓地に見せかける方法などについて話し合っていた。

国内の暴力

イドリブ県では、『ハヤート』(6月9日付)によると、ジスル・シュグール市の住民数千人が、同市への進入と制圧を準備しているとされる軍(第4機甲師団)の攻撃を恐れ、周辺の村々やトルコに避難した。

また、複数の住民によると、住民は攻撃に備えて、市内各所に障害物を設置したという。

複数の活動家や目撃者がAFP(6月8日付)に述べたところによると、ジスル・シュグール市周辺の村々は、モスク、教会、学校を開放し、避難民を受け入れているという。

人権活動家のムスタファー・ウースー氏が、複数の目撃者の情報として、AFP(6月8日付)に対し、第4師団などからなる軍部隊数千人がイドリブ県に向かっていると述べた。

レバノンの動き

AFP(6月8日付)によると、負傷したシリア人3人が北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方に搬送された。

うち1人は搬送先の病院で死亡したという。

諸外国の動き

英仏は、アサド政権による反体制運動弾圧を非難し、弾圧の責任者への制裁と人道支援を求める国連安保理決議案(修正決議案)を提出した。

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英仏が提出した安保理決議案に関して、デヴィッド・キャメロン英首相は議会で「この決議に反対票を投じたりする国が出た場合、事態はそのまま放置されることになってしまう」と述べ、安保理でアサド政権への非難決議に反対するロシアと中国を暗に牽制した。

キャメロン首相はまた「1000人が死亡し、10,000人以上が逮捕され、平和的なデモ参加者が暴力に曝されていることを示す信頼できる報告がある。こうした状況は決して受け入れられない…。こうした行き過ぎに沈黙していてはならず、沈黙しないだろう」と述べた。

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マーク・トナー米国務省報道官は、米国が英仏による安保理決議案を支持すると宣言し、「我々は安保理の他のメンバーに米国支持の姿勢を説得するよう試みる」と述べた。

トナー報道官は、こうした決議が「アサド政権にさらなる圧力をかけるものであり、シリア国民への暴力による弾圧を制限する国際社会の試みを促進する」との考えを示した。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリア人避難民に対してトルコが門戸を閉ざすことが「想定され得ない」と述べた。

エルドアン首相はまた「我々の懸念は増している…。シリア政府が改革に向けて早急にステップを踏み、市民を安堵させるよう願いたい」と述べた。

一方、アフメット・ダウトオール外務大臣はシリア政府に対して「国民が妥当だと考えられるような期限を設け、広範な政治改革に向かって」進むよう呼びかけた。

ダウトオール外務大臣はまた「シリア人は危機収束を望んでいる…。ダマスカスは(人々を満足させるような)行動計画を発表せねばならない」と強調した。

AFP, June 8, 2011、Akhbar al-Sharq, June 8, 2011、al-Hayat, June 9, 2011、Kull-na Shuraka’, June 8, 2011、Naharnet, June 8, 2011、al-Ra’y,
June 8, 2011、Reuters, June 8, 2011、SANA, June 8, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制活動家約200人がブリュッセルで「シリア革命支援国民連立大会」を開催、アサド大統領はクルド民族主義諸政党の幹部らと面会(2011年6月4日)

反体制勢力の動き

ベルギーをはじめとする欧州諸国から集まった反体制活動家約200人がブリュッセル市内のホテルで「シリア革命」を支持する大会(シリア革命支援国民連立大会)を開催し、アサド大統領に退任要求を行うデモへの血塗られた弾圧を停止するよう求めた。

アフバール・シャルク(6月4日付)によると、シリア・ムスリム同胞団前最高監督者のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー氏、ラドワーン・ズィヤード氏、中道党、シリア自由団結運動、シリア革命青年らが大会に参加した。

大会は2日間の予定で、主催者の一人で活動家のバースィム・ハターヒト氏はAFP(6月4日付)に対して「我々の目的は、アサドにメッセージを送ることであり、その内容とは「彼が本当の首領なら、自らの犯罪を止めねばならない。彼の軍隊がデモ参加者を捕らえ、拷問し続けるのなら、体制転換が不可避である」というものだ」と述べた。

また「国内のシリアの青年たちによる革命を支持すべく、反体制活動家たちは日曜日にトルコのアンタルヤ市で大会を開き、今日はブリュッセルで会合を開いている。そして明日は別の場所で革命を支持すべく集まる」と付言した。

シリア政府の動き

DP-News(6月4日付)は、複数の消息筋の話として、アサド大統領がクルド民族主義諸政党12団体の幹部と4日に会談し、国内情勢について協議することを決断したと報じた。

これに関して、シリア・クルド・イェキーティー党のフアード・アリークー氏はUPI(6月3日付)に、ハサカ県知事から、アサド大統領がクルド民族主義団体の代表らと4日に会談すると知らされたことを明らかにしていた。

