カーミシュリー市でクルド系青年団体主導によるデモが発生、ヒズブッラーは米国による対シリア追加制裁を非難(2011年5月19日)

反体制勢力の動き

反体制活動家はフェイスブックなどを通じて、明日20日に「アーザーディーの金曜日」(クルド語で「自由の金曜日」を意味)と銘打った反体制デモを行うと発表、参加を呼びかけた。

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シリア・クルド・イェキーティー党のアブドゥルバーキー・ユースフ書記長は『シャクル・アウサト』(5月19日付)に、「体制が、シリア国民の要請に応えるのではなく、暴力と殺戮を駆使したことで、シリア世論は体制打倒を求めるようになった」と非難した。

シリア政府の動き

アサド大統領は、ダマスカスを訪問中のクウェート投資家からなる使節団と会談した。

SANA(5月20日付)によると、会談でアサド大統領は、経済面などでの改革を実行することを強調し、クウェートなどからの新規投資を呼び込みたいとの意思を示した。

SANA, May 19, 2011
SANA, May 19, 2011

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『ハヤート』(5月20日付)は、米国による追加制裁に関して、シリア公式筋が「シリアの将来に関する決定や国民的決定を支配しようとする米国の試みに抵抗する姿勢、そして包括的改革の実施に対して、制裁は何らの影響ももたらさなかったし、今後ももたらさない」と述べたと報じた。

また同公式筋は「シリアに対する米国の措置には、一つの解釈がなりたつ。それはシリア国内の危機を継続させようと煽動しているという解釈で、それは何よりもまずイスラエルの国益に奉仕している」と付言した。

国内の暴力

ヒムス県では、軍・治安部隊が、タッルカラフ市に対して激しい砲撃を続けた。

複数の人権活動家と目撃者によると、市内では軍・治安部隊と住民との間で激しい銃撃戦いが繰り広げられ、AP(7月19日付)によると、民間人多数と治安部隊兵士19人が死亡した。

一方、SANA(5月19日付)は、軍高官筋の話として、タッルカラフ市に展開していた軍部隊が撤退を開始したと報じた。

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イドリブ県では、SANA(5月19日付)が内務省高官筋の話として、武装犯罪集団が、ジスル・シュグール市・ラタキア市街道で、警官を射殺した。

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クッルナー・シュラカー(5月19日付)によると、ハサカ県カーミシュリー市で4つのクルド青年団体が反体制デモを呼びかけ、1,500人が参加、抗議行動に対する弾圧の停止、市街地からの軍・治安部隊の撤退、憲法改正を通じたクルド人の民族としての存在の承認を要求した。

デモを呼びかけたのは、サワー青年連合、インティファーダ青年、青年運動連立、ジャズィーラ青年連合。

デモに対して、治安当局は強制排除を行わなかった。

レバノンの動き

ヒズブッラーが声明を出し、「シリアに対する米国の制裁、そしてアサド大統領個人を貶めようとする試みはきわめて政治的な決定であり、米政権とイスラエルの政体が常にめざしている、とオバマ政権が豪語する人権擁護を強化するものではない。それはシリアと指導部と人民とのやりとりを亡きものにしようとして下された決定である。なぜならシリアは常にイスラエルの占領や米国の覇権に抵抗する路線を選び、パレスチナ人民を常に支持し、米・イスラエルの指図に従うことを拒否してきたからである」と米国の追加制裁を非難した。

諸外国の動き

『ハヤート』(5月20日付)は、国連安保理で西側諸国が中心となって進めている対シリア制裁決議採択に向けた動きに関して、アフリカ外交筋の話として、ナイジェリア、南アフリカ、ガボンといった国々は決議案提出を支持するかを「躊躇している」段階にあると報じた。

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ドイツのウェスターウェレ外務大臣は、来週初めに予定されているEU外相理事会でアサド大統領に対して、資産凍結、渡航禁止といった制裁を科すべきだと提案した。

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フランス外務省報道官は、シリアにおいて「弾圧は激化している」と非難、「軍は兵舎に戻るべきだ」、と述べた。

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シリア国内で失踪後にイランでされたジャズィーラの女性記者ドゥールースィー・バールファーズ氏は、ジャズィーラ(5月19日付)で、身柄拘束中にシリアの当局の暴行を受けたと証言した。

AP, May 19, 2011、AFP, May 19, 2011、Akhbar al-Sharq, May 19, 2011、al-Hayat, May 20, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 19, 2011、Naharnet, May 19, 2011、Reuters, May 19, 2011、SANA, May 19, 2011, May 20, 2011、al-Sharq al-Awsat, May 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

当局はダルアー県の集団墓地に関する報道を「捏造である」として否定、米国務長官はシリアへの追加制裁実施の可能性を示唆(2011年5月17日)

シリア政府の動き

アサド大統領は、マンスール・アッザーム大統領府担当大臣をナクバの日の犠牲者追悼担当に任命した。

SANA(5月17日付)が伝えた。

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SANA(5月16日付)は、内務省筋の話として、各地で投降した暴動参加者の数が8,881人に達したと報じた。

彼らは恩赦に基づき、投降後ただちに釈放されたという。

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SANA(5月16日付)によると、ヒムス市で、16日にダイル・バアルバ街道で武装テロ集団に射殺された警官2人の葬儀が行わた。

国内の暴力

シリア・アラブ・テレビ(5月17日付)は、シリア内務省高官の話として、16日に一部メディアが伝えたダルアー県での集団墓地に関する報道について、「煽動ねつ造キャンペーンの一環」だと否定した。

また、SANA(5月17日付)は、15日にダルアー市バハール地区で何者かに殺害された遺体5体(アバーズィード家の子息)が発見されていたと伝えた。

これに関して、シリア人権監視機構のアンマール・カルビー代表は、ダルアー市で発見された遺体が16日に発見された集団墓地とは無関係だとしたうえで、集団墓地が2カ所に及び、遺体24体が遺棄されていたと主張した。

また、アバーズィード家の子息5人の遺体に関しては、農夫が別の場所で発見した遺体7体のうちの身元が判明した5体であると付言した。

しかし、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、アバーズィード家の子息5人が遺棄されていた集団墓地以外に発見された集団墓地はないとカルビー代表の主張を否定した。

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ダルアー県では、『ハヤート』(5月18日付)によると、ハウラーン地方に軍の戦車が進軍した。

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タルトゥース県では、『ハヤート』(5月18日付)によると、治安当局がバーニヤース市の反体制デモの主導者たち逮捕に向けて追跡活動を続けた。

またシリア人権監視団は声明を出し、バーニヤース市で抗議行動を指導してきたアナス・シャグリー氏が当局によって12日に逮捕されたことを確認したと発表した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(5月18日付)によると、サクバー市で未明に夜間デモが行われ、数千人が参加、体制打倒を訴えた。

デモは4月にデモ参加中に死亡したアフマド・アティーヤ氏(26歳)の葬儀がエスカレートして発生したという。

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ヒムス県では、住民らによると、タッルカラフ市で軍が包囲を続け、活動家の逮捕摘発活動・弾圧を大なった。

一方、SANA(5月17日付)は、内務省高官筋によると、タッルカラフ市で治安部隊のパトロール隊が武装テロ集団の襲撃を受け、士官1人と兵士4人が死亡したと報じた。

また、タッルカラフ市、ダルアー県郊外での武装テロ集団の追撃で、軍・治安部隊の兵士8人が死亡したという。

レバノンの動き

『ナハール』(5月17日付)は、レバノン当局が、ヒムス県タッルカラフ市からレバノン領内に逃走したシリア軍兵士3人の身柄をシリア当局に引き渡した。

うち1人は、負傷し、既に死亡しているという。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、ワシントンでキャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表と会談した。

会談後、クリントン国務長官は「シリアでの抗議行動弾圧に対して近く追加措置がとられるだろう」と述べた。

またシリアが「同盟国であるイランのもっとも悪しき戦術を採用している」と非難、アサド大統領が「改革について言及したもの、野蛮な弾圧は彼の真意を示している」と述べた。

一方、ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は「シリア政府にとって、路線を変え、弾圧を停止し、シリア国民の要求を採用するための余地は限られている」と述べ、「追加措置」を科すことを示唆した。

他方、アシュトン上級代表は、国際社会が「あらゆる選択肢を検討している」としたうえで、「シリア政府の行動は急務である」と弾圧停止を求めた。「近々に追加措置をとる」と述べた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、安保理においてシリア非難を支持する多数派が「形成されている」が、ロシアと中国の拒否権発動の恐れが依然としてある、と批判した。

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外交筋によると、EU加盟17カ国の大使がブリュッセルで会合を開き、アサド大統領本人などへの制裁の可能性などを検討した。

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イスラエル警察は声明を出し、15日の越境デモで領内(占領地内)に侵入していたパレスチナ人4人を逮捕したと発表した。

AFP, May 17, 2011、Akhbar al-Sharq, May 17, 2011、al-Hayat, May 18, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 17, 2011、Naharnet, May 17, 2011、Reuters, May 17, 2011、SANA, May 17, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダルアー県内で「虐殺」による犠牲者の集団墓地が発見される、ヒムス県の大規模治安作戦は継続(2011年5月16日)

反体制勢力の動き

シリアのクルド民族主義諸政党は声明を発表し、危機解決に向けてイニシアチブを発揮すると宣言、「包括的かつ真剣な国民対話」を国内のすべての勢力に呼びかけた。

同声明は「平和的な民衆の発展」が「専制の終了、一党支配の終了、権力独占の終了、権利と義務をめぐる公正と平等を保障する近代文民国家の建設、すべての国民の国家運営への真の参加実現」をめざすものであると位置づけた。

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サリーム報道官は声明を出し、アサド政権による国民対話の呼びかけを「情報操作の一種」と批判した。

シリア政府の動き

アサド大統領は、ダルアー市民の使節団と会見、大統領府声明によると「同市で発生した事件、住民と軍の協力の結果もたらされた現下の前向きな雰囲気、国内で実施されている改革措置とその展望」について意見が交わされた、という。

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SANA, May 16, 2011
SANA, May 16, 2011

SANA(5月16日付)によると、15日の越境デモに参加してイスラエルに射殺されたシリア人のうち3人の葬儀がクナイトラ県アイン・ティーナ村、マジュダル・シャムス村で行われ、数千人が参列した。

国内の暴力

ダルアー県では、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表がAFP(5月16日付)に明らかにしたところによると、「ダルアー住民が月曜日(16日)に市内で集団墓地を発見した」。

al-Hayat, May 17, 2011
al-Hayat, May 17, 2011

カルビー代表によると、これを受けシリア当局が「ただちに同地を包囲し、遺体回収を禁じ、後日遺体を引き渡すことを約束した」という。

また、シリア人権国民機構は声明を出し、ダルアー市に隣接するインヒル市ジャースィム市の一部の住民の話として「シリアの当局は同地の住民に対して恐るべき虐殺を実行した」と発表した。

同声明によると、ジャースィム市で13人が、またインヒル市で21人が「過去5日間で」殺害されたという。

さらに「これ以外にも数十人が殺害されており、その遺体は弾圧現場や森林に放置されたままである。同地域は治安部隊が包囲し、狙撃兵が展開しているため、住民は今もなお、そこに近づけない」という。

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ヒムス県では、AFP(5月16日付)によると、タッルカラフ市で緊張が続き、戦車が市内各所に展開し、砲撃を続け、軍・治安部隊が逮捕摘発活動を行い、住民数百人がレバノン領内に避難した。

目撃者によると「誰も外出できず、負傷者を治療することもできない」という。

また「3日前から病院内の遺体安置所には遺体が保管されたままで、住民は埋葬することもできずにいる」という。

さらに「軍はタッルカラフ市を包囲し、突入をかけて逮捕を行っている」という。

ある匿名の人権活動家によると、日曜日(15日)以降のタッルカラフ市の死者数は10人にのぼるという。

一方、SANA(5月16日付)によると、軍がタッルカラフ市を襲撃した武装犯罪集団の追撃を続け、彼らが保持していた武器、弾薬を押収した。

レバノンの動き

レバノンの声(5月16日付)によると、シリア国内での暴力を逃れ、シリア人約300人が北部県アッカール郡に不法入国、避難した。

諸外国の動き

イスラエル外務省報道官は、15日に発生したシリア、レバノンからの越境デモに関して、国連事務総長と安保理議長宛に抗議文を提出したと発表した。

またUPI(5月16日付)によると、イスラエルは15日のゴラン高原マジュダル・シャムス村での越境デモで殺害した10人の遺体をシリア側に返還した。

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米ホワイトハウスは、レバノン、シリアでのデモ参加者がナクバに合わせて、イスラエルへの越境を試みたことに関して「イスラエルは領内への違法な進入を禁じる権利がある」と表明、また「隣国がこうした活動を禁じる責任を果たさねばならない」としたうえで、「ゴラン高原でのデモ煽動を通じたシリア政府の介入を強く非難し…、事態は国民への激しい弾圧から目をそらそうとするシリア政府の試みに関係していることは我々にとっては自明である」と主張した。

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フランス外務省は声明を出し、15日に発生した越境デモに関して「深い懸念」を表明し、自制を呼びかけた。

AFP, May 16, 2011、Akhbar al-Sharq, May 16, 2011、al-Hayat, May 17, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 16, 2011、Naharnet, May 16, 2011、Reuters, May 16, 2011、Naharnet, May 16, 2011、SANA, May 16, 2011、UPI, May 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ナクバ63周年に際して各地で越境デモが実施され、イスラエル軍の発砲による死傷者が発生(2011年5月15日)

SANA, May 15, 2011
SANA, May 15, 2011

ナクバ63周年の越境デモ

ナクバ63周年に合わせるかたちで、西岸、ガザ地区各所でイスラエルの占領に反対するデモ行進が行われるなか、ゴラン高原のマジュダル・シャムス村でのデモ参加者数百人が国境のフェンスを越え、イスラエル領内に入ろうとした。これに対して、イスラエル軍が発砲し、2人が死亡、170人が負傷した。

またレバノン南部のマールーン・ラース村でも、数百人のデモ参加者がレバノン・イスラエル間の有刺鉄線に近づき、越境を試みたが、イスラエル兵の発砲によって10人が殺害され、122人が負傷した。

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外務在外居住者省は声明を出し、イスラエルへの越境を試みたデモ参加者へのイスラエル軍の発砲に関して「多くの殉教者と負傷者をもたらしたゴラン高原、パレスチナ、レバノン南部の我らが人民に対するイスラエルの犯罪行為」と非難した。

al-Hayat, May 16, 2011
al-Hayat, May 16, 2011

そのうえで国際社会に対して、イスラエルの行為の責任を追及するよう求めた。

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イスラエル軍報道官は、ゴラン高原での事件が「非常に危険な暴力行為であり、イスラエル住民の治安を脅かし、その領土を侵害している」と述べた。

そのうえで「イスラエル軍が事態を収拾、各地区からのイスラエルへの侵入を阻止するために行動する」と付言、「事件の責任はシリア、レバノン両政府にある」と非難した。

Naharnet, May 15, 2011
Naharnet, May 15, 2011

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国連のマーティン・ニルスキー報道官は、シリアとレバノンでの越境デモに関して、潘基文事務総長が、多数の死傷者が出たことに深い遺憾の意を示していると発表した。

シリア政府の動き

治安当局は、リヤード・サイフ元人民議会議員、弁護士のカーティリーン・タッリー女史、マリク・シャナワーニー女史ら複数の反体制活動家・指導者を釈放した。

なお、『ハヤート』(5月16日付)によると、これに先立ち、作家のアンマール・ドゥユーブ氏、医師のジャラール・ヌーファル氏、活動家のアンマール・アイルート氏が保釈されていたという。

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内務省は声明を出し、各県で「暴動」に参加したとして投降した市民の数が6,163人に達したと発表、こうした行為を繰り返さないと誓約し、全員がただちに釈放されたと発表した。

また内務省は、2011年政令第54号(平和的デモ調整法、2011年4月22日)の実施細則を発効した。

さらに内務省は、暴動参加者らに対する出頭・恩赦の猶予期間を5月22日までに延期することを決定した。

同省によると、これまで各地で出頭したデモ参加者の数は6,710人にのぼるという。

SANA(5月16日付)が伝えた。

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シリア・アラブ・テレビ(5月14日付)は、ダマスカス郊外県各所での暴動に参加したという男性(ラーミー・ムワッファク・ラドワーン氏)が、破壊行為を行ったと自供する証言映像を放映した。

