最新論考「アサド政権を利する「イスラム国」の台頭:欧米の無力、さらに露呈」(e-World)

青山弘之「アサド政権を利する「イスラム国」台頭:欧米の無力、さらに露呈」
e-World、2014/07/24-14:46

■対アサドでアルカイダを黙認した欧米
■既存武装集団の離合集散促す
■欧米諸国に軍事解決認めさせるメッセージ
アルカイダ系過激組織「イスラム国」の攻勢は、イラクの民主政治が宗派主義的プロパガンダにもろいことを白日の下にさらしたが、シリアにおいては、民主化や人道保護の名の下にテロを黙認してきた欧米諸国の干渉政策の失敗を象徴する出来事として捉えることができる。・・・

化学兵器破棄をめぐる動き(2014年7月24日)

化学兵器禁止機関は声明を出し、シリアから搬出された化学兵器関連物質のうち危険度が低い化学物質約1,300トンが、フィンランド、英国、米国の工場に搬送され、廃棄作業が開始され、これまで31.8%が廃棄されたと発表した。

またシリア国内でも化学兵器生産工場12カ所が破壊され、2ヶ月以内に残りの施設の破壊も開始されると付言した。

AFP(7月24日付)が伝えた。

AFP, July 24, 2014、AP, July 24, 2014、ARA News, July 24, 2014、Champress, July 24, 2014、al-Hayat, July 25, 2014、Kull-na Shuraka’, July 24, 2014、al-Mada Press, July 24, 2014、Naharnet, July 24, 2014、NNA, July 24, 2014、Reuters, July 24, 2014、SANA, July 24, 2014、UPI, July 24, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月24日)

シリア国内の動き

ラッカ県では、シリア人権監視団やARA News(7月24日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシリア軍が駐留する第17師団基地を攻撃し、軍と交戦した。

戦闘は、サウジ人1人を含むダーイシュ戦闘員2人が、師団基地入り口の化学大隊拠点と基地周辺の2カ所で自爆攻撃を行ったことをきっかけに発生し、シリア軍のサミール・アスラーン准将が戦死したという。

これに対し、シリア軍ヘリコプターが師団基地周辺に対し14回にわたり「樽爆弾」を投下するなどして応戦した。

なおダーイシュ・ラッカ州はツイッターで「第17師団に対する祝福されし作戦」を開始したと発表し、アブー・スハイブ・ジャズラーウィー氏とハッターブ・ジャズラーウィー氏の2人が「殉教作戦」を行ったことを明らかにした。

ARA News, July 24, 2014
ARA News, July 24, 2014
ARA News, July 24, 2014
ARA News, July 24, 2014

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ハサカ県では、シリア人権監視団やARA News(7月24日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がハサカ市マサーキン地区のバアス党ハサカ支部指導部ビルを襲撃、複数の目撃者によると、ビルの屋上にイスラーム国の黒旗が掲げられたという。

また、ARA Newsによると、支部指導部ビル襲撃は、爆弾を積んだ自動車による自爆攻撃をもって始められ、民間人7人が死亡、多数が負傷したという。

さらに、ARA News(7月26日付)によると、ダーイシュは、パノラマ検問所近くの電力関連施設、アフダース刑務所に進軍した。

このほか、ダーイシュはハサカ市南部のミールビーヤ地方の連隊基地を襲撃し、シリア軍兵士11人を殺害した。

これに対してシリア軍はヘリコプターで同地一帯を空爆、砲撃した。

またカーミシュリー市では何者かが仕掛けた爆弾が爆発し、シリア軍兵士3人が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団やARA News(7月24日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がアレッポ市郊外のクワイリス航空基地を攻撃した。

これに対し、シリア軍はダーイシュの拠点であるバーブ市を空爆した。

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なおシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシリア政府・軍に対して三つの戦線で同時に大規模攻勢をかけたのはこれが初めてだという。

イラク国内の動き

モスル県では、マダー・プレス(7月24日付)によると、モスル市中心部にあるアウンッディーン・ブン・ハサン廟と、同市東部のナビー・ユーヌス地区にあるナビー・ユーヌス廟をダーイシュ(イスラーム国)が爆破、破壊した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(7月24日付)によると、ダークーク郡のタッル・ハンマ村とハフタ・ハール村の間に位置するスーフィー教団シャイフサーリフ廟をダーイシュ(イスラーム国)が爆破、破壊した。

またキルクーク市南部のターザ地方シャムスィーヤ村・バシール村間のダーイシュ拠点を軍が空爆し、司令官1人を含むダーイシュ戦闘員多数を殺害した。

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バービル県では、サーディク・マドルール・スルターニー県知事が、ジュルフ・サフル地方での軍事作戦でイラク軍・治安部隊がダーイシュ(イスラーム国)戦闘員100人以上を殲滅したと発表した。

マダー・プレス(7月24日付)が伝えた。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月24日付)によると、イラク軍機がカーイム郡でダーイシュ(イスラーム国)の車列を空爆し、ダーイシュ戦闘員7人を殺害した。

ヨルダン国内の動き

ヨルダンのジハード主義潮流のムハンマド・シャラビー氏(アブー・サヤーフ)は『ハヤート』(7月25日付)に対し、ヨルダンの一部のジハード主義者がダーイシュ(イスラーム国)への忠誠を表明したことについて、「ヨルダンのジハード主義潮流を代表していない無知なグループ」と批判、自身と収監中のジハード主義潮流の指導者イサーム・バルカーウィー氏(アブー・ムハンマド・マクディスィー)がダーイシュによるカリフ制樹立を拒否したことを批判する姿勢に反論した。

