イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月15日追記)

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県クーリーヤ市で、ダーイシュ(イスラーム国)の司令官・法学者が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の司令官と会合を開き、「停戦合意」を締結、ヌスラ戦線などの武器をダーイシュに引き渡すことで合意した。

「停戦合意」の骨子は以下の通り:

1. ヌスラ戦線などの武装集団の武器の完全引き渡し。
2. ムハージルーン(外国人戦闘員)へのクーリーヤ市政の移管とアンサール(シリア人)によるその支援。
3. ダーイシュと戦闘を行っていた者のうち、改悛を望む者の免罪とダーイシュへの参加許可。
4. すべての希望者の訓練後のダーイシュへの参加解禁。
5. 引き渡された武器の一部のダーイシュによる管理と一部の前線への配給。
6. 48時間の武器引き渡し猶予期間の設定。
7. 本合意のダイル・ザウル県(ダーイシュが言うところの「ハイル州」)全土への適用。
8. イスラーム国の名をかたり、無断で武器を保有し、検問所を設置する者への処罰、⑨武器使用についての知識を有する者のみの武器携帯許可。

al-Hayat, July 17, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

クルド民族主義勢力の動き(2014年7月15日追記)

アレッポ県では、ARA News(7月16日付)によると、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュがアイン・アラブ市での住民による座り込みを取材していた記者のサドルッディーン・カンヌー氏を逮捕した。

住民はダーイシュ(イスラーム国)が誘拐・拉致した学生の解放をめぐるダーイシュと人民防衛隊の交渉失敗に抗議していたという。

ARA News, July 16, 2014をもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月15日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ビンニシュ市にあるイスラーム委員会本部を武装集団が襲撃し、同本部で拘束されていた収監者を解放した。

武装集団の襲撃により、双方に6人の死者が出たという。

al-Hayat, July 17, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月15日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が14日に制圧したダイル・ザウル市各所をシリア軍が空爆した。

一方、ダーイシュは、スワイダーン・ジャズィーラ村郊外の油田(ウマル油田に帰属)複数カ所を制圧した。

これらの油田は、部族民兵が掌握していたが、ダーイシュに引き渡したが、一部の家族は依然として引き渡しを拒否しているという。

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クッルナー・シュラカー(7月15日付)は、アレッポ県マンビジュ市で、ダーイシュ(イスラーム国)アレッポ州が「信徒たちの長(アミール)への忠誠とカリフ制宣言強化のための第6回部族会合」と銘打った集会を開催したと報じ、ツイッターで公開された写真の一部を転載した。

集会では、ダーイシュが制圧するマンビジュ市、バーブ市の部族長ら、クルド人代表がカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明する一方、昼食会が催されたという。

Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
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Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014

 

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Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(7月15日付)によると、タッル・タムル町北部でダーイシュ(イスラーム国)のアブー・アブドゥッラー・ジャヌービーを名乗る戦闘員が、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の検問所に対して爆弾を積んだ車で自爆攻撃を行った。

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シリア人権監視団は、アレッポ市アイン・アラブ市一帯でのダーイシュ(イスラーム国)の侵攻により、過去数日間で少なくも800人のクルド人住民がトルコ領内に避難した、と発表した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、県作戦司令室のアリー・フライジー大将が声明を出し、イラク空軍がバイジ郡知事舎を空爆し、同施設内で会合を開いていたイスラーム国(ダーイシュ)のメンバー5人を殺害することに成功したと発表した。

殺害されたダーイシュ・メンバーのなかには、ダーイシュのサラーフッディーン県における無不ティーでアブー・ウサーマ・カフターニーを名乗るサウジ人も含まれているという。

またダルーイーヤ郡のハズラジュ村、ジャワーリー村をイラク軍戦闘機が空爆し、ダーイシュ戦闘員数十人を殺傷したという。

さらにイラク空軍の支援を受けた軍・警察合同部隊は、ティクリート市浄化作戦を開始し、同市シーシーン地区に突入、ダーイシュとの交戦の末、気象観測局、爆発物処理局、警察訓練局、文化芸術館などを制圧した。

マダー・プレス(7月15日付)が伝えた。

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キルクーク県では、マダー・プレス(7月15日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がフワイジャ郡にあるキルクーク県副知事のラーカーン・サイード氏の自宅などを接収した。

またキルクーク市南部のウジャイル油田から原油を運びだそうとしていたダーイシュの車輌が爆発し、7人が死亡した。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月15日付)によると、ラマーディー市周辺で軍・警察合同部隊が掃討作戦を行い、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員16人を殲滅、10人を逮捕した。

