アレッポ県では軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を継続、一方イドリブ県では反体制武装勢力とシャームの民のヌスラ戦線が共闘しワーディー・ダイフ基地を迫撃(2012年10月18日)

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国内の暴力

アレッポ県では、SANA(10月18日付)によると、アターリブ市、サフィーラ市、マンスーラ村、カフル・ハラブ村、バヤーヌーン町、シャイフ・サルマーン市、マーリア市、アレッポ市旧市街各所などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を継続、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

al-Hayat, October 19, 2012

al-Hayat, October 19, 2012

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ヒムス県では、SANA(10月18日付)によると、ヒムス市ワアル地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを襲撃するなどして、掃討作戦を継続、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

また『バアス』(10月18日付)が、対レバノン国境のジュースィーヤ村の「浄化」を完了したと報じた。

一方、『ハヤート』(10月19日付)などによると、軍・治安部隊はヒムス市のハーリディーヤ地区などの制圧のための掃討作戦を継続した。

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ハマー県では、SANA(10月18日付)によると、カルアト・マディーク町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

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ラタキア県では、SANA(10月18日付)によると、軍・治安部隊がナビー・ユースフ山の山頂を経由してトルコからシリア領内に潜入しようとした反体制武装勢力を撃退し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、ラーイド・ミンディールなる反体制武装勢力の戦闘員が、AFP(10月18日付)に対して、反体制武装勢力がワーディー・ダイフ基地に対して「総攻撃を加えている。我々は同基地を制圧するだろう」と述べた。

シリア人権監視団によると、反体制武装勢力とシャームの民のヌスラ戦線が共闘し、基地を迫撃している、という。

一方、マアッラト・ヌウマーン市では、現地の救急隊員によると、軍の空爆によって子供多数を含む44人ががれきの下敷きになって死亡した。

また現地の野戦病院で医療活動を行う医師らによると、空爆で20人が死亡、30人以上が行方不明だという。

シリア人権監視団によると、軍はこのほかにも、マアッラト・ヌウマーン市郊外のダイル・シャルキー村、ダイル・ガルビー村を空爆した。

これに対して、SANA(10月18日付)は、マアッラト・ヌウマーン市郊外の村々で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を継続し、甚大な被害を与えた、と報じた。

「浄化」作戦が継続されたのは、マアッル・シャマーリーン市、マアッル・ハッタート村、カフルサジュナ村、バスィーダー村など。

またイドリブ市内で、爆弾が爆発し、市民1人が死亡した、という。

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クナイトラ県では、SANA(10月18日付)によると、マスハラ村で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を完了した。

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ダマスカス県では、シリアの治安筋によると、カフルスーサ区の内務省施設の近く(300メートル)で、オートバイに乗った男が自爆した、と報じた。

SANA, October 18, 2012

SANA, October 18, 2012

同治安筋によると、爆発によって犠牲者は出なかった。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月18日付)によると、反体制武装勢力がダイル・ザウル市・タドムル市間の石油パイプラインと、ウマル油田とティーム油田を繋ぐパイプラインを爆破した。

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長宛に書簡を提出し、サウジアラビア、カタール、トルコがシリアへの武装テロ集団の潜入に関与し、国内の対話や危機の平和的解決を阻害している、と非難、対応を求めた。

SANA(10月18日付)が報じた。

反体制勢力の動き

『タイムズ』(10月18日付)は、英国治安当局が、英国人イスラーム教徒のシリアへの潜入手引きを行っていたとされる英国人の取り調べを行っていると報じた。

同報道によると、この英国人はこれまでに約50人の英国人イスラーム教徒のリクルートを行った、という。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に先立って、シリア国家建設潮流は声明を出し、同共同代表特使付のムフタール・ラマーニー代表とダマスカスで会談し、イード・アドハーの休戦に関する意見を交換したと発表した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(10月18日付)は、クルド最高委員会が最高司法委員会の設置を決定した、と報じた。

同委員会は、シリア・クルド国民評議会の代表者8人、西クルディスタン人民議会の代表者7人から構成される。

レバノンの動き

AFP(10月18日付)は、レバノンの北部県アッカール郡アブーディーヤ市近くから何者かがシリア領に発砲したのを受け、シリア軍がレバノン領内に砲撃を加えた、と報じた。

死傷者は出なかった。

国際社会の動き

ロシアの外務省報道官は、米国が反体制勢力への対空兵器の供与を決定したとの「シリアの信頼できる消息筋」の情報に関して、「国際テロ組織の武器供与」をもたらすと懸念を表明した。

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国連のナバネセム・ピレイ人権高等弁務官は、シリアの紛争をボスニア内戦にたとえ、国際社会に暴力ための一致団結を呼びかけた。

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国際人権団体Avaazは、2011年3月以降の失踪したシリア人が28,000人にのぼると発表した。

AFP, October 18, 2012、Akhbar al-Sharq, October 18, 2012、al-Hayat, October 19, 2012、Kull-na Shuraka’, October 18, 2012、al-Kurdiya News,
October 18, 2012、Naharnet, October 18, 2012、Reuters, October 18, 2012、SANA,
October 18, 2012、The Times, October 18, 2012などをもとに作成。

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