イスラム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月11日)

シリア国内の動き

ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州(ダイル・ザウル県のこと)は声明を出し、ダイル・ザウル県のジハード主義武装集団などに対して、18日金曜日までに「改悛」し、忠誠を誓うよう呼びかけた。

Kull-na Shuraka', July 11, 2014
Kull-na Shuraka’, July 11, 2014

これに関して、『ハヤート』(7月12日付)は、複数の活動家の話として、ダイル・ザウル県で活動するヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動など複数のジハード主義武装集団がダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったと報じた。

ただし、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動は、ダマスカス郊外県、アレッポ県などではダーイシュとの交戦を続けているという。

クッルナー・シュラカー(7月11日付)によると、シュハイル市への住民の帰宅に関する合意を無視し、ダーイシュ(イスラーム国)が住民の帰宅を阻止、またこれに先立ち接収中の家屋7棟を爆破し、破壊した。

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ハサカ県では、ARA News(7月11日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が拉致していた国防隊兵士と警官の遺体がタッル・ハミース市郊外で発見された。

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イスラーム戦線政治委員会のアブー・アブドゥッラー・ハマウィー議長はツイッターで「アレッポでアサド軍が進軍するのに時を合わせて、アレッポの解放地区内でダーイシュ(イスラーム国)が拡大を続けている」と綴った。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、フワイジャ郡ズィラーア地区で、同地の部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)が接収・使用していた家屋を破壊し、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

またフワイジャ郡カーディスィーヤ地区では、イラク軍がダーイシュ拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員多数と民間人2人が死亡、子供を含む複数人が負傷した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の拠点・武器庫を空爆し、ダーイシュ戦闘員25人を殲滅した。

また同地方ファーディリーヤ地区では、軍と民兵からなる合同部隊が、ダーイシュの拠点を急襲し、戦闘員8人を殺害した。

さらに同地方フジャイル地区では、治安部隊がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員3人、治安部隊隊員2人が死亡した。

またバービル県議会は、ジュルフ・サフル地方のバフバハーン地区、アズラク地区で、軍警察合同部隊がダーイシュを掃討し、治安を回復したと発表した。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、カーイム郡で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、アブー・ムアーウィヤ・スーリー氏、アブー・アリー・サーマッラーイー氏、アフマド・アワド・スライマーニー氏、アブー・アブドゥッラフマーン・アフガーニー氏、マーズィン・アイヤーシュ・スライマーニー氏、アブー・アブドゥッラー・アドナーニー氏らダーイシュ司令官複数を含む戦闘員多数を殺害した。

諸外国の動き

al-Hayat, July 12, 2014
al-Hayat, July 12, 2014

オーストラリア連邦警察特殊部隊が、フィリピン中部のラプラプ市でフィリピン人にシリア、イラクでのジハードへの呼びかけていたオーストラリア人ムーサー・セラントニオ氏(29歳)を逮捕した。

セラントニオ氏は17歳のとき、メルボルンでイスラーム教徒に改宗、インターネットでダーイシュ(イスラーム国)を支持する説教師として知られていた。

ロイター通信(7月11日付)が伝えた。

AFP, July 11, 2014、AP, July 11, 2014、ARA News, July 11, 2014、Champress, July 11, 2014、al-Hayat, July 12, 2014、Kull-na Shuraka’, July 11, 2014、al-Mada Press, July 11, 2014、Naharnet, July 11, 2014、NNA, July 11, 2014、Reuters, July 11, 2014、SANA, July 11, 2014、UPI, July 11, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年7月11日)

NNA(7月11日付)によると、ナバティーヤ県ハースバイヤー郡マーリー村から何者かが未明から早朝にかけて、イスラエル北部に向かってロケット弾複数発を発射、イスラエル軍もただちに報復としてカフルシューバー一帯などに砲撃を行った。

これに関して、イスラエル軍報道官はAFP(7月11日付)レバノンから発射された弾丸1発がイスラエル領内(クファル・ユヴァル)に着弾したが、被害はなかったと発表した。

またイスラエル国営ラジオは、カチューシャ砲2発がキリヤト・シャモナに着弾したと報じたほか、NNAは1発がレバノン領内のアイン・アラブ地区に着弾したと伝えた。

イスラエル軍高官らによると、ロケット弾攻撃はイスラエル軍によるガザ地区空爆を受けたもので、パレスチナ人組織によるもので、ヒズブッラーによるロケット弾だとは考えにくいという。

その後、内務治安軍総局は、発射現場に残された血痕などから容疑者を特定、フサイン・イッザ・アトウィー氏(レバノン人、NNAによるとサミール・フサイン・アブー・カイス氏)を逮捕した。

MTV(7月11日付)によると、アトウィー氏は、ロケット弾を発射する際に重傷を負い、またレバンの声ラジオ(7月11日付)によると、犯行にはパレスチナ人2人も加わっていたという。

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LBCI(7月11日付)によると、ベカーア県バアルベック郡ブリタール村にロケット弾3発が着弾した。