ラドワーン氏はその後、治安機関に投降し、ほかの投降者と同様、恩赦により釈放されたという。

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SANA(5月15日付)によると、ダマスカス県アブー・ルンマーナ地区にあるEU代表部前で、EUの内政干渉に反対するデモが行われ、市民数百人が参加した。

国内の暴力

ヒムス県では、複数の目撃者や人権感動家によると、対レバノン国境に面するタッルカラフ市で軍・治安部隊が大規模な逮捕摘発活動を行い、ブルジュ地区、ガルユーン地区、市場、駅周辺で戦車などが発砲、女性2人を含む市民7人が殺害された。

犠牲者のうち3人は、市民数十人が抗議活動を行っていたウスマーン・ブン・アッファーン・モスクから出てきたところを射殺されたという。

また軍・治安部隊はタッルカラフ市から多くのシリア人が避難しているレバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方に向かって発砲し、シリア人女性1人が死亡し、レバノン人とレバノン人4人(うちレバノン軍兵士1人)が負傷した。

これに関して、レバノン軍司令部は声明を出し、タッルカラフ地方から機関銃に「無差別発砲」により兵士1人が負傷したと発表した。

一方、SANA(5月15日付)によると、タッルカラフ市で、武装犯罪集団が住民や国境警備隊を襲撃、軍・治安部隊兵士11人が死傷した。

軍・治安部隊はタッルカラフ市を襲撃した武装集団を撃退・追撃し、多数の犯罪者を殺傷、逮捕したという。

また複数のレバノン治安消息筋は『ハヤート』(5月16日付)に対して、ワーディー・ハーリド地方からシリア領に向けて発砲があったとの一部情報を否定し、シリア側からの発砲が一方的だったと述べた。

なお同治安消息筋によると、シリアからの避難者のなかには、負傷した国境警備隊兵士2人がおり、もおり、うち1人はレバノンに入国後まもなく死亡し、もう1人は搬送先の病院で死亡した。

AFP(5月15日付)が報じた。

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『ハヤート』(5月16日付)によると、ダマスカス郊外県、ヒムス県ヒムス市、タルトゥース県バーニヤース市、ダルアー県各所では、軍・治安部隊が厳戒態勢を敷くなか、デモは発生せず、平静を保った。

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SANA(5月14日付)によると、ダルアー県での暴動弾圧で殺害された兵士の遺体がハサカ県に搬送され、地元で葬儀が行われた。

レバノンの動き

AFP(5月15日付)によると、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方で、シリア人避難民を追撃するシリア軍が、レバノン領内に向けて発砲し、レバノン兵士1人が負傷した。

AFP, May 15, 2011、Akhbar al-Sharq, May 15, 2011、al-Hayat, May 16, 2011 、Reuters, May 15, 2011、Naharnet, May 16, 2011、Kull-na Shuraka’, May 15, 2011、SANA, May 15, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス郊外県などで反体制デモが発生するなか、ラブロフ露外相は「反体制勢力が外国勢力を呼び込み、支援を受けようとしている」と断言(2011年5月13日)

反体制勢力の動き

反体制活動家ルワイユ・フサイン氏は10日のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官との会談に関して、AFP(5月13日付)に「シャアバーン報道官は…アサド大統領がデモ参加者に発砲しないよう断固たる命令を出し…、発砲した者がその行為を処罰されるだろうと述べた」ことを明らかにした。

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フサイン氏によると、シャアバーン報道官との会談は、「国民対話ではなく、意見交換のための会合」であり、「治安的解決から政治的解決への移行方法が取り上げられ、街の治安、暴力の停止に議題は集中した」という。

また「弾圧が行われているなか、そのことについて話す必要がなかったため、改革に話題はいたらなかった。また我々は街頭で政治活動する当事者ではないがゆえに、行動に訴えたり、街頭で平静を保ったりすることはできない」と付け加えた。

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al-Hayat, May 14, 2011
al-Hayat, May 14, 2011

反体制活動家のミシェル・キールー氏は、10日のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官との会談に関して、AKI(5月13日付)に「対話ではなく、単なる意見交換だった」としたうえで「すべての政治、経済、社会勢力が参加する国民対話大会」を呼びかけることが真の解決策につながる、との見方を示した。

シリア政府の動き

アドナーン・マフムード情報大臣は、軍がバーニヤース市および周辺地区から「段階的に撤退を開始」したと述べる一方、「治安、平静、安定の回復が確実となった」ダルアー市および同郊外からの軍の撤退を完了したと発表した。

SANA, May 13, 2011
SANA, May 13, 2011

また政府が「政治、社会、経済に関する包括的改革計画をシリア社会のために実行しようとしている」と述べ、「改革とともに治安と安定が不可欠」だと強調した。

そのうえで危機解決に向けて、「通日中に包括的国民対話」が行われると述べた。

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SANA(5月13日付)によると、ダルアー県での暴動弾圧時に「過激派テロ集団」に殺害された軍兵士の葬儀がダマスカス県のティシュリーン軍事病院で行われた。

国内の暴力

『ハヤート』(5月14日付)によると、インターネットなどで「シリア女性解放者の金曜日」と銘打った反体制デモの実施が呼びかけられ、各地で平和的な抗議デモが発生、軍・治安機関の発砲により、ヒムス市で2人が、ダマスカス県で3人が死亡した。

反体制デモが起きたのは、ダマスカス郊外県のドゥーマー市、カタナー市、ダーライヤー市、サクバー市、タッル市、ハサカ県のダルバースィーヤ市、アームーダー市、ラッカ県のタブカ市、ダイル・ザウル県のブーカマール市、マヤーディーン市、ヒムス県ヒムス市、ハマー県ハマー市など。

軍・治安部隊は各都市で街区を完全に封鎖、検問所を設置して、デモを阻止しようとしたが失敗した。

『ハヤート』(5月15日付)は、13日の反体制デモに関して、西欧の外交筋が「発砲は(これまでに比べて)少なかった…。国際社会の圧力を受けて、アサド大統領が対応を変化させたことが窺い知れることができる」との評価を下したと報じた。

なお目撃者の一人がロイター通信(5月13日付)に述べたところによると、「数千人の市民がハマー市の広場で民主主義を求めるデモに参加するために集まった」。

これに関して、ザマーン・ワスル(5月13日付)は、ハマー市ではタキーヤ・モスク、マナーフ・モスク、アブー・バクル・モスク、シャルキー・モスク、ハミーディーヤ・モスク、カビール・モスク、サルジャーウィー・モスク、アブドゥッラー・マスウード・モスクなど10のモスク前で金曜礼拝後に反体制デモが行われたと報じた。

また、クッルナー・シュラカー(5月13日付)は、ハマー県サラミーヤ市で、サウラ通りに市民数百人が集まり、反体制デモを行ったと報じた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団ラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、バルザ区で、女性弁護士カーティリーン・タッリー氏が逮捕された。

レバノンの動き

ナハールネット(5月14日付)は、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方にシリア領内から負傷者4人を含む多数のシリア人が避難してきたと伝えた。

負傷したシリア人のうち2人は女性で、重傷を負っていた30代の男性はレバノン国内の病院に搬送後に死亡したという。

ヒムス県からの避難民の数は過去数週間で5,000人に達するという。

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AFP(5月13日付)によると、ヒムス市バーブ・スィバーア地区、タッルカラフ市などの住民約50世帯が、国境を越えてレバノンの北部県アッカール郡・ワーディー・ハーリド地方に避難した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、米国のブルームバーグTV(5月13日付)とのインタビューで、アサド大統領を「友人」と評したうえで、シリアで抗議行動が発生する前に大統領に改革実施を忠告していたと述べた。

エルドアン首相は「(改革は)遅れた。(アサド大統領がこれまでと)同様の(改革)措置を実施し、国民と一つになることを望んでいる。なぜなら、シリアを訪れるたび、アサド大統領に対する国民の大いなる情熱を見てきたからだ」と述べた。

またアサド大統領が退任すべきかとの質問に対して、「決断するには時期尚早だ。なぜなら最終決定はシリア国民がするものだからだ…。シリアの統合と領土保全が維持されねばならない」と答えた。

また昨年、戒厳令解除、政治犯釈放、選挙制度改革、複数政党制などの必要性についてアサド大統領と「長時間にわたる対話を繰り返した」ことを明らかにした。

そのうえで「必要であれば、我々のもとに人を派遣して欲しい。そうすれば政党組織の方法と、国民とそれがどのように結びついているかを見せましょう」と私は彼に伝えた…。我々はこの問題で合意した。しかし事態は急転を遂げ、ドミノの影響がシリアにも波及した」と付け加えた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は『ハヤート』(5月13日付)のインタビューに応じ、「シリア政府は、政治方針を変えなければ、壁に突き当たるだろう」と述べた。

またジュペ外務大臣は、EUの制裁リストにアサド大統領が含まれなかったことに関して、「多くの同盟国が忍耐を示さねばならないと考えていたが…、これはフランスの立場ではない。なぜなら、我々は数百人が死亡した弾圧の責任が彼(アサド大統領)にあると考えているからだ」と強調した。

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米国務省高官は『ハヤート』(5月14日付)に、米国がアサド政権に「デモ参加者への発砲の即時停止、平和的デモの認可、逮捕の停止、政治犯の釈放、改革を求める国民の要求への対応、真の民主的変革の開始」を呼びかけていると述べた。

また米国が、現地での状況に応じてその立場を修正し続け、「野蛮で不正に満ちた弾圧を行うシリア指導部を制裁するため、国際社会と行動し続ける」との意思を示した。

さらに「確かなことが一つある。それはシリアでの事件はもとに戻すことができないということで、政治変動が生じているということである。民主主義、シリア国民の人権尊重へと至らねばならず、これこそが「シリア安定の唯一の方途だ」と強調した。

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英国外務省は声明を出し、「シリアの現下の情勢に対する英国の激しい懸念を表明するため、駐シリア大使を召還する」と発表、デモ弾圧が続く場合は、EUとともに「新たな制裁」を科すと警告した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、シリア国内での危機解決に向けた対話プロセスが進まないことに懸念を示す一方、「反体制勢力が外国勢力を呼び込み、支援を受けようとしている」と非難した。

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国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)報道官は、2011年3月半ばに始まったシリア国内でのデモに伴う混乱により、この2ヶ月で約850人が死亡し、デモ参加者数千人が逮捕されたとの試算を発表した。

報道官はそのうえで、シリア政府に対して自制と暴力停止を呼びかけた。

ロイター通信(5月13日付)が伝えた。

AFP, May 13, 2011, May 14, 2011、Akhbar al-Sharq, May 13, 2011、AKI, May 13, 2011、AP, May 13, 2011、al-Hayat, May 14, 2011 , May 15, 2011、Kull-na Shuraka’, May 13, 2011、Naharnet, May 13, 2011、Reuters, May 13, 2011、SANA, May 13, 2011、Zaman al-Wasl, May 13, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

EUがシリアの高官13人に対する制裁を発効、エルドアン首相は「(暴力的)治安対策が継続されることは正当化できない」と明言(2011年5月10日)

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(5月10日付)によると、反体制活動家のファーイズ・サーラ氏(4月11日逮捕)、ジョルジュ・サブラー氏(4月10日逮捕)、カマール・シャイフー氏(3月16日逮捕)が保釈金を支払い釈放された。

またアフバール・シャルク(5月10日付)によると、ハサン・アブドゥルアズィーム氏、ハーズィム・ナハール氏も不起訴処分となり釈放、ナハール・マウルード氏は審理を終え釈放された。

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『ハヤート』(5月11日付)によると、ルワイユ・フサイン、アーリフ・ダリーラ、ミシェル・キールーら複数の反体制活動家がダマスカスでブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官と会談し、反体制抗議運動への対応などについて協議した。

会談に関して、フサイン氏は「当局が平和的デモ、平和的座り込みを許可することで、抗議行動を行う人々が政治プログラムについてコンセンサスに達し、当局と対話を行う代表者を選べるようにしなければならない、と彼らに伝えた」ことを明らかにした。

そのうえで「(こうした要請に対して、シャアバーン補佐官から)回答を得た。我々は実行されるのを待っている。彼らは人々の釈放を始めた…。つまり、我々は彼らと接触を続け、政治的解決に達することができる」と強調した。

フサイン氏によると、会談の直後、シリア司法当局が、作家のファーイズ・サーラ氏、活動家のカマール・シャイフー氏、反体制組織(シリア民主人民党)指導者のジョルジュ・サブラー氏を釈放した。

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Elaph.com(5月10日付)によると、シリア・ムスリム同胞団のファールーク・タイフール副最高監督者がエジプトを非公式訪問し、ムハンマド・バディーア最高導師ら宗教関係者と会談、シリア情勢などについて協議した。

同報道によると、タイフール副最高監督者は、バディーア最高導師に、アサド政権や「シリア革命」に対するエジプトのムスリム同胞団の対応を変化させるよう求めたという。

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「ヌールッディーン・ザンギー」を名のる人物がフェイスブックで、アレッポ県で「シャッビーハ」を支援する部族長の運営するバス、レストラン、製品などをボイコットするよう呼びかけた。

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フェイスブックのページ「シリア革命2011」は、5月10日を「救済(ヌスラ)の火曜日」と銘打って、言論犯釈放を求めるデモを行うよう呼びかけた。

また「シリア革命2011」は「挑戦週間」と銘打って、毎日正午に各地で「抑圧、不正、包囲」に抗議するためのデモを行うよう呼びかけた。

シリア政府の動き

アサド大統領は、ダマスカス郊外県の使節団22人、ハマー県の宗教関係者18人と会談し、挙国一致、汚職撲滅の必要などを確認した。

SANA(5月11日付)が伝えた。

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アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏は、『ニューヨーク・タイムズ』(5月10日付)に、シリアにおける変革が「おそらく遅れ、限定的になるだろう」としつつ「たとえ遅れが生じようと、それで世界が終わるわけではない」と強調したうえで、現体制が崩壊すれば、「おそらくサラフィー主義者(が為政者)になるだろう、そのことは国内外での戦争を意味する」と警告した。

そして「こうした状況を我々は受け入れない。人々は彼ら(サラフィー主義者)に反抗するだろう…。このようなことが起きたらそれこそ大災害だ」と付言した。

al-Hayat, May 11, 2011
al-Hayat, May 11, 2011

マフルーフ氏はさらに「シリアに安定がなければ、イスラエルにも安定はない…。もし現政権に何か起きれば、これから起こることを保障する方法も個人もいなくなってしまう。アッラーはそのようなことを許しはしない」と述べ、「私が言っているのは、我々を苦しめるな、大統領に圧力をかけるな、シリアにやりたくないことをやらせるな、ということだ」と明言した。

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SANA(5月10日付)によると、ダマスカス県アブー・ルンマーナ地区のEU代表部前、ジスル・アブヤド地区のフランス大使館前で内政干渉と制裁に反対する抗議デモが発生し、EU代表部前ではシリア共産党の女性党員数十人が、フランス大使館前では学生など市民数百人が集まった。

国内の暴力

反体制活動家がインターネットなどを通じて、数千人に達するとされる逮捕者の釈放を求めるため、「勝利の火曜日」と銘打った反体制デモを呼びかけるなか、各地で抗議行動が発生し、軍・治安部隊が強制排除を試みて介入した。

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al-Hayat, May 11, 2011
al-Hayat, May 11, 2011

ダルアー県では、複数の目撃者と活動家によると、軍・治安部隊がジャースィム市、サナマイン市、ナワー市、ダーイル町などに突入、活動家を逮捕摘発した。

また県内各所で「夜間デモ」行われた。

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タルトゥース県では、複数の目撃者と活動家によると、軍・治安部隊がバーニヤース市内を「完全」に掌握、同市、バイダー町、マルカブ村で大規模な逮捕摘発活動を続けた。

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ダマスカス郊外県では、複数の目撃者によると、ムウダミーヤト・シャーム市で、軍・治安部隊が活動家の逮捕摘発活動を続け、以内では集中砲火の銃声が聞こえた。

またクッルナー・シュラカー(5月10日付)によると、治安当局がシリア人民民主党のジョルジュ・サブラー(1ヶ月前に逮捕)の自宅(ダマスカス郊外県カタナー市)を家宅捜索し、息子のアイハム氏を逮捕した。

また治安当局は、潜伏中のスハイル・アタースィー氏の自宅も家宅捜索したという。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、アルヌース広場に約200人がデモを行い、シリア各地での軍・治安部隊による包囲の解除を求めた。

