ダルアー県では、マサール・プレス(4月29日付)によると、自由シリア軍南部戦線とアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったヤルムーク殉教者旅団とサフム・ジャウラーン村一帯で交戦、クナイトラ県カフターニーヤ町に進軍する自由シリア軍南部戦線部隊の兵站路を遮断、またシリア人権監視団によると、ヤルムーク殉教者旅団が同村にあるヌスラ戦線の本部を制圧した。
この戦闘を受け、多くの住民がサフム・ジャウラーン村からの避難を余儀なくされたという。
またサイダー町でも、ヌスラ戦線とヤルムーク殉教者旅団が交戦した。
ヤルムーク殉教者旅団は2013年3月にUNDOF隊員の拉致に関与した組織で、自由シリア軍に所属していたが、29日にフェイスブックを通じて声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うと発表した。
ヤルムーク殉教者旅団はまた、この声明のなかで、サフム・ジャウラーン村からヌスラ戦線を放逐したことを明らかにした。
一方、SANA(4月29日付)によると、ヌアイマ村、カフルシャムス町、サムリーン村、ズィムリーン村、ガズラーン農場、フラーク市、ブスル・ハリール市、ムサイカ村、ブラーク村
、ダルアー市内各所で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、ジャイドゥール・ハウラーン旅団、ハムザト・アサド・アッラー旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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クナイトラ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月29日付)によると、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動がラワーディー村一帯でダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うジハード軍と交戦、同地を制圧、シリア人権監視団によると、この戦闘で双方に38人の死者が出た。
またこれに先だって、自由シリア軍南部戦線は、ラスム・シューリー村、アドナーニーヤ村、カフターニーヤ町一帯でジハード軍と交戦し、28日までに同地の大部分を制圧していたという。
これに関して、マサール・プレス(4月29日付)は、ヌスラ戦線と「革命家」が28日からダーイシュに忠誠を誓った武装集団とカフターニーヤ町、西サムダーニーヤ村、ハムダーニーヤ村で交戦していると伝えた。
一方、イスラーム軍は声明を出し、ラスム・シューリー村での自由シリア軍南部戦線、ヌスラ戦線とジハード軍との戦闘に参戦し、ジハード軍戦闘員のアミール(司令官)複数名を殺害、また指導者のアブー・ブスアブ・ファンヌースィー氏を負傷させたと発表した。
また複数の反体制活動家によると、自由シリア軍南部戦線などからなる武装集団は、アドナーニーヤ村を制圧した際、「女装したファンヌースィー氏を含む5人」を拘束したという。
このほか、SANA(4月29日付)によると、カフターニーヤ町・ラスム・シューリー村間、マスハラ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ダルアー県、クナイトラ県での自由シリア軍南部戦線、アル=カーイダ系組織(シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動)、イスラーム軍とダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団、ジハード軍との戦闘に関して、「革命家によるダーイシュ駆逐の成功」を賞賛した。
AFP, April 29, 2015、AP, April 29, 2015、ARA News, April 29, 2015、Champress, April 29, 2015、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2015、al-Hayat, April 30, 2015、Iraqi News, April 29, 2015、Kull-na Shuraka’, April 29, 2015、al-Mada Press, April 29, 2015、Masar Press Agency. Apriol 29, 2015、Naharnet, April 29, 2015、NNA, April 29, 2015、Reuters, April 29, 2015、SANA, April 29, 2015、UPI, April 29, 2015などをもとに作成。
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