ロシア大統領府報道官は、ウィーンでの米・ロシア・サウジアラビア・カタールの外相会合でロシアがアサド大統領の再出馬制限などを骨子とする和平案を提案したとの報道を否定(2015年10月27日)

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアがウィーンでの米・ロシア・サウジアラビア・カタールの外相会談でアサド大統領の再出馬制限などを骨子とする和平案を提案したとする『シャルク・アウサト』の記事に関して、「この点の報道には通常はコメントしない。こうした情報の価値はゼロを超えるものではない」と述べ、強く否定した。

『シャルク・アウサト』(10月23日付)は、23日にオーストリアのウィーンで開催された米・ロシア・サウジアラビア・カタールの外相会談で、ロシアが、アサド大統領の再出馬制限などを骨子ととする和平案を提示した、と伝えていた。

中東調査会の「中東かわら版 No.109 シリア:紛争を巡る外交動向」(10月27日付、http://www.meij.or.jp/kawara/2015_109.html)がまとめたところによると、外相会談でのロシアの提案の内容は以下の通り:

1.各国の間でシリア領内での攻撃対象リストを共有する。紛争の政治解決を受け入れない武装勢力は攻撃対象とする。

2.政府軍と「自由シリア軍」との戦闘を全ての戦線で凍結する。

3.シリア政府、内外の反体制派、「自由シリア軍」を含む対話会議を開催する。対話では、以下の諸点について成果を得ることを想定する。

(1)恩赦
(2)全ての囚人の釈放
(3)議会選挙
(4)大統領選挙
(5)全当事者を代表する挙国一致政府の編成
(6)(レバノンの例に倣って)大統領の権限の複数を集合的政府に移譲するための憲法改正

4.ロシアのプーチン大統領は、アサド大統領が上記の選挙に立候補しないことを個人的に約束する。ただし、この約束は同大統領に近しい者やシリア政府の者が選挙に立候補することを妨げるものではない。

5.親政府の民兵を政府軍に統合した後、「自由シリア軍」の諸部隊を政府軍に統合する方策を見出す。

6.ロシアは、反体制派がアサド大統領や政府要人を将来訴追しないこと、彼らがシリアにとどまるか離れるかを選択することを受け入れるならば、恩赦が武装した者を含む内外の反体制派全てを含むことを約束する。

7.反体制派が政府の支配地域への封鎖を解除し、各国が反体制派への武器援助を凍結するならば、政府軍は各地の封鎖を解除する。

8.ロシアは安保理決議に基づいてシリア領内の軍事基地を維持する。

9.ロシアは、アサド大統領が軍やその他の武装部隊への統制を失うことを懸念し、同大統領が選挙に参加するか否かの問題を含む、合意の一部を非公開とすることを条件とする。

AFP, October 27, 2015、AP, October 27, 2015、ARA News, October 27, 2015、Champress, October 27, 2015、al-Hayat, October 28, 2015、Iraqi News, October 27, 2015、Kull-na Shuraka’, October 27, 2015、al-Mada Press, October 27, 2015、Naharnet, October 27, 2015、NNA, October 27, 2015、Reuters, October 27, 2015、SANA, October 27, 2015、al-Sharq al-Awsat, October 23, 2015、UPI, October 27, 2015などをもとに作成。

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