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SANA(6月4日付)によると、内務省は声明を出し、4日に各地で行われた反体制デモで、市民と治安要員合わせて20人が武装集団の射殺されたと発表した。

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SANA(6月4日付)によると、「国民対話委員会」が、シャルア副大統領を議長として会合を開き、「(委員会の)門戸は国内外のあらゆる個人、国民諸組織に対して開かれている」、そして国内外のいかなる個人に対しても、対話への参加に「拒否権」は発動されないこと確認した。

委員会会合ではまた対話のしくみを活性化する方途、現下の課題への政治的解決策案出などが健闘されたという。

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SANA(6月4日付)によると、3日にダマスカス県バルザ区の自宅に帰宅する途中に武装集団に殺害された治安部隊隊員の葬儀が、ティシュリーン軍事病院で行われた。

国内の暴力

ハマー県では、『ハヤート』(6月5日付)によると、ハマー市での前日のデモで死亡した市民の合同葬儀が行われ、約10万人(シリア人権監視団発表、別の市民によると参列者は15万人)が参列した。

al-Hayat, June 6, 2011
al-Hayat, June 6, 2011

住民らによると、「治安部隊は市内にはおらず」、「交通警官もどこかに撤退してしまった」という。

また住民の1人はインターネット・サービスが再びハマー市で不通となっていると指摘した。

シリア人権監視団によると、3日の反体制デモによる犠牲者73人で、うちハマー市では48人が死亡したという。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月5日付)によると、軍ヘリコプターがジスル・シュグール市で反体制活動家らに攻撃を加え、10人を殺害した。

これに関して、SANA(6月4日付)は内務省の話として、未明から早朝にかけて「武装集団がジスル・シュグール市一帯の警察署を攻撃し、兵士1人が殉職、警察官1人が負傷、また武装犯罪集団の1人も死亡した」と伝えた。

また「複数の武装犯罪集団が、ジスル・シュグール市のズアイニーヤ公道管理センターを襲撃し、職員と交戦し、警察官のユースフ・カッスーム氏が撃たれて負傷した」という。

さらに別の集団がビダーマー町とユースフィーヤ村の警察署を襲撃し、ユースフィーヤ村では警官1人とその家族が監禁され、武器を奪われ、また別の集団がフサイニーヤ村の軍の拠点を襲撃、兵士1人と武装集団戦闘員1人が死亡したという。

レバノンの動き

ナハールネット(6月4日付)によると、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)のサッルーム地区で、アサド政権支持者がデモを行い、約700人のシリア人、レバノン人が参加した。

AFP, June 4, 2011、Akhbar al-Sharq, June 4, 2011、DP-News, June 4, 2011、al-Hayat, June 5, 2011、Kull-na Shuraka’, June 4, 2011、Naharnet, June 4, 2011、Reuters,
June 4, 2011、SANA, June 4, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハマー市、ダルアー市を含む多くの都市で「数万人」規模の反体制デモが発生、「アノニマス」は在外のシリア大使館に対するサイバー攻撃を予告(2011年6月3日)

国内の暴力

『ハヤート』(6月4日付)によると、ハマー市、ダルアー市、ダイル・ザウル市、イドリブ市、カーミシュリー市(ハサカ県)、アームーダー市(ハサカ県)、ヒムス市、ダマスカス県・ダマスカス郊外県、バーニヤース市(タルトゥース市)などで、金曜礼拝後に反体制デモが発生し、「数万人」が参加した。

al-Hayat, June 4, 2011
al-Hayat, June 4, 2011

『ハヤート』(6月5日付)によると、複数の活動家がインターネットを通じて、デモの様子を撮影したビデオ映像を公開した。

映像のなかには、参加者がヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長の写真を掲げて、アサド大統領と同盟関係にある同書記長に厳しい言葉を浴びせるものなどもあったという。

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反体制デモに対して、治安部隊が催涙弾だけでなく、実弾で強制排除を試み、民間人数十人が死亡、数百人が負傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団やロイター通信(6月3日付)などによると、ハマー市での大規模デモに対する治安部隊の弾圧で、少なくとも34人が死亡、数百人が負傷した。死者はさらに増える見込みだという。

また活動家らによると、市内の複数の病院で負傷者に輸血するための血液提供を呼びかけているという。

ハマー市の住民らによると、治安部隊と狙撃手は旧市街およびその近くのアースィー広場でデモ参加者数千人に自動小銃で発砲し、これを受けてデモ参加者数は「5万人」に再び膨れあがったという。