同監視団によると、逮捕者のなかには作家でジャーナリストのアンマール・ドゥユーブ氏、医師のジャラール・ヌーファル氏、マリク・シャンヌーニー氏、アンマール・アイルータ氏が含まれている、という。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、サラミーヤ市で、治安当局が活動家50人を逮捕した。

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ヒムス県郊外では、SANA(5月10日付)が軍消息筋の話として、軍・治安部隊が県郊外各所で「武装テロ集団」残党の追撃を行い、指名手配者数十人を逮捕し、乗っていた車、オートバイなどを押収したと報じた。

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このほか、複数の活動家によると、ダイル・ザウル県、ハサカ県でも、各所で「夜間デモ」行われ、またラタキア県、イドリブ県でも治安機関による逮捕摘発活動が行われた。

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SANA(5月10日付)は、内務省筋の話として、各地で投降した暴動参加者の数が2,684人に達したと報じた。

投降者は投降後ただちに釈放されているという。

レバノンの動き

ナハールネット(5月10日付)によると、ミシェル・スライマーン大統領がアリー・アブドゥルカリーム駐レバノン・シリア大使と会談、シリアの安定を支持する旨伝えた。

諸外国の動き

EUは、大統領の弟のマーヒル・アサド准将、ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣らシリアの高官13人の資産凍結、EU領内への渡航禁止の対象とするとともに、武器禁輸措置などを定めた制裁を10日付官報に掲載し、発効した。

制裁対象者13人は以下の通り:マーヒル・アサド、アリー・マムルーク(総合情報部長)、ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内相、ムハンマド・ディーブ・ザイトゥーン(政治治安部長)、アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ(軍事情報局長?)、ジャミール・ハサン(空軍情報部長)、ハーフィズ・マフルーフ、ラーミー・マフルーフ、アーティフ・ナジーブ(政治治安部ダルアー支部前長)、アムジャド・アッバース(バーニヤースの政治治安部長)、ルストゥム・ガザーラ(軍事情報局南部支部長)、ファウワーズ・アサド、ムンズィル・アサド。

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Shamna.net(5月10日付)は、シリア消息筋の話として、バーニヤース市でイスラエルのモサドのエージェントが逮捕されたと伝えた。

逮捕されたエージェントは欧州の偽造バスポートでシリアに潜入し、サラフィー主義集団への教練を任務としていたという。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、トルコ第7チャンネルとのインタビューで、シリア政府との密接に連絡をとり、アサド大統領にデモ参加者への発砲を停止する必要があると忠告したことを明らかにした。

そのうえでエルドアン首相は「シリア指導部は7人の治安部隊高官が殺害されたと述べているが、トルコが得ている情報によると、この事件での民間人の死者数は1,000人に上っている」と述べた。

エルドアン首相は「両国(シリアとトルコ)は長大な国境を共有しており、社会的な交流が盛んだからだ」と述べ、トルコ政府がシリア情勢の推移に関心を寄せていることを明らかにした。

またアサド大統領に戒厳令解除を求めていたと述べ、シリアでこれまでと同様の治安対策が継続されることは正当化できないと付言、「かつてハマーとヒムスでの惨事を経験しているが、我々はこのような惨事が繰り返されることを望んでいない」と強調した。

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ジャズィーラ・チャンネルは声明を出し、ジャズィーラ英語放送の女性記者で米国人のドロスィー・パルヴァズ氏が、4月29日にシリアに入国して以降、消息を絶っていると発表した。

パルヴァズ氏に関しては、『ワタン』が信頼できる消息筋の話として「取材目的であるにもかかわらず、観光ビザでシリアに入国したが…5月1日に出国した」と報じていた。

だがジャズィーラ・チャンネルは声明でこれを否定、シリア当局が彼女の消息に関して情報を開示しないと非難、釈放を要求した。

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イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は訪問先のイスタンブールでの記者会見で、シリア情勢に関して、「シリアは問題を内政干渉なしに自身で解決できる」と述べた。

AFP(5月10日付)が伝えた。

AFP, May 10, 2011、Akhbar a-Sharq, May 10, 2011、Elaph.com, May 10, 2011、al-Hayat,
May 11, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 10, 2011、May 12, 2011、Naharnet, May 10, 2011、The New York Times, June 10, 2011、Reuters, May 10, 2011、SANA, May 10, 2011、Shamna.net, May 10, 2011をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

Facebookページ「シリア革命2011」がアサド大統領に対し民主化の実施を求める、バーレーン外務省はシリアの安定を支持(2011年5月7日)

反体制勢力の動き

フェイスブック上のページ「シリア革命2011」は、「半年後の自由で民主的な選挙」実施をはじめとする危機打開提案を行い、アサド大統領にその実施を求めた。

同提案は「シリアを独裁体制から民主制へ転換できたら、君は近代シリアの誇りで…そうすることが可能だ」としたうえで、「デモ参加者への発砲を停止し、平和的デモを認め、大統領とその父の写真を街頭から撤去し、すべての言論犯を釈放し、国民対話を開始し、複数政党制を認め、6ヶ月以内の自由で民主的な選挙を実施する」ようアサド大統領に求めた。

また「他者を殺害することで保身し、仕事を維持しようとするあなたの側近や顧問を排除する」よう求めた。

そのうえでアサド大統領が「これらすべてを実行したら、シリアは救済され、イスラエルは恐怖に震える。しかしそうしなければ、イスラエルが勝利し、シリアは敗北するだろう」と述べ、「その場合、デモ組織者は抗議行動継続を呼びかけ続ける」と締めくくった。

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「3月15日革命殉教者委員会」が発表したところによると、3月半ばの抗議行動開始以以降、800人が死亡した。

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アフバール・シャルク(5月7日付)は、マーヒル・アサド准将の妻のきょうだいでシリア国外で暮らすマジド・ジュドアーン氏が反体制デモを支持する呼びかけをユーチューブにアップしたと報じた。

シリア政府の動き

アサド大統領はダマスカス訪問中のバーレーンのハーリド・ビン・アフマド外務大臣と会談した。

大統領声明によると、会談でハーリド外務大臣は、シリアの安定を全面支持するとのハマド・ビン・イーサー国王のメッセージを口頭で伝えた。

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SANA, May 7, 2011
SANA, May 7, 2011

アサド大統領は、若者使節団と会談し、開発、貧困、失業、汚職撲滅、メディア改革などといった問題に関して意見を交わした。

SANA(5月7日付)が伝えた。

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軍消息筋は「軍・治安部隊は、治安と安定回復のため、バーニヤース、ダルアー郊外でテロ集団追跡を継続した…。多数の指名手配者を逮捕、これらの集団が軍、市民を攻撃し、住民を脅迫するために用いた大量の武器弾薬を押収した」と発表した。

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アフバール・シャルク(5月7日付)は、複数のアラブ外交筋の話として、アスマー・アフラス大統領夫人と、アサド大統領の3人の子供(ハーフィズ、ザイン・シャーム、カリーム)が2週間前からロンドンに滞在していると主張した。

3人とも英国籍を持つという。

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SANA(5月7日付)によると、シリア・アラブ・テレビが6日、ザカリヤー・ムトラク(25歳)と名のる若い男が自供する映像を放映し、「そのなかで、変更したメディア各局に証人としてリクルートされ、ニュースをねつ造し、作り話や虚偽の事実をでっち上げ、シリアでの真実に対抗し、同国の治安部隊を貶めようとした」と伝えた。

またシリア・アラブ・テレビ(5月7日付)は、ダルアー県サイダー町を襲撃したと証言する「武装手おる集団」3人の証言映像を放映した。

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SANA(5月7日付)によると、ハマー市で、デモ排除中に武装集団に殺害された警官の葬儀が行われ、市民らが参列した。

また『ハヤート』(5月8日付)によると、6日金曜日にヒムス市で殺害された軍・警察の殉職者11人の葬儀が行われた。

国内の暴力

タルトゥース県では、人権活動家によると、治安部隊が、バーニヤース市近郊のダマスカス・ラタキア街道に集まっていたデモ参加者150人に発砲し、女性3人が死亡、5人が負傷、数十人が逮捕された。死傷者は、バーニヤース市のジャムイーヤ病院に搬送された。

al-Hayat, May 8, 2011
al-Hayat, May 8, 2011

AFP(5月7日付)によると、デモに参加した女性たちは、これまでに逮捕された人々の釈放を求めるため、マルカブ村とバーニヤース市からやって来たのだという。

またその直後、バーニヤース市を包囲していた軍・治安部隊が同市に突入し、大規模な逮捕摘発活動を行った。

また目撃者によると「多数の狙撃兵が建物の屋上に配置されていた…。軍は各街区の安全を確保し、これを受け治安部隊が進入…数十人が逮捕された」という。

軍・治安部隊の突入に合わせて、バーニヤース市の水道、電気が不通となった。

これに関して、軍消息筋は「軍・治安部隊はバーニヤース、ダルアー郊外でテロ集団の追跡を継続し、多数の指名手配者を逮捕、武器弾薬を押収した」と発表した。

複数の人権活動家・目撃者によると、「軍部隊はバーニヤース市に集中砲火を浴びせ」少なくとも6人が死亡し、複数が負傷した。

活動家の一人によると「軍部隊はバーニヤース市内の海岸地区、南側の入口、市場の入り口、マルカブ橋、ラアス・ナブア橋などに、四方から集中砲火を浴びせた…。発砲によって複数の死傷者が出た」という。

別の活動家は、シリア軍がバーニヤース市内のラアス・ナブア地区に加えて、マイダーン地区、クブヤー地区にも突入を開始、これを受け市内のモスクのミナレットからジハードの宣言が告げられ、住民が街頭に出た、と述べた。

さらに別の活動家はAFP(5月8日付)の電話取材に対して、デモ参加者の拠点があるバーニヤース市の南部の地区に軍の戦車が突入しようとしたと述べた。

しかし、これに対して、住民が「人間の鎖」を作り、戦車の進入を阻止しようとしたという。

なお、バーニヤース市南部地区沖には軍の艦艇が周回していたという。

複数の活動家によると、軍は特定宗派(イスラーム教スンナ派を暗示)が住民の大多数を占める市内の特定地区に突入したのだという。

このほか、治安部隊は早朝、マルカブ村に突入し、数十人を逮捕したほか、バイダー町などでも複数名を逮捕した。

逮捕摘発活動を行っていた治安部隊は300人の名前が書かれた容疑者リストを持って、突入を行ったという。

一方、SANA(5月7日付)は県警察幹部の話として「武装テロ集団が早朝、ラウダ村、ダフル・サフラー村の住民の財産を襲い、人的被害が出た」と報じた。

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ハマー県では、SANA(5月7日付)によると、「武装集団」メンバーを含む約400人のデモ隊がオートバイ100台などに乗ってハマー市内に進入し、県庁舎の複数の部屋に放火、破壊した。

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ヒムス県では、SANA(5月7日付)によると、タッルカラフ市で警察1人が、武装集団に撃たれて死亡した。

レバノンの動き

ナハールネット(5月7日付)は、治安筋の話として、軍事情報局担当者がベカーア県の武器販売業者にレバノン人以外の個人に武器を売却しないよう要請を出していると伝えた。

諸外国の動き

ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、シリア情勢に関して、「シリアでの国民に対する遺憾な動きは国際社会の強い対応を必要とすると考える…。シリア政府に具体的な変化がみられければ…、米国とその同盟国はシリア政府に強い抗議の意思を示すための追加措置を講じるだろう」と述べた。

ロイター通信(5月7日付)が伝えた。

AFP, May 7, 2011、Akhbar al-Sharq, May 7, 2011、al-Hayat, May 8, 2011 、May 9, 2013、Naharnet, May 7, 2011、Reuters, May 7, 2011、SANA, May 7, 2011をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍部隊がダルアー市から撤退を開始、英外務大臣は対シリア非難決議の採択をめざす姿勢を改めて示す(2011年5月5日)

反体制勢力の動き

ソルボンヌ大学のブルハーン・ガルユーン教授はAKI(5月5日付)に対し、事態の収拾にはアサド政権と反体制勢力の対話が不可欠だとしたうえで、政権によるデモ弾圧を批判、「政権には対話の意思はない」と糾弾した。

ガルユーン教授はまた、反体制デモが一潮流、一組織の運動ではなく、全国民的運動だと主張した。

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シリア人権監視団は、4月29日の金曜礼拝直前に数百人の市民が拘束され、国家侮辱罪と煽動罪を問われ起訴されていると発表した。

ロイター通信(5月5日付)が伝えた。

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クッルナー・シュラカー(5月6日付)によると、イスラーム文明協会のシャイフ、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ氏が逮捕された。

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サワー青年連立は声明を出し、カーミシュリー市で反体制デモに参加していた若者が5月3日以降消息を絶ったと発表した。

シリア政府の動き

SANA, May 5, 2011
SANA, May 5, 2011

アサド大統領は、スワイダー県の名士からなる使節団と青年使節団と会見し、国内情勢について意見を聴取した。

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内務省は声明を出し、投降した361人を「祖国と国民の安全を害す行動を繰り返さない」と誓約させた後に釈放したと発表した。

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SANA(5月5日付)は、内務省が総合情報部内務治安課の隊員を募集、法律学などの学位を持つ青年男女を優先的に士官に任用すると発表したと伝えた。

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SANA(5月5日付)によると、ダマスカス県のフランス大使館前でフランスの対シリア政策に抗議するデモが行われ、数百人が参加した。

国内の暴力

al-Hayat, May 6, 2011
al-Hayat, May 6, 2011

ダマスカス郊外県では、複数の目撃者によると、治安部隊がサクバー市、アルバイン市、タッル市に展開し、大規模な逮捕摘発活動を断行した。

AFP(5月5日付)は、人権活動家の話として、サクバー市では早朝、2,000人以上の軍・治安要員が動員され、約300人を逮捕したと報じた。

別の活動家によると、未明にも、治安部隊が容疑者リストを持って、一軒一軒を訪問し、逮捕を行う一方、また市内各所に検問所が設置され、恣意的逮捕を行ったという。

一方、シリア人権機構(SWASIAH)は、アルバイン市、タッル市で、治安部隊が少なくとも80人の男女子供を逮捕し、タッル市では70歳以上の男性5人も逮捕された、と発表した。

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タルトゥース県では、ロイター通信(5月5日付)によると、バーニヤース市最大のスークがある地区に軍が展開、また市内各所に検問所を設けて閉鎖、10人を逮捕した。

また複数の目撃者によると、戦車・装甲車数十輌がバーニヤース市から10キロ離れたサフム・バフル村に集結した。

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ダルアー県では、軍消息筋によると、軍部隊が朝、「市民の要請に応えて…テロ集団の追跡を行ってきたダルアー市からの段階的撤退」を開始した。SANA(5月5日付)が報じた。

ロイター通信(5月5日付)は、目撃者の話として、戦車約30輌がダルアー市を撤退し、北部に向かっていったと報じた。

しかし同報道によると、装甲車に支援された軍部隊が依然としてダルアー市内の各入り口に展開しているという。

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ハサカ県では、シリア人権委員会によると、カーミシュリー市で4月22日のデモで治安部隊に撃たれて負傷していた活動家が入院中の病院で逮捕された。

レバノンの動き

ナハールネット(5月6日付)は、シリアで教練中のレバノン軍士官(アレッポ、ヒムスの士官学校に在籍する6人)がシリア側の要請で帰国したと報じた。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、対シリア制裁(資産凍結、渡航禁止)に関して、「(制裁)リストに誰を含めるかに関してはいまだ合意がない」と改めて述べた。

ジュペ外務大臣はしかし、ローマでの「リビア連絡グループ」の会合後、「我々は現在、制裁が科される対象人物のリストの最終検討を行っている。フランスはアサドをリストに含めることを望んでいる」と付言した。

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イタリアのフランコ・フラティニ外務大臣は、ヒラリー・クリントン米国務長官との会談で、米国とイタリアがダマスカスに「暴力行為の停止と対話の再開」を呼びかけたと述べた。

フラティニ外務大臣はEUによる対シリア制裁に関しても、「協力合意のためのEUとの交渉停止」も含むだろうと明言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド政権に圧力をかけ、弾圧停止と改革実施を求めると述べ、国連安保理での対シリア非難決議の採択をめざす姿勢を改めて示した。

