ロシアのプーチン大統領とオバマ米大統領がシリア情勢をめぐって直接会談:シリア領内での偶発的な衝突を回避するため、両国軍による協議開催を支持することで合意(2015年9月28日)

国連総会出席のため米国を訪問中のロシアのヴラジミール・プーチン大統領がニューヨークでバラク・オバマ米大統領と会談し、シリア情勢、ウクライナ情勢などについて意見を交わした。

米政府関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、90分におよぶ会談で、両首脳は、シリア領内での偶発的な衝突を回避するため、両国軍による協議開催を支持することで合意した。

プーチン大統領は会談後、記者団に対し「戦場におり、ダーイシュを筆頭とするテロリストに抵抗し、戦っている者たちを支援するために、さらに何をすべきかを思案している」と述べ、ダーイシュ(イスラーム国)と戦うシリア政府とクルド人部隊(西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊)への支援強化について検討していることを明らかにした。

しかし、アサド大統領の進退については意見が一致せず、オバマ大統領は、アサド政権の退陣がシリアの安定には必要だとする従来の主張を繰り返したという。

ロイター通信(9月28日付)が伝えた。

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ジョン・ケリー米国務長官は、プーチン・オバマ会談後、NBC News(9月29日付)のインタビューで、「シリアが統一国家、世俗国家なければならないこと、ダーイシュ(イスラーム国)に対抗する必要があること、そして政治移行プロセスを進める必要があること」でロシア側と合意が成立していると述べた。

一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、RT(9月29日付)に対して、プーチン・オバマ会談を「非常に建設的だった」と評したうえで、「ダーイシュを敗北させることが共通の目標であることで合意した」と述べた。

またシリアの紛争に関しては、「具体的なプロセスは決まっていない」としながらも、協力を継続することで合意した」と述べた。

AFP, September 29, 2015、AP, September 29, 2015、ARA News, September 29, 2015、Champress, September 29, 2015、NBC Newsal-Hayat, September 30, 2015、Iraqi News, September 29, 2015、Kull-na Shuraka’, September 29, 2015、al-Mada Press, September 29, 2015、Naharnet, September 29, 2015、NNA, September 29, 2015、Reuters, September 29, 2015、RT, September 29, 2015、SANA, September 29, 2015、UPI, September 29, 2015などをもとに作成。

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