複数の市民はまた、狙撃手を含む治安部隊が、で数千人のデモ参加者に発砲したと述べた。活動家の一人は「彼らはデモ参加者に直接発砲した。催涙弾ではデモ参加者を排除できなかった。最初に催涙弾を使用し、その後発砲してきた」と述べた。この活動家はまたデモ参加者が「平和的に」自由を求めるシュプレヒコールを連呼し、体制打倒を求めていたことを明らかにした。別の活動家は、死者数が「50人以上になるだろう」と述べた。

一方、シリア・アラブ・テレビ(6月3日付)はデモ参加者が「約10,000人」に上ったとしたうえで、「暴徒がハマー市の政府施設を襲撃・放火し、警察部隊に反抗した破壊分子3人を殺害した」と報じた。

また、SANA(6月3日付)によると、ハマー市で数百人が反対デモを行った。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市で反体制デモが行われ、周辺地域から数千人が集まった。

一方、SANA(6月3日付)によると、県内複数でデモ集会が行われた。

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ハサカ県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、カーミシュリー市、ラアス・アイン市、アームーダー市で反体制デモが発生し、5,000人以上が参加した。

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タルトゥース県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、バーニヤース市で反体制デモが発生し、5,000人以上が参加した。

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ダルアー県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、ジャースィム市で、治安部隊がデモを排除するため空砲を発射した。

レバノンの動き

NNA(6月3日付)によると、ベイルート県ダウンタウンのウマリー・モスク内でアサド政権に反対するデモが行われ、イスラーム解放党支持者ら約200人が参加する一方、モスクの外ではアサド政権を支持する活動家ら約200人が集まり、デモを行った。

諸外国の動き

フランス外務省は声明を出し、「シリアの複数の都市の住民、とりわけラスタン市、タルビーサ市、ダルアー市の住民が、現在、非人道的な状況に直面している。彼らは水、生活物資、電気、医療サービスを奪われ、殺戮行為と無差別逮捕に曝され、それは病院内でも行われている」と非難、アサド政権に「野蛮な暴力行為の停止」を求めた。

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ニューヨークでは、国連報道官によると、潘国連事務総長がシリア当局によるデモ参加者への暴力行為激化に「深い懸念」を表明した。

国連報道官は「事務総長は、先週だけで70人以上が死亡したとされるシリアでの暴力の激化を深く懸念しており、犠牲者総数は…1,000人以上に達し、負傷者はさらに多数にのぼり、数千人が逮捕されている」と述べた。

国連がデモの死者数を発表するのはこれが初めて。

また潘事務総長は「拷問、実弾、砲撃による児童の殺害なども報告されている深刻な人権侵害状況に対して懸念」を表明し、「すべての殺戮行為に対する完全で独立した透明性のある調査の実施が行われなければならない」と述べたという。

また治安部隊と軍が行っている弾圧を即時停止する必要を強調、それによって、「すべての人々を包摂する真の対話を実現し、シリア国民が求める包括的な改革と変革を行うべき」との考えを示した。

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ハッカー集団「アノニマス」はPastebin.com(6月3日付)に書き込みを行い、在外のシリア大使館のウェブサイトに対してサイバー攻撃を行うと宣言した。

「暴君にして人権侵害者のバッシャール・アサドが…シリア国内のインターネットを遮断した」ことが攻撃の理由だという。

AFP, June 3, 2011、Akhbar al-Sharq, June 3, 2011、al-Hayat, June 4, 2011, June 5, 2011、Kull-na Shuraka’, June 3, 2011、Naharnet, June
3, 2011、NNA, June 3, 2011、Pastebin.com, June 3, 2011、Reuters, June 3, 2011、SANA,
June 3, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア・ムスリム同胞団を含む反体制勢力はアンタルヤ市で開催中の「シリア変革大会」で改めて「体制打倒」を呼びかける(2011年6月1日)

反体制勢力の動き

シリアの反体制勢力はトルコのアンタルヤ市で今日閉幕予定の「シリア変革大会」で、アサド大統領による恩赦など、政権が発表した諸措置を黙殺し、「体制打倒」を呼びかけた。

al-Hayat, June 2, 2011
al-Hayat, June 2, 2011

シリア・ムスリム同胞団指導部メンバーのムルヒム・ダルービー氏は演説で、「疑いの目をもって…政令第61号(大統領恩赦)を見たが…、それは遅きに失しており、しかも不十分である。実際に恩赦を必要としているのは、自由を求めるシリア国民なのか、国民を殺害したものなのか、と問いたい」と述べるとともに、「(恩赦の)目的はアンタルヤ大会を妨害することにある。アサドはこの決定が同胞団などへの賄賂になると考えていたのだろう」と疑義を呈した。

