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米国の動き
ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は記者会見を開き、外国テロ組織(FTO)およびイラクのアル=カーイダに関する大統領令第13224号(2004年10月15日)を修正し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを「イラクのアル=カーイダの新たな別称(new alias)」に加え、「テロ組織」に追加認定する、と発表した。
ヌーランド報道官によると、ヌスラ戦線は2011年11月以降、40件以上の自爆攻撃を含む約600件のテロ攻撃をシリア各地で行っている。
これらの攻撃において、ヌスラ戦線は自らを「合法的なシリアの反体制勢力」と位置づけようとしているが、実際にはイラクのアル=カーイダがシリア国民の闘争を「ハイジャック」しようと試みている、と指摘した。
また暴力的で宗派主義的なヌスラ戦線のヴィジョンは、大多数の反体制勢力を含むシリア国民の意思に反しており、アサド後のシリアにおいて、過激主義とテロのイデオロギーは居場所はないと断じ、すべての責任あるシリア人に、アル=カーイダをはじめとする過激派に対して声高に拒否の姿勢を示すよう呼びかけた。
なおアサド政権については、「国民に対する力の行使を選択したことで、アル=カーイダの暴力的な過激派を引き込む環境を作り出した」と非難、アサド後のシリアに向けた政治的転換が始まれば、シリア国民と中東にとって事態は好転するだろう、と述べた。
http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2012/12/201759.htm
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『ハヤート』(2012月12月12日付)は、米高官の話として、シャームの民のヌスラ戦線の「テロ組織」認定は、「シリアの反体制武装勢力における過激でない勢力」の武装支援を促すだろう、と報じ、この動きがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民に正統な代表と承認」する準備とみなした。
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レオン・パネッタ米国務長官は、「この方面において敵対的な措置がとられていることを新たに示すものはない」と述べ、アサド政権が化学兵器使用を準備している動きが現在のところ見られないと述べた。
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バラク・オバマ米大統領はABC(12月11日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認することを決定したと発言した。
バーバラ・ウォルターズとの対談でオバマ大統領は、「シリアの反体制派の連立は充分包括的で、シリア国民を十分反映・代表しており、彼らがアサド政権に反対するシリア国民の正統な代表だと考えることを決心した」と述べた。
またオバマ大統領は「承認が責任を伴うことは明らかだ…。彼らが自らを効果的に組織し、すべての組織の代表となり、女性やマイノリティの権利を尊重する政治的転換にコミットすると確かめたい」と付言した。
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ABC(12月11日付)は、オバマ政権高官が「大統領は将来の武器供与を決して排除していない」としつつ、「武器供与は政治的解決を促すかたちでなされねばならない」と述べ、米国がシリアの反体制勢力への武器供与に依然として慎重である、と報じた。
国内の暴力
アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市北部のムスリミーヤ村にある砲兵学校周辺で、軍と反体制武装勢力の交戦が続いた。
同砲兵学校には約3000人の軍兵士が駐留しており、2週間前から反体制武装勢力が包囲しているが、制圧は「きわめて困難で、数千人の戦闘員を要する」という。
またアレッポ市内では、ブスターン・バーシャー地区で軍が攻撃を強めており、バーブ街道地区では市民7人が何者かに殺害された、という。
さらにシリア人権監視団は、声明を出し、アレッポ市郊外のシャイフ・スライマーン軍事基地を制圧したシャームの民のヌスラ戦線、ムハージリーン大隊、ムジャーヒディーン・シューラー評議会が、シャイフ・スライマーン地区の科学センター・貯蔵庫の制圧を完了した、と発表した。
制圧に際して、激しい戦闘が起き、軍の兵士35人が殺害され、64人が負傷、40~50人の兵士が逃走という。
一方、SANA(12月11日付)によると、軍がアレッポ国際空港に至る高速道路の各所で掃討作戦を行い、空港への往来を阻止していた反体制武装勢力戦闘員数十人を殲滅した。
またアレッポ市ブスターン・バーシャー地区、シャッアール地区、タッル・ザラーズィール地区、ブアイディーン地区、ライラムーン地区、ムスリミーヤ村、ファーフィーン村、バーブニス村、バーブ・ダイル・ハーフィル街道、タッル・リフアト・ファーフィーン交差点などで、軍が反体制武装勢力と交戦、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市周辺、ハラスター市などで軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、反体制武装勢力の戦闘員30人が殺害された。
