2013年4月24日のシリア情勢

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は、声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表に関して、「国連代表としてのみ協力をする。なぜならアラブ連盟はシリアに対する陰謀の一当事者であり、停戦監視団の任務が終了した2012年2月12日にその役割を終えたからである」と発表した。

SANA(4月24日付)が報じた。

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シリア外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長宛てに書簡を送り、アレッポ県でのキリスト教主教2人の誘拐に関して、シャームの民のヌスラ戦線に属するチェチェン人テロリストが率いる武装集団の犯行だと報告し、シリア・アラブ共和国が引き続き国内でテロとの戦いを進めるとの意志を表明した。

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インテルファクス通信(4月24日付)は、ロシア訪問中のウムラーン・ズウビー情報大臣がモスクワの大学での講演で、「シリアは国民に対して化学兵器を使用しない。また戦時下であっても、イスラエルに化学兵器を使用することさえない」と述べたと報じた。

 国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市旧市街(UNESCO世界文化遺産)にあるウマイヤ・モスクのミナレットが軍と反体制武装集団の交戦のなかで倒壊した。

al-Hayat, April 25, 2013

al-Hayat, April 25, 2013

反体制武装集団戦闘員はユーチューブにアップされた映像などで、ミナレットが軍の戦車による砲撃を受けて破壊、倒壊したと主張した。

一方、シリア・アラブ・テレビ(4月24日付)は、シャームの民のヌスラ戦線に属するテロリストがミナレットを爆破し、その映像を撮影…、シリア・アラブ軍に嫌疑をかけている」と報じた。

他方、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(4月24日付)に対して、「数ヶ月におよぶ激しい戦闘の被害が原因で、ミナレットが自壊した可能性もある」と述べた。

ミナレットが破壊される瞬間の映像が存在していないため、いずれの主張が真実かは不明。

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同じくアレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンナグ航空基地に反体制武装集団が突入し、軍と激しく交戦した。

シリア軍消息筋によると、軍は侵入した反体制武装集団を撃退したという。

またクルドオンライン(4月24日付)によると、アフリーン市郊外のザーラータ村を軍が空爆し、1人が死亡、4人が負傷した。

一方、SANA(4月24日付)によると、ズィヤーラ村、ダイル・ジャマール村、カフルハーシル村、マッルアナーズ市、アルカミーヤ村、マンナグ市周辺、ハーン・アサル村、ハイヤーン町、ズハイラーン市、マーイル町、アレッポ市アーミリーヤ地区などで、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団およびSANA(4月24日付)によると、ジャルマーナー市内の住宅街に迫撃砲弾2発が着弾し、市民7人が死亡、25人が負傷した。

一方、SANA(4月24日付)によると、ドゥーマー市、ハラスター市、アイン・タルマー村、ダーライヤー市などで、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(4月24日付)によると、バラームカ地区で、電力省教育訓練局のムハンマド・アブドゥルワッハーブ局長が乗った車に仕掛けられた爆弾が爆発し、同局長が死亡した。

シリア人権監視団によると、この爆弾テロで2人が負傷したという。

一方、SANA(4月24日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(4月24日付)によると、ヒムス市カラービース地区、ハーリディーヤ地区、クサイル市郊外のハイダリーヤ市、ハミーディーヤ市、アッシュ市、ダブア市、東ブワイダ市、西ダミーナ市、カマーム村、ラスタン市郊外のアイン・ダナーニール市、ウンム・シャルシューフ村、ザアフラーナ村、タッルドゥー市、ダール・カビーラ村、タルビーサ市、キースィーン市、ブルジュ・カーイー村などで、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、ムンタサル・ビッラーヒ大隊メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(4月24日付)によると、ジスル・シュグール市郊外、マアリー市、カフルハーヤー市、ウンム・ジャリーン村、タマーニア町、サルジャナーズ市、タッル・マンス村、タッル・スーダー市、カフルジャーリス市、マアッラトミスリーン市、ハルブヌーシュ村、タフタナーズ市、ナイラブ村、アリーハー市、タッル・ダハブ村、バシュラームーン村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(4月24日付)によると、ヌサイリー山地山頂に近い避暑地スルンファ町で反体制武装集団が撃ったロケット弾が着弾し、市民1人が死亡、4人が負傷した。

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ギリシャ正教会アレッポ主教区のガッサーン・ワルド神父は、22日にアレッポ県カフルダーイル村で誘拐されたシリア正教会のグレゴリウス・ヨハネ・イブラーヒーム・アレッポ主教とギリシャ正教会のブールス・ヤーズジー・アレッポ主教に関して、AFP(4月24日付)に「我々には新たな情報はない。解放されたと述べることはできない」と述べた。

