民主統一党のムスリム共同党首がイラクを訪問しマーリキー首相と会談したことを明らかにしつつ、自党が民主的変革諸勢力国民調整委員会から除名されたとの報道を否定(2012年12月23日)

Contents

国内の動き(シリア政府の動き)

アサド大統領は2012年法律第35号を発し、2013年会計年度の予算(1兆3830億シリア・ポンド)を確定した。

al-Hayat, December 23, 2012

al-Hayat, December 23, 2012

**

ウムラーン・ズウビー情報大臣は、記者団に対して、『アフバール』(12月17日付)が全文掲載したファールーク・シャルア副大統領の発言を「2300万のシリア人の意見」と高く評価した。

SANA(12月23日付)が報じた。

**

アレッポ県では、SANA(12月23日付)によると、アレッポ市ジュルーム地区で発生した武装テロ集団の退去を求める民衆デモに、反体制武装勢力が発砲し、複数の市民が負傷した。

国内の暴力

ハマー県では、複数の活動家が、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に合わせて、ハルファーヤー市のパン屋(パン配給所)近くに軍が空爆を行ったと主張した。

シリア人権監視団、地元調整諸委員会は、この空爆によって「60人以上」が死亡したと発表した。

また、別の活動家は「200人」が死亡したと主張した。

一方、SANA(12月23日付)によると、ムハルダ市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またSANA(12月23日付)はその後、反体制武装勢力がハルファーヤー市を襲撃し、女性子供を含む住民を殺害した、と報じた。

同報道によると、これを受け、軍がハルファーヤー市の武装テロ集団を掃討する作戦を行ったという。

**

ダルアー県では、ヨルダンのペトラ通信(12月23日付)によると、ヨルダン領内に逃げようとした若者が頭を撃たれて死亡した。

**

アレッポ県では、SANA(12月23日付)によると、アルバイド村、カウワル村、サフィーラ市、アナダーン市、マンスーラ村、ナッカーリーン村、アレッポ市ブスターン・カスル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、バニー・ザイド地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

**

ダマスカス郊外県では、SANA(12月23日付)によると、ダーライヤー市内で、反体制武装勢力が武器兵站の搬送に使用していた地下トンネルを軍が発見した。

またダーライヤー市、アクラバー村、バイト・サフム市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、ドゥーマー市郊外では、イスラーム旅団とグータの盾旅団の間で略奪品の分配をめぐる衝突が発生し、多数の反体制武装勢力戦闘員が死亡した。

**

イドリブ県では、SANA(12月23日付)によると、マアッル・シューリーン村、マアッル・シャムサ村、タフタナーズ、ヒルバト・マールティーン村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

**

ヒムス県では、SANA(12月23日付)によると、ガントゥー市、ザアフラーナ村、東ブワイダ市などで、反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

**

ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(12月23日付)が、タッル・ブラーク町住民の話として、自由シリア軍が同市に進入し、軍がこれに対抗するかたちでヘリコプターを上空で旋回させている、と報じた。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月23日付)が入手した声明によると、アブドゥー・フサームッディーン元石油鉱物資源省次官が、シリア革命反体制勢力国民連立の駐トルコ大使就任を「不適任」を理由に辞退した、と報じた。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はクルディーヤ・ニュース(12月23日付)に対して、イラクを訪問し、ヌーリー・マーリキー首相と会談したことを明らかにした。

al-Kurdiya News, December 23, 2012

al-Kurdiya News, December 23, 2012

同報道によると、この訪問は民主的変革諸勢力国民調整委員会へのジャラール・ラータラバーニー大統領の招待を受けたものだったが、ターラバーニー大統領の病状悪化で大統領との会談は実現しなかったという。

ムスリム共同党首は、民主統一党が民主的変革諸勢力国民調整委員会から除名されたとの一部情報を否定した。

諸外国の動き

イスラエルのアモス・ギルアド国防省軍政局長はイスラエル国防軍のラジオで、「彼(アサド大統領)が去ったと仮定すると、中東…に混乱が生じ、彼の代わりに誰が現れるかなど分からないだろう。我々はバランスをとらねばならない。世界全体がこのことに対処しなければならない」と述べた。

またアサド政権による化学兵器使用の可能性について、ギルアド国防省軍政局長は「現時点で、化学兵器は(アサド政権の)管理下にある」と述べた。

**

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が、ベイルートから陸路でダマスカスに入った。

**

アラブ連盟は常駐代表レベル会合を開き、シリア国内のパレスチナ人およびパレスチナ難民キャンプへの攻撃を非難した。

AFP, December 23, 2012、Akhbar al-Sharq, December 23, 2012、al-Hayat, December 23, 2012, December 24, 2012, December 25, 2012、Kull-na Shuraka’,
December 23, 2012、al-Kurdiya News, December 23, 2012、Naharnet, December
23, 2012、Reuters, December 23, 2012、SANA, December 23, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.