トルコのアカル国防大臣:「イドリブ県に「安全地帯」を設置することをロシアと話し合っている」(2020年1月15日)

トルコのフルシ・アカル国防大臣は、ロシアとイドリブ県内に戦果を逃れて国内避難民(IDPs)となった住民を冬の期間中保護することを目的とした安全地帯を設置することを検討していると述べた。

アカル国防大臣は、首都アンカラで記者らに対して、12日にロシア・トルコの合意のもとに同地で停戦が発効したにもかかわらず、シリア軍が攻撃を続けていると非難、「イドリブ県で難民となった我々の友人たちは政府支配地域に行きたいとは考えていない…。我々はロシアと人々が冬を過ごすことのできる安全地帯の設置について話し合っている」と述べた。

この安全地帯がどこに設置されるのかは不明、

周知の通り、「安全地帯」という言葉は、トルコが「ユーフラテスの盾」作戦、「オリーブの枝」作戦、「平和の泉」作戦といった一連の侵攻作戦において設置をめざすと主張する際に用いられてきた。

これらの作戦により、トルコはアレッポ県北西部、北部、ラッカ県北部、ハサカ県北西部を占領するに至っている。

ロイター通信(1月15日付)が伝えた。

AFP, January 15, 2020、ANHA, January 15, 2020、AP, January 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 15, 2020、Reuters, January 15, 2020、SANA, January 15, 2020、SOHR, January 15, 2020、UPI, January 15, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア・ロシア軍が停戦発効から4日目、イドリブ県を激しく爆撃し、20人以上死亡(2020年1月15日)

ロシアとトルコの合意に基づいて停戦が発効(12日00時00分)してから4日目となる15日、シリア・ロシア両軍はシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の支配下にあるイドリブ県各所への激しい爆撃を再開し、20人以上が死亡した。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(1月15日付)などによると、シリア軍が、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構によって軍事・治安権限が掌握されているイドリブ市、ハーッス村、カフルルーマー村、アブー・ジュライフ村、バイニーン村近郊の森林地帯、バーラ村、シャイフ・アフマド村、アリーハー市、カフルナブル市、マアッルズィーター村、カトラーナー村、シャイフ・イドリース村、マンタフ村、サルジャ村を爆撃した。

シリア軍ヘリコプターも、カフルルーマー村、アブー・ジュライフ村、バイニーン村、マアッラト・ヌウマーン市、シャンナーン村を「樽爆弾」で爆撃した。

さらに、ロシア軍戦闘機も、マアッラト・ヌウマーン市、ダイル・シャルキー村、ダーディーフ村、ハーン・スブル村、タッル・マンス村、ムアスラーン村、マアッルシャムシャ村、マアッルシューリーン村、ハーミディーヤ村、ハルタミーヤ村、タッル・キルスヤーン村、シャイフ・イドリース村、バーラ村を爆撃した。

この爆撃で、イドリブ市のハール市場や工業地区が標的となり、子ども複数人を含む住民19人とホワイト・ヘルメットのメンバー1人が死亡し、30人以上が負傷した。

また、ハーッス村では住民1人が死亡した。

ホワイト・ヘルメットはイドリブ市に対する爆撃で瓦礫の下敷きになった子どもを救出する映像をユーチューブを通じて公開した。

一方、シリア軍地上部隊は県東部のタッル・ハトラ村、アブー・ジュライフ村一帯を砲撃し、反体制武装集団と交戦した。

これに関して、トルコの支援を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)は声明を出し、アブー・ジュライフ村一帯での戦闘で、シリア軍の准将を殺害したと発表した。

また、シリア軍によるイドリブ市への爆撃に対する報復として、シャイフ・イドリーズ村でシリア軍の車列を砲撃、兵士複数を殺傷したと発表した。

AFP, January 15, 2020、ANHA, January 15, 2020、AP, January 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 15, 2020、Reuters, January 15, 2020、SANA, January 15, 2020、SOHR, January 15, 2020、UPI, January 15, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

SANAはアレッポ県ハーディル村に設置された人道回廊から住民数十人がシリア政府支配地域に脱出したと報じる一方、シリア人権監視団はシリア・ロシア軍が住民の帰宅を阻止しようとして爆撃したと発表(2020年1月15日)