AFP, July 24, 2014、AP, July 24, 2014、ARA News, July 24, 2014、July 26, 2014、Champress, July 24, 2014、al-Hayat, July 25, 2014、Kull-na Shuraka’, July 24, 2014、al-Mada Press, July 24, 2014、Naharnet, July 24, 2014、NNA, July 24, 2014、Reuters, July 24, 2014、SANA, July 24, 2014、UPI, July 24, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年7月24日)

ダマスカス郊外県では、SANA(7月24日付)によると、アルバイーン市、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ナシャービーヤ農場、ザバダーニー市郊外、カラムーン地方の無人地帯(対レバノン国境地帯)、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線所属のクウェート人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(7月24日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ハビーブ・ムスタファー旅団所属のチュニジア人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(7月24日付)によると、アトマーン村、タッル・フドル一帯、タッル・サルヤー一帯、インヒル市、ヌアイマ村、西ガーリヤ村、サイダー町、ヒルバト・ガザーラ町、ラジャート高原、ウンム・ワラド村、東カラク村、キヒール村、ムサイフラ町、東ガーリヤ村、シャイフ・サアド村、ダルアー市旧税関地区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(7月24日付)によると、トゥルナジャ村周辺、アジュラフ村、カフターニーヤ町、ハズラジーヤ村、ジュッバー村、ウンム・バーティナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(7月24日付)によると、カフルナジュド村、アルバイーン山周辺、タフタナーズ市、シャビーバ軍事基地周辺、サルミーン市周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(7月24日付)によると、ダイル・ザウル市シャイフ・ヤースィーン地区、ジュバイラ地区、ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区、ウルフィー地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、サウジアラビア人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(7月24日付)によると、ウンム・シャルシューフ村、カフルラーハー市、ジャズル・ガス採掘所周辺、ウンム・サフリージュ村などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(7月24日付)によると、アレッポ市ハラク地区、シャッアール地区、ジャービリーヤ地区、自由貿易地区、ムスリミーヤ村、ブラート村、スィヤーラ村、ターディフ市、マンスーラ村、ハーン・シャイフ・キャンプ、カフルダーイル村、クワイリス村一帯などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, July 24, 2014、AP, July 24, 2014、ARA News, July 24, 2014、Champress, July 24, 2014、al-Hayat, July 25, 2014、Kull-na Shuraka’, July 24, 2014、al-Mada Press, July 24, 2014、Naharnet, July 24, 2014、NNA, July 24, 2014、Reuters, July 24, 2014、SANA, July 24, 2014、UPI, July 24, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年7月24日)

『ハヤート』(7月25日付)は、財務省が、フェイスブックなどを通じて政権批判を行ったとして、シリアの活動家51人の資産を凍結したと報じた。

資産凍結の対象となったのは、ムーサー・ウマル市(「明日のアラブ」活動家)、ハウラ・ドゥンヤー女性(ジャラール・ナウワル氏の妻)、フサームッディーン・マルイー氏、アイマン・アブドゥンヌール氏(all4syria代表)、サミーラ・ムサーラマ女史(『ティシュリーン』紙元編集長)ら。

AFP, July 24, 2014、AP, July 24, 2014、ARA News, July 24, 2014、Champress, July 24, 2014、al-Hayat, July 25, 2014、Kull-na Shuraka’, July 24, 2014、al-Mada Press, July 24, 2014、Naharnet, July 24, 2014、NNA, July 24, 2014、Reuters, July 24, 2014、SANA, July 24, 2014、UPI, July 24, 2014などをもとに作成。

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クルド民族主義勢力の動き(2014年7月24日)

ハサカ県では、ARA News(7月24日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とアサーイシュがハサカ県アズィーズィーヤ地区の水道公社一帯を放棄し、シリア軍・治安部隊が同地に展開した。

AFP, July 24, 2014、AP, July 24, 2014、ARA News, July 24, 2014、Champress, July 24, 2014、al-Hayat, July 25, 2014、Kull-na Shuraka’, July 24, 2014、al-Mada Press, July 24, 2014、Naharnet, July 24, 2014、NNA, July 24, 2014、Reuters, July 24, 2014、SANA, July 24, 2014、UPI, July 24, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月24日)

アレッポ・シャリーア委員会は声明を出し、ラマダーン明けのイード・アル=フィトルを記念して、素行に問題のない16人を釈放したと発表し、その写真を公開した。

Kull-na Shuraka', July 24, 2014
Kull-na Shuraka’, July 24, 2014
Kull-na Shuraka', July 24, 2014
Kull-na Shuraka’, July 24, 2014

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一方、イスラーム戦線は声明を出し、アレッポ市の複数の拘置所で戦線治安機関が拘留者6人を銃殺刑に処したと発表した。

処刑された拘留者はシリア政府との内通、窃盗、殺人、自由シリア軍への所属、といった罪を認め、処刑されたという。

AFP, July 24, 2014、AP, July 24, 2014、ARA News, July 24, 2014、Champress, July 24, 2014、al-Hayat, July 25, 2014、Kull-na Shuraka’, July 24, 2014、al-Mada Press, July 24, 2014、Naharnet, July 24, 2014、NNA, July 24, 2014、Reuters, July 24, 2014、SANA, July 24, 2014、UPI, July 24, 2014などをもとに作成。

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