北・東シリア自治局はダーイシュのバルバドス人メンバーの妻子3人の身柄を同国使節団に引き渡す(2023年1月9日)

バルバドスの使節団がハサカ県ハサカ市にある北・東シリア自治局渉外関係局を訪れ、ファナル・カイート渉外関係局共同副議長、ハーリド・イブラーヒーム執行評議会メンバー、ラーナー・フサイン女性防衛隊(YPJ)事務局メンバー、フワイダー・ムハンマド・サリーム・ムハンマド女性評議会副委員長と会談し、ダーイシュ(イスラーム国)のバルバドス人メンバーの妻1人と子供2人の身柄を引き渡すことに合意した。

ANHA(1月11日付)が伝えた。

AFP, January 11, 2023、ANHA, January 11, 2023、al-Durar al-Shamiya, January 11, 2023、Reuters, January 11, 2023、SANA, January 11, 2023、SOHR, January 11, 2023などをもとに作成。

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スペイン外務省特使がハサカ市にある北・東シリア自治局渉外関係局を訪れ、ダーイシュのスペイン人メンバーの家族13人の身柄引き渡しに合意(2023年1月9日)

ハサカ県では、ANHA(1月10日付)によると、スペイン外務省のギエルモ・アンゲラ特使が北・東シリア自治局渉外関係局の本部があるハサカ市を訪問し、ファナル・カイート渉外関係局共同副議長、ハーリド・イブラーヒーム執行評議会メンバー、ラーナー・フサイン女性防衛隊(YPJ)事務局メンバー、フワイダー・ムハンマド・サリーム・ムハンマド女性評議会副委員長と会談し、ダーイシュ(イスラーム国)のスペイン人メンバーの家族13人の身柄を引き渡すことを正式に合意した。

この合意を受け、1月10日に13人の身柄がスペイン側に引き渡された。

シリア人権監視団によると、13人の内訳は、女性2人と子供13人で、いずれもマーリキーヤ市にあるロジュ・キャンプに収容されていた。

AFP, January 10, 2023、ANHA, January 10, 2023、al-Durar al-Shamiya, January 10, 2023、Reuters, January 10, 2023、SANA, January 10, 2023、SOHR, January 10, 2023などをもとに作成。

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トルコのソイル内務大臣は、シリア政府との接近に対する抗議デモの高まりを受け、イドリブ県への訪問を急遽取りやめ(2023年1月9日)

シリア人権監視団によると、トルコのシュレイマン・ソイル内務大臣は、イドリブ県のサルマダー市近郊に新たに建設された国内避難民(IDPs)を収容するための集合住宅の完成式典への出席を急遽取りやめた。

トルコとシリア政府の接近を受けて、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るいわゆる「解放区」各所で抗議デモが繰り返されているのを受けた決定だという。

AFP, January 9, 2023、ANHA, January 9, 2023、al-Durar al-Shamiya, January 9, 2023、Reuters, January 9, 2023、SANA, January 9, 2023、SOHR, January 9, 2023などをもとに作成。

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シリア軍と「決戦」作戦司令室がイドリブ県、アレッポ県で交戦(2023年1月9日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるサルミーン市、ザーウィヤ山地方のカンスフラ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、「決戦」作戦司令室は、シリア政府の支配下にあるサラーキブ市一帯を砲撃した。

このほか、トルコ軍の国境警備隊が県北部のアズマーリーン村に近い密輸ルートを経由して、トルコに密入国を試みようとした若い男性1人を銃殺した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にある県西部一帯を砲撃した。

AFP, January 9, 2023、ANHA, January 9, 2023、al-Durar al-Shamiya, January 9, 2023、Reuters, January 9, 2023、SANA, January 9, 2023、SOHR, January 9, 2023などをもとに作成。

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米主導の有志連合の貨物車輌など約20輌からなる車列がイラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入(2023年1月9日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合の貨物車輌など約20輌からなる車列がイラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入し、県内各所の米軍基地に向かった。

AFP, January 9, 2023、ANHA, January 9, 2023、al-Durar al-Shamiya, January 9, 2023、Reuters, January 9, 2023、SANA, January 9, 2023、SOHR, January 9, 2023などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がラッカ県、アレッポ県を砲撃(2023年1月9日)

ラッカ県では、ANHA(1月9日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市近郊のハーリディーヤ村、M4高速道路沿線一帯を砲撃した。

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アレッポ県では、ANHA(1月9日付)によると、トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市と同市近郊のハルバル村を砲撃した。

AFP, January 9, 2023、ANHA, January 9, 2023、al-Durar al-Shamiya, January 9, 2023、Reuters, January 9, 2023、SANA, January 9, 2023、SOHR, January 9, 2023などをもとに作成。

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国連安保理はシリアへの越境(クロスボーダー)での人道支援にかかる安保理決議第2642号を2023年7月10日までの6ヵ月延長することを定めた決議第2672号を全会一致で採択(2023年1月9日)

国連安保理は、シリアへの越境(クロスボーダー)での人道支援にかかる安保理決議第2642号を2023年7月10日までの6ヵ月延長することを定めた安保理決議第2672号を全会一致で採択した。