そのうえでダルービー氏は、「シリア解放の行程表作成」と自由、民主主義のための革命支援を主唱した。

シリア政府の動き

アサド大統領は、国民対話の基礎を作るための委員会の設置し、委員会メンバーとの会談で、シリアの政治、経済、社会生活の将来に関して「すべての国民諸勢力が自らの考えを表現する」にふさわしい雰囲気を提供するための一般的基礎を確立し、「参加拡大に寄与するような広範な変革を実現する」ことが同委員会の役割となると明言した。

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アサド大統領は決定第19号を発し、ムハンマド・ナージー・アトリー前首相に代えて、アーディル・サファル首相を進歩国民戦線中央指導部メンバーに任命した。

『イクティサーディー』(6月1日付)が伝えた。

国内の暴力

ダルアー県では、『ハヤート』(6月2日付)によると、フラーク市を軍の装甲車・戦車が砲撃し、11歳の児童マリク・ムニール・カッダーフくんを含む市民8人が死亡し、数十人が逮捕された。

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ヒムス県では、AFP(6月1日付)によると、5月31日にラスタン市で銃殺された市民の遺体数十体がヒムス市の病院に搬送された。

ラスタン市、タルビーサ市、ティールマアッラ村での4日間での死者数は36人に達するという。

一方、SANA(6月1日付)は、軍高官筋の話として、ラスタン市で、軍・治安部隊が武装テロ集団メンバー多数を摘発したと報じた。

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アレッポ県では、シリア言論犯容疑機構によると、アレッポ中央刑務所の収監者約7,000人が、「シリア国民と団結すべく反乱を起こし、監房を破壊し、複数の看守を人質にとった」が、治安部隊と兵士によって弾圧された。

同機構によると、「兵士・治安部隊千人が刑務所を包囲し、殴打や催涙ガスを使用し、総長に刑務所を制圧した」という。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がテレビ演説を行い、シリア情勢に関して「シリアで起きているのは分割だ。米国の陰謀が…成功してしまえば、この動きはサウジアラビアにさえも及ぶだろう…。しかし、シリア政府とシリア国民の意志ゆえに、この試練は乗り越えられるだろう」と述べた。

諸外国の動き

『ハヤート』(6月2日付)によると、UNICEFはシリアでの当局によるデモ弾圧で少なくとも30人が殺害されたと発表し、負傷、拘束、避難を余儀なくされているだけでなく殺害された児童たちの報告が増えていると警鐘をならした。

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『ハヤート』(6月2日付)によると、ヒューマン・ライツ・ウォッチはダルアー県でのデモ弾圧時にシリア当局が「人道に対する犯罪」を犯したと非難した。

同組織は「これほどの残虐行為をかつて見たことがない」と題した57ページからなる報告書で、治安部隊が殺害目的で発砲し、ダルアー市だけで少なくとも418人が殺害されたことを明らかにした。

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ハマースの政治局(ハーリド・ミシュアル政治局長)が5月31日、6月1日の2日間にわたり会合を開き、組織内部の対立への対応、シリア情勢などへの対応を協議した。

『ハヤート』(6月3日付)が、パレスチナの複数の消息筋から得た情報によると、会合には、ミシュアル政治局長のほか、マフムード・ズッハール氏を除く政治局メンバー(ガザ地区、西岸地区などの代表)が出席した。

シリア情勢をめぐっては、ダマスカスからの本部の移転を行わない旨、確認したという。

AFP, June 1, 2011、Akhbar al-Sharq, June 2, 2011、al-Hayat, June 2, 2011、June 3, 2011、al-Iqtisadi, June 1, 2011、Kull-na Shuraka’,
June 1, 2011、al-Manar, June 1, 2011、Naharnet, June 1, 2011、NNA, June 1,
2011、Reuters, June 1, 2011、SANA, June 1, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制デモに参加し逮捕された少年の遺体画像がSNSやメディアを通じて拡散される、反体制活動家らはさらなるデモを呼びかけ(2011年5月28日)

反体制勢力の動き

ダルアー市に対する軍・治安部隊の包囲解除を求めて4月29日に各地で行われた「怒りの金曜日」と銘打たれた反体制デモに参加して逮捕された少年ハムザ・ハティーブ君(13歳、ダルアー県ジーザ町出身)の遺体を写した動画がフェイスブック、メディアなどで公開され、反体制活動家らが、逮捕後の拷問で殺害されたと非難、抗議のデモを呼びかけた。

