所属不明の戦闘機がダイル・ザウル県南東部に展開するファーティミーユーン旅団の拠点複数カ所を爆撃(2020年8月20日)

ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(8月20日付)によると、所属不明の戦闘機が県南東部に展開する「イランの民兵」の拠点複数カ所を爆撃した。

爆撃を受けたのは、シリア政府の支配下にあるマヤーディーン市南の砂漠地帯展開するファーティミーユーン旅団の拠点で、2人が死亡、4人が負傷した。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国務省はシリア政府・軍の要人6人を新たに制裁対象に追加(2020年8月20日)

米国務省は声明を出し、2013年8月22日のダマスカス郊外県グータ地方での化学兵器使用疑惑事件の発生から7年目を迎えるのに合わせて、大統領令第13573号(2011年5月18日)に基づき、6人を新たに制裁対象に追加すると発表した。

**

新たに制裁対象に追加されたのは以下6人。

ルーナー・シブル:外務在外居住者省報道官
ヤースィル・イブラーヒーム:外務在外居住者省副報道官
ギヤース・ダッラー:准将、第42師団司令官
ムハンマド・アンマール・サーアーティー:バアス党幹部
ファーディー・サクル:国防隊司令官
サーミル・イスマーイール:スハイル・ハサン准将率いる第25特殊任務師団所属のハイダル連隊司令官

**

なお、米財務省の外国資産管理局(OFAC)が公開しているリストによると、8月20日現在、一連の対シリア制裁法で制裁対象となっている個人・団体は647にのぼる。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍と国民軍による水道水供給停止でハサカ市および周辺の農村地帯が深刻な水不足に(2020年8月20日)

シリア人権監視団は、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ県ハサカ市およびその周辺の農村地帯が深刻な水不足に見舞われていると伝えた。

これに関して、SANA(8月20日付)は、100万人の住民が水不足と新型コロナウイルス感染症拡大の脅威という二重苦に晒されていると伝えた。

**

トルコとその支援を受ける国民軍が8月に入り、ラアス・アイン市近郊のアルーク村にある揚水所からの水道水の供給を保守点検を口実に断続的に停止していることが、水不足の原因。

もっとも最近では、8月13日に水道水の供給が停止された。

トルコ軍と国民軍が水道水の供給停止に踏み切るのはこれが8度目。

**

ハサカ県水道局のマフムード・アクラ局長は、SANAの特派員に対して、「アルーク村の揚水所での復旧作業は未だに行われていない」としたうえで、「住民の苦難は気温が上昇しているなかで続いており、現時点でアルーク揚水所以外に水の供給源がないなかで、より多くの水が必要になっている」と危機感を露わにした。

アクラ局長によると、緊急対策として、カンシャーファ村、タッル・ブラーク町、ハンマ村で表層取水を行い、政府や関連機関のタンクローリーで水道水を運搬する一方、住民が井戸を堀って地下水を汲み上げるなどしているが、井戸水は飲料には適していないという。

そのうえで、局長は「占領国のトルコがアルーク村の揚水所を水道局の労働者に引き渡すのが唯一の解決策だ。それ以外の方法で一時的に解決したとしても、問題は続くことになる」と強調した。

シリア人権監視団の複数の情報源によると、トルコは北・東シリア自治局に対して支配地域から「平和の泉」地域への電力供給量を増加するよう要求しているが、北・東シリア自治局がこれを拒否しているために、対抗措置としてアルーク村の揚水所からの水道水供給を停止しているという。

**

水道水供給停止に対抗して、北・東シリア自治局もラアス・アイン市への電力の供給を停止している。

また、ANHA(8月20日付)は、北・東シリア自治局のジャズィーラ地域ハサカ地区の水道局が、アルーク揚水所の代替施設として、ハンマ村で新たな井戸を掘削し、水道水の供給を行っていると伝えた。

ハサカ地区の水道局は、50の井戸を新たに掘削することを計画、現在までに25の井戸を掘削、稼働させているという。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局の支配下のダイル・ザウル県で混乱続く(2020年8月20日)

ダイル・ザウル県では、SANA(8月20日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるズィーバーン町で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が住民に向けて発砲、1人が負傷した。

これを受けて、住民とシリア民主軍との間で戦闘が発生、住民側は、同町にあるシリア民主軍の本部を襲撃した。

また、同じく北・東シリア自治局の支配下にあるブサイラ市では、シリア民主軍の兵士1人が何者かに撃たれて死亡した。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市で第3回シリア部族愛国エリート会合が開催:北・東シリア自治局、米国、トルコに対する人民抵抗への支持を表明(2020年8月20日)