ロイター通信(5月5日付)が伝えた。

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『ドゥストゥール』(5月5日付)によると、ジャマール・アブドゥンナースィル(ナセル)元大統領の息子アブドゥルハキーム市がアサド大統領に書簡を送り、ハサン・アブドゥルアズィーム弁護士ら政治犯の釈放を求めた

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フランス24(5月5日付)は、デモ参加者の頭を狙撃するよう命令されたと証言する治安部隊隊員の映像を放映した。

AFP, May 5, 2011、Akhbar al-Sharq, May 5, 2011、AKI, May 5, 2011、al-Dustur, May 5, 2011、France 24, May 5, 2011、al-Hayat, May 6, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 5, 2011、May 6, 2011, May 7, 2011、Naharnet, May 5, 2011、Reuters, May 5, 2011、SANA, May 5, 2011をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がダイル・ザウル県の部族長らと面会、ダルアー県では「武装テロ集団追跡の任務」が継続(2011年5月2日)

反体制勢力の動き

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フェイスブックなどで、反体制活動家らが「包囲解除週間」と銘打って、ダルアー市、ラスタン市、タルビーサ市、ドゥーマー市、ムウダミーヤト・シャーム市、バーニヤース市、ジャブラ市との連帯を訴えるデモを毎日正午に各地で行うよう呼びかけた。

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人権団体「インサーン」のウィサーム・タリーフは、「シリアで前例のない抗議行動の波が発生した3月15日以降、2,130人が逮捕されたが、この数は5,000人を超えるものと思われる」と述べるとともに、弾圧などによりこれまで607人が死亡(うち451人がダルアー県で死亡)したと発表した。

『ハヤート』(5月3日付)が報じた。

シリア政府の動き

アサド大統領は首都ダマスカスでダイル・ザウル県の部族長35人と会談し、国内情勢についての意見聴取を行った。

会談に参加した部族長の一人、ハリール・アッブード・ジュドアーンは『ハヤート』(5月3日付)に対し、参加者が「アサド大統領に対して改めて宣誓し、改革進行と祖国を支持する」との意思を伝えたと述べた。また、福祉、農業、水利、開発などに関する住民の要求を伝え、これらに応えるとの回答を大統領から得たと付言した。

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シリア大統領府は声明を出し、アサド大統領がUAEのシャイフ・アブドゥッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外務大臣と「アラブ地域、とりわけ湾岸諸国による危機打開のイニシアチブが見られるイエメンの情勢」について検討したと発表した。

声明によると、ワリード・ムアッリム外務大臣兼在外居住者担当大臣が同席したこの会談ではまた、「シリアが現状を克服するためにとっている措置、改革の行程の十分な強化」なども取り上げられた。

『ナハール』(5月13日付)は後日、湾岸諸国の信頼できる政治家からの情報として、UAE外務大臣がアサド大統領に対して、シリアの安定を支持するとしつつ、デモへの厳しい弾圧の継続を容認しないとの意思を伝えたと報じた。

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SANA(5月2日付)は、軍消息筋の話として、ダルアー市で軍部隊が「武装テロ集団」の追跡を続け、1日までに10人のメンバーを殺害、499人を逮捕したと報じた。

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シリア・アラブ・テレビ(5月2日付)は、ダルアー市での殺戮・破壊行為を行ったとするイブラーヒーム・ナーイフ・ムサーラマを名のる武装集団メンバーの証言番組を放映した。

国内の暴力

1日の内務省声明を受け、反体制サイト(フェイスブックのページ)「シリア革命2011」、シリア人権監視団などによると、治安部隊が、ダマスカス県、ダルアー市、カーミシュリー市(ハサカ県)、ドゥーマー市(ダマスカス郊外県)、カフルナブル市(イドリブ県)、サラーキブ市(イドリブ県)、ラタキア市、ヒムス市、ラッカ市で反体制活動家の逮捕を続けた。

うちカフルナブル市では26人が逮捕されたという。

またシリア人権委員会は「ヒムスの軍事情報局はナーディル・フサーミー弁護士を逮捕し、同局へと連行した」、「著名な人権活動家でシリア人権協会メンバーのアブドゥッラー・ハリール弁護士も…ジャズィーラ・チャンネルでコメントしたことを受けて逮捕された」と発表した。

さらにシリア人権監視団は、サラーキブ市の治安機関が、活動家など28人を逮捕、そのなかに身柄拘束中の反体制活動家マフムード・バーリーシュ氏の2人の子息、アイハム氏とシャーディー氏が含まれていると発表した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(5月3日付)などによると、女性約150人が包囲中のダルアー市への支持を訴えてデモ集会を行ったが、治安部隊によって強制排除された。

またクッルナー・シュラカー(5月3日付)によると、カーブーン区で未明(朝1時から6時ごろにかけて)、1日の抗議デモに参加した数十人を逮捕した。また8日の抗議デモに備え、ダマスカス県内の複数カ所で同様の摘発活動を行った。

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ダルアー県では、SANA(5月2日付)が軍消息筋の話として伝えたところによると、ダルアー市の軍・治安機関の複数の部隊は「武装テロ集団追跡の任務」を継続し、「同集団の多くのメンバーを逮捕…、市内の複数カ所に隠されていた大量の武器、弾薬を発見・押収した」。

またAFP(5月2日付)は、ダルアー市で4月25日、ヨルダン人のアブドゥッラティーフ・ワシャーヒー氏が狙撃兵に撃たれ、死亡したと弟のアーティフ氏が証言したと報じた。

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SANA(5月2日付)は、ダルアー県で「過激テロ集団」摘発の任務中に死亡した軍・治安部隊兵士7員の葬儀デモが各地で執り行われたと報じた。

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クッルナー・シュラカー(5月2日付)は、ダルアー市での弾圧鎮圧にあたっていたハサカ県カルバーウィー村出身の兵士アフマド・ファナール・ムスタファー氏(20歳、クルド人)の葬儀への参列を遺族が拒否、ムスタファー氏がデモ弾圧の命令拒否を理由に殺害されたと疑っていると報じた。

レバノンの動き

『ハヤート』(5月3日付)によると、反体制デモ支持者がベイルートのシリア大使館周辺で抗議デモを行い、アサド政権による弾圧を非難した。

また国連ビル周辺ではシリアの体制転換を支持・要求するデモが行われた。

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自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官は、シリアでの抗議デモに関して、改革を求めるという局面と政権打倒を目指す局面の二つの局面からなっているとの見方を示し、前者はアサド大統領が当初から認めて、対応しようとしている一方、後者は改革に沿ったものでなく、外国の要因によって規定されていると指摘した。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣はラジオのインタビューで、シリア国民の抗議行動に対して「治安対策による問題解決」に固執すべきでないとアサド政権を非難、デモ参加者への抑圧を続ければ「体制崩壊するだろう」と述べた。

「今日、自由と民主主義への強い要望があり、それは考慮されねばならない。デモ参加者に対する実弾発砲によってこの要望を弾圧することは、いかなる国であれ受け入れられない」と強調、そのうえでEUがダマスカスへの制裁を行おうとしていることを改めて明らかにした。

『ハヤート』(5月3日付)が報じた。

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フランス外務省は声明を出し、アサド政権の反体制デモ弾圧によって「数十人の死者をもたらした」を非難、「ダマスカスの当局がシリアのデモ参加者に行うこの弾圧は週末毎に激化している」と非難した。

また「フランスはまたシリア当局が行う一連の逮捕、とりわけハーズィム・ナハール医師、ハサン・アブドゥルアズィーム弁護士の逮捕を強く非難する」と付言、シリア当局に「現下の危機を脱するためのすべての勢力による政治的対話を開始」するようを呼びかけた。

『ハヤート』(5月3日付)が報じた。

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トルコのアブドゥッラ・ギュル大統領は、シリア政府と常に連絡を取り合っているとしたうえで、流血ではなく、改革・変革プロセスを通じて事態が収拾することを望むと述べた。アフバール・シャルク(5月2日付)が報じた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリア情勢に関して、シリア分割を望まないとしつつ、アサド政権に弾圧を求め、「シリアで1982年のハマーで起きたような虐殺が起きてはならない」と警鐘を鳴らした。アフバール・シャルク(5月2日付)が報じた。

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ジャズィーラ・チャンネルは声明を出し、女性特派員のドゥールースィー・バールファーズ氏が4月29日に、取材のためにカタールからシリアに空路で向かい、ダマスカス空港到着直後から行方が分からなくなっていると発表し、シリア当局に捜索を要請した。

AFP, May 2, 2011、Akbar al-Sharq, May 2, 2011、al-Hayat, May 3, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 3, 2011、al-Nahar, May 13, 2011、Naharnet, May 2, 2011、Reuters, May 2, 2011、SANA, May 2, 2011などを参照。

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ダルアー市における人道状況の悪化を受け、脚本家、作家、ジャーナリストら700人が共同声明を発表(2011年5月1日)

反体制勢力の動き

軍によるダルアー市包囲に伴う人道状況の悪化を受け、脚本家、作家、ジャーナリストらシリア人約700人が「ダルアーの我らの子供たちのために」と題した声明に署名し、フェイスブックに掲載した。

同声明は「生きる上で必要な食糧物資の不足をもたらし、いかなる悪党や混乱の企てにも与していない罪もない子供に悪影響を与えているダルアー市およびその周辺村に対する食品の封鎖を5日間停止するようシリア政府に」求める一方、「シリア保健省ないしは赤新月社の監視下での食糧・医療物資、離乳食など食糧品の搬入」を呼びかけた。

同声明は、シリアの女性作家・活動家のリーマー・ファルハーンの主導のもとにとりまとめられ、女性作家のヤム・マシュハディー、女優のヤーラー・サブリー、女性脚本家のラシャー・シュルバジー、女優のカーリス・バッシャール、小説家のハーリド・ハリード、女性小説家のサマル・ヤズバクが署名している。

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シリアの複数の人権団体がシリア当局に対して、アラブ社会主義連合民主党書記長のハサン・イスマーイール・アブドゥルアズィーム弁護士の釈放を求めた。

同弁護士は、戒厳令が解除されたにもかかわらず、逮捕状無しに逮捕されたという。

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は声明を出し、最近の同胞団の声明でデモ参加を呼びかけていなかったとの一部報道に対して、「一部のメディアによる解釈は不正確だ。声明はすべてのシリア国民に愛国的運動を行うよう呼びかけている」と述べ、反体制運動の再開を明言した。

UPI(5月1日付)が報じた。

国内の暴力

ダルアー県では、AFP(5月1日付)などによると、軍がダルアー市の包囲を継続、市内で逮捕摘発活動を行った。

同通信社がダルアー市民の話として伝えたところによると、戦車の増援部隊がダルアー市に到着、これに対して、住民は抵抗を続け、夕方には窓から「アッラーは偉大なり」と連呼した。

一方、SANA(5月1日付)は、軍消息筋の話として、軍・治安部隊がダルアー市での「武装テロ集団」掃討を続け、10人を殺害し、499人を逮捕、武器弾薬を押収したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家らによると、軍がドゥーマー市への包囲を強化、「200人の逮捕者リストを手に包囲を強めた」。

またシリア人権監視団によると、アルバイン市、ダーライヤー市、ハラスター市で、100人以上が逮捕された。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市で多数の市民が逮捕された。

また、複数のクルド消息筋が明らかにしたところによると、シリア当局は同市で民主化を求めるデモを唱導したクルド人2人を逮捕したという。

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政治犯擁護センター会長のハリール・マアトゥーク弁護士は、作家で研究者のウマル・クーシュ氏が当局に逮捕されたと発表した。

シリア政府の動き

内務省は声明を出し、「法律が定めるところに従い、国民の生活を守り、あらゆる手段で祖国の敵が奪おうとしている治安、安定そして国民統合を強化すべく、(本省は)国民を欺き、武器携帯、治安妨害、誤ったイニシアチブを与えるような声明発信など、法律によって罰せられるべき行為を実行する者、ないしは参加する者たちに、自らの身柄と武器を関係当局に5月15日までに引き渡し、破壊分子、テロリスト、武器保管場所について通報するよう、国民に求める」と呼びかけた。

レバノンの動き

『ナハール』(5月1日付)は、シリア人325世帯1,500人が国内の暴力激化を避けて、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方を経由してレバノンに避難している、と報じた。

諸外国の動き

デヴィッド・キャメロン英首相はBBC(5月1日付)、「この体制がこれほどまでに多くの国民を殺すとは恥ずべきことで、受け入れられない」と述べた。

しかしNATOが空爆を行っているリビアとは状況は「異なっている」との見方を示し、軍事介入に慎重な姿勢を示した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、シリアへの外国の干渉を拒否すると述べるとともに、シリアで続いている民衆蜂起が国内で解決されるべきとの考え方を明らかにした。『ハヤート』(5月2日付)が報じた。

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AFP(5月1日付)によると、UNDPはシリア国内情勢悪化を受け、2012年から2017年までのシリアへの支援活動を中止すると発表した。

AFP, May 1, 2011、Akhbar al-Sharq, May 1, 2011, May 2, 2011、al-Hayat, May 2, 2011, May 3, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 1, 2011、al-Nahar, May 1, 2011、Naharnet, May 1, 2011、Reuters, May 1, 2011、SANA, May 1, 2011、UPI, May 1, 2011などを参照。

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オバマ米大統領がマーヒル・アサド軍第4師団司令官を含む複数のシリア高官らに対する制裁発動を指示(2011年4月29日)

国内の暴力

フェイスブックなどで「怒りの金曜日」と銘打って抗議行動が呼びかけられたのに呼応するかたちで、各地で反体制デモが発生し、『ハヤート』(4月30日付)によると「数万人」が参加した。

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al-Hayat, April 30, 2012
al-Hayat, April 30, 2012

『ハヤート』(4月30日付)によると、デモが発生したのは、ダマスカス県マイダーン地区など、ダルアー県ダルアー市、タルトゥース県バーニヤース市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、ヒムス県ヒムス市、ハサカ県カーミシュリー市などで発生した。

デモに対して軍・治安部隊は実弾を使用して強制排除を試み、少なくとも50人が死亡、数百人が負傷した。

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ダルアー県では、『ハヤート』(4月30日付)によると、軍・治安部隊によって包囲されたダルアー市に隣接する村・町で、封鎖解除をめざして住民ら「数千人」(AFP)がデモ行進を行った。

だが、食糧と水を市民に届けようとしたデモ参加者は軍の発砲を受け、少なくとも35人が死亡し、数十人が負傷した。

医療筋によると、ダルアー市近くの病院だけで、銃弾を浴びた16人の遺体が収容されたという。

またロイター通信(4月29日付)は、タファス市の病院筋の話として、同病院が負傷した村人38人を受け入れたと報じた。

なお『ハヤート』(4月30日付)は、ダルアー市の活動家の話として、同市の臨時遺体安置所には83体の遺体が安置されており、そのなかには軍によって銃殺された子供や女性も含まれていると報じた。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(4月30日付)が人権活動家の話として、約1万人が旧市街のマイダーン地区でダルアーとの連帯を訴えてデモ行進を行ったと報じた。

このデモはマイダーン地区周辺へと拡大したが、治安部隊が催涙弾などを発射し強制排除された。

またAFP(4月29日付)によると、カダム区などでもデモが発生した。

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ダマスカス郊外県では、AFP(4月29日付)によると、サクバー市などで反体制デモが発生した。

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ヒムス県では、『ハヤート』(4月30日付)が人権活動家の話として、ヒムス市およびその周辺で9人が殺害されたと報じた。

これに対して、SANA(4月29日付)は、内務省筋の話として、ヒムス市で警部1人を含む警察官3人が「過激テロ集団」によって銃殺されたと報じた。

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タルトゥース県では、AFP(4月29日付)によると、バーニヤース市で反体制デモが発生し、体制打倒が訴えられた。

デモは金曜礼拝後にファールーク・モスク前で始まり、約1万人が参加したが、治安部隊によって強制排除された。

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ダイル・ザウル県では、AFP(4月29日付)が、活動家のナイワーフ・バシールの話として、ダイル・ザウル市で反体制デモが発生した。

デモは金曜礼拝後にウスマーン・モスクで始まり、約1万人が参加したが、治安部隊によって強制排除されたと報じた。

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ハサカ県では、クルド人権委員会のラディーフ・ムスタファー代表と活動家のハアサン・バッルー氏によると、クルド人が多数派を占めるカーミシュリー市および周辺の3村で、反体制デモが発生し、約15,000人が参加した。