シリア当局は、ハムザ君とともにデモ参加者複数名を逮捕していた。

『ハヤート』(5月29日付)によると、ハムザ君の家族は5月25日に当局から遺体を引き取ったが、拷問によると見られる傷が残っていたという。

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シリア人権機構のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(5月28日付)に対して「ダルアーなどでの拷問に沈黙することはできない」と述べ、当局に「ハムザ君らに拷問を行った犯罪者の裁判」を要求した。また拷問に関する厳正な調査の開始と、犯罪者の即時起訴を求めた。

al-Hayat, May 29, 2011
al-Hayat, May 29, 2011
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さらに、「政治犯が拷問を受けて死亡したのはこれが初めてではない」と強調し、「ダルアー国立病院では、拷問によって死亡した犠牲者の遺体が7体安置されている」と述べた。

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シリア言論犯・政治犯擁護センター所長のハリール・マアトゥーク所長は、5月11日に逮捕された反体制指導者のマーズィン・ウダイ氏が、「秘密結社への加入」「国家の威信に対する中傷」といった容疑をかけられ、起訴されたと発表した。

『ハヤート』(5月29日付)が報じた。

シリア政府の動き

SANA(5月28日付)によると、27日のダマスカス郊外県ザバダーニー市での暴動で武装テロ集団によって射殺された警官2人の葬儀が、ラタキア県で行われた。

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シリア・アラブ・テレビ(5月28日付)は、ダルアー県ヤードゥーダ村の住民クサイ・ヤフヤー・シャルア氏を名乗る男性が、「軍が住民に発砲が発砲した」とするアラビーヤ・チャンネルの報道はウソだと証言する映像を放映した。

国内の暴力

『ハヤート』(5月29日付)は、反体制活動家の話として、ハムザ・ハティーブ君の父親が治安当局によって逮捕されたと報じた。

アフバール・シャルク(5月30日付)によると、この逮捕は「父親にウソの証言を強要するため」のものだという。

レバノンの動き

北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区のモスク前で約500人がデモを行い、レバノン軍がシリアでの弾圧を逃れてレバノンに避難してきたにもかかわらず拘束したシリア人を釈放するよう内閣に求めた。

デモ参加者は「あなたに血と魂を捧げる、ダルアーよ」、「あなたに血と魂を捧げる、バーニヤースよ」、「シリアの体制を転覆しよう」と連呼した。

デモにはレバノンに逃れてきたシリア人避難民数十人も参加していたという。

デモ主催者の一人であるシャイフ・マーズィン・ムハンマド氏はモスク前で『ハヤート』(5月29日付)に「我々はバッシャール・アサドの体制に反対し、シリアの反体制活動家と与する…。金曜日までに逮捕したシリア人全員を釈放せよ。さもなければより大規模なデモを行う」と述べた。

諸外国の動き

『ハヤート』(5月29日付)は、複数の外交筋の話として、イスラーム諸国会議機構が国連安保理に提出されたシリア非難決議に批判的で、決議に関与したくないと考えていると報じた。

AFP, May 28, 2011、Akhbar al-Sharq, May 28, 2011、May 30, 2011、al-Hayat, May 29, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 28, 2011、Naharnet, May 28, 2011、Reuters, May 28, 2011、SANA, May 28, 2011などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長が演説、シリア国民に対し「衝突ではなく対話の道を選ぶよう」呼びかける(2011年5月25日)

国内の暴力

ヒムス県では、SANA(5月25日付)によると、ガジャル村で武装テロ集団が治安部隊を要撃し、隊員3人が死亡した。

レバノンの動き

ハサン・ナスルッラー書記長は、2000年のレバノン南部からのイスラエル撤退11周年にあたる「解放・抵抗記念日」にベカーア県バアルベック郡ナビー・シート村で演説を行った。

al-Hayat, May 26, 2011
al-Hayat, May 26, 2011

演説のなかで、ナスルッラー書記長は、ヒズブッラーが暗殺や車爆弾に関与しているとのバラク・オバマ米大統領の非難が「シオニストたちへの忠誠を証であり、いかなる証拠にも基づいていない、これまで我々が言ってきた通り、(ダニエル・)ベルマール・レバノン特別法廷裁判長や(ダニエル・)フランセン(予審判事)が待っていることを踏まえると、米国こそが検事であり、判事であり、死刑執行人なのだ」と述べた。

ヒズブッラーのロケット弾に関するネタニヤフ首相の発言に関して、ナスルッラー書記長は「我々のロケット弾は地域の均衡のもとに存在し、誰もそれを奪うことなどできない。(イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が)レバノンやガザ地区のロケット弾について云々している間も、私は彼の目に恐怖が溢れていることが見えた」と述べた。

さらにナスルッラー書記長はアラブ諸国政府とアラブ連盟にアラブ和平イニシアチブの審議を止めるよう求め、「レジスタンス以外に選択肢はなく、アラブ民族は交渉の余地はなく、イスラエルの存在はなく、聖地のユダヤ化はない、と言っている」と明言した。

