トルコの要請を受け、国民軍に所属するヌールッディーン・ザンキー運動が戦闘員数百人をシャーム解放機構支配下のアレッポ市西部郊外に派遣することを決定(2020年1月29日)

シリア人権監視団は、トルコの支援を受ける国民軍に所属するヌールッディーン・ザンキー運動が、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の戦闘が続くアレッポ市西部郊外に戦闘員数百人を援軍として派遣する決定を下したと発表した。

この決定は、トルコの国家情報機関(MIT)の要請に基づくもので、戦闘員約500人からなる第一陣は30日にシャーム解放機構の支配地域に入るという。

同監視団によると、援軍派遣に際して、シャーム解放機構は、支配地域内の村ではなく前線のみに展開すること、同地の行政、治安・警察活動には関与しないこと、組織としてではなくシャーム解放機構の作戦司令室の直接指揮下に配属されること、を条件として示したという。

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一方、シャーム解放機構は声明を出し、トルコ占領下のアレッポ県アフリーン郡(「オリーブの枝」地域)から、シリア・ロシア軍の攻撃が続くアレッポ市西部・南部郊外やイドリブ県への戦闘員の移動をシャーム解放機構が阻止しているとする情報に関して、これを「事実無根」と否定した。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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SANAはシリア軍が解放したダイル・シャルキー村(イドリブ県)にあるウマイヤ朝第5代カリフのウマル・ブン・アブドゥルアズィーズの廟が略奪・放火され、大きく損傷したと伝える、反体制派系メディアはシリア軍の犯行と断じる(2020年1月29日)

SANA(1月29日付)は、シリア軍がシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室との戦闘の末、1月24日に解放したイドリブ県ダイル・シャルキー村にあるウマイヤ朝第8代カリフのウマル・ブン・アブドゥルアズィーズ(ウマル2世)の廟が略奪・放火され、大きく損傷したと伝え、その写真を公開した。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(1月29日付)などの反体制派系メディアは、シリア軍の進攻前に村で火災は発生しておらず、廟の破壊はシリア軍によるものだと伝えた。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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シリア米医療協会(SAMS)はシャーム解放機構が接収したイドリブ中央病院での活動を停止したと発表(2020年1月29日)

イドリブ県内でホワイト・ヘルメットとともに医療活動を行うシリア米医療協会(SAMS)は、現地で活動する医療スタッフとともに共同声明を出し、イドリブ中央病院での医療活動を停止したと発表した。

医療活動の停止は、シャーム解放機構が同病院を接収したことを受けたもの。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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ハサカ県ではロシア軍パトロール部隊を米軍が再び静止し一触即発に、シリア民主軍が仲裁(2020年1月29日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・タムル町に駐留するロシア軍のパトロール部隊が、M4高速道路沿線のハリータ村近郊で米軍部隊に進行を阻止された。

ロシア軍と米軍は口論となり、一触即発となったが、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が間に入り、事なきを得たという。

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同じくハサカ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合の車列がスィーマルカー国境通行所を経由して、シリア領内に新たに進入した。

車列は兵站物資を積載した貨物車輌50輌以上からなっていたという。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「ロシアがソチとアスタナでの合意を遵守しなれば、トルコも遵守しない」(2020年1月29日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、セネガル訪問からの帰国する機内で報道向け声明を出し、イドリブ県に対するシリア・ロシア軍の攻撃について、「ロシアがソチとアスタナでの合意を遵守しなれば、トルコも遵守しない…。だが、ロシアは今も合意を遵守していない」と非難、「もはやアスタナ・プロセスなるものが存在しなくなってしまった。我々トルコ、そしてロシアとイランは、それを再生し、できることを検討しなければならない」と述べた。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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トルコ占領下のハサカ県ラアス・アイン市で国民軍を構成するシャーム自由人イスラーム運動とスルターン・ムラード師団の戦闘員どうしが交戦(2020年1月29日)

ハサカ県では、ANHA(1月29日付)によると、トルコ占領下のラアス・アイン市で国民軍を構成するアル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動とスルターン・ムラード師団の戦闘員どうしが交戦した。

同地ではまた、トルコの支援を受ける警察と武装集団が交戦した。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍がアレッポ県タッル・リフアト市などを砲撃し、子ども1人が死亡する一方、所属不明の戦闘機がハサカ県北のトルコ占領地を爆撃し、国民軍の戦闘員8人死亡(2020年1月29日)

ハサカ県では、ANHA(1月29日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍傘下のシリア正教軍事評議会が、シリア政府支配と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・タムル町近郊のウンム・ハイル村、ウンム・カイフ村に侵攻しようとしたトルコ軍およびその支援を受ける国民軍を撃退し、戦闘員3人を殺害した。


また、シリア人権監視団によると、所属不明の戦闘機複数機が、タッル・タムル町近郊のハリータ村とカースィミーヤ村にある国民軍の拠点複数カ所を爆撃し、戦闘員8人が死亡した。

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アレッポ県では、ANHA(1月29日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市、同市近郊(北・東シリア自治局シャフバー地区)のスーガーニカ村、アキーバ村、イルシャーディーヤ村、タッル・マラーシュ村、シャワーリガ村、タナブ村、シャイフ・ヒラール村、カフル・ナーヤー村を砲撃した。

