米国務省報道官は制憲委員会第2ラウンドに際してシリア政府側が前提条件を提示したことを非難(2019年11月30日)

米国務省のモーガン・オータガス報道官は声明を出し、11月29日にゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表が制憲委員会(憲法委員会)小委員会会合を開催しないまま第2ラウンドを終了すると発表したことに関して、「前提条件を提示するのは、制憲委員会の行動規範への明白な違反で、(シリア問題にかかる)小グループ(米国、英国、フランス、ドイツ、エジプト、ヨルダン、サウジアラビア)とアスタナ・グループ(ロシア、トルコ、イラン)が支援してきた努力を明らかに無に帰そうとするもの」と非難した。

オータガス報道官はまた「制憲委員会だけが、国連安保理決議第2254号の一環で努力が払われてきた中心課題ではない。逮捕者解放、包括的停戦、国連監視下での自由で公正な選挙を実施するための安全で中立的な環境の創出など、それ以外の点も合わせて実施されねばならない…。米国は引き続き、制憲委員会の活動を立ち上げようとしている国連のアントニオ・グテーレス事務総長とゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表の努力を支援し、」と付言した。

AFP, December 1, 2019、ANHA, December 1, 2019、AP, December 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 1, 2019、Reuters, December 1, 2019、SANA, December 1, 2019、SOHR, December 1, 2019、UPI, December 1, 2019などをもとに作成。

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「革命のサヨナキドリ」ことサールート(バセット)氏の母親が受け取った義援金全額をイッザ軍戦闘員40人の結婚費用として寄付(2019年11月30日)

ドゥラル・シャーミーヤ(11月30日付)は、6月のハマー県の北部での戦闘で死亡した「革命のサヨナキドリ」ことアブドゥルバースィト・サールート(バセット)氏の母親(ウンム・ワリード)が、同氏の死後に寄せられた義援金のすべてを、イッザ軍のメンバー40人の結婚のために寄付したと伝え、それを讃える様子を撮影した画像を公開した。

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サールート氏は1992年生まれで、ヒムス市出身。

地元サッカー・チーム(カラーマ・クラブ)でゴール・キーパーを務め、シリアのユース・サッカー代表メンバーだったが、2011年春にシリアに「アラブの春」が波及すると、政権打倒を求める抗議デモに参加し、注目を浴びるようになった。

シリア軍・治安部隊と反体制派の武力衝突が激しさを増すようになった2011年後半に、ヒムス市内で武装闘争に身を投じ、バイヤーダ殉教者大隊を結成、同組織はその後ヒムス軍団の傘下に身を置いた。

サールート氏は、シリア軍との戦闘で度々負傷、シリア軍の暗殺作戦や攻撃によってともに戦っていた父、4人の兄弟、親戚を戦闘で失っている。

シリア軍によるヒムス市への攻撃と包囲が強まるなか、サールート氏と彼らの仲間は2014年に同市から脱出し、同年12月にダーイシュ(イスラーム国)に参加することを決意、同組織に忠誠(バイア)を誓ったとされる。

ダーイシュへの参加は、サールート氏の本意ではなく、ヒムス県で活動を継続するため、資金や食糧を得ることが目的だったとされ、ダーイシュもこの忠誠を「不完全」だとして拒否している。

またサールート氏自身も2015年にビデオ声明でダーイシュとの関与を否定している。

だが、ダーイシュへの接近によって、シリアのアル=カーイダと目されるシャームの民のヌスラ戦線(現在の呼称はシャーム解放機構)の追及を受けることになり、バイヤーダ殉教者大隊はヌスラ戦線と度々交戦、トルコに逃れることを余儀なくされた。

その後、2016年12月にはイドリブ市で行われたアレッポ市救済デモに姿を表し、反体制派支配地域での活動を再開した。

なお、バイヤーダ殉教者大隊は一時(2015年)はヌスラ戦線の傘下に身を置き、ヒムス県タルビーサ市一帯でシリア軍との戦闘に参加している。

反体制派支配地域での活動を再開したサールート氏は、2018年1月にイッザ軍に参加、同組織に所属するヒムス・アディーヤ旅団の司令官として、6月に死亡するまでハマー県北部でのシリア軍との戦闘を主導していた。

サールート氏はドキュメンタリー映画『それでも僕は帰る:シリア、若者たちが求め続けたふるさと』(タラール・ディルキー監督、2013年)に出演したことで、欧米諸国や日本で広く知られるようになった。

デモ指導者から戦闘員となったサールート氏の軌跡を追ったこの映画は2014年、サンダンス映画祭(Sundance Film Festival)のワールド・シネマドキュメンタリー部門でグランプリを受賞した。

サールート氏はまた、ドキュメンタリー映画『シリアの悲痛な叫び』(エフゲニー・アフィネフスキー監督 、2017年)にも出演している。

その美しい歌声から「革命のサヨナキドリ」として知られるようになった。

AFP, November 30, 2019、ANHA, November 30, 2019、AP, November 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, November 30, 2019、Reuters, November 30, 2019、SANA, November 30, 2019、SOHR, November 30, 2019、UPI, November 30, 2019などをもとに作成。

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シリア民主軍のアブディー総司令官「タッル・タムル町とアイン・イーサー市から撤退はしない」(2019年11月30日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官は、アラビーヤ・チャンネル(11月30日付)のインタビューに応じ、ロシアの仲介によりシリア軍の展開が合意されたハサカ県のタッル・タムル町およびラッカ県アイン・イーサー市から部隊を撤退させる意思がないことを明らかにした。