決議案はアイルランドとノルウェーが作成したもの。

決議内容は、国連安保理決議第2642号の文言を踏襲し、イドリブ県とトルコのハタイ県を結ぶバーブ・ハワー国境通行所1ヵ所のみを経由した越境人道支援の継続を認めるとともに境界経由(クロスライン)での人道支援、早期復旧プロジェクトの継続・推進が再確認された。

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採決後、スイスとブラジルは、シリア北部で支援を必要としている410万人が厳しい冬に直面するなかで決議が採択されたことを強調、安保理メンバーに決議案支持への謝意を示すとともに、新たな決議によって、人道支援団体による支援物資の提供が継続され、人命救助と早期復旧支援が可能となったと表明した。

これに対して、英国、フランス、日本、米国は、越境人道支援の期間延長が6ヵ月に限定されたことを非難、延長期間を12ヵ月とするよう安保理に求めた。

とりわけ、米国のリンダ・トマス=グリーンフィールド国連大使は、会合そのものが重要だったとしつつも、「この決議は最低限のものだと」不快感を露わにし、シリアでの紛争が政治的解決されるまで、アサド大統領が指導する政府による復興の取り組みを支持しないと述べた。

一方、中国とロシアは、西側諸国による一方的な制裁の弊害を指摘した。

とりわけ、ロシアのワシーリー・ネヴェンジャ国連大使は、安保理会合で、西側諸国がシリアの人道状況を悪化させている主因だと批判した。

ネヴェンジャ国連大使は「西側諸国は今日も、シリアで人道支援を提供するために行っているという取り組みについて説明したが、もう一つの非常に不快な問題、すなわちシリアの一般の人々をも対象とした犯罪的な一方的制裁をとりあげることについては慎重に避けようとしている」としたうえで、「シリアの人道状況の悪化の主因はこうした制裁である」と非難、「西側諸国は、シリアの状況を正常化するプロセスを極力抑制し、正当な政府の行動の信用を傷つけようとして、意図的に事態を悪化させている」と述べた。

シリアのバッサーム・サッバーグ国連代表も、西側諸国が人道支援活動を政治利用していると非難するとともに、人道支援にかかる資金供与の誓約を守っていないと指摘、一方的な制裁によってシリア国民の苦しみが増していると主張した。

また、シリア政府が国民の生活状況を改善するために分け隔てなく努力していると強調、新たな決議案において、早期復旧プロジェクトの拡大と、一方的な経済制裁がシリアの人道活動にもたらす弊害について明記するよう安保理に訴えた。

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国連のステファン・ドゥジャリク事務総長付報道官は、決議採択を受けて、アントニオ・グテーレス事務総長はシリア北西部の410万人に不可欠なライフラインであり続けるクロスボーダーでの人道支援活動の延長を確認した安保理の決定を留意するとする声明を出した。

ドゥジャリク報道官はまた、クロスボーダーと境界経由(クロスライン)での支援などを通じたシリア全土への人道支援アクセスを拡大し、早期復旧プロジェクトへの投資を通じた人道支援活動を拡大する必要があると強調した。

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シリア政府の許可なく国外からの越境人道支援を認める仕組みは、2014年7月14日に採択された国連安保理決議第2165号を起点とする。

当初は有効期間を180日と定めていたが、人道支援継続の必要から、第2191号(2014年12月17日採択――2016年1月10日まで延長)、第2332号(2016年12月21日採択――2018年1月10日まで延長)、第2393号(2017年12月19日採択――2019年1月10日まで延長)、第2449号(2018年12月14日採択――2020年1月10日まで延長)、第2504号(2020年1月11日採択――2020年6月10日まで延長)、第2533号(2020年7月11日採択――2021年7月10日まで延長)、第2585号(2021年7月14日採択――2022年1月10日まで延長、7月10日まで自動で再延長)、第2642号(2022年7月12日採択――2023年1月10日まで延長)と10度にわたって更新されていた。

国連安保理決議2165号はまた、トルコに面するイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所(トルコ側はジルベギョズ国境通行所)、アレッポ県のバーブ・サラーマ国境通行所(トルコ側はオンジュプナル国境通行所)、イラクに面するハサカ県のヤアルビーヤ国境通行所(イラク側はラビーア国境通行所)、そしてヨルダンに面するダルアー県のダルアー国境通行所(ヨルダン側はラムサー国境通行所)を通じた越境人道支援を認めていた。

だが、国連安保理決議第2504号では、2018年半ばにシリア政府の支配下に復帰したダルアー国境通行所とヤアルビーヤ国境通行所が除外された。また、決議第2533号以降では、バーブ・サラーマ国境通行所も除外され、越境人道支援が可能なのは、バーブ・ハワー国境通行所のみとなっていた。

AFP, January 9, 2023、ANHA, January 9, 2023、al-Durar al-Shamiya, January 9, 2023、Reuters, January 9, 2023、SANA, January 9, 2023、SOHR, January 9, 2023などをもとに作成。

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