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バービル県では、ジュルフ・サフル地方での軍・警察合同部隊の治安作戦で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員10人が死亡した。

諸外国の動き

『インディア・トゥデイ』(7月15日付)は、マハーラーシュトラ州治安当局が、イラクに不法入国し、ダーイシュ(イスラーム国)による戦闘行為に参加しているとされるインド人青年3人についての捜査を行っている、と報じた。

同紙によると、ダーイシュに参加しているインド人青年はこの3人以外にも多数いるが、当局は彼らに関する情報を持っていないという。

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「ビン・ラーディンの駐欧大使」と呼ばれたヨルダン人のウマル・マフムード・ウスマーン氏(アブー・カッターダ)は自身のツイッターで、ダーイシュ(イスラーム国)に関して「イスラーム・カリフ制国家宣言は無効」だとしたうえで、カリフ制の樹立には、「シリア、イエメン、アフガニスタン、チェチェン、ソマリア、アルジェリア、リビアなどアッラーの敵と戦うムジャーヒディーン」の同意が必要だとの見解を示した。

AFP(7月15日付)が伝えた。

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イスラーム・マグレブ諸国のアル=カーイダ機構はSNSを通じて声明を出し、イスラーム国によるカリフ制樹立を拒否、アイマン・ザワーヒリー氏に忠誠を誓っていることを改めて表明した。

ロイター通信(7月15日付)が伝えた。

AFP, July 15, 2014、AP, July 15, 2014、ARA News, July 15, 2014、Champress, July 15, 2014、al-Hayat, July 16, 2014、The India Today, July 5, 2014、Kull-na Shuraka’, July 15, 2014、al-Mada Press, July 15, 2014、Naharnet, July 15, 2014、NNA, July 15, 2014、Reuters, July 15, 2014、SANA, July 15, 2014、UPI, July 15, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年7月15日)

『ハヤート』(7月15日付)によると、ダマスカス郊外県カラムーン地方無人地帯での、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員と、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との戦闘がベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外に波及し、シリア軍が空爆を行った。

レバノン軍発表によると、同地での戦闘により、11人が負傷した。

レバノンの声ラジオ(7月15日付)によると、レバノン人5人とシリア人2人の合わせて7人は、ワーディー・ハワーへのロケット弾2発の着弾により、負傷した。

これに関して、NNA(7月15日付)は、シリア軍による砲撃は、ワーディー・ザムラーニー地区、アジュラム地区に潜伏する武装集団を標的としていた、と報じた。

AFP, July 15, 2014、AP, July 15, 2014、ARA News, July 15, 2014、Champress, July 15, 2014、al-Hayat, July 16, 2014、Kull-na Shuraka’, July 15, 2014、al-Mada Press, July 15, 2014、Naharnet, July 15, 2014、NNA, July 15, 2014、Reuters, July 15, 2014、SANA, July 15, 2014、UPI, July 15, 2014、Voice of Lebanon, July 15, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年7月15日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アッサール・ワルド村郊外とレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村間の無人地帯で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

同監視団によると、シリア軍は同地一帯に少なくとも8回の空爆を行い、また戦闘はレバノン領内にも及んだという。

一方、SANA(7月15日付)によると、ムライハ市周辺、ナシャービーヤ農場、シャイフーニーヤ農場、アーリヤ農場、ハラスター市郊外、ハーン・シャイフ・キャンプ、アッサール・ワルド村郊外の無人地帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム軍、アジュナード・シャーム・イスラーム連合の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クルド民族主義勢力の動き(2014年7月15日)

シリア人権監視団によると、アレッポ県アイン・アラブ市一帯へのダーイシュ(イスラーム国)の侵攻に対抗するため、過去数日間でクルド人戦闘員約900人がトルコとイラクからシリアに入国した。

うち100人(トルコのクルド人)は15日早朝にアイン・アラブ市に入り、住民による歓迎式典が行われたという。

ARA News(7月15日付)によると、アイン・アラブ市に入った100人はPKKの戦闘員。

また、クルド人戦闘員900人は西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に参加したという。

AFP, July 15, 2014、AP, July 15, 2014、ARA News, July 15, 2014、Champress, July 15, 2014、al-Hayat, July 16, 2014、Kull-na Shuraka’, July 15, 2014、al-Mada Press, July 15, 2014、Naharnet, July 15, 2014、NNA, July 15, 2014、Reuters, July 15, 2014、SANA, July 15, 2014、UPI, July 15, 2014などをもとに作成。

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