トルコからリビアに派遣されたシリア人戦闘員は英日刊紙に「カネのために来た…。シリアには何もない」と証言(2020年1月27日)

英『インヴェスティガティヴ・ジャーナル』誌(1月27日付)は、トルコからリビアに派遣されたシリア人戦闘員のインタビュー記事を掲載した。

「私はカネのために来た」と題されたリンズィー・スネル氏による記事は、アレッポ県アフリーン郡でTFSA(Turkish-backed Free Syrian Army)、すなわち国民軍の司令官1人とリビアの首都トリポリに実際に送り込まれた「傭兵」1人(仮称アフマド)に対して行ったインタビューに基づくもの。

記事のなかで、アフリーン郡の司令官は「シリアではだいたい1,000ドルで、そこ(リビア)では2,000ドル。彼ら(戦闘員)にとって簡単な選択だ」と証言している。

リビア行きの戦闘員の募集は、シリア・ロシア軍が奪還をめざすイドリブ県内およびその周辺で重点的に行われており、募集に応じた戦闘員は「ホームレスで、(レジェップ・タイイップ・)エルドアン(大統領)は彼らの家族の生活を立て直すためだとして、彼らをそそのかしている」のだという。

この司令官はまた、「リビア行きを望んでいない戦闘員に対して、TFSAは数百ドルのボーナスを支払い、トルコ行きを奨励している」だけでなく、「送り込まれているのは戦闘員だけではない…。貧乏でリビアに行きたいという民間人もだ…。これまでのところ、リビアに向かったTFSAメンバーの数はおおよそ3,000人になる」と述べた。

一方、傭兵のアフマド氏は「トルコ軍兵士もいる。司令官だけではない。たくさんのトルコ軍兵士がいるが、それと同じくらい多くのシリア人もいる。彼らは別々に居住し、トルコ軍の方が我々よりも良い待遇を受けている」と証言した。

彼はまた、一部のシリア人戦闘員がイタリアに逃亡したとの報道については、これを否定、「トルコ人はそうしたことが起きないように我々を数えに来ている」と述べた。

アフマド氏は、70人ほどのグループとしてリビアに派遣されたという。

このグループは、地上部隊、狙撃手などに振り分けられたうえで、「いくつものキャンプにいた…。我々はいつものような教練は受けず…、ゲリラ戦…、接近戦のくれんを受けた。だが、実際に武器を持たされることはなかった」という。

シリア人戦闘員はまた、ハリーファ・ハフタル司令官が率いるリビア国民軍が保有する武器や戦闘方法についての説明も受けていないという。

アフマド氏のグループは、いまだ戦闘には参加していないが、すでに戦死者も出ている。

アフマド氏は「我々はただ食べて、スポーツをして、キャンプに座っているだけだ。キャンプから出ることは禁じられている。彼らは食糧とタバコを届けてくれる…。我々は何もしなくても2,000ドルもらえるのだ…。私はカネのために来たのだ…。シリアの状況が悪いからだ。ドルがひどいことになってるからだ(シリア・ポンドが下落しているため)…。アレッポ出身者もれば、グータ、ヒムスの出身者もいる。みな家を追われて何も残っていない。家もない。何もない。木1本だって持ってはいない。それでも養わなければならない家族がいる。傭兵とでも何とでも呼べばいい。でもどうすればいいというのだ? シリアに何か残している者なんていやしない」と述べている。

AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、The Investigative Journal, January 27, 2019、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

マッケンジー米中央軍司令官がシリア北東部に違法に設置されている米軍基地を極秘訪問(2020年1月27日)

AP(1月27日付)は、フランク・マッケンジー米中央軍司令官(海兵隊大将)が、シリア北東部に違法に設置されている米軍基地を極秘に訪問していたと伝えた。

同通信社によると、マッケンジー司令官は、1月26日にシリア領内に入り、米軍基地5カ所を訪問、現地の司令官や人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官と会談した。

訪問は、シリア北東部での米軍とロシア軍の緊張が高まっているなかで行われた。

AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍と国民軍が北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊を砲撃(2020年1月27日)

アレッポ県では、ANHA(1月27日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のマルアナーズ村を砲撃した。

一方、アフリーン解放軍団は声明を出し、23日にトルコ占領下のラーイー村近郊のタッル・バッタール村で国民軍憲兵隊を攻撃し、戦闘員2人を殺害、また25日にジンディールス町近郊のカフルサフラ村でサマルカンド旅団(国民軍所属)を攻撃し、戦闘員2人を殺害したと発表した。

AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

タルトゥース県バーニヤース港に設置されている海底パイプラインが「テロリストとこれを支援する枢軸」によって爆破される(2020年1月27日)

