イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月10日追記)

アフガニスタンのターリバーンは10日にインターネット・サイトを通じてアラビア語の書簡を発表、そのなかで、シャームのすべてのジハード組織の指導者やウラマーに対し、「共通の見解や協議を通じて自らの紛争を解決」し、「イスラーム教徒は宗教における誇張を回避しなければならない」としたうえで、「戦隊を統合し、言葉を一致させ、ウンマの利益を私利に優先させ、対立を回避しなければならない」と呼びかけた。

ロイター通信(7月11日付)が報じた。

なおロイター通信によると、パキスタン、アフガニスタン両国のターリバーンはダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言への公式の見解を示していないが、若いメンバーの一部はカリフ制樹立に好意的である一方、多くのメンバーが懐疑的な見方をしているという。

al-Hayat, July 12, 2014、Reuters, July 11, 2014をもとに作成。

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諸外国の動き(2014年7月10日)

『ハヤート』(7月11日付)は、国連潘基文事務総長が、スタファン・デミストゥラ氏(スウェーデン生まれ、イタリア人)をアフダル・ブラーヒーミー・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表の後任として、10日晩に正式に任命される見込みだと報じた。

またこれに合わせて、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が、ラムズィー・イッズッディーン・ラムズィー氏(エジプト人)を、ナースィル・カドゥーワ副代表(2014年2月に解任、シリア政府が入国禁止を通達)の後任に任命するという。

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月10日)

シリア国内の動き

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市のダーイシュ(イスラーム国)をイスラーム軍が攻撃、制圧した。

この戦闘で、複数の司令官を含むダーイシュ戦闘員5人が死亡したという。

これに関して、イスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官はツイッターを通じて、ダーイシュのアミールの一人、アブー・マーリヤ・ウルドゥンニー氏を含むダーイシュ・メンバー4人を殺害したと綴った。

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アレッポ県で活動するシャームの鷹旅団のアブー・イーサー・シャイフ司令官は、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったシャーム軍とダーウド旅団に対して、12時間以内に武器を引き渡すよう最後通告を出した。

シャイフ司令官はまた、この二つの武装集団を事実上指揮するハッサーン・アッブード氏がアレッポの武装集団を何度も裏切ってきたと批判した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ヒシャーム村名士とダーイシュ(イスラーム国)が、同市から強制退去を命じられていた住民1万5,500人以上の帰宅について合意した。

住民は10日正午から帰宅を開始するという。

イラク国内の戦況

ロイター通信(7月10日付)によると、国際原子力機関(IAEA)は、イラク政府から、ニナワ県モスル市の大学に保管されていた核物質が奪われたとの連絡を受けたと発表した。

核物質の種類や量は明らかにしていないが、「低い等級のもので安全上の問題は小さい」としている。

ロイター通信によると、奪われたのは研究用ウラン化合物約40キロ。

イラクの国連大使が8日、潘基文国連事務総長宛ての書簡で、「テロ集団に奪われた」と伝えたという。

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ニナワ県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がモスル市各所でイラク軍元士官30人を逮捕した。

逮捕の理由は明らかでないという。

一方、モスル市南部のタヤラーン地区にあるイラク軍ニナワ県作戦司令室をイラク軍戦闘機が空爆した。

同司令室はダーイシュが占拠し、本部として使っていたという。

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バービル県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、軍、警察、民兵からなる合同部隊がジュルフ・サフル地方でダーイシュ(イスラーム国)の掃討作戦を続け、ダーイシュ戦闘員22人を殺害、車輌8台を破壊した。

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ラマーディー県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、軍・警察合同部隊がラマーディー市北部のジャズィーラ地区でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員13人を殺害した。

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マダー・プレス(7月10日付)は、信頼できる消息筋の話として、イラクの特殊諜報機関が、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏の弟を逮捕したと伝えた。

逮捕されたバグダーディー氏の弟はバグダードなどでの「テロ活動」を統括していたという。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、ヤアクーバ市北部のスドゥール地方で、警察部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、同地襲撃の「首謀者」1人を含むダーイシュ戦闘員7人と警官2人が死亡した。

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年7月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市シャッアール地区、カーティルジー地区、ムワーサラート地区、カーディー・アスカル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ハラク地区に対して、軍が「樽爆弾」などで攻撃する一方、同地一帯を占拠する反体制武装集団は、シリア政府支配下のハミーディーヤ地区、サイイド・アリー地区などを迫撃砲で攻撃した。

またアレッポ市シャッアール地区、ザフラー地区(空軍情報部一帯)では、軍、国防隊が、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍と交戦した。

さらにアレッポ市郊外のブライジュ村郊外、アレッポ中央刑務所近郊で、軍、国防隊、クドス旅団(パレスチナ人)が、ムハージリーン・ワ・アンサール軍(外国人)などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

シリア軍の攻勢に関して、ロイター通信(7月10日付)は、シリア軍が今週、アレッポ市周辺の戦略的要衝を制圧し、反体制武装集団の兵站路を寸断、包囲を強めていると伝えた。

またヒズブッラーに近い複数の消息筋の話として、シリア軍によるアレッポ市攻略をヒズブッラー戦闘員が支援していると付言した。

同消息筋によると、ヒズブッラーの顧問がシリア軍部隊とともに最近、アレッポ市に展開、戦闘員を前線に展開させたという。

『ハヤート』(7月11日付)は、アレッポ市の反体制活動家の話として、反体制武装集団が現在、アレッポ市北部の4キロ平方メートルを制圧しているが、同地にいたる最後の幹線道路が軍によって制圧されれば、アレッポ市は完全包囲される、と報じた。

