『ハヤート』(10月8日付)などは、シリア国内でのダーイシュ(イスラーム国)などに対するロシア軍と有志連合の空爆の調整を目的とした協議をめぐって、米国側は、ダーイシュの拠点に関する情報の交換を提案したロシア側の申し出を拒否していると伝えた。
ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官はこれに関して「ダーイシュを殲滅すべき真の敵だとみなす他の国々は基地、倉庫、司令拠点、教練キャンプなどについての情報で我々を支援してくれいている。しかし、彼ら(米国)はこのテロ組織に関して異なる見解を持っていて、国際的な「テロとの戦い」における協力を拒否する口実を探しているかのようだ」と批判した。
コナシェンコフ報道官は一方、米国など西側諸国がロシア軍の空爆に関してダーイシュ以外の組織を標的としていると非難していることに関して、「米国などの空軍は昨年から空爆を行っているが、彼らは常にテロリストだけを標的としているわけではない」と述べた。
これに対して、イタリアのローマを訪問中のアシュトン・カーター米国防長官は、「我々はこれまでにも、ロシアが間違った戦略を行っていると考えていると述べてきた。彼らはダーイシュ以外の標的を攻撃し続けている。我々はそれが根本的な間違いだと考えている」と述べた。
また「ロシアが何を言おうが、彼らが誤った政策を続け、空爆を続ける限り、ロシアとの協力には同意しない」と付言した。
米国防総省のスティーブ・ウォーレン報道官は、シリア領内での有志連合とロシア軍の偶発的な衝突を回避するための米ロシア両軍の協議が開始されたと発表した。
なお、コナシェンコフ報道官によると、ロシア政府は、シリア領内でのロシア軍と有志連合の空爆の調整を目的として米国側が提示した提案について検討しており、「これらの提案は総体的実施可能」だとしつつ、「技術面での詳細に関しての詳細な説明を米国側に求めており、両国国防相専門家の間でその内容について検討がなされる」予定だと述べた。
AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、October 8, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。
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