フランスの複数の匿名高官が、AFP(9月17日付)に伝えたところによると、米軍が、今年7月に無人戦闘機を投入してシリア領内で行った空爆で、「グローバル・ジハード運動」の指導者の一人でアルジェリア人のサイード・アーリフ氏(49歳)を殺害することに成功していたことを明らかにした。
アーリフ氏が死亡したとの情報は、インターネット上で2015年春にも拡散されていた。
アーリフ氏は、1990年代にアフガニスタンで、アル=カーイダに参加し、ウサーマ・ビン・ラーディン氏ら組織の幹部との関係を築いたとされる。
2000年代に入ると、チェチェンにジハード主義戦闘員を派遣するネットワークに参加、またフランスのシュトラスブルグやパリのエッフェル塔を狙ったテロを計画し、フランス当局に逮捕され、2007年に禁固10年の有罪判決を受けていた。
2011年に釈放されたアーリフ氏は、「拷問を受ける危険」があるとの理由でアルジェリアに送還されることを免れ、フランス中部の町で保護観察下に置かれたが、2013年5月に失踪(逃亡)し、その後シリアに潜入したとされる。
シリアに潜入したアーリフ氏は、アル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構の幹部となり、2014年8月18日、米国務省は、シャームの民のヌスラ戦線メンバーとして彼を特別指定国際テロリストに追加認定した(http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2014/230677.htm)。
なお、ジュンド・アクサー機構は、イドリブ県でヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などとともにファトフ軍を構成している。
AFP, September 17, 2015、AP, September 17, 2015、ARA News, September 17, 2015、Champress, September 17, 2015、al-Hayat, September 18, 2015、Iraqi News, September 17, 2015、Kull-na Shuraka’, September 17, 2015、al-Mada Press, September 17, 2015、Naharnet, September 17, 2015、NNA, September 17, 2015、Reuters, September 17, 2015、SANA, September 17, 2015、UPI, September 17, 2015などをもとに作成。
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