シリアの紛争解決、アサド政権との和平交渉に向けた反体制派の代表の会議(第2回カイロ大会)が、エジプト外務評議会(元大使、有識者からなる独立機関)の監督のもと、8日にカイロのホテルで開幕する。
『ハヤート』(6月7日付)によると、会議には、シリア国内外で活動する反体制政治組織代表、活動家、武装集団(自由シリア軍)の代表ら230人が出席予定。
欧米諸国によってかつて「シリア国民の唯一の正統な代表」と認定され、最近ではトルコのイスタンブールを拠点として、アル=カーイダ系組織の軍事的攻勢やテロを「革命家の勝利」として唱導しているシリア革命反体制勢力国民連立(シリア国民連合)は、会議の準備段階でボイコットを表明、参加を見合わせた。
だが、多くのメンバーが連立の代表ではなく、個人資格で出席した。
会議に先立ち、準備委員会メンバーのフィラース・ハーリディー氏は6日、記者団に対して「アサド大統領と政権幹部の退陣が…譲歩できない…会議の主要議題である」と述べた。
ハーリディー氏によると、議題には、アサド大統領と政権幹部の退陣のほか、ジュネーブ合意(2012年)の原則に従い、移行期統治機関(移行期政府)の発足、シリア国民軍の再建、移行期正義評議会の設置、国家機関の維持再編、イラン人約120万人にシリア国籍付与と不動産所有を定めたとされるシリア政府の決定の廃止、すべての外国の武装部隊・武装集団の排除、などが予定されているという。
また国連の主導のもとで準備が進められているシリア政府との和平交渉「ジュネーブ3」に関しては、反体制派を統合したうえで、統一交渉チームの設置について合意する必要があると述べた。
一方、シリア革命反体制勢力国民連立法務委員会のハイサム・マーリフ委員長は6日、連立のボイコットに関して、「参加したかったが、エジプトが一部メンバーの参加に反対し、それが決定(ボイコット)の背景にあった」と述べた。
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一方、エジプトのバドル・アブドゥルアーティー外務省報道官は、7月8~9日にカイロでシリアの反体制派による拡大大会を主催する、と発表した。
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クッルナー・シュラカー(6月7日付)は、カイロでの反体制派の会議「第2回カイロ大会」の開催に先立って、カドリー・ジャミール前首相(変革解放人民戦線、モスクワ在住)が公開書簡(6日付)を発表、会議開催を準備したアブドゥルアズィーズ・ハイイル氏、ジャラー・ナースィル氏ら民主的変革諸勢力国民調整委員会の幹部を「シリアの殉教者と逮捕者への反逆」(者)と批判した。
AFP, June 6, 2015、AP, June 6, 2015、ARA News, June 6, 2015、Champress, June 6, 2015、al-Hayat, June 7, 2015、Iraqi News, June 6, 2015、Kull-na Shuraka’, June 6, 2015、June 7, 2015、al-Mada Press, June 6, 2015、Naharnet, June 6, 2015、NNA, June 6, 2015、Reuters, June 6, 2015、SANA, June 6, 2015、UPI, June 6, 2015などをもとに作成。
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