アブディー総司令官は「タッル・タムル町とアイン・イーサー市は政権にもロシア軍にも引き渡されないだろう。両地はM4高速道路とともに、我々の支配下にとどまる」と述べた。

アブディー総司令官はまた、シリア民主軍がシリアの防衛システムの一環をなしているとしたうえで、「新憲法が承認されれば、シリア軍の一部となるが、個人としてではなく、独立した軍事組織としての特性は維持される」と強調した。

そのうえで「問題が最終解決するまで、シリア政府との対話は続けられる。我々はバアス主義的な排外思想が(政権の)言説において支配的であることを承知しているが、シリア統合のためにこれは克服されねばならない…。何事もなかったかのように、2011年以前の状態に戻ることを我々は受け入れることはない」と付言した。

AFP, November 30, 2019、Alarabia, November 30, 2019、ANHA, November 30, 2019、AP, November 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, November 30, 2019、Reuters, November 30, 2019、SANA, November 30, 2019、SOHR, November 30, 2019、UPI, November 30, 2019などをもとに作成。

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ダルアー県カラク村で住民が逮捕者釈放を求める抗議デモ(2019年11月30日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カラク(東カラク)村で住民が逮捕者釈放を求める抗議デモを行った。

AFP, November 30, 2019、ANHA, November 30, 2019、AP, November 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, November 30, 2019、Reuters, November 30, 2019、SANA, November 30, 2019、SOHR, November 30, 2019、UPI, November 30, 2019などをもとに作成。

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ハサカ県北東部でロシア・トルコ軍が12回目となる合同パトロールを実施(2019年11月30日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市からダイリーク(マーリキーヤ)市にいたる国境地帯でロシア・トルコ軍が合同パトロールを実施した。

合同パトロールは今回で12回目。

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ラッカ県では、ANHA(11月30日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアイン・イーサー市近郊のフーシャーン村、サイダー村を砲撃した。

AFP, November 30, 2019、ANHA, November 30, 2019、AP, November 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, November 30, 2019、Reuters, November 30, 2019、SANA, November 30, 2019、SOHR, November 30, 2019、UPI, November 30, 2019などをもとに作成。

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トルコ占領下のハサカ県、アレッポ県各所で車に仕掛けられていた爆弾が爆発、住民が死傷(2019年11月30日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のタッル・アブヤド市近郊のアイン・アルース村で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、複数人が負傷した(SANA(11月30日付)によると、住民13人が死傷)。


またラアス・アイン(スィリー・カーニヤ)市西のタッル・ハラフ村にあるトルコ軍の検問所近くで車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、複数人が死傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ジャラーブルス市で東部軍の車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、戦闘員複数が死傷した。

一方、アフリーン解放軍団が声明を出し、29日にトルコ占領下のブルブル町近郊のアブラ村でシャーム戦線を攻撃し、2人を殺害したと発表した。

AFP, November 30, 2019、ANHA, November 30, 2019、AP, November 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, November 30, 2019、Reuters, November 30, 2019、SANA, November 30, 2019、SOHR, November 30, 2019、UPI, November 30, 2019などをもとに作成。

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シャーム解放機構、国民軍国民解放戦線、イッザ軍からなる「必勝」作戦司令室がイドリブ県で「気力を失うな」作戦を開始、3カ村を制圧(2019年11月30日)

イドリブ県では、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構、トルコの支援を受ける国民軍国民解放戦線、「穏健な反体制派」と目されてきたイッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室は声明を出し、県南東部のシリア軍拠点に対する新たな作戦「気力を失うな」作戦を開始したと発表した。

これを受けて、「必勝」作戦司令室は、ラスム・ワルド村、イスティブラート村、スルージュ村に侵攻、ドゥラル・シャーミーヤ(11月30日付)によると、シリア軍との戦闘の末、3カ村を制圧したという。

「必勝」作戦司令室はまた、サルジャ村、イウジャーズ村一帯にも侵攻、シリア軍と交戦した。

さらに、ドゥラル・シャーミーヤによると、トルコの支援を受ける国民軍国民解放戦線が、タッル・ダム村に侵攻しようとしたシリア軍を要撃し、兵士6人を殺害、6人を負傷させ、1人を捕捉した。

シリア人権監視団によると、一連の戦闘でシリア軍兵士18人と反体制武装集団14人が死亡した。

シャーム解放機構に近いイバー・ネット(11月30日付)によると、この戦闘ではロシア軍傭兵も殺害したという。

これに対して、シリア軍ヘリコプターもインジャーズ村、ラスム・ワルド村、ガドファ村、マアッラト・ハルマ村を「樽爆弾」で爆撃した。

シリア軍はまた、マアッラト・ヌウマーン市一帯、カフルナブル市、ヒーシュ村、カフルルーマー村、アブー・ズフール町西方一帯などを地対地ミサイルで攻撃した。

一方、ロシア軍戦闘機もマアッラト・ハルマ村、カフルナブル市、マアッラト・ヌウマーン市一帯を爆撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、県北西部のフワイジャ村一帯で反体制武装集団がシリア軍と交戦、兵士4人を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市西のラーシディーン地区、ダーヒヤト・アサド地区一帯でシリア軍と反体制武装集団が交戦した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザーキヤ町で街道に仕掛けられていた爆弾が爆発した。

AFP, November 30, 2019、ANHA, November 30, 2019、AP, November 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, November 30, 2019、Reuters, November 30, 2019、SANA, November 30, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, November 30, 2019、SOHR, November 30, 2019、UPI, November 30, 2019などをもとに作成。

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