イランのホセイン・ロウハーニー大統領は、シリア・イラク情勢に関して、両国におけるテロを根絶し、安定を回復したいのであれば、国際社会が一致団結してテロ根絶をめざし、そのうえで中央政府を承認し、民主化を追求するべきだと主張した。
IRNA通信(9月8日付)によると、ロウハーニー大統領は、テヘランでのオーストリアのハインツ・フィッシャー大統領との会談後の記者会見で、「シリアで民主主義について議論することが優先事項なのか? 反体制派と政府、あるいはシリアの憲法の改編について話すことが優先事項なのか?」と自問し、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線をはじめとするテロリストへの対応に努力を集中すべきだとの姿勢を改めて示した。
また「テロと暴力をどこかの地域に温存させてはならない。これらとの戦いを包括的に行い、全世界、とりわけ欧州で、これらの(テロ)組織によるリクルートの基盤を根絶すべきだ」と述べたと伝えた。
ロウハーニー大統領はさらに「誰が、ダーイシュというテロリストから石油を買い、資金を援助し、武器を供与することで支援しているのか? 第1段階として、テロリストに資金、武器が届かないようにすべきだ…。シリアとイラクの国民の未来は両国民のみが決めねばならない。イランはEUとこの点で協力する用意がある…。流血を止め、テロを包括的に抑え、避難民を帰還させ、民主主義の基礎を構築し、すべての集団、エスニック集団が参加する政府を樹立するのは、中央政府を承認したうえで考慮されねばならない次の段階だ」と付言した。
そのうえで「テロは1カ所にはとどまらず、ほかの地域にも拡散する。だから、すべての国が手に手を携えて、テロと過激派の根絶を行わねばならない…。テロ集団との戦いがイラクとシリアに安定をもたらす最優先事項だ」と強調した。
これに対し、フィッシャー大統領は「アサドが犯した罪をわすれるべきではないが、我々がこの戦い(テロとの戦い)の戦線に身を置いている事実を直視することも忘れるべきでない」と述べたという。
AFP, September 8, 2015、AP, September 8, 2015、ARA News, September 8, 2015、Champress, September 8, 2015、al-Hayat, September 9, 2015、Iraqi News, September 8, 2015、IRNA, September 8, 2015、Kull-na Shuraka’, September 8, 2015、al-Mada Press, September 8, 2015、Naharnet, September 8, 2015、NNA, September 8, 2015、Reuters, September 8, 2015、SANA, September 8, 2015、UPI, September 8, 2015などをもとに作成。
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