イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月31日追記)

ARA News(8月3日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)がアレッポ県ジャラーブルス市で7月31日、国際NGOのワールド・ヴィジョンとNRCのボランティア活動家6人(シリア人)を逮捕したと報じた。

ARA News, August 3, 2014をもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年7月31日追記)

イドリブ県では、ARA News(8月1日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線がトルコ国境に近いサルマダー村を制圧した。

これを受け、軍は同村を空爆し、1人が死亡、約10人が負傷した。

ハリール・アフマドを名乗る活動家によると、ヌスラ戦線は地元住民の同意のもとにサルマダー村を制圧し、「自由シリア軍」とともに検問所を設置したが、軍の空爆を受け、同村から撤退したという。

ARA News, August 1, 2014をもとに作成。

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諸外国の動き(2014年7月31日)

アレッポ県の対シリア国境に位置するバーブ・ハワー国境通行所運営局はフェイスブックを通じて声明を出し、トルコ当局が同国境通行所に面するトルコ側のキリス国境通行所を7月31日付で開放し、シリア人のシリアへの帰国を許可することを決定したと発表した。

ARA News(7月31日付)によると、これにより、武器以外の物資などの搬入も可能になるという。

しかし、複数の活動家によると、トルコ当局は西クルディスタン移行期民政局やシリア政府が実効支配するシリア領内と接する国境通行所(ラアス・アイン・ジェイランプナル間、カーミシュリー・ヌサイビン間、ダルバースィーヤ・シェンユルト間、アイン・アラブ・ミュルシトプナル間)の開放は行わないという。

AFP, July 31, 2014、AP, July 31, 2014、ARA News, July 31, 2014、Champress, July 31, 2014、al-Hayat, August 1, 2014、Kull-na Shuraka’, July 31, 2014、al-Mada Press, July 31, 2014、Naharnet, July 31, 2014、NNA, July 31, 2014、Reuters, July 31, 2014、SANA, July 31, 2014、UPI, July 31, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月31日)

シリア国内の動き

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市(クルド語名コバネ)西部郊外で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、ダーイシュ戦闘員35人が殺害し、同地一帯の村々を奪還、ダーイシュの拠点複数カ所を制圧した。

人民防衛隊側も隊員14人が死亡した。

同監視団によると、ダーイシュはアイン・アラブ市とアフタリーン市を結ぶ対トルコ国境地帯の制圧をめざし、アイン・アラブ市攻略を進めていたという。

なお、アフタリーン市方面では、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線が撤退し、ダーイシュはクルド人戦線旅団と交戦を続けている。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、キシュキーヤ町、アブー・ハマーム市、ガラーニージュ市一帯で、シュアイタート部族の民兵とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

この戦闘に関して、シュアイタート部族民兵や活動家らは、インターネット上に殺害したダーイシュ戦闘員の写真などを公開、「シュアイタートはダーイシュどもに対して蜂起する」、「ダーイシュの傭兵に対する民衆抵抗」といったメッセージを書き込んだ。

これを受け、ダーイシュは、マヤーディーン市とアシャーラ市を結ぶ橋を閉鎖、ブサイラ市からガラーンンジュ村に至る地域一帯の検問所を強化、キシュキーヤ町、ガラーニージュ市、アブー・ハマーム市で強制捜査や住民の逮捕を行う一方、何者かがアシャーラ市に架かる橋にあるダーイシュ検問所に向けて発砲した。

一方、クッルナー・シュラカー(7月31日付)によると、ダーイシュは戦闘員数百人と重車輌を投入し、シュアイタート部族民兵に対抗、約60人を捕捉した。

他方、SANA(7月31日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区、旧空港地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

ARA News, July 31, 2014
ARA News, July 31, 2014

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ハサカ市郊外のマシュタル地区からダーイシュ(イスラーム国)が同市内に向けて迫撃砲を発射、7発が着弾、住民3人(ARA News(7月31日付)によると4人)が死亡した。

またシリア軍がハサカ市南部のサブア・スクール地区でダーイシュと交戦、双方に死傷者が出た。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシリア軍第93旅団基地への突入準備に向けて同基地周辺に集結、住民に退去を呼びかけた。

これに対してシリア軍は地対地ミサイルで基地周辺を攻撃した。

イラク国内の動き

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月31日付)によると、イラク軍がムーハサン市、ブーリダー村などを空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員27人を殺害した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(7月31日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がキルクーク市西部のザーブ地方で、忠誠を拒否したジュブール部族の族長の妻を殺害した。

またキルクーク市南部のターザ地方をダーイシュが砲撃した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月31日付)によると、イラク軍はジュルフ・サフル地方の複数カ所を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員20人を殺害した。

AFP, July 31, 2014、AP, July 31, 2014、ARA News, July 31, 2014、Champress, July 31, 2014、al-Hayat, August 1, 2014、Kull-na Shuraka’, July 31, 2014、al-Mada Press, July 31, 2014、Naharnet, July 31, 2014、NNA, July 31, 2014、Reuters, July 31, 2014、SANA, July 31, 2014、UPI, July 31, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年7月31日)

NNA(7月31日付)によると、レバノン軍はベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外の検問所で、武装集団メンバーと思われるシリア人6人を拘束した。

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NNA(7月31日付)によると、イスラエル軍は、30日にナバティーヤ県カフルシューバー郡のシャブアー農場で拘束したレバノン人羊飼いをレバノン当局に引き渡した。

AFP, July 31, 2014、AP, July 31, 2014、ARA News, July 31, 2014、Champress, July 31, 2014、al-Hayat, August 1, 2014、Kull-na Shuraka’, July 31, 2014、al-Mada Press, July 31, 2014、Naharnet, July 31, 2014、NNA, July 31, 2014、Reuters, July 31, 2014、SANA, July 31, 2014、UPI, July 31, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年7月31日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イスラーム戦線がアレッポ市旧市街アレッポ城近くにあるハンマーム・ヤルバガー(公衆浴場)を制圧した。