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ラッカ県では、AFP(4月29日付)によると、ラッカ市で反体制デモが発生し、300人から400人の住民が参加、ダルアー市に対する軍の包囲解除を訴えた。

国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(4月29日付)は、バアス党筋の話として、バーニヤース市とダルアー市のバアス党員が集団離反したとの報道を否定した。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、フィリピン外相と会談、そのなかで、シリア政府は国民の要請に応え、治安と安定回復のために尽力していると述べた。SANA(4月29日付)が報じた。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(4月29日付)は、ハサカ県各都市での反体制デモは、フェイスブックなどでの「怒りの金曜日」という呼称ではなく、「自由の金曜日」と銘打たれていた、と報じた。

レバノンの動き

レバノン北部県アッカール郡、ワーディー・ハーリド地区でも、シリア領内での弾圧に巻き込まれるのを避け、多数のシリア人家族がレバノン領内に越境入国した。

諸外国の動き

米ホワイトハウスは、シリア国内でのデモに対処するため、バラク・オバマ米大統領が、マーヒル・アサド軍第4師団(の実質的)司令官、アリー・マムルーク総合情報部長、アーティフ・ナジーブ前ダルアー県政治治安部、総合情報部、イスラーム・クドゥス(エルサレム)軍団の3人、5機関に対して、米国内の口座凍結、米国の銀行および米国人との取引の禁止などを含む制裁発動を指示したと発表した。

またこれと合わせて、シリアへの航空機の部品の販売も禁止された。

制裁に関して、ホワイトハウス高官は、アサド大統領が制裁の対象に含まれていないとしつつ、「弾圧が続けば、随時対象に加える」と付言した。

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ジュネーブでは、国連人権委員会が、シリア政府によるデモ参加者への過度に暴力行使を非難する一方、殺戮事件に関する調査を求める決議を採択した。

採択は米国が提案し、26カ国が賛成、9カ国が反対、7カ国が棄権した。

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AFP(4月29日付)は、米国務省高官が28日にシリア国内で米大使官職員1人が一時身柄を拘束されたことを認めた、と報じた。

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ピエール・ヴィモン欧州対外行動局事務総長は、「行動する必要がある点で加盟国の間にコンセンサスがあると思う」と述べ、EUが制裁を視野に入れたかたちでシリア情勢に対処する意思があることを明示した。

その後、EU加盟諸国の大使がブリュッセルで会合を開き、シリアへの武器および武器関連機器の輸出禁止の輸出規制を行うことで原則合意した。

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アナトリア通信(4月29日付)によると、トルコ治安部隊は、シリア領内での弾圧に巻き込まれるのを避け、トルコ領内に入ろうとしたシリア人約250人の入国を阻止した。

AFP, April 29, 2011、Akhbar al-Sharq, April 29, 2011、al-Hayat, April 30, 2011, May 1, 2011、Kull-na Shuraka’, April 29, 2011、Reuters, April 29, 2011、SANA, April 29, 2011などをもとに作成。

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ダルアー県の大規模治安作戦が継続する一方、西欧諸国がシリア非難決議案の安保理提出を準備していると報じられる(2011年4月26日)

国内の暴力

ダルアー県では、活動家のアブドゥッラー・アバー・ズィードがAPF(4月26日付)に述べたところによると、ダルアー市では「新たな軍・治安増援部隊が到着した」。

アバー・ズィードによると、市内には戦車が展開し、市の入り口には検問所が設けられ、人々が入ることができなくなっている、という。

また「住民への発砲は続いている…。第5師団の複数の兵士が離反し、我々に加わり」、ダルアー市を包囲する軍と「対決している」と付け加えた。

一方、シリアの人権団体(SWASIAH)によると、治安部隊がダルアー市内でデモに参加した活動家や支持者500人以上を逮捕した。

アフバール・シャルク(4月26日付)は、ダルアー市で住民への発砲命令を拒否した軍兵士が「シャッビーハ」に殺害されている、と報じた。

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タルトゥース県では、抗議行動の指導者の一人であるアナス・シャグリーがロイター通信(4月26日付)に述べたところによると、バーニヤース市で、「黒い服を着た部隊が、市を囲む丘陵に集結し、市に対して攻撃の準備をしているようだ」という。

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ダマスカス郊外県では、複数の消息筋によると、ドゥーマー市でも大規模な治安部隊が展開し、住民の外出を禁じた。

ロイター通信(4月26日付)が目撃者の話として伝えたところによると、200人以上の治安要員がドゥーマー市に展開し、住民の身分証を検査するための検問所を配置した。

同報道によると、重火器を装備した軍車輌が街道で多く見られ、また民間人の服を着たおそらくは秘密警察がライフルを携帯している、という。

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クッルナー・シュラカー(4月26日付)は、ダイル・ザウル県で政治治安部が活動家のカースィム・アッザーウィーを逮捕した、と報じた。

国内の動き

シリア・アラブ・テレビ(4月26日付)はダルアーで逮捕した「武装集団」メンバーの証言を放映した。

Kull-na Shurakā’, April 27, 2011
Kull-na Shuraka’, April 27, 2011

反体制勢力の動き

トルコの市民団体の呼びかけのもと、「シリアのためのイスタンブール会合」が開催され、在外シリア人ジャーナリストや人権活動家約40人が参加した。

会合後に採択された声明では、一党支配の廃止、複数政党制の確立、即時国会選挙、新憲法制定、平和的デモ権の保障、政治犯の釈放を求めるとともに、外国の介入への拒否の姿勢を示した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権によるデモ弾圧に関して「殲滅戦争」を行おうとしていると非難、また「アラブの政府、人民の沈黙」と述べ、アラブ諸国への介入を求めた。

レバノンの動き

ナハールネット(4月26日付)は、アリー・シャーミー外務大臣がナウワーフ・サラーム国連代表大使に対して、安保理で西側諸国が提出を検討しているとされる対シリア決議案(非難声明)を拒否するよう指示した、と報じた。

諸外国の動き

国連安保理が潘基文事務総長の中東・北アフリカ訪問の報告を行うための非公式会合が準備されたが、中国とロシアが、安保理の審議事項にシリア情勢を含めることを拒否した。

一方、安保理消息筋によると、レバノンは、アラブ諸国の立場が確定していないことを口実に、西欧諸国、すなわち英国、フランス、ブルガリア、ドイツが準備しているシリア非難決議案の安保理への提出を遅らせようとしているという。

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米国務省は声明を出し、「現下の不安定で不確実な状況を鑑み、米国政府職員家族全員および一部の非正規職員に対して、シリア出国を命じた」と発表した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、抗議行動への暴力の行使が続けられれば、各国とともにシリア政府への制裁をめざすとの姿勢を示した。

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イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相とフランスのニコラ・サルコジ大統領がローマで会談、シリア情勢への「懸念」を用命し、「平和的デモへの野蛮な弾圧の停止」をシリア政府に呼びかけた。

サルコジ大統領は、シリア情勢が「受け入れられない…自由を求めるアラブ諸国民を支持する」と述べた。

一方、ベルルスコーニ首相は「激しい弾圧の停止と発表された改革の実行を強く求める」と呼びかけた。

またシリアでのデモ抗議を非難する国連決議の発表が「現時点では困難」としつつも、弾圧が続けば状況は変わるかもしれないと付言した。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、アサド大統領と電話会談を行い、シリアで改革の道を進展させるよう呼びかけた。

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ヨルダン・ムスリム同胞団は、アサド政権によるデモ弾圧を非難し、国民支持を表明した。

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ヴェネズエラのウーゴ・チャベス大統領がアサド大統領に親書を送り、「国際社会の帝国主義的狂気」のもと、「国民保護」を口実にシリアに軍事攻撃をしようとしていると非難、こうした動きを「悪意」と断じた。AFP(4月26日付)が報じた。

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トルコのイスタンブールで、亡命中のシリア人数十人がシリア政府に対して、国内での弾圧の即時停止と、複数政党制の確立を手始めとする深遠な改革実施を要求するデモを行った。

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エジプトのカイロでは、在留シリア人数十人が、アラブ連盟本部前でデモを行い、国民保護のためのアラブ諸国の介入を要求した。

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アルジェリア在住のシリア人とアルジェリア人数十人がアルジェのシリア大使館前でデモ弾圧を求める抗議行動を行った。アフバール・シャルク(4月26日付)が報じた。

AFP, April 26, 2011、Akhbar al-Sharq, April 26, 2011, April 27, 2011、al-Hayat, April 27, 2011, April 28, 2011、Kull-na Shuraka’, April 26, 2011、Reuters, April 26, 2011、SANA, April 26, 2011, April 27, 2011などをもとに作成。

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政府は「我らが市民の安全を危機に曝そうとする扇動の一部をなす」として米大統領による声明を非難(2011年4月23日)

al-Hayat, April 23, 2011
al-Hayat, April 23, 2011

抗議行動

22日の政府による抗議デモへの厳しい弾圧に抗議し、ダルアー県選出のハリール・リファーイー人民議会議員とナースィル・ハリーリー人民議会議員、ダルアー県ムフティーのリズク・アブドゥッラフマーン・アバー・ザイドが辞表を提出した。

リファーイー議員はジャズィーラ(4月23日付)に対して、「我が国民をもはや護ることができない」ため辞職したと述べた。

ハリーリー議員は、アサド大統領に事態収拾に向けて介入するようを求めた。

一方、アバー・ザイドは治安対策以外によるデモの収束を求めた。

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AFP(4月23日付)によると、22日の抗議デモの犠牲者の葬儀が各地で行われ、参列者が弾圧を批判する抗議行動を行ったことを受け、治安機関が実弾などを使用して強制排除を試み、ダルアー県で5人、ダマスカス郊外県ドゥーマー市で5人、ダマスカス県バルザ区で3人が死亡した。

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政治犯擁護センターのハリール・マアトゥーク弁護士は、AFP(4月23日付)に対して、治安部隊が、シリア自由擁護諸委員会のダーニエール・サウード氏をタルトゥース県バーニヤース市の自宅で逮捕し、連行したと述べた。

シリア政府の動き

シリア政府は、デモを弾圧するためにイランに支援を求めようとしているとのバラク・オバマ米大統領の声明(22日)に関して、「我らが市民の安全を危機に曝そうとする扇動の一部をなす」と非難した。

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SANA(4月23日付)は、軍武装部隊総司令部の高官筋の話として、「武装部隊は、国民の安全を護る軍への攻撃を試みるすべての者に断固として対抗し、敵対行為、犯罪行為を行った者すべてを追跡し、関係する司法に突き出し、公正な報いを受けさせる」と強調した。

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アサド大統領は政令第162号を発し、アブドゥルカーディル・ムハンマド・シャイフ退役少将をラタキア県知事に任命した。

前任者のリヤード・ファリード・ヒジャーブはアーディル・サファル内閣(4月14日)で農業・農業改革大臣に就任していた。

レバノンの動き

レバノン・タウヒード潮流のウィアーム・ワッハーブ代表は、NBN(4月23日付)で、ムスタクバル潮流のジャマール・ジャッラーフ国民議会議員がサウジアラビアのトゥルキー・ブン・アブドゥルアズィーズ皇太子から受け取った署名入りの小切手の写真を公開した。

小切手の額面は30万ドルで、発行地はカイロ。

また、ワッハーブ代表によると、ムハンマド・アブドゥルハミード・バイドゥーン元大臣もアブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領の息子のジャマール・ハッダームから40万ドルの小切手を受け取っていると暴露した。

そのうえで、サウジのアブドゥッラー国王に知らされないかたちで、サウジアラビアがシリアの反体制デモに関与していると主張した。

なおバウドゥーン元大臣はこれを否定している。

諸外国の動き

イラン政府は、デモを弾圧するためにイランに支援を求めようとしているとのバラク・オバマ米大統領の声明(22日)に関して、「他国の内政に干渉しない」ことを強調、「個人に対する暴力行使は、いかなる国においても受け入れられない」との姿勢を示した。

AFP, April 23, 2011、Aljazeera.net, April 23, 2011、al-Hayat, April 24, 2011、Kull-na Shuraka’, April 23, 2011、Reuters, April 23, 2011、SANA, April 23, 2011などをもとに作成。

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ヒムス市、アレッポ市、ダルアー市などでデモが継続するなか、諸外国は非常事態令の解除決定に対し一定の評価(2011年4月20日)

国内の暴力

ヒムス市、アレッポ市、ダルアー市など反体制デモが続いた。

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ダルアー県では、AFP(4月20日付)によると、ダルアー市とその周辺地域出身の大学生約4,000人がウマリー・モスク前で政府によるデモ禁止に抗議してデモを行った。

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アレッポ県では、AFP(4月20日付)や反体制活動家によると、数十人がアレッポ大学でデモを行い、デモを阻止しようとする体制支持者や治安当局と衝突、37人が逮捕された。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン会長はAFP(4月20日付)に対して、反体制活動家のマフムード・イーサー氏がヒムス市で19日に逮捕されていたと発表した。

逮捕は、イーサー氏がジャズィーラ放送での対談で、アブドゥー・ハドル・タラーウィー准将とその両親およびいとこの殺害と遺体の損傷に関する即時調査を呼びかけた直後に行われた。

アサド政権の動き

Akhbar al-Sharq, April 20, 2011
Akhbar al-Sharq, April 20, 2011

当局はバーニヤース市やバイダー町での反体制運動弾圧を指揮していたとされる政治治安部のバーニヤース支局長アムジャド・アッバース少佐を支局長から解任した。

同少佐は、バイダー町の住民に暴行を加えている映像(4月12日にユーチューブにアップ)に映っていた。

またバーニヤース市の複数の目撃者は、「先週日曜日(17日)早朝に市内で発砲した複数の車が同少佐の事務所前から出発した」ことを明らかにした。

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ダマス・ポスト(4月21日付)は、アサド大統領がアレッポ県の代表者40人と会談し、3月半ば以降の国内での抗議デモなどに関する意見を交換したと報じた。

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クッルナー・シュラカー(4月22日付)は、シリア・クルド・イェキーティー党のワイス・ウスマーン・シャイヒーがアレッポ市で空軍情報部によって逮捕されたと報じた。

ハサカ県アイン・アラブ市で反体制デモに参加したことが逮捕の理由だという。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン会長はAFP(4月20日付)に対して、政治治安部のバーニヤース支局長アムジャド・アッバース少佐の解任を歓迎し、「正しい道への前向きな一歩」と評価した。

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『ミスリー・ヤウム』(4月20日付)は、アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領が、西側諸国に対して、シリアでの反体制運動弾圧を国連で審議し、国際刑事裁判所に提訴するよう呼びかけたと報じた。

レバノンの動き

レバノンの治安当局は声明を出し、金曜日(22日)にトリポリ市でのデモ実施を求める二つの呼びかけを「法的条件を満たしていない」として禁じた。

呼びかけの一つは、イスラーム解放党が行ったもので、シリアでの抗議行動との連帯を求めており、もう一つは、シリア政府を支持する3月8日勢力の諸政党によるもの。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アーディル・サファル内閣による非常事態令解除の閣議決定に関して、「疑う余地なく、シリア政府の決定は安定と市民の平和を保障するための国益から発していると考える」と高く評価した。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は抗議行動を行う市民への暴力行使を非難し、シリア政府に逮捕と恣意的拘束、収監者の拷問を停止しなければならないと述べた。

米国務省報道官は、アーディル・サファル内閣による非常事態令解除の閣議決定に関して「自由への制限が軽減するとは考えていない」と却下した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣はアーディル・サファル内閣による非常事態令解除の閣議決定を「正しい方向に向けた…ステップ」と評価した。

英国外務省は「治安状況混乱を鑑み」シリアから待避するよう国民に勧告した。

AFP, April 20, 2011、Akhbar al-Sharq, April 20, 2011、Damas Post, April 21, 2011、al-Hayat, April 21, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 20, 2011, April 21, 2012, April 22, 2011、al-Misri al-Yawm, April 20, 2011、Naharnet.com, April 20, 2011、Reuters, April 20, 2011、SANA, April 20, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

非常事態令解除と国家最高治安裁判所廃止に関する政令案および平和的デモ調整法案が承認される(2011年4月19日)

国内の暴力

タルトゥース県では、バーニヤース市とバイダー町の市民が、反体制デモへの強制排除による物的・人的被害に対して、大統領府が行った一世帯あたり補償金30,000シリア・ポンドの支払いの提案を拒否し、責任者の処罰、両市に対する治安部隊の包囲解除を求めた。