一方、SANA(12月11日付)によると、アクラバー村、ズィヤービーヤ町、シャブアー町、ダーライヤー市で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の追撃を続け、リビア人戦闘員など多数の戦闘員を殺傷した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム市で爆弾が爆発し、複数の市民が負傷した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ハトラ村での砲撃で子供を含む市民7人が死亡した。
一方、SANA(12月11日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ハトラ村などで、軍が「ムスタファー大隊」、「カーディスィーヤ大隊」を名乗る武装集団と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。
SANA(12月11日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ハトラ村などで、軍が「ムスタファー大隊」、「カーディスィーヤ大隊」を名乗る武装集団と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。
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ヒムス県では、SANA(12月11日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区、タルビーサ市などで、軍が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
シリア国内(アサド政権)の動き
アレッポ県では、SANA(12月11日付)によると、アレッポ市マアーディー地区で市民数百人が「武装テロ集団」の退去を求めるデモを行った。
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アサド大統領は、ダマスカス県およびダマスカス郊外県のモスク、高等学校、宗教学校で宗教教育を行う女性教師と面談した。
面談には、ムハンマド・アブドゥルサッタール・サイイド宗教関係大臣が同席した。
会談において、アサド大統領は、健全なイスラーム的教育指導の必要を強調する一方で、アラブ性(ウルーバ)とイスラーム教がシリア社会の主柱として不可分の関係にあると語った。
SANA(12月11日付)が報じた。
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『ワタン』(12月11日付)は、シリア公式筋の話として、政権を離反し、国外に逃走したとされるジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官に関して、同省が「3ヶ月の長期休暇の取得に同意し、公的な枠組みのもと国を離れている」と報じ、離反が「噂」に過ぎないと付言した。
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クッルナー・シュラカー(12月11日付)は、シリア外務在外居住者省筋の話として、シリア政府に敵対的な複数の国の大使館の閉鎖を同省が求めていると報じた。
反体制勢力の動き
トルコのハタイ県アンタキア市で発足した自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長(准将)は、シャームの民のヌスラ戦線が「過激主義とは無縁で、アサドの悪党から祖国を護ろうとしている」と支持し、米国務省が同組織を国際テロ組織に指定したことを非難した。
また「西側がヌスラ戦線の若者と語らえば、考えていたのは逆だったと分かるだろう。あご髭をたくわえている者すべてがテロリストではない」と付言した。
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クッルナー・シュラカー(12月11日付)はフェイスブックからの情報として、ダマスカス宣言事務局のジャブル・シューフィー(シリア国民評議会事務局メンバー)が、シリア革命反体制勢力国民連立が発足をめざしている暫定政府に関して、「暫定政府を発足すれば血塗られた体制が終わり、凍結された資産が返還される…と思っている人々」に「我々は彼ら(欧米諸国など)の約束を信用しない」と述べ、拒否の姿勢を示したと報じた。
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クッルナー・シュラカー(12月11日付)はフェイスブックからの情報として、民主的変革諸勢力国民調整委員会のムンズィル・ハッダームが、ロシアと米国が2014年のシリアの大統領選挙までに、著名な反体制勢力指導者を首班とする挙国一致内閣を発足するかたちで事態の収拾をめざすことで合意したとの情報を得たと綴った、と報じた。
クルド民族主義勢力の動き
クルド最高委員会のムスタファー・ウースー(シリア・クルド・アーザーディー党書記長)はクルディーヤ・ニュース(12月11日付)に、シリア・クルド国民評議会の執行委員会が、モロッコ(マラケシュ)で12日に開催されるシリアの友連絡グループ会合に派遣する使節団の設置と、クルド人の権利の憲法での名文保障の承認のためシリア革命反体制勢力国民連立との交渉を行うことを決定した、と述べた。