一方、ナスルッラー書記長は、シリア情勢に関して「我々はシリアの政府と国民に関することに関して、率直にコメントする…。レバノン、とりわけヒズブッラーにおいて、我々は、シリア、その指導部、バッシャール・アサド大統領、そしてシリア国民の抵抗とレジスタンスを高く評価できる…。シリアの指導部は国民とともに、必ずや改革を実施し、シリアの政治生活の新たな地平を切り開く。私個人は…バッシャール・アサド大統領が改革を信じている…。大統領には大いなる新たな改革のステップを静かにそして慎重に踏み出す用意があると思う」と述べた。

そのうえでシリア国民に「彼らの国、レジスタンス体制を維持し、求められている改革実施のため、全国民と協力する機会を指導部に与え、衝突ではなく対話の道を選ぶよう」呼びかけた。

さらにレバノン国民に対して、シリアに科せられているいかなる制裁をも拒否するよう呼びかけた。

AFP, May 25, 2011、Akhbar al-Sharq, May 25, 2011、al-Hayat, May 26, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 25, 2011、Naharnet, May 25, 2011、Reuters, May 25, 2011、SANA, May 25, 2011などをもとに作成。

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EU外相理事会がアサド大統領を含む10人の高官に制裁を拡大することを決定・発表、政府はただちにこれを非難(2011年5月23日)

シリア政府の動き

SANA(5月23日付)は、EUによる追加制裁の決定に関して、公式筋が「シリア・アラブ共和国の名のもとに」、「目に余る内政干渉…、その治安を乱し、現在および未来における人民の決定に覇権を及ぼそうとしている」と非難した。

al-Hayat, May 24, 2011
al-Hayat, May 24, 2011

またこの決定がサイクス・ピコ合意後にイスラエル国家を建設した「古びた植民地主義」が果たした約束を想起させるとしたうえで、シリアに対する「計略」、「イスラエルのユダヤ性を強化する前提」と断じた。

そのうえで「改革プログラムの貫徹の意思」と「国民的決定の独自性、完全なる主権、国民の治安および人民の未来への熱意を確固として」守る姿勢を強調、制裁への対抗措置が「犠牲のいかんにかかわらず、シリアを国民的・民族的方法から逸脱するものではない」と主張した。

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ワリード・ムアッリム外務大臣兼在外居住者担当大臣は、シリア・アラブ・テレビ(5月23日付)とのインタビューで、「EUによる追加制裁の決定が、シリアの国益を損ねるだけでなく、欧州の国益を損ねるだろう」と述べた。

また「今日シリアが(欧州を)必要としているのと同様、欧州がシリアを必要としている」と付言、欧州が「経済制裁を通じて、自らをシリア国民と対立させている」と非難した。

さらに「煽動を目的としているような制裁発動は間違っている」と指弾し、EUの決定が「古びた植民地主義国であるフランスと英国の積極的努力の末になされ、バルフォア宣言以来これらの国が果たしてきた植民地主義的役割を思い起こさせる」と述べた。

そのうえで「現在起きていることで得をするのはイスラエルではないのか?」と問いかけ、「イスラエルが和平実現を求める気運から身を引き、入植政策を継続し、パレスチナの土地を侵略しているのに、世界では誰もイスラエルを非難していない」と主張した。

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クッルナー・シュラカー(5月23日付)は、23日に予定されていた「シリア殉教者追悼支持」組織委員会による追悼デモは、内務省の開催許可を得たが、安全上の理由で中止を通達されたと報じた。

レバノンの動き

アフバール・シャルク(5月23日付)によると、ベイルート県ハムラー地区で「シリア革命殉教者追悼支持」を求めるレバノン人とシリア人のデモ行進に、アサド大統領を支持するシリア人、レバノン人が対抗、小競り合いとなった。

いずれのグループも数十人の若者からなっていた。

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ワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首は、党機関紙『アンバー』(5月23日付)で、「シリアは自国だけでなく、レバノンや地域全体に影響をもたらすような歴史的段階に来ている」と述べ、アサド大統領に改革実施を呼びかけた。

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北部県トリポリ市のサラフィー主義シャイフ、イスラーム・シャッハール氏がシリア国民との連帯を宣言した。

アフバール・シャルク(5月23日付)が伝えた。

諸外国の動き

EU外相理事会はブリュッセルの会合で、アサド大統領を含む10人の高官に制裁(資産の凍結、入国査証取得の禁止)を拡大することを決定・発表、またEU投資銀行に対して「現段階でシリアへの投資事業に合意しないよう」求めた。