アレッポ県では、シリア政府支配下のアレッポ市で、第3回シリア部族愛国エリート会合が開催され、北・東シリア自治局の支配下にあるユーフラテス川東岸(ダイル・ザウル県、ハサカ県)での「占領者(米国、トルコ)」および「その傭兵、協力者、依存者」(北・東シリア自治局、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍など)に対する人民抵抗への支援を表明した。

SANA(8月20日付)が伝えた。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ占領下のハサカ県ラアス・アイン市で国境通行所局長の任命をめぐって国民軍の戦闘員どうしが交戦(2020年8月20日)

ハサカ県では、SANA(8月20日付)によると、トルコの占領下にあるラアス・アイン市で国民軍の戦闘員どうしが交戦し、多数が負傷した。

シリア人権監視団によると、交戦したのは、ハサカの盾旅団の戦闘員とハムザ師団が支援する部族の民兵。

戦闘は、ラアス・アイン国境通行所局長にハムザ師団司令官の兄弟にあたるアフマド・ブーラート氏が任命されたことをめぐる対立に端を発し、双方合わせて3人が死亡、5人が負傷した。

また、ラアス・アイン市の地元評議会は、ブーラート氏の任命に抗議するとして、業務を停止した。

さらに、活動家らが、ラアス・アイン市の住民に対してブーラート氏の任命に抗議するデモを呼びかけているという。

**

ラッカ県では、SANA(8月20日付)によると、トルコの占領下にあるスルーク町で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民2人が負傷した(ドゥラル・シャーミーヤ(8月20日付)によると2人死亡)。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で81人、北・東シリア自治局支配地域で27人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で1人(2020年8月20日)

保健省は政府支配地域で新たに81人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者15人が完治し、4人が死亡したと発表した。

これにより、8月20日現在の同地での感染者数は計2,008人、うち死亡したのは82人、回復したのは460人となった。

SANA(8月20日付)が伝えた。

**

北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)のムスタファー・ジューワーン議長は、支配地域で新たに27人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者2人が死亡したと発表した。

これにより、8月20日現在の同地での感染者数は計280人、うち死亡したのは17人、回復したのは36人となった。

感染者の内訳は、ハサカ県のハサカ市5人、カーミシュリー市17人、マーリキーヤ(ダイリーク)市5人、男性16人、女性11人。

ANHA(8月20日付)が伝えた。

**

反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で8月20日に新たに1人の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。

これにより、同地での感染者数は計59人、うち回復したのは46人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1362770357261185/

**

一方、シリア人権監視団は、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県の「解放区」とトルコ占領下のアレッポ県北部で、新型コロナウイルス感染者1人が確認されたと発表した。

感染者が確認されたのはイドリブ県サルマダー市にある国内避難民(IDPs)キャンプ。

これにより、6月9日以降、「解放区」と占領地で確認された感染者数は計59人(うち28人は「解放区」、29人はトルコ占領地)、うち死亡したのは1人、回復したのは46人となった。

AFP, August 20, 2020、ACU, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県でのシリア軍との戦闘で「決戦」作戦司令室戦闘員2人死亡(2020年8月20日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから167日目を迎えた。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、バーラ村などを砲撃し、ファッティーラ村で「決戦」作戦司令室の戦闘員2人が死亡、住民3人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して「決戦」作戦司令室はシリア政府の支配下にあるハントゥーティーン村を砲撃した。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約20輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

このほか、「決戦」作戦司令室の支配下にある県北部のアッラーニー村で爆弾によると思われる爆発が発生し、子供3人が死亡、2人が負傷した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるトルコマン山地方のタッル・スルール村、ザイトゥーナ村、カルズ村を砲撃した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町一帯を砲撃した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ウンム・ワラド村で、シリア政府との和解に応じ、軍事情報局に配属された元反体制武装集団のメンバー1人が、同じく元反体制武装集団メンバーの住民と交戦し、死亡した。

元反体制武装集団のメンバーらによって構成される第5軍団が介入し、事態を収拾した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を1件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を1件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民442人と国内避難民(IDPs)4人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は589,250人、2019年以降帰還したIDPsは66,148人に(2020年8月20日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月20日付)を公開し、8月19日に難民432人(うち女性133人、子供225人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民432人(うち女性133人、子供225人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は589,250人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者194,002人(うち女性58,341人、子ども98,670人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,704,192人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は818,530人(うち女性245,617人、子供417,161人)となった。

**

一方、国内避難民4人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは4人(うち女性2人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した4人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は4人(うち女性2人)だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は66,148人(うち女性23,066人、子供27,221人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,334,744人(うち女性405,625人、子供670,987人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 20, 2020をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.