フランス軍がパリ同時テロ事件の報復としてダーイシュ(イスラーム国)の中心都市ラッカ市およびその周辺一帯を爆撃(2015年11月15日)

フランス国防省は声明を出し、フランス軍戦闘爆撃機10機を含む12機が15日夜、ダーイシュ(イスラーム国)の中心都市ラッカ市に爆弾20発を投下した、と発表した。

航空機12機はUAE、ヨルダンの基地から出撃し、ダーイシュの司令部、戦闘員教練キャンプ、武器弾薬庫を破壊したという。

この空爆作戦は、有志連合を主導する米軍との調整のもとに行われ、フランス軍が行った偵察活動によってあらかじめ標的が設定されていたという。

フランスは、欧州へのシリア移民・難民流入問題への関心の高まりを受けるかたちで、2015年9月にシリア領内での空爆を開始、今回の空爆を含めてこれまでに4回の空爆を実施している。

13日のパリでの同時テロ事件発生以降、フランス軍がシリア領内での空爆を実施するのはこれが初めてで、フランス政府はこの事件がダーイシュ(イスラーム国)による犯行だと断じている。

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これに関して、シリア人権監視団は、フランス軍と思われる戦闘機によるラッカ市への空爆により、15日深夜から16日未明にかけて、36回の爆発が起きたと発表した。

この爆発は、フランス軍が市内のダーイシュの武器弾薬庫を空爆したことによると見られるという。

フランス軍によると思われる空爆はまた、ラッカ市北部および南部の郊外に対しても行われた。

同監視団によると、フランス軍の空爆による人的・物的被害の詳細は不明だという。

一方、クッルナー・シュラカー(11月16日付)は、ラッカ市内での空爆は、タッル・アブヤド通り、バースィル通り、ハッジャーナ地区、スィヤーサ地区、医療センター、フルースィーヤ地区、市南部入り口に対して行われたと伝えた。

また同サイトによると、フランス軍の空爆が第17師団基地、野営キャンプ、ラッカ市郊外畜産農場地区に及んだ。

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なお、フランス政府は、13日のパリ同時テロ事件に関して、14日の段階で、フランソワ・オランド米大統領がダーイシュの犯行と断じ、また16日にはパリ郊外のヴェルサイユ宮殿に上下両院の議員を招集して演説を行い、「シリアで決定・計画され、ベルギーで準備・組織され、フランス国籍を持つ共犯者らと共にわが国で実行された」と述べた。

AFP, November 16, 2015、AP, November 16, 2015、ARA News, November 16, 2015、Champress, November 16, 2015、al-Hayat, November 17, 2015、Iraqi News, November 16, 2015、Kull-na Shuraka’, November 16, 2015、al-Mada Press, November 16, 2015、Naharnet, November 16, 2015、NNA, November 16, 2015、Reuters, November 16, 2015、SANA, November 16, 2015、UPI, November 16, 2015などをもとに作成。

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