また民主統一党に関しては、シリア・クルド国民評議会とシリア革命反体制勢力国民連立の交渉を承知し、同党自身も参加を検討していると述べた。
そのうえで、シリア・クルド国民評議会がシリア革命反体制勢力国民連立に正式に参加する場合、評議会ではなく、クルド最高会議として参加することになるだろう、と付言した。
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西クルディスタン人民議会のイーサー・ハンムー(クルド最高委員会メンバー)はクルディーヤ・ニュース(12月11日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立との交渉を行う「使節団は、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会を代表し、クルド人の名のもとに交渉を行うだろう」と述べた。
また「連立に対して、シリア・クルド国民評議会ではなく、クルド最高会議の名でクルド人全体を代表することを条件として求めるだろう。連立がこれに同意しない場合、我々は連立には参加しない。これが評議会と人民議会の立場であり、ホリール(アルビール)で合意したことだ」と付言した。
レバノンの動き
MTV(12月11日付)は、シリアの司法当局がサアド・ハリーリー前首相、ウカーブ・サクル国民議会議員、シリア人活動家のルワイユ・ミクダード(自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官)に対して、テロ支援容疑で逮捕状を発行した、と報じた。
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ウカーブ・サクル国民議会議員は、シリア当局による逮捕状の発行に関して、「光栄」だと述べた。
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北部県トリポリ市ジャバル・ムフスィン地区を地盤とするアラブ民主党のリフアト・イード党首は記者会見を開き、同地区とバーブ・タッバーナ地区の最近の衝突に自由シリア軍が関与している、と非難した。
また「ムスタクバル潮流がトリポリ住民をせき立て、ジャバル・ムフスィン地区を攻撃させている」としたうえで、「ムスタクバル潮流は市内の戦闘員をコントロールできていない。彼らは自由シリア軍にコントロールされている」と指摘した。
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ムスタクバル潮流は定例会合後に声明を出し、「アサド政権は、(タッル・カラフでシリア軍が殺害したレバノン人イスラーム主義戦闘員の)遺体を引き渡し、この問題をめぐってトリポリの人々を戦わせるように仕向けた」と非難した。
諸外国の動き
UNCHRは声明を出し、国外に避難したシリア人の数が509,559人に達している、と発表した。
このうち難民登録を行った(ないしは申請中の)シリア人は425,160人。
避難先別の避難民数の内訳は、レバノン154,387人、ヨルダン142,664人、トルコ136,319人、イラク65,449人、北アフリカ各国11,740人。
またこれ以外に難民として登録されていないシリア人がヨルダンで10万人程度、トルコ、エジプトでそれぞれ70,000人程度、レバノンに数万人いると推計されるという。
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フランスのジャン・イブ・ルドリアン国防大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「フランスや米国はそれが貯蔵されている場所、そして現在のところ使用されていないということを知っている」と述べた。
またシリアへの軍事介入の是非に関して、「現在、この問題は提起されていない。化学兵器の使用はまだ確認されていない…。アサドが化学兵器を使用したら、それはレッド・ラインを越えることになり、我々は同盟国との合意される措置を講じるだろう」と付言した。
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ロシアの経済紙『コメルサント』(12月11日付)は、匿名筋の話として、ロシアがアサド大統領の退陣を迫ろうとする米国の圧力を拒否している、と報じた。
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AFP(12月11日付)は、エクアドルのラファエル・コレア大統領が、「エクアドルに亡命を求めるいかなる者の申請に対しても、我々はそれを検討する」と述べ、アサド大統領が亡命を求めれば検討することを暗示したと報じた。
ABC, December 11, 2012、AFP, December 11, 2012、Akhbar al-Sharq, December 11, 2012、al-Hayat, December 12, 2012、Kull-na Shuraka’, December 11, 2012、al-Kurdiya News,
December 11, 2012、MTV, December 11, 2012、Naharnet, December 12, 2012、Reuters,
December 11, 2012、SANA, December 11, 2012、al-Watan, December 12, 2012、Zaman al-Wasl, December 11, 2012などをもとに作成。
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