複数の目撃者によると、バーニヤース市では数千人が街頭に出て、抗議行動を行った。

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ヒムス県では、SANA(4月19日付)によると、ヒムス市で、ムハンマド・アブドゥー・ハッドゥール大佐とガッサーン・マフラズ曹長が非番中に殺害された。

遺体には拷問の跡があったという。

また士官1人と子供3人の遺体が発見された。

同通信社によると、彼らはヒムス市近くで18日に殺害され、「彼らの顔も傷つけられ、手足が切断され」(放置され)た、という。

さらに「武装集団がヒムス市のハミーディーヤ地区とバイヤーダ地区の警察署を襲い、戦闘によって警官6人が負傷し、武装集団2人が死亡、5人が負傷した」という。

一方、「アフバール・シャルク」(4月19日付)によると、早朝、タルビーサ市の犠牲者(18日死亡)を追悼するためにヒムス市で実施されていたデモに、治安部隊が突入、催涙弾などを使用して強制排除を試み、少なくとも4人が死亡した。

シリア人権監視団によると、ヒムス市で反体制活動家のマフムード・イーサーが逮捕された。

他方、SANA(4月21日付)は、ヒムス市のハーリド・ブン・ワリード・モスクを破壊分子が襲撃したと報じた。

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ダマスカス県、ダマスカス郊外県では、「アフバール・シャルク」(4月19日付)によると、ダマスカス大学医学部前で学生約100人が反体制デモを断行した。

またザバダーニー市、タッル市でも反体制デモが発生した。

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アレッポ県では、「アフバール・シャルク」(4月19日付)によると、アレッポ大学経済学部前で学生らが反体制デモを断行した。

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ダルアー県では、共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師がサナマイン市を訪問し、モスクで説教を行った。

ハッスーン師は説教で「怒りではなく…道徳や…尊厳に訴えて権利を要求するよう」求めた。だが、聴衆は「自由、自由」、「屈辱ではなく、死を(選ぶ)」といったシュプレヒコールを連呼し、説教を中断した。

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ラタキア県では、「アフバール・シャルク」(4月20日付)によると、ラタキア市で反体制デモが発生した。

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スワイダー県では、『ミスリー・ヤウム』(4月19日付)によると、クライヤー町のスルターン・バーシャー・アトラシュ廟の巡礼者がアサド政権を批判するシュプレヒコールをあげ、治安当局に強制排除された。

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3月15日革命殉教者委員会は2011年3月以降、国内で274人(民間人、軍人)が殺害された、と発表した。

アサド政権の動き

SANA, April 19, 2011
SANA, April 19, 2011

アーディル・サファル内閣は閣議を開き、非常事態令解除と国家最高治安裁判所(1968年設置)廃止に関する政令案と、平和的デモ調整法案を承認した。

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『ハヤート』(4月20日付)によると、アサド大統領はアレッポ市の諸団体からなる使節団と会見し、国内で発生している事件への意見を聴取した。

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シリアの内務省は声明を出し、「シリア国民に対して…、いかなる目的であれ、行進、座り込み、デモの実施を控える」よう呼びかけた。

また「祖国の治安を見出し、国民の間に恐怖を広めようとする武装集団のテロ活動を認めず、断固として、祖国のあらゆる場所で治安と安全を回復し、テロリストをどこまでも追跡し、司法に突き出し、すべての武装反乱を終わらせるために活動する」と明言した。

そのうえで国民に対して「テロ分子・容疑者について通報し、彼らを潜伏させたり、自由を求める機運を流血、公共・私有財産破壊のために利用させないよう」呼びかけた。

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共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師やムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー師らシリアのイスラーム教ウラマーたちがシリアの現況に関する声明を発表し、アサド大統領が16日のサファル内閣第1回閣議で示した施政方針を危機打開の「抜本的な策」だと評価し、シリアの混乱収束、腐敗撲滅を求めた。

またカタール在住のユースフ・カラダーウィー師や同師が代表を務めるイスラーム教ウラマー世界連盟がシリアの反体制運動を支持・煽動していることを「シリアの治安と安定を標的とした計画」と結びついていると非難した。

レバノンの動き

AFP(4月19日付)によると、トリポリ市での反アサド政権のデモを呼びかけたイスラーム解放党のメンバー7人が逮捕された。

AFP, April 19, 2011、Akhbar al-Sharq, April 19, 2011、al-Hayat, April 20, 2011, April 21, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 19, 2011、al-Misri al-Yawm, April 19, 2011、Naharnet.com, April 19, 2011、Reuters, April 19, 2011、SANA, April 19, 2011, April 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒムス市で「20万人以上」が座り込みに参加、内務省は「サラフィー組織」による武装反乱を許容しない意思を改めて表明(2011年4月18日)

国内の暴力

ヒムス県では、人権活動家の一人によると、タルビーサ市で日曜日(17日)のデモ弾圧で死亡した犠牲者の葬儀に「1万人以上」が参列し、「殉教者を称え、自由と体制打倒を求める」とのシュプレヒコールを連呼した。

al-Hayat, April 19, 2011
al-Hayat, April 19, 2011

これに関して、ヒムス市の反体制活動家のナジャーティー・タイヤーラ氏はAFP(4月19日付)に対して、「20万人以上が座り込みに参加した」と述べた。これが事実だとすると、約60万人のヒムス市民の3分の1以上がデモに参加したことになる。

一方、SANA(4月18日付)は、タルビーサ市で犯罪集団が軍、治安部隊に発砲、1人が死亡、11人が負傷したと報じた。

またヒムス市では約3,000人がサーア・ジャディーダ広場で座り込みを行い、再び治安当局と衝突した。

ヒムス市の人権活動家によると、同市は「沸騰状態」で、治安部隊とシャッビーハが1ヶ月にわたり武装した部族を挑発してきたと非難、多くの国民が日曜日(17日)夜と月曜日(18日)にヒムス市内の様々な地区で街頭行動を行い、弾圧を受けたという。

活動家の一人によると、ヒムス市では「先週モスク前で逮捕されたシャイフ、ファラジュ・アブー・ムーサー氏の遺体が治安当局から引き渡された16日以降、緊張状態が生じていた。

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イドリブ県では、反体制人権活動家によると、ジスル・シュグール市で、治安部隊によって殺害された男性の葬儀後、約1,500人が反体制デモを行い、アレッポに向かう街道を封鎖、逮捕者の釈放や行方不明者の行方調査を求めた。

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Kull-na Shurakāʼ, April 18, 2011
Kull-na Shurakaʼ, April 18, 2011

ダルアー県では、反体制人権活動家によると、ダルアー市で弁護士150人を含む約500人が反体制デモを行い、アサド政権の打倒、政治犯釈放、バアス党の政治生活への覇権拒否を求めた。

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エジプトのカイロでは、シリア人数十人がカイロのアラブ連盟本部前でデモを行い、アサド政権の弾圧に抗議、アラブ連盟と国際社会に政権の虐殺を停止させるために介入するよう求めた。

アサド政権の動き

シリアのワリード・ムアッリム外務大臣は、アラブ諸国および諸外国の大使と首都ダマスカスで会談、そのなかで国内の反体制運動に関して、「平和的なデモを我々は尊重しているが、道路封鎖、破壊、放火は別問題だ。もはやこれらの行為に沈黙することはできない」と述べた。

また「改革を望む者は自らの意見を平和的な方法で表明し…、暴力や武器を用いず、破壊、国家機関への放火、道路封鎖などに訴えない」と付け加えるとともに、「改革は国民が必要としており、停滞することなく、治安と安定が求められる継続的なプロセスである」と述べた。

さらにタルビーサ市での17日の事件に関して、「非常に深刻な事態である。国際幹線道路が数時間にわたって閉鎖され、武装集団によって警察が攻撃を受けた。これらの集団の攻撃を前に、犠牲者が発生し、軍の介入を要請せざるを得ないような事態にデモ参加者が曝されないよう、警察は厳格な指示を受けていた」と述べた。

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シリアの内務省はヒムス県ヒムス市やタルトゥース県バーニヤース市などでの騒乱に関して、「サラフィー国家」建設をめざす「サラフィー組織」による「武装反乱」と断じ、これらの集団を「認可することはない」としたうえで、国中で「治安と安全を回復するため断固として」行動するとの意思を示した。

反体制勢力の動き

在外のシリア人有識者54人が共同声明を出し、アサド政権の反体制デモに対する暴力的弾圧を非難した。

共同声明に署名しているのはブルハーン・ガルユーンら。

レバノンの動き

レバノン大統領府広報局によると、ミシェル・スライマーン大統領がアサド大統領と電話会談を行い、シリア情勢に関して「シリアの安定、治安、発展、繁栄を支持する」とのレバノンの立場を表明した。

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レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、党機関誌『アンバー』で、シリア情勢に関して、一部のレバノンの陣営がシリアでの不安定化を望んでいると非難し、アサド政権の改革を支持すると述べた。

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ヒズブッラーのナウワーフ・ムーサウィー議員は記者会見で、「レジスタンスに対する陰謀や…圧力を拒否してきたシリアの指導者…を改めて支持する」と述べた。

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アマル運動のアリー・ハサン・ハリール氏は、「バッシャール・アサドのシリア、ハーフィズ・アサドのシリアを支持しなければ、レバノンはレジスタンスの国とはならなかっただろう」と述べた。

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アサド政権を支持するレバノンの政党・政治組織とパレスチナ諸派の代表がベイルートのメリディアン・コモドール・ホテルで大会を開き、シリアでの内乱や破壊行為を煽動するメディアや報道への懸念を表明し、ミシェル・スライマーン大統領への対処を求める電報を打った。

大会にはアリー・アブドゥルカリーム駐レバノン・シリア大使も出席した。

諸外国の動き

トルコで収監中のアブドゥッラ・オジャランPKK党首は、シリア情勢に関して初めて声明を出し、シリア国内で反体制活動を行っているPKK系のクルド民族主義政党、民主統一党との会談を行うようアサド大統領に呼びかけ、これに応じない場合、民主統一党はアラブ人反体制勢力に合流し、クルド人地域全体における自治拡大を実現するだろう、と述べた。

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米国務省報道官は、米国がシリア政府崩壊をめざしないとしつつ、シリアでの民主化プロセス強化を試みると述べた。

同報道官は「(シリア大統領は)国民の合法的な要求に応えねばならない」と述べ、改革の規模や範囲を決定はシリア国民によるとの見方を示した。

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フランス外務省報道官は、アサド大統領が16日に閣議で示した施政方針に従って、改革を実際に実施し、抑圧を停止することを期待するとの意思を示した。

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『ワシントン・ポスト』(4月18日付)は、米国がシリアの反体制組織に秘密裏に資金援助を行い、そのなかにはアサド政権を批判する番組を放映しているテレビ局バラダー・チャンネルが含まれていたとする文書をウィキリークスが公開したと報じた。

バラダー・チャンネルはロンドンに本社があり、イスラーム組織の公正建設運動に近いテレビ局で、これらの機関・組織に、2006年以来反体制勢力に資金援助600万米ドルを供与していたという。

AFP, April 18, 2011、al-Hayat, April 19, 2011, April 20, 2012、Kull-na Shurakaʼ, April 18, 2011、Naharnet.com, April 18, 2011, June 19, 2012、Reuters, April 18, 2011、SANA, April 18, 2011、The Washington Post, April 18, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

反体制デモが3月以降初めてダマスカス県にも波及(2011年4月15日)

国内の暴力

各地で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、3月以降初めてダマスカス県にもデモが波及、「国民は体制打倒を望む」といったシュプレヒコールが連呼された。

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al-Hayat, April 16, 2011
al-Hayat, April 16, 2011

ダマスカス県では、AFP(4月15日付)が人権活動家の話として報じたところによると、「治安部隊はドゥーマー市、アルバイン市、ハラスター市からダマスカス県入り口のジャウバル区に入ろうとしていたデモ参加者約2,000人に対して…放水車や催涙弾を用いて…強制排除した」。

目撃者の一人によると、「治安要員を載せたムハーバラートの車両は15台にのぼった。これらの車両は(ダマスカス県)北部の路地に広場から直接入り、抗議行動をする人々を追跡した」という。

またハラスター市からデモ参加者に同行した別の目撃者によると、数千人が「国民は体制打倒を望む」とシュプレヒコールをあげ、街道に貼ってあるアサド大統領が映ったポスターを次々と破っていった」。

一方、シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長はAFP(4月15日付)に対して「礼拝が終わる頃に数十人が(ダマスカス県)バルザ区にあるモスクの前で集会を行った」と述べ、「デモ参加者が警察に投石し、両者が衝突した」と指摘した。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家がユーチューブにアップした映像などによると、ダーライヤー市で数百人がデモに参加し、反体制スローガンを叫んだ。

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ダルアー県では、AFP(4月15日付)が人権活動家の話として伝えたところによると、ダルアー市で「2,500人から3,000人が市内中心のサラーヤー広場でデモを行い、反体制スローガンを連呼した」。

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ハサカ県では、人権活動家のハサン・バッルー氏がAFP(4月15日付)に明らかにしたところによると、「5,000人以上がカーミシュリー市でのデモに参加するため街頭に出て、『クルド人でもない、アラブ人でもない、我々は挙国一致を望む』と書かれたプラカードなどを掲げた」。

またラアス・アイン市では「約300人がデモを行い、アサド・モスクからダルバースィーヤ市に向かって行進した」。

バッルー氏によると、治安部隊がデモ排除のために介入することはなかった。

さらに『クッルナー・シュラカー』(4月15日付)も、クルド革命青年、クルド民主青年革命連立のフェイスブックでの呼びかけに応じるかたちで、ハサカ県カーミシュリー市、ラアス・アイン市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市で反体制デモが発生し、クルド人青年らが参加したと報じた。

デモでは「自由」が求められる一方、ダルアー市との連帯、クルド人とアラブ人の連帯などが叫ばれた。

同報道によると、カーミシュリー市では約5,000人が参加した、という。

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ヒムス県では、人権活動家のナジャーティー・タイヤーラ氏がAFP(4月15日付)に明らかにしたところによると、ヒムス市で「約4000人が礼拝後にデモに参加し」、「治安部隊はデモが始まってから約1時間後に介入し、放水車でデモ参加者を排除した」。

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Kull-na Shurakāʼ, April 16, 2011
Kull-na Shurakaʼ, April 16, 2011

タルトゥース県では、人権活動家の一人によると、バーニヤース市で「約1,500人がアブー・バクル・モスク前に集まった」。

また「アフバール・シャルク」(4月15日付)によると、同市では、治安維持のために市内に入った軍を市民が歓迎した。

SANA(4月15日付)によると、バーニヤース市で武装集団が兵士1人を殺害、1人を負傷させた。

これに関して、反体制活動家は、軍兵士への襲撃がシャッビーハによって行われたと断じ、政権が武装集団への恐怖を煽り、軍の駐留を認めさせようとしていると非難した。

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ラタキア県では、人権活動家の一人によると、ラタキア市で「約1,000人が市内中心のオガレット広場に集まり、自由を求めた」。

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イドリブ県では、人権活動家の一人によると、ジスル・シュグール市で「約500人がデモを行い…、治安当局は複数名を逮捕したが、家族の釈放要求に応じてまもなく釈放した」。

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スワイダー県では、「アフバール・シャルク」(4月15日付)によると、スワイダー市でアサド政権の打倒を求める反体制デモが発生し、約150人が参加した。

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このほか、ユーチューブではアレッポ市、ダイル・ザウル市、ハマー市、ダマスカス郊外県の複数の村でのデモの画像がアップされた。

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Facebook
Facebook

フェイスブックなどでは、「貫徹の金曜日」と銘打って反体制デモが呼びかけられていた。

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これに対して、SANA(4月15日付)は、「金曜日の礼拝後、国民が各県内にある複数の地区の街頭に散発的に出て、「シリア、自由、殉教者」といったシュプレヒコールを繰り返したが、治安部隊は介入しなかった」と報じた。

また「ダルバースィーヤ市、カーミシュリー市、ダイル・ザウル市、バーニヤース市、ジャブラ市、ハッファ市、ハマー市、ダマスカス郊外県の一部の地区」などがある複数の県でも「集会」が行われた、としたうえで、これらの集会が「限定的で、そのほとんどが治安部隊との衝突に発展しなかった」と指摘した。

アサド政権の動き

シリア外務省は、イランがシリアのデモ弾圧を支援しているとの『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月14日付)の報道を否定した。

