デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表がジュネーブ合意履行に向けた「作業委員会」設置を提唱(2015年7月29日)

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表は、ニューヨークでの国連安保理会合で、シリア政府と反体制派の和平会議「ジュネーブ3」開催に向けた準備の進捗を報告した。

このなかで、デミストゥラ共同特別代表は、シリア人および諸外国の当事者約300人と面談し、「ダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線の支配の拡大、シリア分裂への懸念増大、過激派や宗派主義への懸念増大を踏まえたかたちで、危機の深刻さへの共通の新式が生じているとの結論に達した」としたうえで、ジュネーブ合意(2012年6月)履行に向けた新たな「作業委員会」の設置を提唱した。

この「作業委員会」は、包囲解除、医療物資の配給、逮捕者釈放などを通じた治安・安全の確保、移行期統治機関の設置や選挙実施など治安・憲政上の問題への対処、テロとの戦い、停戦、武装勢力の統廃合など軍事・治安上の問題への対処などを目的とし、ジュネーブ合意履行に向けた枠組み合意文書の策定をめざすものだという。

『ハヤート』(7月30日付)が伝えた。

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なお、『ハヤート』(7月31日付)によると、安保理会合では、ロシアと米国が、シリア紛争の政治的解決や「テロとの戦い」をめぐって歩み寄りが感じられるとともに、スペイン、ニュージーランドといった国から、サウジアラビア、イラン、トルコといった国を紛争解決に向けて直接関与させるべきだとの主張が見られたという。

西側外交筋によると、サマンサ・パワー米国連代表大使は、「新たな政府」を樹立する必要を強調したもの、「アサド政権は正統性を失った」といった表現は避けていたようだという。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、July 31, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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