シリア軍が、英米豪によるシリア領内での限定的軍事行動を尻目にダーイシュ(イスラーム国)の中心拠点ラッカ市各所を集中的に爆撃(2015年9月17日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、「所属不明の戦闘機」が、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点ラッカ市内のパノラマ地区、フィルドゥース地区、工業地区、産婦人科病院、冷凍貯蔵庫、発電・変電施設に対して集中的な空爆を行い、多数の死傷者が出た。

これに関して、AP(9月16日付)は、シリア軍戦闘機が少なくとも12回にわたり空爆を行ったと伝えた。

またSANA(9月17日付)は、シリア軍がラッカ市のダーイシュ(イスラーム国)拠点を重点的に空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊したと伝えた。

一方、クッルナー・シュラカー(9月17日付)は、ダーイシュがラッカ市国立病院のアーディル・ハーッジ・ハサン所長を処刑したと伝えた。

ARA News, September 17, 2015

ARA News, September 17, 2015

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、ダイル・ザウル航空基地一帯での戦闘で捕捉したと思われるシリア軍兵士をマヤーディーン市の農業銀行交差点の広場で斬首した。

斬首は住民らに公開され、また同市のバルウーム交差点、バカラ交差点、ナーディー交差点、ティーバ交差点の広場には、同様にシリア軍兵士とされる男性の遺体8体が吊されたという。

これに対し、ARA News(9月17日付)によると、シリア政府を支持するシュアイタート部族民兵も、ダイル・ザウル航空基地一帯での戦闘で捕捉したダーイシュ戦闘員を斬首し、その映像(https://sendvid.com/0jxizd8t)をインターネットで公開した。

シリア人権監視団によると、このほかにも、ダイル・ザウル航空基地一帯、サルダ山でのシリア軍とダーイシュの戦闘は続き、シリア軍兵士十数人とダーイシュ戦闘員も7人が死亡した。

一方、有志連合と思われる戦闘機がジュダイド・アカイダート村に対して行った空爆で、ダーイシュ・ハイル州(ダイル・ザウル県のこと)北部地区のザカート局長が死亡した。

他方、SANA(9月17日付)によると、ダイル・ザウル航空基地一帯をシリア軍が攻撃し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、ARA News(9月18日付)がダイル・ザウル市の複数の活動家の情報として、ダーイシュ(イスラーム国)が、イラク領内でイラク軍から捕獲した米国製のM1エイブラムス戦車2輌を市内に配備した、と伝えた。

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アレッポ県では、SANA(9月17日付)によると、アレッポ市東部航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、シリア人権監視団によると、マンビジュ市で、「道路を封鎖し、人々の財産を略奪した」との罪で、ダーイシュ(イスラーム国)が男性2人を公開処刑した。

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ヒムス県では、SANA(9月17日付)によると、タドムル市北西部の採石所一帯、ジュッブ・ジャッラーフ村、カルヤタイン市で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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米中央軍(CENTCOM)は、9月17日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して14回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は5回で、ハサカ市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(2回)、マーリア市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, September 17, 2015、AP, September 17, 2015、ARA News, September 17, 2015、September 18, 2015、Champress, September 17, 2015、al-Hayat, September 18, 2015、September 19, 2015、Iraqi News, September 17, 2015、Kull-na Shuraka’, September 17, 2015、al-Mada Press, September 17, 2015、Naharnet, September 17, 2015、NNA, September 17, 2015、Reuters, September 17, 2015、SANA, September 17, 2015、UPI, September 17, 2015などをもとに作成。

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