反体制運動の動き

「3月15日革命殉教者委員会」(http://syrianmartyr.com/ar)が軍人、民間人の犠牲者232人の氏名をホームページで公開した。

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シリア人権監視団によると、治安当局は、3月23日にダマスカスで逮捕されていたブロガーのアフマド・フダイファ氏を釈放した。

また3月19日にバーニヤース市でデモを指導していた詩人のムハンマド・マフムード・ディーブー氏も合わせて釈放された。

Kull-na Shurakāʼ, April 16, 2011
Kull-na Shurakaʼ, April 16, 2011

レバノンの動き

シリア・ムスリム同胞団とレバノンのジャマール・ジャッラーフ国民議会議員(ムスタクバル潮流)と関係があるとの「テロ細胞」メンバー3人のシリア・アラブ・テレビ(4月12日付)での証言に関して、フアード・スィニューラ元首相(ムスタクバル潮流)は自身の広報事務所を通じて、「シリアでの出来事にムスタクバル潮流を巻き込もうとするキャンペーン」と反論した。

またジャッラーフ議員がナビーフ・ビッリー国民議会議長に「自身の権利と安全を保護するための必要な措置を講じる」よう公式に約束するよう求めたことを明らかにした。

そのうえで「ムスタクバル潮流のいかなる議員、機関も、親愛なる姉妹国であるシリアで起きていることに関与していない」と繰り返した。

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ミシェル・スライマーン大統領はレバノン・シリア最高会議のナスリー・フーリー書記長と会談し、「両国の同胞関係強化をめざすべく、姉妹国シリアでの事態の推移に伴って両国間で生じている問題と、両国の安全・治安に抵触する問題をめぐって、司法協力を行うために両国の関係機関の調整を指示した」と発表した。

大統領広報事務所が発表した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は滞在中のベルリンで記者団に対し、「我々はシリア当局に改めて、国民に対するいかなる暴力の行使も行わないよう呼びかける」と述べた。

また「シリア政府は、国民の正当な要求に応じていない。シリア政府は国民抑圧から手を引き、彼らの要求を実現する時が来た」と付け加えた。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル首相はアラブ人記者団に対して「危機脱出の手段としては改革以外ない」と述べ、「シリアで起きていることにみなが沈黙するなか、トルコはダマスカスと対話し、改革実施と暴力停止の必要を議論してきた唯一の国だった」と付け加えた。

そのうえで「トルコの政策は、アラブ世界で進行中の民主的変化を支えることを基礎としているが、その変化は平和的手段によらねばならない」とした。

また「我々はこれ以上の殺戮、破壊を望んでいない。なぜなら、分断や内戦の危険が地域の国々を脅かしているからである。我々はこれ以上戦争が起きることを望んでいない。イスラエルとイランの戦争を起こそうとする試みが失敗するなか、宗派主義戦争、スンナ派とシーア派の戦争、アラブとイランの戦争などを起こそうとするような者がいるなかで…」と付言した。

AFP, April 15, 2011、Akhbar al-Sharq, April 15, 2011、al-Hayat, April 16, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 15, 2011, April 16, 2011、Reuters, April 15, 2011、SANA, April 15, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

サファル新内閣が発足するも、ダルアー市では政権打倒を求める数千人規模のデモが行われる(2011年4月14日)

国内の暴力

SANA(4月14日付)は、シリア高官筋の話として、バーニヤース市で狙撃集団がパトロール中の軍兵士に発砲し、兵士1人が死亡、1人が負傷したと報じた。

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al-Hayat, April 15, 2011
al-Hayat, April 15, 2011

タルトゥース県では、ロンドンで活動するシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン会長によると、バーニヤース市民使節団とシリア政府高官使節団が、治安維持のために軍が市内にただちに展開することなどに合意した。

合意は、バーニヤース市での事件に関する恩赦、すべての逮捕者の釈放、市内に治安機関が入らないこと、いかなる家に対しても捜索を行わず、いかなる個人も逮捕しないことなどを骨子とし、「バーニヤース市の限られた地点、クスール地区、カウズ地区に軍が入り、検問所を撤廃する」と定め、住民に「市民保護を行う存在として軍を心から受け入れる」よう呼びかけており、13日に成立し、市内のモスクからその内容が市民に告知された。

なおアブドゥッラフマーン会長によると、「市民は軍が入ることを歓迎」しており、「女性たちが座り込みで叫んだシュプレヒコールのなかには「アッラー、シリア、軍、人民」というシュプレヒコールもあった」という。

他方、英『ガーディアン』(4月14日付)は、複数の目撃者の証言として、バーニヤース市でデモ弾圧を拒否する治安部隊の兵士複数が上官らによって射殺された、と報じた。

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ダルアー県では、複数の目撃者などによると、ダルアー市に隣接する村々出身の約100人がヨルダン国境に通じる道を閉鎖し、タイヤを燃やした。

また『アフバール・シャクル』(4月14日付)によると、ダルアー市のウマリー・モスク前のカラーマ広場に数千人が集まり、アサド政権と会談した使節団が市民を代表していないと非難、政権打倒を訴えた。

Kull-na Shurakāʼ, April 14, 2011
Kull-na Shurakaʼ, April 14, 2011

同目撃者によると、デモ参加者が集まったのは、国境から約30キロの地点だ、という。

アサド政権の動き

4月14日政令第146号に従い、アーディル・サファル内閣が発足、17閣僚を留任させ、14人を新閣僚に任命した。また副首相職は廃した。

新内閣閣僚は以下の通り。http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/aljabal/biladalsham/syria/ministers/2011_04.htm

SANA, April 14, 2011
SANA, April 14, 2011

アーディル・サファル首相(アラブ社会主義バアス党)

ファイサル・アッバース運輸大臣(アラブ社会主義バアス党)
ワリード・ムアッリム外務大臣兼在外居住者大臣(アラブ社会主義バアス党)
ジョルジュ・マラキー・スーミー灌漑大臣(シリア共産党ファイサル派)
ラーミヤー・アースィー観光大臣(アラブ社会主義バアス党)
サーリフ・ラーシド教育大臣(アラブ社会主義バアス党)
ムハンマド・ニダール・シャッアール経済通商大臣(アラブ社会主義バアス党)
アドナーン・サラーフー工業大臣(アラブ社会主義バアス党)
アブドゥッラッザーク・シャイフ・イーサー高等教育大臣(アラブ社会主義バアス党)
アリー・ハビーブ国防大臣(アラブ社会主義バアス党)
ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣(アラブ社会主義バアス党)
ラドワーン・ハビーブ社会問題労働大臣(アラブ社会主義バアス党)
ムハンマド・ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣(無所属)
ハーラ・ムハンマド・ナースィル住宅建設大臣(アラブ社会主義バアス党)
アドナーン・ハサン・マフムード情報大臣(アラブ社会主義バアス党)
スフィヤーン・アッラーウ石油鉱物資源大臣(アラブ社会主義バアス党)

ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー地方自治大臣(アラブ社会主義バアス党)
カウカブ・スバーフ・ムハンマド・ジャミール・ダーヤ環境担当大臣(アラブ社会主義バアス党)
アブドゥルガニー・サーブーニー通信技術大臣(アラブ社会主義バアス党)
イマード・ムハンマド・ディーブ・ハミース電力大臣(アラブ社会主義バアス党)
ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣(アラブ社会主義バアス党)
リヤード・ファリード・ヒジャーブ農業・農業改革大臣(アラブ社会主義バアス党)
ムハンマド・リヤード・フサイン・イスマト文化大臣(無所属)
ワーイル・ナーディル・ハッキー保健大臣(アラブ社会主義バアス党)
タイスィール・カラー・アウワード法務大臣(アラブ社会主義バアス党)
マンスール・ファドルッラー・アッザーム大統領担当国務大臣(アラブ社会主義バアス党)
ユースフ・スライマーン・アフマド国務大臣(シリア共産党バクダーシュ派)
ハッサーン・サーリー国務大臣(社会統一主義者党)
ギヤース・ジュルアトリー国務大臣(統一社会民主主義党)
ジョセフ・スワイド国務大臣(シリア民族社会党マハーイリー派)
フサイン・ファルザート国務大臣(アラブ社会主義者運動アフマド派)

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SANA, April 14, 2011
SANA, April 14, 2011

『ハヤート』(4月15日付)はシリア高官筋の話として、アサド大統領が「祖国と国民に対して犯罪行為を行わなかった者など、最近の事件でのすべての逮捕者の釈放」を指示したと報じた。

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『ワタン』(4月13日付)によると、バッシャール・アサド大統領は、ドゥーマー市(ダマスカス郊外県)市民使節団と2時間にわたって二度目となる会見を行った。

同使節団は市民の要求を聴取するための国民諸委員会の16人から構成されていた。

同紙によると、ドゥーマー市民の要求は「非常事態令解除、法律第49号におけるシリア・ムスリム同胞団メンバーへの極刑に関する文言の修正」などからなっており、「要求に関して合意が得られたうえで、政党法、平和的デモを求める法を承認する必要があることを強調していた」。

また『ハヤート』(4月15日付)によると、アサド大統領は、各地の住民代表との懇談の一貫として、ダルアー市民使節団50人と会談した。

使節団のなかにはウマリー・モスクのイマームも参加した。

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『シャルク・アウサト』(4月15日付)は、ムスタファー・トゥラース元国防大臣がヒムス県住民使節団と会談し、反体制デモ弾圧をめぐる一連の騒動に関して意見を交わしたと報じた。

使節団はヒムス市の人民議会議員、キリスト教、イスラーム教の代表、商業会議所、工業会議所の代表のほか、タルビーサ市、ラスタン市の代表からなっており、治安当局による過剰な弾圧の停止、非常事態令解除などを要求した、という。

トゥラース元国防大臣はハーフィズ・アサド前政権において約30年にわたり国防大臣、軍・武装部隊副司令官を務めてきた。

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アリー・アブドゥルカリーム・アリー在レバノン・シリア大使は、ムスタクバル潮流の反体制デモ支援疑惑をめぐって、レバノン司法当局に法的行動をとるよう求めた。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団は声明を出し、シリア治安当局が13日晩から14日早朝にかけて、数百人の逮捕者を釈放したと発表した。

しかし同声明によると、逮捕者のなかには「激しい拷問」を受けた者がいるとし、「拷問の状況に関する生きた証言を聴取するための独立人権委員会の設置と、拷問を行った者、拷問を命令した者を法廷に突き出すこと」を要求した。

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シリア・ムスリム同胞団が声明を出し、反体制デモ煽動に同胞団が関与しているとのシリア・アラブ・テレビの報道(4月12日付)を否定した。

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シリア人権機構(SWASIAH)会長のムンタハー・アトラシュ女史はロイター通信(4月14日付)に対して、シリア政府が破壊活動を行っていると非難する「武装集団」は自由と民主主義へ向けた市民の要求をもみ消すための「作り話」だと非難した。

レバノンの動き

SANA(4月15日付)は、レバノン治安当局筋の話として、14日にシリア国内に武器を持ち込もうとした2人がレバノン領内ベカーア県東部の国境地帯で逮捕された、と報じた。

アシュラフ・リーフィー内務治安軍総局長は、レバノンからシリアに武器を密輸しようとしていた車2台をベカーア県東部で取り押さえたとの報道を否定した。

諸外国の動き

マーク・トナー米国務省副報道官は『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月14日付)に対して「イランがシリアにデモ弾圧の支援を行っているとの信頼できる情報がある」と述べた。

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ドイツ外務省は声明を出し、英仏独伊・スペインの在シリア大使がワリード・ムアッリム外務大臣に対して、国内でのデモ弾圧への懸念を伝えたと発表した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明を出し、アサド政権の逮捕者に対する拷問を非難した。

AFP, April 14, 2011、Akhbar al-Sharq, April 14, 2011, April 15, 2011、The Guardian, April 14, 2011、al-Hayat, April 15, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 14, 2011、Naharnet.com, April 14, 2011, April 15, 2011、Reuters, April 14, 2011、SANA, April 14, 2011, April
15, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, April 15, 2011、al-Waṭan, April 14, 2011、The Wall Street Journal, April 14, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

バーニヤース市において軍・治安部隊と「武装集団」の間で衝突が発生、アレッポ市では初の反体制デモ(2011年4月13日)

国内の暴力

SANA(4月13日付)などシリア公式筋は、12日にタルトゥース県バーニヤース市で発生した軍・治安部隊と「武装集団」の衝突で多数が死傷したと報じた。

Akhbar al-Sharq, April 13, 2011
Akhbar al-Sharq, April 13, 2011

同報道によると、死者のなかには治安部隊兵士、民間人のほかに「犯罪集団」メンバー3人が含まれており、負傷者16人のうち8人が「犯罪集団」メンバー、6人が治安要員だった。

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複数の人権活動家によると、約5,000人の女性がバーニヤース市・タルトゥース市間の街道で座り込みを行い、12日にバイダー町で逮捕された住民の釈放を要求した。

これらの活動家によると、治安部隊が12日に同村に突入し、家々を捜索し、約350人の男性を逮捕した。

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複数の消息筋によると、アレッポ県アレッポ市で初めて反体制デモが発生した。

シリア・クルド人権委員会のラディーフ・ムスタファー会長は、「学生のデモがアレッポ大学文学部で発生し、約500人の学生がダルアー、バーニヤースとの連帯と、自由を求めた」と述べた。

しかし「治安部隊がデモ参加者を排除…、学生ともみ合いになり、4人を逮捕した」と付言した。

一方、SANA(4月13日付)は、アレッポ大学遺跡学部で学生約20人が学務に関する学長との懇談会で反体制的なシュプレヒコールを連呼、他の大部分の学生は国民統合と陰謀拒否を訴えて対峙した、と報じた。

al-Hayat, April 14, 2011
al-Hayat, April 14, 2011

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ダマスカス大学法学部前でも学生約100人が反体制デモを行った。

これに関して、SANA(4月13日付)は、ダマスカス大学シャリーア学部で学生約30人が「自由」を求めてデモを行ったと報じた。

アサド政権の動き

SANA(4月13日付)などシリア公式筋は、「シリア当局が負傷者の病院への搬送と救急治療を禁じた」との一部メディアの報道を否定し「根拠がない」としたうえで、そのようなことを行っているのが「武装集団」だと非難した。

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「アフバール・シャルク」(4月13日付)は、4月10日にドゥーマー市やダルアー市で逮捕された15歳以下の子供が当局の拷問に遭っている、と報じた。

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「アフバール・シャルク」(4月13日付)は、シリア当局がドゥーマー市で最近逮捕した市民の約190人を10日に釈放、またアサド大統領が弾圧の犠牲者の遺族と面談した、と報じた。

反体制勢力の動き

Youtube
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CDF、ラースィド、DAD、シリア・アラブ人権機構、シリア人権国民機構、Maf、シリア人権擁護連盟、シリア政治犯擁護センターの人権団体8団体が共同声明を出し、アサド政権によるデモ弾圧を批判した。

レバノンの動き

ムスタクバル潮流のジャマール・ジャッラーフ国民議会議員および同潮流はシリア・アラブ・テレビでの「テロ細胞」メンバー3人の自供を事実無根と否定した。

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『サフィール』(4月14日付)は、レバノンのベカーア県の軍事情報局がヒムス県に密輸されようとしていたライフル銃10丁を押収し、密輸業者1人を逮捕したと発表したと報じた。

同報道によると、シリアのヒムス県側でも密輸業者2人が逮捕されたという。

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これに関連して、『アフバール』(4月14日付)は、レバノン治安当局がリフアト・アサド前副大統領に近い士官らシリア人複数を逮捕した、と報じた。

同報道によると、逮捕されたシリア人はレバノン領内でアサド政権打倒運動を行っていた、という。

諸外国の動き

『ハヤート』(4月14日付)は、米国高官の話として、バラク・オバマ政権がシリアの危機の「政治的解決」を望んでおり、ロバート・フォード米大使がシリアの高官に、その旨伝えるとともに、「すべての当事者による暴力行為」に対する非難の意思を連日伝えていると報じた。

AFP, April 13, 2011、al-Akhbar, April 14, 2011、Akhbar al-Sharq, April 13, 2011, April 14, 2011、al-Hayat, April 14, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 14, 2011、Reuters, April 13, 2011、SANA, April 13, 2011、al-Safir, April 14, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

タルトゥース県の混乱が継続する一方、「テロ細胞」メンバー3人が外部当事者による指示のもとで「破壊工作」を試みていたことを自供(2011年4月12日)