一方、SANA(7月10日付)によると、アターリブ市、クワイリス村、ハースィーン村、ダーラト・イッザ市、カブターン・ジャバル村、自由貿易区北部、タッル・スースィーン村、シャイフ・サイード村、ファーフール村、カフルハムラ村、アレッポ市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、マサール・プレス(7月10日付)によると、タルビーサ市南部から進軍を試みたシリア軍部隊を「革命家部隊」が撃退し、兵士多数を殺害、ラスタン市北部前線、ハウラ地方東部前線、ウンム・シャルシューフ村前線でも、軍と「革命家部隊」が交戦した。

一方、SANA(7月10日付)によると、ラッフーム村・マスアダ村街道、アルシューナ街道、ガジャル村・ラスタン市街道、タルビーサ市、ウンム・シャルシューフ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市郊外の果樹園で軍とジハード主義武装集団が交戦する一方、ザバダーニー市を軍が「樽爆弾」などで空爆した。

またムライハ市およびその周辺では、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、クドスィーヤー市で未明、国民和解委員会メンバーの一人が武装した何者かに暗殺された。

他方、SANA(7月10日付)によると、ムライハ市郊外、アルバイン市、カーラ市郊外の無人地帯、マシュラファ村郊外、ラアス・マアッラ町郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーミディーヤ航空基地およびワーディー・ダイフ軍事基地周辺で、軍とジハード主義武装集団が交戦し、武装集団戦闘員16人が死亡した。

一方、SANA(7月10日付)によると、タッル・フスーン、カフルラーター村、マジュダリヤー村、ビカフルーン村、ジダール・ビカフルーン村、クマイナース村、アルバイーン山周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、軍との戦闘で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団戦闘員13人(うちヨルダン人4人)が死亡した。

一方、SANA(7月10日付)によると、ブライカ村一帯、ビイル・アジャム村一帯、タッル・アフマル、ハッジャ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、インヒル市各所を軍が砲撃し、同地東部でジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(7月10日付)によると、タッル・ハッシュ、タファス市、タッル・シハーブ町、ムザイリーブ町、アトマーン村、ガズラーン農場、タスィール町・ナワー市街道、ジュムーア丘東部、ズィムリーン村・サムリーン村交差点、タスィール町、アドワーン村、サムリーン村北部、ハッラーブ・シャハム村、ナワー市、キヒール村、ブスラー・シャーム市、ジャラーバー・インヒル市街道、ダルアー市旧税関地区、ビラール・ハバシー・モスク一帯、ヨルダン通り一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(7月10日付)によると、タクスィース村を反体制武装集団が襲撃し、女性3人を斬首、また女性1人を拉致・連行した。

また、ムーリク市では、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(7月10日付)によると、タッル・サティーフ、アブー・カサーイブ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年7月10日)

外務在外居住者省は国連安保理議長、事務総長に宛てて書簡を送り、9日にハマー県ハッターブ町で発生した反体制武装集団による住民虐殺に関して、「テロ集団」を支援する国々に対して,支援を停止させるための行動をとるよう要請した。

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

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クルド民族主義勢力の動き(2014年7月10日)

西クルディスタン移行期部民局(ジャズィーラ地区)立法評議会(ディーワーン)は、ハサカ県アームーダー市での会合で、シャンマル部族の部族長ハミーディー・ダッハーム・ハーディー・ジャルバー氏と民主統一党のハディーヤ・ユースフ女史の2人をジャズィーラ地区の共同執政官に満場一致で選出した。

クッルナー・シュラカー(7月10日付)が報じた。

ARA News, July 10, 2014
ARA News, July 10, 2014

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月10日)

Kull-na Shuraka', July 10, 2014
Kull-na Shuraka’, July 10, 2014

イスラーム戦線アレッポ県総司令部のアブドゥルアズィーズ・サラーマ・アブー・ジュムア司令官は声明を出し、北の拳大隊を構成する以下の部隊・戦闘員を解任・除名すると発表した。

1. ジャーンブー

2. アイマン・ファッルーフ

3. アフマド・ヤースィーン

4. ニダール・ハティーブ

5. アムジャード・シャーム大隊

6. アラブの春旅団

7. アブー・ライス・グラバー

「土地を荒廃させ、道路を封鎖し、無実のイスラーム教徒の血と財産を奪った」のが解任・除名の理由だという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は7月6日からトルコのイスタンブール郊外で開催されている総合委員会会合で、政治委員会メンバー19人を選出した。

選出された政治委員会メンバーと得票数は以下の通り:

1. サーリム・ムスラト(73)

2. アブドゥルアハド・アスティーフー(72)

3. ナズィール・ハキーム(68)

4. アーリヤ・マンスール(68、留任)

5. バドル・ジャームース(68)

6. マフムード・ダギーム(66)

7. アフマド・サイイド・ユースフ(62)

8. サラーフ・ダルウィーシュ(62、留任)

9. リヤード・ハサン(61、留任)

10. ワースィル・シャマーリー(61)

11. ナガム・カーディリー(60)

12. アナス・アイルート(58)

13. ハティーブ・バドラ(55)

14. ジャービル・ズアイン(55)

15. アナス・アブダ(54)

16. アフマド・ジャカル(53、留任)

17. アクラフ・アッサーフ(50)

18. ムハンマド・ハイル・バーンジュー(50、留任)

19. ハーリド・ナースィル(49、留任)

クッルナー・シュラカー(7月10日付)が伝えた。

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

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