SANA(1月15日付)は、イドリブ県アブー・ズフール町近郊、同県フバイト村、アレッポ県ハーディル村の3カ所に1月13日に設置された人道回廊のうち、ハーディル村の人道回廊を経由して、住民数十人が新たにシリア政府支配地域に脱出したと伝えた。


一方、シリア人権監視団は、シリア・ロシア軍がイドリブ県各所を爆撃し、住民の帰宅を阻止しようとしていると発表した。

SANAはまた、ダルアー県のナスィーブ国境通行所を通じて、ヨルダンのアズラク難民キャンプに収容されていたシリア難民多数が帰国したと合わせて伝えた。

AFP, January 15, 2020、ANHA, January 15, 2020、AP, January 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 15, 2020、Reuters, January 15, 2020、SANA, January 15, 2020、SOHR, January 15, 2020、UPI, January 15, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス郊外県ランクース市で和解と退去を拒否していた武装集団をシリア軍が戦闘の末に掃討(2020年1月15日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、レバノン国境に近い西カラムーン地方のランクース市に「武装集団」がいるとの通報を受けて、シリア軍部隊が同市に突入し、交戦となった。

シリア軍と交戦した「武装集団」は、シリア政府との和解とイドリブ県への退去の双方を拒否し、西カラムーン地方の無人地帯にとどまることを選んだグループだという。

戦闘は早朝数時間にわたって行われ、メンバー9人がシリア軍によって殺害され、シリア軍兵士も1人死亡した(サウト・アースィマ(1月15日付)によると、シリア軍士官1人と兵士9人が死亡、武装集団側は15人が死亡)

なお、サウト・アースィマによると、突入はシリア軍部隊が西カラムーン地方の無人地帯で要撃を受けたことに対する対抗措置で、第4機甲師団とヒズブッラー民兵が実施し、戦闘はシリア軍が武装集団の潜伏先を制圧して収束した。

AFP, January 15, 2020、ANHA, January 15, 2020、AP, January 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 15, 2020、Reuters, January 15, 2020、SANA, January 15, 2020、Sawt al-‘Asima, January 15, 2020、SOHR, January 15, 2020、UPI, January 15, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍と国民軍がアレッポ県北部、ラッカ県北部を砲撃(2020年1月15日)

アレッポ県では、ANHA(1月15日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のマルアナーズ村、マーリキーヤ村を砲撃した。

これに対して、アフリーン解放軍団は声明を出し、シーラーワー町近郊のキーマール村でトルコ軍の車列を攻撃し、トルコ軍兵士1人と国民軍の戦闘員6人を殺害したと発表した。

**

ラッカ県では、ANHA(1月15日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアイン・イーサー市近郊のディブス村、タッル・アブヤド市近郊のアリーダ村を砲撃した。

AFP, January 15, 2020、ANHA, January 15, 2020、AP, January 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 15, 2020、Reuters, January 15, 2020、SANA, January 15, 2020、SOHR, January 15, 2020、UPI, January 15, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

スワイダー市で物価高騰や生活苦に抗議するデモ発生、シリア国営メディアもこれを伝える(2020年1月15日)

スワイダー県では、SANA(1月15日付)によると、スワイダー市の中心に位置するサイイド・ライース(大統領閣下)広場(通称サイル広場)で、住民複数が生活状況の改善を訴えて抗議デモを行った。

デモ参加者は「我々は生きたい、我々は生きたい」と連呼し、生活難への不満を露わにしたという。

SANAなどシリア国営メディアや政府系メディアがこうしたデモについて報じるのは異例。

シリア人権監視団によると、デモに参加したのは数十人。

県庁舎前で、シリア・ポンドの下落によって生活状況が悪化したことに抗議の意思を示した。

また、シャフバー町でも住民が物価高騰と生活苦に抗議するために街道を封鎖したという。

AFP, January 15, 2020、ANHA, January 15, 2020、AP, January 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 15, 2020、Reuters, January 15, 2020、SANA, January 15, 2020、SOHR, January 15, 2020、UPI, January 15, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.