2012年11月23日のシリア情勢

国内の動き

アサド大統領がダマスカスを訪れたイランのアリー・ラーリージャーニー諮問評議会(国会)議長と会談した。

SANA, November 23, 2012

SANA, November 23, 2012

会談で、アサド大統領は、イラン政府によるシリア国民への支援と、政治的対話支持の姿勢を高く評価し、国民対話を成功させ、シリアおよび地域全体の不安定化を狙ったテロと戦い続けるとの意思を示した。

またシリア情勢への対応のほか、イスラエルによるガザ空爆の失敗とパレスチナ人レジスタンスの勝利などについて協議した。

会談後の記者会見で、アサド大統領は、「(ラーリージャーニー議長訪問は)緊急訪問ではない…。我々とイラン高官は様々なレベルで常に連絡を取り合っている。しかし訪問が国会議長レベルとなれば、それ以外の高官との間で最近行われたすべての会談が総括される。とくに、急速に進展する事態や、ガザに対するイスラエルの攻撃を踏まえ、我々は過去の会談を再評価した。もちろんイスラエルの攻撃は私とラーリージャーニー議長博士の今日の会談では大きく取り上げた」と述べた。

SANA(11月23日付)が報じた。

シリア・アラブ・テレビ(11月23日付)によると、ダマスカス国際空港に到着したラーリージャーニー議長は、記者団に対して、「シリアに問題を作り出すことで、地域においてアドベンチャーを行おうとしている者がいる…。改革の名のもとに衝動的な行為を行い、混乱をもたらそうとしている武装集団もあるが、そうした試みが実現することはないだろう」と述べた。

また、ラーリージャーニー議長はシリア出国後にレバノンに到着、ベイルートでナビーフ・ビッリー国民議会議長と会談した。

SANA(11月23日付)によると、会談後、ラーリージャーニー議長は記者団に対して、シリアへの軍事介入を拒否するとの姿勢を示した。

SANA, November 23, 2012

SANA, November 23, 2012

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シリアの外務在外居住者省は声明を出し、トルコのNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請に関して「新たなる挑発的措置」と評し、トルコ政府が「シリア・トルコ国境における事態の軍事化、緊張・被害の増大をもたらし、友好的な両国国民の利害を損ねている」と批判した。

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シリア・カトリック教会ハサカ司教区のベフナーン・ヒンドゥー大司教は書簡を出し、ローマ法皇、国連、国際社会に対して、ジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東)への支援と、戦火拡大回避への努力を呼びかけた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市で、軍・治安部隊の砲撃により反体制武装勢力の戦闘員5人が死亡した。

一方、SANA(11月23日付)によると、ザマルカー町、アルバイン市、アイン・タルマー村、ズィヤービーヤ町、ダーライヤー市、フジャイラ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を継続し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(11月23日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、スッカリー地区、ムスリミーヤ地区、シャイフ・ルトフィー村、カフルナーハー村、アターリブ市、ファーフィーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市マルジャ地区では、数百人の市民が「テロリスト退去」を訴え抗議デモを行い、反体制武装勢力がデモの排除を試み、子供1人を殺害、複数を負傷させた、という。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市の軍住宅機構近くの軍・治安部隊の検問所で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、兵士3人が死亡、15人が負傷した。

一方、SANA(11月23日付)によると、サルミーン市・イドリブ市間の街道で反体制武装勢力が爆弾をしかけた車を爆破し、市民3人を殺害、多数を負傷させた。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニューズ(11月23日付)によると、軍が戦車4輌、装甲車10輌、輸送車輌15輌をカーミシュリー市防衛のために増援した、と報じた。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月23日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ブー・ウマル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

また突撃大隊、ハムザ・ブン・アブドゥルムトリブ大隊を名乗る武装集団が、バアス党ダイル・ザウル支部の元メンバーでアラブ作家連盟会員のムハンマド・ラシード・ルワイリーら4人を殺害し、シリア軍の犯行だとする嘘の映像を公開した。

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ハマー県では、SANA(11月23日付)によると、ガーブ地方の街道の複数箇所で、シャームの民のヌスラ戦線が仕掛けた爆弾を爆破した。

反体制勢力の動き

シリア民主フォーラムは声明を出し、11月23日から25日でカイロで開催される反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)に関して、参加の意思を表明した。

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革命青年連合なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立に対して、カイロでの反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)に参加するよう呼びかけた。

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カイロで反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)が開会された。

大会は25日までの3日間の予定。

大会には、シリア民主フォーラムのミシェル・キールー、ハーズィム・ナハール、国民変革潮流のバッサーム・ブンニー、ワヒード・サクル、アンマール・カルビー、ヨルダンで活動するカマール・ルブワーニー(シリア革命反体制勢力国民連立)、ワリード・ブンニー、シリア自由人党のムンズィル・アクビークらが参加した。