一方、SANA(7月31日付)によると、アレッポ市ラーシディーン地区、マルジャ地区、マアーディー地区、シャッアール地区、旧市街、アレッポ城周辺、ハーン・アサル村、フール村、バービース村、ダイル・ハーフィル市、ハンダラート・キャンプ、カフルナーハー村、ダーラト・イッザ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、クッルナー・シュラカー(7月31日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線がシャンシャール村のバルグース検問所近くで爆弾を仕掛けた車を爆破し、軍兵士多数を殺傷した。

一方、SANA(7月31日付)によると、東サラーム村、アルシューナ村、ウンム・サフリージュ村、ウンム・シャルシューフ村、ナースィリーヤ村、タッルドゥー市、アーミリーヤ村、シャーイル山(ハマー県)武器庫北部、第105油田北部、マクサル・ヒサーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、ARA News(7月31日付)によると、ダーイル市をシリア軍が空爆し、3人が死亡した。

一方、SANA(7月31日付)によると、ダルアー市ヤルムーク学校東部、旧税関地区、郵便局一帯、アッバースィーヤ地区など、ラジャート高原、サムリーン村、インヒル市、アトマーン村、ダーイル町、ブスラー・シャーム市、ウンム・マヤーズィン町、フラーク市、カラク村、ヒルバト・シャフム村、タッル・ファーダ村、キヒール村・サイダー町街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月31日付)によると、ドゥーマー市、アーリヤ農場、アイン・タルマー渓谷、ムライハ市郊外、ナシャービーヤ農場、ザバダーニー市、ラアス・マアッラ町郊外の無人地帯(対レバノン国境)、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯、ティーマー町、マガッル・ミール市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム旅団、ジュンドッシャームの戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(7月31日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(7月31日付)によると、カフルズィーター市、ズール・アブー・ザイド村、タイバト・イマーム市、ハッターブ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(7月31日付)によると、ナフラ村、イドリブ市郊外、シャビーバ軍事基地周辺、カルア・ガザール村、ハミーディーヤ村、アブー・ズフール町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, July 31, 2014、AP, July 31, 2014、ARA News, July 31, 2014、Champress, July 31, 2014、al-Hayat, August 1, 2014、Kull-na Shuraka’, July 31, 2014、al-Mada Press, July 31, 2014、Naharnet, July 31, 2014、NNA, July 31, 2014、Reuters, July 31, 2014、SANA, July 31, 2014、UPI, July 31, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年7月31日)

アサド大統領(シリア・アラブ軍武装部隊総司令官)は69回目となるシリア・アラブ軍創設記念日(8月1日)を記念して、軍機関誌『人民軍』を通じて祝辞を発表し、「我々のテロとの戦いは存在と運命をかけた戦いであり、怠慢や休戦の余地はない。我々は今日、これまで以上に、内乱と分割を狙った植民地主義的なテロ計略に敢然と対抗するために備えている。こうした計略はシリア、さらには地域全体に向けられており、現在起こっている混乱やテロに乗じたシオニストの敵の野望に資するものだからだ」と鼓舞した。

SANA(7月31日付)が伝えた。

AFP, July 31, 2014、AP, July 31, 2014、ARA News, July 31, 2014、Champress, July 31, 2014、al-Hayat, August 1, 2014、Kull-na Shuraka’, July 31, 2014、al-Mada Press, July 31, 2014、Naharnet, July 31, 2014、NNA, July 31, 2014、Reuters, July 31, 2014、SANA, July 31, 2014、UPI, July 31, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月31日)

アラビーヤ(7月31日付)は、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー前事務局長とアレッポ・シャリーア委員会のアブドゥルカーディル・フィラース顧問が反体制武装集団戦闘員の結婚式に同席している様子を撮影した写真を独占公開した。

撮影場所は不明だが、欧米諸国が後押しするキリスト教徒のサブラー前事務局長とサラフィー主義者のフィラース顧問が同席し、言葉を交わすことは異例だという。

Kull-na Shuraka', July 31, 2014
Kull-na Shuraka’, July 31, 2014

 

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シリア革命反体制勢力国民連立のアブドゥルハキーム・バッシャール副議長(シリア・クルド国民評議会代表)が、イラク・クルディスタン地域のアルビル市にあるシリア人避難民キャンプを慰問した。

ARA News(7月31日付)が伝えた。

Kull-na Shuraka', July 31, 2014
Kull-na Shuraka’, July 31, 2014

AFP, July 31, 2014、Alarabia, July 31, 2014、AP, July 31, 2014、ARA News, July 31, 2014、Champress, July 31, 2014、al-Hayat, August 1, 2014、Kull-na Shuraka’, July 31, 2014、al-Mada Press, July 31, 2014、Naharnet, July 31, 2014、NNA, July 31, 2014、Reuters, July 31, 2014、SANA, July 31, 2014、UPI, July 31, 2014などをもとに作成。

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最新論考「宗派対立」では読み解けないイラクの混乱:シリア紛争との連続線」(『外交』)

青山弘之「宗派対立」では読み解けないイラクの混乱:シリア紛争との連続線」(一点視界・一天四海)『外交』第26号、2014年7月、pp. 86-90

http://book.jiji.com/gaiko/

イスラム過激派の武装勢力が「イスラム国家」の樹立を宣言、首都バグダッドへの侵攻を続けるなどイラク情勢が緊迫の度を強めている。情勢悪化の本質的要因に何があるのか。「アラブの春」以降混乱が激化するアラブ世界の現状を、青山弘之・東京外国語大学教授に分析してもらった。・・・