石油鉱物資源省は「テロリストとこれを支援する枢軸」がタルトゥース県バーニヤース港に設置されている海底パイプラインに爆弾を仕掛けて爆破したと発表した。

これを受けて、石油鉱物資源省の技術チームが損傷を受けたパイプラインの修復を開始するとともに、原油を輸送するための別ルートを確保したという。

SANA(1月27日付)が伝えた。

AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアのラヴレンティフ大統領特使とアサド大統領はイドリブ県、アレッポ県での戦闘継続を確認(2020年1月27日)

ロシアのアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA(1月27日付)によると、会談では、イドリブ県東部とアレッポ県西部での反体制武装集団との戦闘の継続、民間人の保護、制憲(憲法)委員会を通じて行われている政治プロセスの継続、同プロセスへの外国の不干渉などが確認された。

会談には、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長、外務在外居住者省次官、ラウナ・シブル大統領府政治報道局長、アレクサンドル・エフィモフ駐シリア・ロシア大使が同席した。

AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア当事者和解調整センターはホワイト・ヘルメットとシャーム解放機構がイドリブ県、アレッポ県でシリア軍による化学兵器攻撃をねつ造しようとしていると発表(2020年1月27日)

ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターのユーリ・ボレンコフ・センター長(中将)は、反体制武装集団に拉致されていた複数の地元住民から得た情報として、ホワイト・ヘルメットのメンバー複数人が、シャーム解放機構の護衛を受けて、アレッポ県カフルハムラ村、マアッラトミスリーン市、アリーハー市に塩素ガスを装填したボンベを持ち込んだことを確認したと発表した。

塩素ガスを持ち込んだホワイト・ヘルメットのメンバーは、欧州で訓練を受けた専門家だという。

ボレンコフ・センター長はまた、反体制武装集団がジスル・シュグール市とサラーキブ市の間に位置するラジオ・テレビ放送地区にも有毒物質を搬入し、シリア軍による化学兵器攻撃をねつ造しようとしていると付言した。

一方、SANA(1月27日付)は、シリア軍消息筋の話として、イドリブ県で活動を続ける反体制武装集団が、トルコの支援を受けてシリア軍による化学兵器攻撃をねつ造していると伝えた。

AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍がイドリブ県で10カ村を新たに制圧、マアッルハッタート村にあるトルコ軍監視所を包囲(2020年1月27日)

イドリブ県では、SANA(1月27日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘の末、ムアスラーン村、サワーミア村、ハーミディーヤ村を制圧した。

また、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊は、マアッルハッタート村、サーリヒーヤ村、ダール・サラーム村、バーブーリーン村、トゥカーナ村、カフル・バースィーン村、バスィーダー村を制圧した。

これにより、シリア軍は、マアッルハッタート村に設置されているトルコ軍の監視所を新たに包囲した。

これを受けて、トルコ軍は、装甲車12輌を含む約30輌の車輌からなる車列をカフルルースィーン村経由で同地方面に派遣したという。

シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊を航空支援するかたちで、ロシア軍戦闘機がザーウィヤ山、ハーン・スブル村、カフルルーマー村、マアッラト・ヌウマーン市、アリーハー市一帯、サラーキブ市一帯、アルバイーン山、バーラ村、ルワイハ村、ジャッラーダ村を爆撃した。

また、シリア軍戦闘機がハーッス村、マアッラト・ハルマ村、マアッルズィーター村、マアッラト・ヌウマーン市およびその一帯、サラーキブ市一帯を爆撃、ヘリコプターもカフルルーマー村、バイニーン村などを「樽爆弾」で爆撃した。

さらに、シリア軍地上部隊がアブー・ジュライフ村一帯、マアッルディブサ村、ハーン・スブル村、サラーキブ市一帯でシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室と交戦した。

なお、戦闘激化に伴う国内避難民(IDPs)は、15日以降12万人に達しているという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がアレッポ市ラーシディーン地区、ライラムーン地区、ハーン・アサル村、カフルナーハー村、マンスーラ村、ダーイル村、シュワイフナ村、カフルハムラ村、ハラサ村、ハミーラ村、ハーン・トゥーマーン村、ズィルバ村、ズィーターン村などを爆撃した。
また、シリア軍ヘリコプターが同地を「樽爆弾」で爆撃した。

さらに、シリア軍地上部隊がカフルハムラ村、アンジャーラ村、ハーン・アサル村一帯でシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室と交戦した。

一方、SANA(1月27日付)によると、シリア軍がアレッポ市西部郊外(ライラムーン地区、ラーシディーン地区、科学研究センター地区、ハーン・トゥーマーン村一帯、マンスーラ村、カフルハムラ村、ハーン・アサル村、カフルナーハー村一帯でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘を続けた。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を91件(イドリブ県39件、ラタキア県25件、アレッポ県18件、ハマー県9件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を33件(イドリブ県5件、ラタキア県1件、アレッポ県23件、ハマー県4件)確認した。

AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, January 27, 2020、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.