声明で外相理事会は「最上層部における高官(アサド大統領)をさらなる対象とすることで、この制裁措置を強化する決定を下した」と述べた。

そのうえで「EUは、シリアの指導部が現状路線の転換を選択しない現下において、さらなる措置を延滞なく実施することを決定した」と続けた。

制裁対象となるアサド大統領とシリアの高官9人の24日にEUの官報で発表される。

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EU外相理事会はまた別に声明で、アサド政権に、国連の人権調査団や人権団体の入国許可、政治犯の即時釈放、すべての分野を包摂する国民対話の実施、真の政治改革の実施を「具体的な行程に基づき延滞なく」行うよう呼びかけた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド大統領らへの制裁拡大が「正しい判断」だと述べ、「シリアでの弾圧は続いており、重要なのは平和的に行動する権利、政治犯釈放、弾圧によらない改革路線が見られるようになることだ」との見解を示した。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、国外相との共同記者会見で約千人がシリアで殺害されたと主張、「この蛮行は停止されねばならず、シリア国民の合法的な希望は尊重されねばならない」と述べた。

また「ヘイグ外務大臣と私は、アサド政権に宛てた書簡に関して、完全に意見の一致を見ている…。殺戮、拷問、逮捕を止め、すべての政治犯と抗議行動参加者を釈放せよ。包括的で信頼できる民主的変革プロセスのため、対応すべき要求に応えることから始めよ」と付け加えた。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表は、外相理事会に先立って、シリアの体制が「真の包括的政治改革」を実施する望みがあるとの見方を示し、「(シリア)政府は今行動せねばならない」と述べた。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は「改革の道を進めば」、アサド大統領がこの制裁を回避できると述べた。

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オランダのウリ・ローゼンタール外務大臣は、シリアで「抜本的変革」が行われるため、圧力を継続することが重要と述べた。

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ヨルダン国王のアブドゥッラー2世は、NBC(5月23日付)のインタビューに応じ、そのなかでアサド大統領に国民との対話を行うよう呼びかけた。

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ヨルダンの首都アンマンにあるシリア大使館前で、ヨルダン人青年組織のメンバーら数十人がデモを行い、抗議デモに対するシリア政府の対応を非難した。

『ハヤート』(5月23日付)によると、デモはヨルダン人のみによって行われたという。

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ヨルダン・イスラーム行動戦線は声明を出し、シリアでのアサド政権によるデモ弾圧を「犯罪」と非難した。

AFP, May 23, 2011、Akhbar, al-Sharq, May 23, 2011、May 25, 2011、al-Hayat, May 24, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 23, 2011、Naharnet, May 23, 2011、Reuters, May 23, 2011、SANA, May 23, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

厳戒態勢のなか、ヒムス市、イドリブ市、バーニヤース市、ダルアー市、カーミシュリー市などで再び「数千人」規模のデモが発生(2011年5月20日)

反体制勢力の動き

シリア・ニュース(5月20日付)によると「ビラード・シャームの読誦者」のシャイフ、カリーム・ラージフ師(ダマスカス県マイダーン地区のハサン・モスクの説教師)が、治安部隊によるモスク内での礼拝者の取り締まりに抗議して、読誦者たちとともに辞職すると発表した。

 

シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(5月20日付)によると、アサド大統領は、ダルアー市バハール地区の「集団墓地」でアブドゥッラッザーク・アバーズィード氏と4人の息子が遺体で発見されたこと(15日)を受け、アバーズィード氏の未亡人に電話で弔意を示した。

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内務省高官は「ジスル・シュグール市・ラタキア市街道で水曜日(18日)晩、警察官のガーズィー・アフマド・ハッラーク氏が武装犯罪集団に打たれ、殉職した」と発表した。

SANA(5月20日付)が伝えた。

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『ナハール』(5月20日付)は、西側の複数の消息筋の話として、アサド政権がフランスと米国の駐シリア大使に、複数候補者による大統領選挙の実施などを骨子とする改革プログラム案を文書で回付した、と報じた。

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シリア・アラブ・テレビ(5月20日付)、ドゥマイル市で摘発された武装テロ集団メンバーが破壊活動を行ったことを自供する証言映像を放映した。

国内の暴力

フェイスブックなどでの「アーザーディーの金曜日」の呼びかけに呼応するかたちで、複数の都市で反体制デモが発生し、民主的改革に加えて、クルド人の政治的権利拡大やクルド語を母語として使用する権利保障などが要求された。

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『ハヤート』(5月21日付)によると、治安部隊が厳戒態勢を敷き、活動家の逮捕摘発活動を続けるなかで、デモには「数千人」が参加した。

複数の活動家や目撃者によると、大規模なデモが発生したのは、ヒムス市、イドリブ市、バーニヤース市、ダルアー市、カーミシュリー市など。

治安部隊の発砲により、少なくとも34人が死亡、数十人が負傷した。

活動家らによると、犠牲者の内訳は、ヒムス市が子供1人、マアッラト・ヌウマーン市(イドリブ県)が10人、ダルアー県(サナマイン市、ハーッラ市)が2人、ダーライヤー市(ダマスカス郊外県)が1人、ラタキア市が1人、ダイル・ザウル市が2人などだという。

