ジョン・ケリー米国務長官は、ロンドンでのUAEアブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣との会談の冒頭、バラク・オバマ大統領が「シリアをめぐってロシアとの軍事的対話(military
talks)が次の重要なステップとなり、大統領はそれが近く行われ、それによって我々に与えられた様々な選択肢がいくつかに限定されることを望んでいる。我々はシリアにおいて次のステップを検討している」と述べた。
ケリー国務長官は記者団に対し「我々は、ダーイシュ(イスラーム国)との戦い、そしてシリアにおける政治的解決に焦点を当てている。そして、それはアサドが長期間いることでは実現できないと考えている」と付言した。
**
また、AP(9月18日付)などによると、この発言とほぼ時を同じくして、アシュトン・カーター国防長官もロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣と約50分にわたり電話会談を行い、シリア情勢について意見を交わした。
電話会談で、カーター国防長官は、ダーイシュ(イスラーム国)を打ち負かし、シリアの政治的移行を保証するには、それらが同時に行われるべきだとの立場を伝えたという。
**
こうした米国側の発言を受け、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は直ちに反応し、「我々は米国との対話を拒否したことなど決してない…。我々は、シリアの問題など関心を共有するすべての問題について今、開かれた姿勢をとっている」と発言した。
なお、ケリー国務長官の発言の直前、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は記者団に対し、シリアへのロシア軍の派遣について、「シリア側からの要請があれば、当然、二国間対話の枠組みのなかでそれについて協議、検討する…。しかし、現時点において、理論的に話すことは困難だ」と述べた。
AFP, September 18, 2015、AP, September 18, 2015、ARA News, September 18, 2015、Champress, September 18, 2015、al-Hayat, September 19, 2015、Iraqi News, September 18, 2015、Kull-na Shuraka’, September 18, 2015、al-Mada Press, September 18, 2015、Naharnet, September 18, 2015、NNA, September 18, 2015、Reuters, September 18, 2015、SANA, September 18, 2015、UPI, September 18, 2015などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.