ワリード・ムアッリム外務在外居住大臣はシリア・アラブ・テレビとイフバーリーヤ・テレビによる単独インタビューに応じ、そのなかでダーイシュ(イスラーム国)などの過激派のテロが、シリアやイラクだけの問題ではなく、世界全体の問題だとしたうえで、シリア軍には「テロとの戦い」における任務を遂行する能力があると強調、そのためにテロ組織が保有する高度な兵器に対抗するための高度な武器・弾薬が必要だ、と明言した。
ムアッリム外務在外居住者大臣の主な発言は以下の通り。
(サウジアラビアやトルコといった地域大国がシリア国内で活動するテロ組織を支援していることに関して)「これらの国は、シリアへの介入を共謀すれば、シリアがテロの温床になり、シリアを締め付けることを知っていた。しかし、我々は常に、次のように言ってきた。テロはその支援者にも及ぶだろう、と」。
「(テロに対する)同盟、協調、連合などについて言うと、我々はロシアのヴラジミール・プーチン大統領のイニシアチブに応じたい…。自衛のためにシリアでテロと戦うなどと言っている国々(欧米諸国など)は信頼できるのか? そしてシリアに対する計略を改め、協調するだろうか? 我々はこうした国が誠実だと感じたら協力する用意はある」。
「トルコ政府は、テロを支援しているムスリム同胞団とイデオロギー的につながりがある…。トルコはイデオロギー的な理由でダーイシュと戦うことはないと…と考えてきたし、実際、戦っていない。トルコはダーイシュを支援している…。だからトルコを米国主導の有志連合に参加させるとの言説はすべて、この同盟に対するトルコが行っているゲームに過ぎない」。
「米国は、有志連合の失敗の原因の一つがトルコの姿勢にあると感じている…。最近になって採択された三つの国連安保理決議は、すべての加盟国に対して国連憲章第7章に基づき「テロとの戦い」を推し進めるよう規定している。テロと戦いたいという国であれば、シリア政府と協調しなければならない」。
「ダーイシュに対するトルコの姿勢は変わっていない…。トルコ軍機がダーイシュに対してこれまでに何度空爆したというのか? トルコはダーイシュ戦闘員の負傷者が国内の病院に搬送されるのを阻止したか? 領内のダーイシュの拠点を閉鎖したか?」
「シリア・アラブ軍は今日でも、「テロとの戦い」を遂行する能力があるということを証明している。近い将来に何が起こるのかを予想したくはない。しかし、シリア・アラブ軍は今、国内のさまざまな場所で任務を遂行できている。歴史を振り返ってみても、シリア・アラブ軍のように国内でこうしたテロ組織と戦ったことのある軍は存在しない」。
「我々は、我が武装部隊に何が必要かを検討することになろう。例えば、カラムーン地方では、レバノンのレジスタンス(ヒズブッラー)が…実際に参加した。ザバダーニー市でもこうしたことが行われている。事態の推移のなかで必要となれば、こうした協力を禁じるものは何もない。しかし、今のところ、私は、シリア・アラブ軍が能力を有していると考えている」。
「率直に言うと、我々が必要としているのは、テロ組織が保有する高度な兵器に対抗するための高度な武器弾薬だ」。
(ロシア軍がラタキア県内の航空基地で軍備強化を行っているとの報道に関して)「私はその報道を肯定することも、否定することもできない。しかし、シリアとロシア、我が軍とロシア軍との関係は、戦略的な協力関係だということは言える。我々はみな、プーチン大統領に耳を傾け…、セルゲイ・ラブロフ外務大臣の発言に耳を傾けてきた…。彼らは誰よりも先に、シリアにおける「テロとの戦い」が、自衛のための先制行動を必要とすることを理解しており、それゆえに我が軍への武器弾薬の供与を強化したのだ」。
「シリア国内にロシアの軍事基地を作る意思は(ロシア側には)ない。しかし、必要が生じれば、何でもあり得る。事実、私はそのことを否定もしなければ、肯定もしない。我々はプーチン大統領が指導するロシアが、シリアという国家、その正当な政府に常を支持しており、「テロとの戦い」において必要が生じれば、提供し得るすべてを提供する用意がある、ということを理解すべきだ」。
AFP, September 17, 2015、AP, September 17, 2015、ARA News, September 17, 2015、Champress, September 17, 2015、al-Hayat, September 18, 2015、al-Ikhbariya, September 17, 2015、Iraqi News, September 17, 2015、Kull-na Shuraka’, September 17, 2015、al-Mada Press, September 17, 2015、Naharnet, September 17, 2015、NNA, September 17, 2015、Reuters, September 17, 2015、SANA, September 17, 2015、Syria Arab TV, September 17, 2015、UPI, September 17, 2015などをもとに作成。
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