シリア革命反体制勢力国民連立のサブラー暫定議長がジュネーブ2会議への原則参加を決定したと発表する一方、シリア公務員国民自由連合は同会議に「反体制勢力が統一使節団を派遣する」必要性を強調(2013年6月8日)

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国内の暴力

ヒムス県では、『ハヤート』(6月9日付)によると、東ブワイダ市で軍が反体制武装集団の掃討を完了、同市の治安を回復した。

またSANA(6月8日付)などによると、ヒムス市アダウィーヤ地区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、7人が死亡した。

一方、シリア人権監視団によると、東ブワイダ市、ガントゥー市で軍と反体制武装集団が交戦した。

このほか、ヒムス市旧市街などに軍が砲撃を加えた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ビッリー村、ウカイリバート町、マスウード村、アブー・ハナーヤー村、クライブ村、スーハー村などに軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月9日付)によると、サルバ市、マスウード市、アブー・ハナーヤー市、アミーヤ村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、フバイト村、ダイル・シャルキー村、ビンニシュ市、イフスィム村などに軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月9日付)によると、ヒルバト・マールティーン村、ナイラブ村、バシュラームーン村、カニーサ・ナフラ市、シュグル市、イフスィム村、クマイナース村、マアッラトミスリーン市、サルミーン市、タッル・ダイニート市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、外国人戦闘員ら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、カフルハムラ村、ハイヤーン町、マンナグ航空基地入り口付近、クワイリス航空基地周辺、マアーッラト・アルティーク村、サフィーラ市、ラスム・アッブード村などで、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

またアレッポ市では、サラーフッディーン地区、ハーリディーヤ地区で軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加える一方、シャイフ・マクスード地区に軍が突入を試み、民主統一党人民防衛隊と交戦した。

一方、SANA(6月9日付)によると、マンナグ航空基地周辺、アレッポ中央刑務所、ズィヤーラ村、マーイル町、アナダーン市、マアーッラト・アルティーク村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市シャイフ・マクスード地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、第17師団基地周辺に対して軍が空爆を行った。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区に軍が砲撃を行った。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ナブク市の軍事情報局本部近くで爆弾が仕掛けられた車が自爆した。

またムウダミーヤト・シャーム市で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月9日付)によると、ハラスター市、ドゥーマー市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダーライヤー市、バービッラー市、リーハーン農場で、軍が反体制武装集団と交戦し、外国人戦闘員ら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヤルダー市で、反体制武装集団どうしが略奪品の分配をめぐって衝突し、複数の戦闘員が死傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マッザ区に迫撃砲弾が複数発着弾した。死傷者は出なかった。

またヤルムーク区で軍と反体制武装集団が交戦し、バルザ区、カーブーン区に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月9日付)によると、バルザ区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がインヒル市の軍の検問所を制圧する一方、ダルアー市のワーヒディーン避難民キャンプでは、4人が死亡した。うち2人は当局に逮捕・拷問され死亡したと思われる。

一方、SANA(6月9日付)によると、マアルバ町、インヒル市、ブスラー・シャーム市、ダルアー市、シャブラク村、タファス市、ジャースィム市、サフム・ジャウラーン村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(6月9日付)によると、軍がカフターニーヤ市、ジャバター村で反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハーン・アルナバ市で反体制武装集団が爆弾を仕掛けた車を爆発させ、複数の市民が負傷した。

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ハサカ県では、SANA(6月9日付)によると、カーミシュリー市で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民5人が負傷した。

シリア政府の動き

アサド政権を支持するレバノンの日刊紙『ディヤール』(6月8日付)は、ラーミー・マフルーフが13億ドル相当の資産を他人名義に変更し、ウクライナ、ベラルーシに移転したと批判的に報じた。

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『ハヤート』(6月8日付)によると、レバノン人、イラク人、イラン人の戦闘員がサイイダ・ザイナブ廟(ダマスカス郊外県)防衛のためズー・ファカール旅団を結成した。

同報道によると、ズー・ファカール旅団は約900人の戦闘員を擁し、「アブー・シャフド」を名のる戦闘員が書記長を、「アブー・ハージル」を名のる戦闘員が副書記長を務めるという。

反体制勢力の動き

自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長は、アレッポ県郊外、ダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県の戦闘に参加する政権側の戦闘員の「ほとんど」がヒズブッラーの戦闘員で、イラク人戦闘員、イラン人戦闘員も参加している、と主張した。

ただし、この主張の根拠については明言しなかった。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、国連安保理に対して、シリア・レバノン国境に民間人支援のための「人道回廊」を設置するよう求めた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のジョルジュ・サブラー暫定議長はイスタンブールで記者会見を開き、ジュネーブ2会議への原則参加を決定したとしたうえで、正式な招待状を得た時点で最終決定を行うと発表した。

またサブラー暫定議長は、「ヒズブッラーとその同盟者たちがシリアで行っていることは、数千年を経て確立した地域の政治的、社会的、文化的、人道的な構造を破壊するもの」と批判し、ヒズブッラーやイランによる「宗派主義的行為」が「同様の反応」をもたらすと述べ、反体制勢力による宗派主義的行為を正当化した。

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シリア公務員国民自由連合(リヤード・ファリード・ヒジャーブ代表)は声明を出し、ジュネーブ2会議への参加に関して、反体制勢力は統一使節団を派遣せねばならず、「シリア革命反体制勢力国民連立の使節団のみがシリア国民の唯一の正統な代表だ」と主張、そのほかの反体制組織の参加に疑義を呈した。

レバノンの動き

ナハールネット(6月8日付)は、治安当局高官の話として、シリアのクサイル市での戦闘で負傷したシリアの反体制武装集団戦闘員とレバノン人戦闘員数十人がレバノンの病院に搬送された。

Naharnet, June 8, 2013

Naharnet, June 8, 2013

レバノン人戦闘員は北部県トリポリ市出身のサラフィー主義者。

AFP(6月8日付)によると、負傷した戦闘員約30人がベカーア県バアルベック郡の病院に搬送され、アルサール市にはさらに数十人の負傷した戦闘員が搬送を待っているという。

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ナハールネット(6月8日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール市近郊のワーディー・フマイド地域に、シリア軍のヘリコプターがロケット弾を発射した。

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ヒズブッラーは声明を出し、ダマスカス郊外県ムウダミーヤト・シャーム市で党の戦闘員が補足されたとの地元調整委員会の声明に関して、事実無根と否定した。

AFP, June 8, 2013、al-Diyar, June 8, 2013、al-Hayat, June 9, 2013、Kull-na Shuraka’, June 8, 2013, June 9, 2013、Kurdonline,
June 8, 2013、Naharnet, June 8, 2013、Reuters, June 8, 2013、SANA, June 8,
2013、UPI, June 8, 2013などをもとに作成。

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