またオリエント行動(Oeuvre d’Orient)協会(本部パリ)は、両主教に関して、AFP(4月24日付)に対して解放されたことを示す「具体的な証拠」を未だに得ていないと述べた。

同協会は23日に、両主教が解放されたと発表していた。

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、『ワタン』(4月24日付)に対して、委員会が現在、政治的解決を支持するすべての勢力からなる「民主的市民同盟」の結成をめざしているとしたうえで、そのなかにシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ前議長も参加するだろうと述べた。

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クルドオンライン(4月24日付)によると、クルド最高委員会メンバーのイルハーム・アフマド女史は、EUによる対シリア石油禁輸措置の部分緩和に関して、「石油だけを通じてシリアの反体制勢力と関わろうとすることは間違っている」と非難した。

そのうえで、「クルド人地域の石油の販売は、クルド最高委員会の決定に基づく」と主張し、シリア革命反体制勢力国民連立との協議により、石油取引を行うとするEUの決定に異論を唱えた。

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シリア・イスラーム戦線は声明を出し、ラタキア県カルダーハ市に迫撃砲2発を打ち込んだと発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、アレッポ市のウマイヤ・モスクのミナレット倒壊に関して、軍戦車の砲撃で破壊されたと断じ、「人類の文明に対する犯罪」と非難した。

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自由シリア軍事評議会大隊参謀委員会メンバーを名乗るムハンマド・ダーマス・カイラーニー「博士」は、シリア革命反体制勢力国民連立のジョルジュ・サブラー暫定議長を「自由シリア軍への武器支援に熱心なキリスト教徒」と評価し、暫定議長就任を歓迎した。

クッルナー・シュラカー(4月24日付)が報じた。

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自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官のルワイユ・ミクダードはAFP(4月24日付)に対して、「自由シリア軍最高司令部(参謀委員会)の公式の姿勢は…シリアでのジハードの呼びかけを感謝しつつも、それを拒否するというものだ」と述べ、レバノンの一部サラフィー主義シャイフによる呼びかけを拒否する姿勢を明示した。

レバノンの動き

ミシェル・スライマーン大統領は、一部サラフィー主義者によるシリアでのジハードの呼びかけに対して、「シリアへの武器、戦闘員の派遣、レバノンでの訓練基地の設置」を行わないよう呼びかけた。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は声明を出し、「レジスタンスは、狙撃銃を誤った方に向け、市民に対する虐殺を行う体制を支持している」と述べ、ヒズブッラーのシリア危機への関与を批判した。

また「シリア国民はレバノンのジハード主義者を必要としていない」と述べ、一部サラフィー主義シャイフによるジハードの呼びかけを拒否する姿勢を明示した。

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ナハールネット(4月24日付)は、南部県サイダー市のビラール・ブン・ラバーフ・モスクのイマーム、アフマド・アスィールが「シリア、とりわけクサイルでのジハードは義務であり、レバノンでそれが可能な者なら誰でも、我々に加わらねばならない」と述べた。

アスィールはまた「我々はシリアの革命に巻き込まれることに反対だ。だが、ヒズブッラーは専制君主アサド支持に固執しており、我々に選択肢はない」と付言した。

同報道によると、23日の段階で、数十人の若者がアスィールの事務所を訪れ、ジハードへの参加を誓約したという。

諸外国の動き

ジル・ド・ケルショヴEUテロ対策調整官はBBC(4月24日付)に対して、約500人のEU諸国出身者がシリアで反体制武装集団に参加していることを明らかにした。

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ローマ法王フランシスコは、22日にアレッポ県カフルダーイル村で誘拐され、解放に関して情報が錯綜しているシリア正教会のグレゴリウス・ヨハネ・イブラーヒーム・アレッポ主教とギリシャ正教会のブールス・ヤーズジー・アレッポ主教に関して、「両主教がそれぞれの教区に速やかに戻ることを望む」と述べた。

AFP, April 24, 2013、Akhbār al-Sharq, April 24, 2013、al-Ḥayāt, April 25, 2013、Kull-nā Shurakā’, April 24, 2013、Kurdonline, April 24,
2013、Naharnet, April 24, 2013、Reuters, April 24, 2013、SANA, April 24, 2013、UPI,
April 24, 2013、al-Waṭan, April 25, 2013などをもとに作成。

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