しかし、SANA(5月20日付)は、内務省高官筋の話として昨日伝えたところによると、「民間人、警察官、治安要員合わせて17人が武装集団の銃弾によって殺害され…、公共機関が放火・破壊された」と報じた。

Kull-na Shuraka’, May 20, 2011
Kull-na Shuraka’, May 20, 2011
SANA, May 20, 2011
SANA, May 20, 2011

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シリア人権監視団によると「数千人のデモ参加者がバーニヤース市で街頭に出た。そのなかには、子供や女性も含まれていた」という。

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シリア・クルド人権委員会(ラースィド)のラディーフ・ムスタファー代表は「数百人がアイン・アラブ市(アレッポ県)で街頭に出た。同市の住民のほとんどがクルド人で「アーザーディー、アーザーディー」(自由、自由)と連呼した」と述べた。

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シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)のザルダシュト・ムハンマド報道官は「治安当局のパトロール隊がカーミシュリー市(ハサカ県)のアッシリア民主機構の事務所に突入し、12人を逮捕した。治安部隊はPC、文書、テープなど事務所のすべての備品を押収した」と述べた。

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『ハヤート』(5月21日付)によると、ハサカ県のダルバースィーヤ市でもデモが発生し3,500人が参加、またアームーダー市でもデモが発生し、いずれも参加者のほとんどがクルド人で、「自分の母語で話すことを望む」と書かれた旗を掲げていたと報じた。

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これに対して、シリア・アラブ・テレビ(5月20日付)は速報で「武装集団がイドリブ市郊外、ヒムス市内各所での市民の集会を利用し、民間人と警察部隊に発砲し、多くの死傷者が出た」と伝えた。

またアレッポ市、ハマー市、マヤーディーン市(ダイル・ザウル県)、ヒムス市、アームーダー市(ハサカ県)などでのデモが発生したと認めつつ、「参加者は限られていた」と報じた。

さらに、ブーカマール市(ダイル・ザウル県)の特派員は「数十人からなるブーカマールの破壊分子の一団が車4台に放火し、警察署を攻撃・破壊した…。破壊分子は刑務所を開放し、60人の収監者が逃走した」と報じた。

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SANA(5月20日付)も、複数の都市でデモが発生したとしつつ、参加者の数が「減少した」と報じた。

またSANAは、シリア軍消息筋の話として、軍・治安部隊がダマスカス郊外県のドゥマイル市で「テロ細胞」を摘発したと報じた。

同報道によると、軍…治安部隊は「合わせて大量の武器、弾薬、爆発物を応酬した。テロ細胞のメンバーが自供したところによると、これらは生活関連施設、政府・公的機関を標的とするために用意された」という。

レバノンの動き

ワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首は、『サフィール』(5月20日付)に先週のパリ訪問時のアラン・ジュペ外務大臣らとの会談内容について語った。

ガーズィー・アリーディー公共労働大臣とともにパリを訪れたジュンブラート党首は、フランス高官との会談で、「我々にとって重要なのは、強く安定したシリアがあることで、改革は安定に伴われる」と説明したという。

なおアリーディー公共労働大臣は、近くシリアを訪問し、ムハンマド・ナースィーフ副大統領補と会談する予定だという。

諸外国の動き

『ハヤート』(5月20日付)によると、ヨルダンのアンマンなど各地で、金曜礼拝後に、シリア国民との連帯を求めるデモが発生した。

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クッルナー・シュラカー(5月21日付)によると、カイロの弁護士組合がアサド政権を非難する会合を開催、在エジプト・シリア人らが参加した。

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『ハヤート』(5月21日付)によると、国連難民高等弁務官事務所報道官はジュネーブで記者団に対して、シリア国内での暴力激化から逃れるかたちで、約4,000人がトルコやレバノンなど周辺諸国に避難したとしたうえで、レバノンに逃れてきたシリア人避難民の数が1,400人に達していると述べた。

しかしヒューマン・ライツ・ウォッチによると、レバノンのシリア人避難民の数は5,000人に達するという。

またUNHCR報道官はシリアからの避難民のなかには、イラク人数百人も含まれており、その多くは「より安全」なイラクへと避難したという。

AFP, May 20, 2011、Akhbar al-Sharq, May 20, 2011、al-Hayat, May 21, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 20, 2011、May 21, 2011、al-Nahar, May 20, 2011、Naharnet, May 20, 2011、Reuters, May 20, 2011、al-Safir, May 20, 2011、SANA, May 20, 2011、Syria News, May 20, 2013などをもとに作成。

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