AFP, July 11, 2014、AP, July 11, 2014、ARA News, July 11, 2014、Champress, July 11, 2014、al-Hayat, July 12, 2014、Kull-na Shuraka’, July 11, 2014、LBCI, July 11, 2014、al-Mada Press, July 11, 2014、MTV, July 11, 2014、Naharnet, July 11, 2014、NNA, July 11, 2014、Reuters, July 11, 2014、SANA, July 11, 2014、UPI, July 11, 2014、Voice of Lebanon, July 11, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年7月11日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線のクウェート人戦闘員が、ラフジャーン村の軍・国防隊検問所に対して自爆攻撃を行った。

またこの自爆攻撃後、同地では、軍、国防隊がヌスラ戦線、アジュナード・シャーム・イスラーム連合などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

クッルナー・シュラカー(7月11日付)によると、この戦闘で、ヌスラ戦線側は「シャッビーハ」数十人を殺害し、武器弾薬を捕獲、同村を制圧したという。

ラフジャーン村は、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣の出身地。

一方、軍は、カンタラ村、ダラーク村を空爆、ラハーヤー村周辺でジハード主義武装集団と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーミディーヤ軍事記事周辺で、軍とジハード主義武装集団が交戦し、武装集団は軍が拠点としていたビルを爆破した。

またワーディー・ダイフ軍事基地南部のダブアーン検問所周辺で、軍とジハード主義武装集団が交戦し、武装集団戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(7月11日付)によると、カフルシャラーヤー村、ジダール・ビカフルーン村、アイン・カサブ村、サルマーニーヤ村、ナリラヤー村、アルバイーン山周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団が、男女2人を政府軍に協力したとして処刑した。

一方、SANA(7月11日付)によると、バルグースィーヤ村、マスアダ村、ウンム・サフリージュ村南部、ハウラ地方、ハスヤー町南部、 ウンム・シャルシューフ村郊外、タッル・アブー・サナースィル丘、マハッサ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市シャッアール地区、タッル・リフアト市、アターリブ市近郊の第46連隊基地(シャームの民のヌスラ戦線が占拠)を軍が「樽爆弾」などで空爆、またアレッポ市アシュラフィーヤ地区、サラーフッディーン地区でジハード主義武装集団と交戦し、武装集団戦闘員1人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市郊外のカウン・アフタール村、アシュマ村、ジャールカリー村周辺で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦、ダーイシュは3村のほか、ダクルマーン村、ブーラーズ村を砲撃した。

一方、SANA(7月11日付)によると、アレッポ市バニー・ザイド地区、ラーシディーン地区、シャイフ・ルトフィー村、カフルナーハー村、マーリア市、アターリブ市、マンスーラ村、タッル・リフアト市、ハーン・トゥーマーン村、ダイル・ジャマール村、フライターン市、マッラーム村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市周辺、カフルバトナー町各所を軍が空爆、またジャッバ村、ラアス・マアッラ町郊外の無人地帯で、軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦、武装集団戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(7月11日付)によると、ムライハ市周辺、アイン・タルマー渓谷、シャイフーニーヤ農場、アドラー市および同ウンマーリーヤ地区、ジャッバ村郊外の無人地帯、ザバダーニー市およびその郊外、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外、アッブ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、クッルナー・シュラカー(7月11日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が、ナブア・サフル村の第90旅団第4歩兵大隊所属の連隊基地複数カ所一帯を制圧した。

ヌスラ戦線などが制圧したのは、アイン・ダルブ連隊基地、ラスム・ハラビー連隊基地、ハーン・ハッラーバート基地、クードナ・ダムの基地、アイン・バーシャーの基地。

一方、SANA(7月11日付)によると、ウンム・バーティナ村・ジャッバー村街道、ブライカ村・クーム・バーシャー村街道、クードナ村方面、ラスム・アクラア村方面で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(7月11日付)によると、ヤードゥーダ村郊外、ザアタル丘、ダルアー市各所、サイダー町、アトマーン村・タフス市・ヤードゥーダ村街道、ウンム・マヤーズィン町、フラーク市、インヒル市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、タウヒード旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, July 11, 2014、AP, July 11, 2014、ARA News, July 11, 2014、Champress, July 11, 2014、al-Hayat, July 12, 2014、Kull-na Shuraka’, July 11, 2014、al-Mada Press, July 11, 2014、Naharnet, July 11, 2014、NNA, July 11, 2014、Reuters, July 11, 2014、SANA, July 11, 2014、UPI, July 11, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月11日)

ダルアー県で活動する反体制武装集団7組織がビデオ声明を出し、カーディスィーヤ師団を結成すると発表した。

カーディスィーヤ師団に参加を表明した組織は以下の通り:

1. フルサーン・ハック旅団
2. ヒムス・ワリード旅団
3. ハウラーンの橋旅団
4. ウマル・ブン・アブドゥルアズィーズ旅団
5. ムサイフラ特殊任務大隊
6. ハック大隊
7. カラーマ殉教者連合

AFP, July 11, 2014、AP, July 11, 2014、ARA News, July 11, 2014、Champress, July 11, 2014、al-Hayat, July 12, 2014、Kull-na Shuraka’, July 11, 2014、al-Mada Press, July 11, 2014、Naharnet, July 11, 2014、NNA, July 11, 2014、Reuters, July 11, 2014、SANA, July 11, 2014、UPI, July 11, 2014などをもとに作成。

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