国内の暴力

複数の目撃者によると、タルトゥース県バーニヤース市東南に位置するバイダー町で、治安部隊と武装集団が「無差別発砲」を行った。

『ハヤート』(4月13日付)によると、バイダー町の目撃者の一人は、「村は治安部隊と犯罪組織(シャッビーハ)による無差別銃撃を受けた」と述べた。

また別の目撃者によると、「バイダー町に対する銃撃は雨のように降り注ぎ、現在までに少なくとも1人が負傷した」と述べた。

活動家の一人によると、バイダー町民のなかには武器を持っている者がおり、武力衝突が発生したようだ、と述べた。

また「救急車両がバイダー町に入ろうとしている。負傷者がいる」と語った。

別の活動家によると、村の携帯電話回線は遮断され、装甲車両がバイダー町に入り、兵士が「無差別に」発砲、家から出てきた若者たちを逮捕していった。

人権活動家の一人は、「攻撃は当局がおそらくバイダー町出身のアナス・シャフリー氏を支持者とともに逮捕しようとしたためだ」との見方を示した。

シャフリー氏はバーニヤース市での抗議行動を指導する代表人物の一人。

バーニヤース市で複数の目撃者が述べたところによると、「シリア軍は海岸にある同都市の包囲を強め、停電によるパン工場の停止で食糧危機が始まっている」。

抗議運動の指導者の一人、アナス・シャフリー氏は「治安部隊と軍は依然として町を包囲している。封鎖により異常なまでの締付状態に陥っており、我々は彼らが我々に何をしようとしているのか、理解できない」と述べた。

また「バーニヤース市でのパンの材料不足、停電、電話の普通がほぼ恒常的に起きている」と指摘した。

アブドゥルバスィート氏(電気技師)を名乗る目撃者の一人はAFP(4月12日付)に対して「事態はきわめて困難で、軍は市内から撤退し、市の出口に結集した。また治安部隊と体制側のシャッビーハが逮捕を繰り返している」と述べた。

また「市は死んでしまったかのように静まっており、商店は閉鎖されている」と付言した。

さらに「軍が殺害した者のなかには、治安要員もいる。なぜなら彼らは市への攻撃命令実行を拒否したからだ」と述べた。

ヤースィル氏を名乗る商人の一人は、「バーニヤース市は戦車で包囲され、誰も出入りできない。刑務所のようになっている」と述べた。

また「もはやバーニヤース市にはパンがない。タルトゥースから若干のパンが届いているが、それでは不十分だ」と付け加え、「ガソリン・スタンドも閉鎖されている」と語った。

市内のあるモスクの説教師、シャイフ・ムハンマド師は「多くの家で女子供を隣接する村に避難させた」と述べ、これらの家族が「クーズ地区からの発砲があったラアス・ナブア地区に住んでいる」と指摘した。

Kull-na Shurakāʼ, April 12, 2011
Kull-na Shurakāʼ, April 12, 2011
Kull-na Shurakāʼ, April 12, 2011
Kull-na Shurakāʼ, April 12, 2011

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Kull-na Shurakāʼ, April 12, 2011
Kull-na Shurakāʼ, April 12, 2011

「アフバール・シャルク」(4月12日付)によると、ハサカ県アイン・アラブ市、ラタキア県ジャブラ市、ダマスカス郊外県キスワ市、ダルアー県ダルアー市でバーニヤース市と連帯を求める1,000人から2,000人規模のデモが発生した。

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シリア・アラブ・テレビ(4月12日付)は、「テロ細胞」メンバー3人が、シリア・ムスリム同胞団とレバノンのジャマール・ジャッラーフ国民議会議員(ムスタクバル潮流)と関係があり、「破壊工作」を行おうとしていたと自供した映像を放映した。

証言したのは、アナス・カンジュ、ムハンマド・バドル・カラム、ムハンマド・アフマド・スフナを名のる3人。

証言によると、アサド政権を支持するデモや行進の参加者に発砲せよとの指示が、ジャマール・ジャッラーフ議員からアフマド・アウダという友人を経由して下された、という。

al-Hayat, April 13, 2011
al-Hayat, April 13, 2011

アフマド・アウダはシリア・ムスリム同胞団のメンバーで、3人に高性能の電話を提供、治安当局の車に似せた車で警護すると約束、3人は当初、ダマスカス県旧市街にあるウマイヤ・モスクで人々を集めてデモを行ったが、混乱を発生させることができず、次第に破壊工作を行う必要があると考えるようになり、アウダから武器を受け取った、という。

反体制勢力の動き

ダマスカス民主変革宣言は、3月以降の弾圧で約200人が死亡、数百人が逮捕されたと発表した。

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シリア言論の自由擁護センター所長のハリール・マアトゥーク弁護士はAFP(4月12日付)に対して、シリアの複数の都市で署名な活動家ら複数名が逮捕されたことを明らかにした。

逮捕されたのは、シリア民主人民党のギヤース・ウユーン・スード第一書記(4月12日、ダマスカス郊外県サフナーヤー市で逮捕)、同党幹部のジョルジュ・サブラ氏(4月10日、ダマスカス郊外県カタナー市で失踪)、アラブ社会主義連合民主党幹部のアフマド・マアトゥーク氏、ダマスカス民主変革宣言のナジャーティー・タイヤーラ弁護士(ヒムス)、同宣言のファーイズ・サーラ氏(ダマスカス郊外県ガズラーニーヤ町)。

彼らはジャズィーラなどに出演し、政権によるデモ弾圧を批判していた。

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シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首、民主統一改革党のムハンマド・サウワーン党首、シリア共産主義者統一国民委員会のカドリー・ジャミール代表がダマスカスで共同声明を出し、市民による改革要求デモに対して武器を使用しないよう当局に求めるとともに、デモ参加者に破壊行為を行わないよう呼びかけた。

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シリアの6つの人権団体は、バーニヤース市近郊での「シリアの軍部隊を標的とした悪質な攻撃をきわめて強く非難」し、「発砲した武装集団の身元を調査」と処罰を求めた。

アサド政権の動き

『サフィール』(4月13日付)は、ファールーク・シャルア副大統領がダルアー市民使節団と会談し、事態正常化に向けた協議を行ったと報じた。

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『クドス・アラビー』(4月12日付)は、軍事情報局南部地区長のスハイル・ラマダーン准将が地区長職を解任され異動となったと報じた。

軍事情報局南部地区はダルアー県、スワイダー県での治安を担当している。

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『クッルナー・シュラカー』(4月12日付)はダマスカス大学構内での学生の活動に対する「人民諸委員会」による監視がムハンマド・イーサー大佐の指導のもとで強化された、と報じた。

レバノンの動き

ベイルート県中心部のハムラー地区にあるシリア大使館前で、シリア人活動家3人が民主化を求めるデモを行った。

しかしまもなく、アサド政権を支持する若者訳100人がハムラー地区に大挙し、対抗した。

諸外国の動き

ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、シリア情勢に関して、「政府の手によって負傷したシリア人が治療を受けられないとの情報に我々は懸念を感じている」としたうえで、「合衆国は平和的デモ参加者弾圧の試みを厳しく非難する」と述べた。

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英国外務省は英国民に対して、シリアの治安情勢悪化を理由に、不要不急のシリアへの渡航を控えるよう勧告した。

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イランのラーミーン・メフマーン・バラスト外務省報道官は、シリアでの抗議行動が中東のレジスタンスを支持する政府に揺さぶりをかけようとする西欧の陰謀の一環としてなされていると断じた。

報道官は昨日、シリアの抗議行動が自発的に発生した事件ではなく、外国の介入の産物だとの見解を示したうえで、「シリアで起きていることは西欧人たち、とりわけ米国人とシオニストが行う忌まわしい行為だ」と述べた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、4月8日(金曜日)のダルアー市での反体制デモに対する治安当局の弾圧に際して、当局は救急車両による医療活動を阻止していたと発表・非難した。

AFP, April 12, 2011、Akhbar al-Sharq, April 12, 2011、al-Hayat, April 13, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 12, 2011、Reuters, April 12, 2011、al-Quds al-ʻArabi, April 12, 2011、SANA, April 12, 2011、al-Safir, April 13, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

クウェートやバーレーンの元首がアサド大統領への支持を表明、また米国務長官はシリアへの軍事介入の可能性を否定(2011年3月27日)

反体制デモをめぐる動き

複数の住民が述べたところによると、ダルアー市やラタキア市に、軍・治安部隊、ムハーバラートの増援部隊が派遣され、市内制圧を支援する一方、監視態勢を強化し、大規模なデモは発生しなかった。

ただし、ダルアー市内には、戦車、兵員輸送車輌は投入されていないという。

Youtube
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複数の通信社によると、衛星テレビ局アフバール・スーリーヤは、当局が約300人を逮捕し、そのなかにはイラク人、ヨルダン人、レバノン人、アルジェリア人が含まれていたと報じた。

彼らは3月26日(土曜日)、ラタキア市で、ビルの屋上を占拠し、通行人に発砲したという。

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『クッルナー・シュラカー』(3月27日付)は、「クルド青年革命」を名乗るグループが、フェイスブックなどでダルアー市との連帯を表明するため、カーミシュリー市での座り込みを呼びかけたと報じる。

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アラブ社会主義連合民主党は声明を出し、「平和的な手段による愛国的、民主的な運動のただ中にを見出す」と述べ、反体制抗議行動支持を表明。

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人民議会の審議で、ユースフ・アブー・ルーミヤ議員(75歳、ダルアー県選出、無所属)が、ダルアー市で治安部隊が「執拗に」デモ参加者に発砲したと非難した。

アブー・ルーミヤ議員は「ハウラーン地方で起きているのは、大統領ではなく、ヘリコプターを投入して市民に発砲した…ダルアーの政治治安部の無思慮に抗議するものだ」と述べた。

この発言はYoutubeで配信された。

アサド政権の動き

大統領府声明によると、バッシャール・アサド大統領はクウェートのフバーフ・アフマド・ジャービル・スバーフ首長、バーレーンのハマド・ブン・イーサー・アール・ハリーファ国王と電話会談した。

同声明によると、スバーフ首長は「クウェートが治安と安定を揺るがそうとする試みに対抗するシリアを支持するとの意思」を示し、この試みを退けるシリア政府および国民の能力を信頼していると述べた。

一方ハマド国王は「アサド大統領に対して、バーレーンが治安と安定を標的とした陰謀に立ち向かうシリア政府および国民を支持し、この陰謀を排除し、克服するシリア国民の意思と能力を信頼している」と述べた。

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SANA(3月28日付)は、公式筋の情報として、「武装集団が2日間にわたってラタキア市民、街区を攻撃し、治安部隊兵士、市民、10人と、武装集団メンバー2人がした。同集団は市内を徘徊し、家々の屋根を占拠して、市民に無差別に発砲、市民をパニックに陥れた…。約200人が負傷した。そのほとんどが治安要員で、武装集団はまた、ラタキア市内の公共施設、私有施設、福祉施設、焦点を破壊し、家々に押し入り、住民を脅迫した」と報じた。

またその際、市内の国立病院も襲撃され、多数の救急車両や医療クルーを攻撃した、という。

しかし、「ラタキア市民は、すべての地区で治安部隊に協力し、武装集団の居場所を知らせ、メンバー多数の逮捕、尋問に寄与した」。

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AFP(3月27日付)によると、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報顧問は、ラタキア市での3月26日(土曜日)の事件に関して「治安要員と市民2人、武装した男2人がラタキア市の住民や市街地に対する武装集団の攻撃によって死亡した」と公式筋の発表を繰り返した。

シャアバーン顧問はまた「攻撃の背後には過激派がおり、国内に宗派主義的亀裂をもたらそうとしていた」と疑った。

そのうえで「非常事態令解除は決定済みだが、それがいつ実施段階に入るかは分からない」と付言した。

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シリア・アラブ・テレビの報道によると、米国籍を持つエジプト人は外国から金銭を受け取り、シリアで撮影した映像を送っていたという。

シリア・アラブ・テレビで公開されたムハンマド氏の証言映像で、同氏はインターネットでコロンビア人からダマスカスでのデモの映像を撮影したら100EPの報酬を与えると持ちかけられたと述べた。

これに対して、アブー・バクル・ラドワーン氏(エジプト人)が3月27日晩にアラビーヤの電話取材に対して、息子のムハンマド氏がダマスカスで3月25日に逮捕されたと語った。

ムハンマド氏はウマイヤ・モスクで発生したデモを携帯電話のデジカメで撮影しただけであるにもかかわらず、シリア当局はイスラエルのスパイとの容疑をかけたという。

しかし、アブー・バクル氏は、ムハンマド氏がヨルダン経由でイスラエルに入国したことを認める。

ムハンマド氏は米国生まれの32歳で、テキサス大学を卒業。米在住。石油技師。

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AFP(3月27日付)はミシェル・シャンマース弁護士の話として、3月16日に内務省舎前で座り込みを行い「ダマスカスで逮捕されたディヤーナー・ジャワービラ女史ら17人の釈放を当局が決定した」と報じた。

ジャワービラ女史の逮捕は出身地であるダルアー市でのデモを激化させる原因ともなった。

この措置は、3月23日の女性参加者釈放に次ぐ動きであった。

しかし、シャンマース弁護士は9人が依然身柄拘束中で、そのなかには人権活動家のスハイル・アタースィー女史、ナーヒド・バダウィーヤ女史が含まれていると付け加えた。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、米国にはシリアへの軍事攻撃の意思がないと明言した。

リビアでの軍事攻撃に関する米テレビ局CBSの質問に対して、国務長官は「いいえ、(中東での)情勢にはそれぞれ個別の特性がある」と答えた。

そのうえで、国際的な連携のもと、国連での「グローバル」な合意のもとで暴力行為が非難された状況下において、軍事的介入を考慮することが初めて可能になるとの見解を示し、「今後こうしたことは起きないだろう。なぜなら我々は現在何が起きており、その結果何が生じ得るかを完全には把握していないからである」と述べた。

さらに「もちろん、シリアでの暴力行為を遺憾に思っており、平和的なデモを認め、経済・政治改革の開始を呼びかけている」と付け加えた。

そしてシリアで起きていることを「大いに懸念しているが、それでも航空機を動員した無差別な都市への空爆と、我々の誰もが期待していなかったような過剰な実力行使を明白に伴う警察活動とは異なっている」と述べた。

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Naharnet.com, March 27, 2011
Naharnet.com, March 27, 2011

ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、シリアでの反体制デモに関して「彼(アサド大統領)を退任させようとする帝国主義の新たな運動」と非難、「社会主義指導者」にして「兄弟」のアサド大統領への支持を表明した。

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レバノンの首都ベイルート県内ハムラー地区にあるシリア大使館前で、数百人のシリア人がバッシャール・アサド大統領と政府との団結を訴えるデモを行った。

参加者はアイン・ムライサ地区に集まり、ハムラー地区に向かって行進、アサド大統領を支持するプラカード、大統領の写真、父ハーフィズ・アサド前大統領の写真を掲げ、「アッラー、シリア、バッシャールのみ」と連呼した。

またダナー地区近くでも約200人が集まり、イマーム・アリー・モスクに向かって行進、アサド大統領支持を訴える写真やプラカードを掲げて、ジュダイダ街道地区を通過した。

デモ参加者がコーラ地区に到着すると、地元住民との間で小競り合いが起き、殴り合いに発展したが、現場にいたレバノン軍が事態を収拾した。

この衝突に関して、『アフバール・シャルク』(3月28日付)は、ムスタクバル潮流の支持者と、アサド政権を支持するヒズブッラーの支持者が衝突し、1人が銃で撃たれて負傷したと報じた。

ベイルート郊外のブルジュ・ハンムード(レバノン山地県)のナブア地区では、アサド大統領の写真を掲げるアラブ人労働者が集まり、大統領を支持するシュプレヒコールを連呼した。

一方、レバノン国営通信社NNAが伝えたところによると、シリア大使館周辺で、アサド政権に反対する約50人が行進を行った。

AFP, March 27, 2011、Akhbar al-Sharq, March 27, 2011, March 28, 2011, March 30, 2011, April 3, 2011、al-Hayat, March 28, 2011、Kull-na Shuraka’, March 27, 2011, March 28, 2011、Naharnet.com, March 27, 2011、NNA, March 27, 2011、Reuters, March 27, 2011、SANA, March 28, 2011などをもとに作成。

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