イドリブ県では、シリア人権監視団などによると、シャームの民のヌスラ戦線がカフルナブル市にあるラジオ・フラッシュ本部を接収した。
これに先立ち、ヌスラ戦線メンバーだという覆面をした武装集団が同本部を襲撃し、コンピュータ、設備などを略奪、ラーイド・ファーリス社長と活動家のハーニー・アブドゥッラー氏を連行した。
ラジオ局に近い複数の情報筋によると、ラジオ・フラッシュが「イスラーム法に反する歌やイスラーム教を侮辱するスローガン」を放送で流したことが、事件の背景にあるという。
ファーリス氏はこれまでにもたびたび、ヌスラ戦線の行為を批判してきたことで知られていたという。
一方、アブドゥッラー氏は、ヌスラ戦線を擁護する姿勢をとっており、ファーリス氏が「イスラーム法に反する素材を流さないこと」を保証していたが、この保証が履行されなかったために連行されたという。
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ARA News(1月10日付)によると、その後、アブー・ハリール・カフルナブル氏を名乗るヌスラ戦線メンバーとファーイス氏が、①アブドゥッラー氏が自身のフェイスブック・アカウントにおいて、ファーリス氏がイスラーム法的に過ちを犯したと明記する、②ヌスラ戦線が、ラジオ・フレッシュ襲撃を行き過ぎた過ちと認める、ことを合意し、ファーリス氏とアブドゥッラー氏はカフルナブル市で釈放された。
AFP, January 10, 2016、AP, January 10, 2016、ARA News, January 10, 2016、Champress, January 10, 2016、al-Hayat, January 11, 2016、Iraqi News, January 10, 2016、Kull-na Shuraka’, January 10, 2016、al-Mada Press, January 10, 2016、Naharnet, January 10, 2016、NNA, January 10, 2016、Reuters, January 10, 2016、SANA, January 10, 2016、UPI, January 10, 2016などをもとに作成。
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