これにより、タッル・リフアト市では5歳の男の子1人が死亡、住民1人が負傷した。

一方、アフリーン解放軍団は声明を出し、27日にアフリーン市でトルコ軍と国民軍に対して特殊作戦を実施し、車輌1輌を破壊、28日にアフリーン市近郊のヴィーラート・カーディー村・バラーディー村間でトルコ軍の無人偵察機(ドローン)を撃墜したと発表した。

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ラッカ県では、ANHA(1月29日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・アブヤド市近郊のアリーダ村を砲撃した。

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シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、マアッラト・ヌウマーン市および周辺の28町村を制圧したと正式に発表(2020年1月29日)

シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、イドリブ県南部での「テロ組織」と戦闘の末、マアッラト・ヌウマーン市および周辺28町村を制圧したと正式に発表した。

シリア軍が解放したのは、マアッラト・ヌウマーン市、ダイル・シャルキー村、マアッル・シャマーリーン村、タッル・マンス村、マアッルシャムシャ村、マアッルシューリーン村、ザアラーナ村、アームーディーヤ村、バービーラー村、ダーナー市、カフルルーマー村、ハーミディーヤ村、ハナーク遺跡、ダイル・ガルビー村、バスィーダー村、トゥカーナ村、カフル・バースィーン村、バーブーリーン村、ジャラーブルス村、ジャウズ・フィーン村、サーリヒーヤ村、スィフヤーン村、ガドファ村、ムアスラーン村、タッル・サワーミア丘、アイン・アルバーン村、タッル・ディブス村、マアッラータ村、アイン・クライア村、マアッラト・ヌウマーン市。

SANA(1月29日付)が伝えた。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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シリア軍はトルコ軍監視所が設置されているアレッポ市ラーシディーン地区に向かっていたトルコ軍の車列を砲撃(2020年1月29日)

アレッポ県では、ANHA(1月29日付)、シリア人権監視団によると、シリア軍は、トルコ軍の監視所が設置されているアレッポ市ラーシディーン地区に向かっていたトルコ軍の車列に対して砲撃を行った。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表がシリアを訪問し、ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相と会談(2020年1月29日)

ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表がシリアを訪問し、首都ダマスカスでワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相と会談した。

SANA(1月29日付)によると、会談では、シリアでの紛争解決に向けた政治プロセス、とりわけ制憲委員会(憲法委員会)について意見を交わし、制憲委員会の原則に基づき、政治プロセスを進展させることの重要性を確認した。

会談には、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官、ムハンマド・ウムラーニー外務在外居住者省専門事務総局長が同席した。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ市西のラーシディーン第5地区、マアッラータ村、イドリブ県のマアッルディブサ村、ハーン・スブル村などを新たに制圧(2020年1月29日)

アレッポ県では、SANA(1月29日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘の末、アレッポ市西のラーシディーン第5地区、マアッラータ村、燃料倉庫、武器集積基地(ジャンドゥール地区近郊)、ハーン・トゥーマーン倉庫を制圧した。

また、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がハーン・トゥーマーン村、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦し、ハーン・トゥーマーン倉庫、アレッポ市ラーシディーン第5地区、記者協会地区、マアッラータ村を制圧した。

シリア軍ヘリコプターはアレッポ市南部郊外一帯を「樽爆弾」で爆撃したという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がカフルラーター村、ブサクラー村、ハーッス村、カフルナブル市、アリーハー市、カフルアミーム村、マアッルズィーター村を爆撃し、カフルラーター村では子ども1人を含む住民10人が、アリーハー市では住民2人が死亡した。

ドゥラル・シャーミーヤ(1月29日付)によると、カフルラーター村で死亡したのは国内避難民(IDPs)だという。

シリア軍戦闘機もサラーキブ市を爆撃し、住民1人が死亡した。

さらに、シリア軍ヘリコプターがカフルアミーム村を「樽爆弾」で爆撃した。

一方、シリア軍地上部隊はサラーキブ市に向けて進軍を続け、シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室と交戦、マアッルディブサ村、ハーン・スブル村、カーヒリーヤ村、ジャッラーダ村、ルハイワ村を新たに制圧した。

これにより、シリア軍はサラーキブ市から7キロ地点に到達した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がサルマーニーヤ村を爆撃した。

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シリア人権監視団によると、1月24日以降の戦闘での死者数は、シリア軍側が163人、反体制武装集団側が179人。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を47件(イドリブ県17件、ラタキア県19件、アレッポ県0件、ハマー県11件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を26件(イドリブ県0件、ラタキア県4件、アレッポ県19件、ハマー県3件)確認した。

AFP, January 29, 2020、ANHA, January 29, 2020、AP, January 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, January 29, 2020、Reuters, January 29, 2020、SANA, January 29, 2020、SOHR, January 29, 2020、UPI, January 29, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:811人の難民が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は538,643人に(2020年1月29日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(1月29日付)を公開し、1月28日に難民811人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは283人(うち女性85人、子供145人)、ヨルダンから帰国したのは528人(うち女性158人、子供269人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は538,643人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者170,955人(うち女性51,680人、子ども87,481人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者367,688人(うち女性110,349人、子ども187,513人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,569,742人(うち女性1,970,923人、子供3,350,568人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 767,923人(うち女性230,687人、子供391,916人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, January 29, 2020をもとに作成。

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