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国内の動き(シリア政府の動き)
ダマスカス県カッサーア地区にある聖十字架教会で、ギリシャ正教アンタキア総主教区のヨハネ10世ヤーズジーの総司教就任式が行われ、レバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教、同じくギリシャ・カトリック教会アンタキア総大司教のグレゴリウス3世ラッハーム、シリアのキリスト教諸派の司教・司祭ら、マンスール・アッザーム大統領担当国務大臣、ムハンマド・ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣らが参列した。
総司教ヨハネ10世は、参列者を前に「国内での対話を通じた危機の政治的解決」を呼びかけた。
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ヒムス国民和解人民委員会が「シリアのための寛容」と題した会合をヒムス市内で開催した。
会合には、アフマド・ムニール・ムハンマド県知事、与野党、反体制組織の代表者らが出席した。
SANA(2月10日付)が報じた。
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イランで2012年11月に開催されたシリア国民対話会合に参加した与野党、反体制組織の代表がダマスカス県のダーマー・ルーズ・ホテルでフォローアップ会合を開き、包括的国民対話開催のための政治的、社会的環境作りを急ぐことで合意した。
SANA(2月10日付)が報じた。
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『ワシントン・ポスト』(2月10日付)は、米国および中東諸国の高官(匿名)の話として、ヒズブッラーとイランがシリアにおける権益を維持するため、民兵のネットワークを構築しつつある、と報じた。
国内の暴力
ラッカ県では、シャームの民のヌスラ戦線、ウワイス・カルニー大隊、タブカ自由人大隊が、タブカ市の機甲連隊を制圧し、重火器や装備を奪った、とシリア人権監視団が発表した。
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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市北部に展開する第113旅団が反体制武装勢力の砲撃を受けたとシリア人権監視団と発表した。
またダイル・ザウル市内のマタール・カディーム地区、ハウィーカ地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦した。
一方、SANA(2月10日付)によると、ダイル・ザウル市内各所で、軍が反体制武装勢力を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線、フザイファ・ブン・ヤマーン大隊メンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ドゥワイリーナ市で、シャームの民のヌスラ戦線の軍拠点への爆破テロによって、兵士4人が死亡、20人が負傷した。
またサフィーラ市、マンナグ航空基地周辺などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装勢力と交戦した。
これに対し、SANA(2月10日付)は、ドゥワイリーナ市で軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊したと報じた。
またマンスーラ村、タッル・アラン市、ナッカーリーン村などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の外国人戦闘員を殲滅したという。
さらにアレッポ市でも、バーブ・ハディード地区、マサーキン・ハナーヌー地区、カーディー・アスカル地区、バニー・ザイド地区などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の外国人戦闘員を殲滅したと報じた。
一方、民主統一党人民防衛隊は、アレッポ市アシュラフィーヤ地区での軍との戦闘で死亡した人民防衛隊兵士7人の遺体を回収した、と発表した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ルクンッディーン区で爆発があり、市民3人が死亡した。
またアサーリー地区、カダム区に対して砲撃があった。
一方、SANA(2月10日付)によると、アルヌース広場に駐車中の車に仕掛けられた爆弾が爆発し、市民2人が負傷した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ダーライヤー市、ナブク市、ハジャル・アスワド市などに軍が空爆・砲撃を加えた。
一方、SANA(2月10日付)によると、アルバイン市、ザマルカー町、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、アドラー市、ダーライヤー市などで、軍が反体制武装勢力を追撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(2月10日付)によると、ラーミー村、シャグル市、ヤアクービーヤ村、ジャーヌーディーヤ町、ジスル・シュグール市近郊、ナイラブ軍事基地周辺、マアッラト・ニウマーン市、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、カフルルーマー村、ヒーシュ村、ダイル市などで、軍が反体制武装勢力と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(2月10日付)によると、ハマーミーヤート村で、軍が反体制武装勢力を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の外国人戦闘員を殲滅した。
反体制勢力の動き
シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長はフェイスブック(2月10日付)に声明を出し、「シリア政府が条件付き対話イニシアチブに応じなかったことはきわめて否定的なメッセージだ」として、対話呼びかけの猶予期間が切れたとの立場を示した。
そのうえで「連立の政治委員会にこの問題を付託することを要請するだろう」と付言した。
なおこの声明で、ハティーブ議長はシリア北部の「解放区」での対話実施を改めて呼びかけた。
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シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフは、『ハヤート』(2月11日付)に対して、アフマド・マアーッズ・ハティーブ議長によるアサド政権との条件付きでの対話の意思表明に関して、「死産だった」と述べた。
この意思表明は、2月10日に猶予期間切れとなっていた。
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クルド最高委員会のアフマド・スライマーン書記官が、シリア・クルド進歩民主党のHPを通じて声明を出し、ハサカ県ラアス・アイン市で民主統一党と自由シリア軍が停戦合意を行ったとの一部声明を否定した。
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『アフラーム』(2月10日付)は、ヨルダンで亡命生活を送るリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相がエジプトに到着したと報じた。
諸外国の動き
ヨルダンのザアダリー避難民キャンプで、人道支援物資倉庫を襲おうとしたシリア人避難民200人以上を、ヨルダン治安当局が催涙ガスなどを使用して強制排除した。
AFP(2月10日付)が報じた。
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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長とカイロで会談した。
AFP, February 10, 2013、al-Ahrām, February 10, 2013、Akhbar al-Sharq, February 10, 2013、al-Hayat, February 11, 2013、Kull-na Shuraka’, February 10, 2013、al-Kurdiya News, February 10, 2013、Naharnet, February 10, 2013、Reuters, February 10, 2013、SANA, February 10, 2013、The Washington Post, February 10, 2013などをもとに作成。
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