また国内で活動する民主的変革諸勢力国民調整委員会も参加した。

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シリア・ヤズィーディー評議会なる組織が声明を出し、議長のマズキーン・ユースフ女史とスィルハーン・イーサー報道官がイラクのクルディスタン愛国同盟(PUK)の正式な招待を受け、イラク・クルディスタン地域を訪問する、と発表した。

クルド民族主義勢力の動き

イラク・クルディスタン地域のアルビール市で、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会の代表が11月21日から23日にかけてシリア北東部の治安対策に関して協議し、自由シリア軍に対抗するためのクルド統合軍を発足することで合意した。

西クルディスタン人民議会のムハンマド・ラシューはアルビール市で「あらゆる敵対行為からクルド地域を保護することを開始」するため、「いかなる組織にも属さない軍を設置することで原則合意した」と述べた。

ラシューはまた「自由シリア軍がラアス・アイン市をはじめとするクルド地域に来て以降、彼らはアラブ人地区に展開していただけだとの認識があったしかしほどなく、彼らは、クルドの旗が掲げられているとの口実で、これらの旗を焼き、我々と交戦した」と述べた。

そのうえで「タウヒード旅団、シャーム外国人大隊、そしてときに(シャームの民の)ヌスラ戦線が、クルド人市民を襲っている…。自由シリア軍はこれらの組織との関係を否定することもあるし、関係を認めることもある」と付言した。

またフェヴェダールを名のる活動家は、「イラク・クルディスタン地域で、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会がクルド地区を保護し、治安を脅かす者から地域を防衛するためのクルド軍結成で合意した…。(軍は)民主連合党とクルディスタン地域のクルド人離反兵によって構成される」と述べた。

AFP(11月23日付)が報じた。

また西クルディスタン人民議会のアブドゥッサラーム議長もクルディーヤ・ニューズ(11月23日付)に対して、シリアの主要なクルド民族主義政党・組織が「クルド統一軍」を結成することで合意した、と述べた。

レバノンの動き

レバノンの各メディアによると、軍事情報局がアーシューラの祝祭を狙った爆弾テロを計画していたとされるシリア人5人をナバティーヤ県ナバティーヤ市で逮捕した、と報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は記者団に対して、「武器の蓄積は脅威を投げかけ、多くの場合、力に訴えようと望む者たち(の暴力)を促す」と述べ、トルコ政府のNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請を批判した。

またラブロフ外務大臣は、「兵器拡散は、危険な武力紛争を挑発する脅威を投げかけるものであり、我々はこうしたことによる代償を避けたいと考えている」と付言した。

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ロシア外務省は声明を出し、セルゲイ・ラヴロフ外務大臣がアナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長に対して、トルコへのパトリオット・ミサイル配備(要請)への懸念を伝えた、と発表した。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、チューリッヒ大学で講演し、トルコへのパトリオット・ミサイル配備(要請)に批判的立場をとるロシアの姿勢を「正当でない」と述べた。

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イラン外務省報道官は、トルコのNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請に関して「シリアにおける事態の正常化に資さず、事態悪化と危機激化をもたらすだろう」と批判した。

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UNHCR報道官はジュネーブで記者団に対して、シリア人避難民の数が44万23256人に達したと発表した。

このうち21万3000人以上が9月以上に避難を余儀なくされ、12万7420人がレバノンに、12万5670人がヨルダンに、12万3747人がトルコに、5万5685人がイラクに、9734人が北アフリカ諸国など逃れた、という。

またシリア国内で支援が必要な市民の数は約250万人で、そのうち95%が国内避難民だという。

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イラクのクルディスタン愛国同盟(PUK)政治局のサアディー・アフマド・ビーラは、AFP(11月23日付)に対して、シリアのクルド人はイラクのクルド人に軍事支援を要請していないとしたうえで、「我々はシリアのクルド人からの武器支援に関する要請を認めたことはない。我々は常に彼らに軍事的な問題から身を遠ざけるよう忠告してきた。我々は人道敵、政治的、外交的な側面から彼らの要求をかなうよう支援している」と述べた。

AFP, November 23, 2012、Akhbār al-Sharq, November 23, 2012、al-Ḥayāt, November 24, 2012, November 26 2012、Kull-nā Shurakā’, November 23, 2012,
November 25, 2012、al-Kurdīya News, November 23, 2012、Naharnet, November
23, 2012、Reuters, November 23, 2012、SANA, November 23, 2012などをもとに作成。

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